●●●オズの魔法使い
カンザスの農場に住むドロシーは、突然やってきた竜巻に飼い犬のトートと飛ばされれて、不思議な世界「オズの国」に迷い込んでしまった。道連れは、臆病なライオンと、脳みそのないカカシ、心のないブリキのきこりの三人。彼女が家に戻るためには、エメラルド・シティに住む魔法使いのオズに会わなければならない。翼のついた猿に、魔女との戦いと、次々と訪れるピンチにみんなで助け合う。1939年、ヴィクター・フレミング監督作品。モノクロからカラーへ、鮮やかな色彩と手作りのファンタジー。ジュリー・ガーランドの歌声と、旅の道連れたちの名演にも支えられた、奇跡のような名作である。臆病なライオンが見せた勇気と、脳みそのないカカシが見せた知恵と、心のないブリキのきこりの涙。ドロシーとの旅で彼らは、自分には無いと思っていたものを見つける。一緒に旅をする仲間は一緒に生きている仲間。当たり前のように仲間のことを思って、自分の本当の力を見せた三人の勇者たち。彼らには栄誉が与えられる。ライオンには勲章を。かかしには大学の卒業証書を。ブリキのきこりには心臓の代わりに時計を。勇気と、知性と、感情。おそらく人は、それらをさまざまな理由で簡単になくすのだろう。どうしようもない事情があるのだ、なくしても誰も責められやしないはず。だが、消えたわけではないのだ。本来、人に備わっているもの、消えたりはしないのだ。1939年、第2次世界大戦のはじまり。奇跡のような名作は多くの人の目に触れただろう。児童文学を原作に持つファンタジーは、現実とは全く違う世界になってしまった。だが、映像となり感動となり、語り継がれる明日の方が、この映画が存在しない明日よりも、ずっと、マシになっていると思いたくなる。三人の勇気と、知性と、感情。三人が気付けなかったものを三人と一緒に気付く旅。映画はドロシーの現実の世界の住人が、オズのキャラクターを演じるという仕掛けである。Somewhere over the rainbow, way up highand the dreams that you dream ofonce in a lullaby