1000401 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

サイド自由欄

カレンダー

コメント新着

バックナンバー

2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2009.06.06
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
ババコンガ 「……間に合ったか。ラー、薬だ(ぐい)」
ラージャン 「(バッッ……ゴクリ)」
ラージャン 「はぁ…………はぁ……(ふらふら)」
ババコンガ 「…………」

ババコンガ 「砂漠流の師範に、蟲竜の兄か……」
ババコンガ 「少々部が悪い。ここは退散させてもらう(ぐい)」
ラージャン 「…………」
ババコンガ 「さらば!(ドパァッ!)」
ティガ兄 「あ! 待てクラァ! 潜って逃げるなんて卑怯だぞコルァ!!」

ディアブロス 「……ティガレックス兄だな。後は追わんで良い」
ティガ兄 「あァァん!? 誰だてめェ!!」
ディアブロス 「…………最後にお前達を見たのは、卵から生まれたばかりの時のことだ……知らずとも無理はない(ドスドス)」
ティガ兄 「とにかく! 奴が悪いんだな!? じゃあ追いかけてブチ殺すぞ!」

ディアブロス 「猿族の地中を進む速度には適うまい。それに、手負いの手当てもせねばならぬ」
ティガ弟 「…………」
クシャルダオラ 「…………」
錆クシャルダオラ 「…………」
モノブロス 「…………」
ティガ兄 「……ちぃぃ!」

―数時間後、秘境奥間―

ディアブロス 「……そのような次第だ。撤退をさせることにはさせたが、こちらの被害は予想以上に甚大だ」
ナナ・テスカトリ 「ああ……! ラージャン君……どうして……」
ディアブロス亜種 「手傷を負った者は、ドスガレオスに洞窟の別室で世話をさせている。滋養水を飲ませてきたが、あれは、雷の気功を受けた痕なのですか……」
ディアブロス 「左様。いくら鱗が硬かろうと、体の内部に力を流し込まれてはひとたまりもない。特にわしらのような、竜はな」

ティガ兄 「…………(ギリ)許せねェ……やっぱ、あの時に殺しておくべきだったんだ!」
ナナ・テスカトリ 「ティガ兄君、そんなことは言うものじゃありません。同じ、仲間じゃありませんか」
ティガ兄 「仲間ァ!? 先生、あの下衆野郎は、よりにもよって先生をストーキングして、そんで襲ってきたんですぜ!」
ナナ・テスカトリ 「ですが……」
ティガ兄 「久しぶりに会っていきなりこんなこと言うのもなんだけどさ! もういい加減分かったでしょ? あいつ頭おかしいんだってよ!」

ナナ・テスカトリ 「…………」
ディアブロス亜種 「して、主殿。この品のない小僧は一体誰で?」
ティガ兄 「あンだこらァやんのか!?」
ディアブロス 「やかましい(ぐい)」
ティガ兄 「(ぐるん)うおっ!(ズゥゥン)」
ディアブロス 「主殿の御前だぞ。少しは敬意を払ったらどうだ?」
ティガ兄 「……な……何だァ? 転ばされたのか、オレ……触られてねぇのに……」

ディアブロス 「ティガの息子だ……捨て置け。コンガの男が、ラーを回収していった。姿を見せたということは、じきに正式な勧告があろう」
ディアブロス亜種 「…………」
ディアブロス 「今、ラオシャンロンには、戦争派を押し留める力はない。おそらくは、わしらの力を狙っていると考えられる」
ナナ・テスカトリ 「そんな……話し合いを、まず……」
ディアブロス 「話し合いならば、幾度となく過去に行ってきたではないか」
ナナ・テスカトリ 「…………」
ディアブロス 「その結果、お前達は人間の街に手を出し、取り返しのつかない傷を仲間に与えた。それは事実である」

ティガ兄 「あァ? おぅぉぅじいさん。先生の悪口は許さねェぞ」
ディアブロス 「やかましい(ぐい)」
ティガ兄 「(ぐるん)ぎゃあ!(ビダンッ)」
ディアブロス 「無論わしらは、三年前と同様に、無益な戦いに貸す手は持たぬ。それは、今回とて同じこと」
ティガ兄 「(びくんっ、びくんっ)」

ナナ・テスカトリ 「しかし、あなた方は、ラオシャンロン様を守ってくださっているのでは……」
ディアブロス 「奴に頭を下げられたゆえのこと。それ以上は念頭に置いてはいない」
ディアブロス亜種 「ともすれば……ここに、この娘子がいるのは、我らにとって良いことではないな……」
女児 「すぅー……すぅー……」

ディアブロス亜種 「今は寝ているが……」
ディアブロス亜種 「人間を保護している、と触れ回られてしまっては、戦争反対派ととられてしまう」
ティガ兄 「(パチッ)……? 俺は何を……ん? あれェ!? おっさんが連れてたガキじゃねーか!」
ナナ・テスカトリ 「ティガ兄君、この子を知っているのですか?」
ティガ兄 「ああ。フルフルのババァのところで会ったんだ。え? 何これ? もしかして死にかけ?(きょろきょろ)」

ティガ兄 「クックのおっさんはいねェのか?」
ナナ・テスカトリ 「いえ……火山の崩落に巻き込まれてしまったらしく、ヴォルガノス君が、この子だけは助けたのですが……」
ティガ兄 「えぇぇ? そういや、すっげぇ地震があったけど……火山崩れたの!?」
女児 「うぅ……う……」
ナナ・テスカトリ 「あ、目を醒ました! 良かった……!!」
ディアブロス亜種 「…………」

女児 「ぅ……(むくり……)」
女児 「(ふらふら)」
女児 「頭が……いたい……」
ディアブロス亜種 「火傷は塞がった。しかし……」
女児 「あれ……まだ暗い……」
ナナ・テスカトリ 「……?」

女児 「暗い……暗いよ。ここどこ……?」
ティガ兄 「暗いィ? まぶしいぐらいだろ! しっかりしろや」
女児 「ひっ……その声、こわい顔の竜さん……どこ? 何も、何も見えない……」
女児 「だれかいるの? おじさん? おじさん、いるの?」

ティガ兄 「おちょくってンのか?」
ナナ・テスカトリ 「まさか……」
ディアブロス亜種 「もしやとは思ったが、やはり人間には強すぎた薬だったようだ。どうやら、視力がなくなってしまっているらしい」
ナナ・テスカトリ 「!!」
女児 「暗いよ……ここどこ!? だれか!!」
ディアブロス 「……落ち着け、人間の娘」
女児 「(びくっ)」

ディアブロス 「わしはまどろっこしいことは好かぬ。簡潔に言おう。お主は、火山の崩落に巻き込まれ、ここにいる、ナナ・テスカトリに、この秘境に運び込まれた」
女児 「火山……わたし、そう! 熱いのに落ちて……」
ディアブロス 「その際、重度の火傷を負ったが、わしら砂漠の民がそれを治療した。火傷による命の危険は、もはやない」

女児 「あ……あなたは?」
ディアブロス 「砂漠が竜族の長、ディアブロスである。して、娘よ。お前はこれより、受け入れねばならぬことがある」
女児 「受け入れ……」
ディアブロス 「今のお前は、どうやら光を見ること適わぬ様子。薬の副作用だ。それがいつまでか、はたまた一生のことかは分からぬ」
女児 「光……え……? え……!?」
ディアブロス 「この部屋は砂漠の地下だが、発光するマカライト鉱石により、昼間のように明るい。その意味が、分かるな」

女児 「……………………」
ディアブロス 「他にも何らかの障害が現れるかも知れぬ。しかし……」
ディアブロス 「本来お前は、数時間前に死んでいてもおかしくはない命であった」
ディアブロス 「それをたっての願いで救ったのは、ナナ・テスカトリの恩情である」
ディアブロス 「すぐに理解をすることはできぬと思うが、お前は感謝をせねばならぬ」
ディアブロス 「本来の、死に向かう輪を逃れ、生き続けることができた事実への感謝をな……」
女児 「……………………」

女児 「光……? ぇ…………わ、わたし……」
ディアブロス 「…………」
女児 「何も、見えない……」
ナナ・テスカトリ 「…………」
女児 「目が見えない! わたしの目……目が、目が見えないよ! そ……そんな!!」

ディアブロス 「…………」
ディアブロス 「亜種よ、わしは少し休む」
ディアブロス亜種 「かしこまりました。して、この人間はいかがいたしましょう」
ディアブロス 「じき、ここに戦争推進派の何者かが押し寄せてくる。もはや隠すには手遅れよな」
ディアブロス亜種 「…………御意に」

女児 「おじさん……おじさん、いないの? (よろよろ)」
ティガ兄 「何してンだ!(ぐいっ)立ち上がンな。そっちは岩がある方だ」
女児 「(ひっく……)」
女児 「何も見えない……ティガさん、わたし、ティガさんの顔も見えない……」
ティガ兄 「…………」

女児 「こわいよ……暗い、暗いよ……」
ティガ兄 「ここにクックのオヤジはいねェ。運び込まれたのはてめぇだけらしい」
女児 「!!」
女児 「そんな!」
女児 「あの時……わたし、聞いたの!」
ティガ兄 「な……何だよ……?」

女児 「落ちるとき、おじさんの声……もしかしたら、巻き込まれて……」
女児 「ティガさん、おじさんを助けて!」
女児 「ひどいけがをしてるかもしれない、おねがい!」
女児 「おねがい!!」
ティガ兄 「ちょっ……鼻掴むな……そこは……鼻の……穴だ……」

ナナ・テスカトリ 「……人間の娘さん、よく聞いて。イャンクック様は」
ティガ兄 「おっさんは無事だ。今、別の用でちっと出てる」
女児 「ほ……ほんと?」
ナナ・テスカトリ 「…………」
ティガ兄 「あァ。心配すんなって……な、まぁ……そういうわけだ! グダグダ言うな!」

女児 「(ひく……)」
ティガ兄 「! 泣くなよ!? 絶対泣くなよ! 俺が泣かせたみてぇじゃねぇか!!」
女児 「おじさん……わたしのこと、捨てたんじゃ……なかったんだ……」
ティガ兄 「………………」
女児 「…………でも、わたし…………」
女児 「何も、見えない…………」
女児 「おじさんの顔も……もう」
女児 「見えない…………」
ティガ兄 「………………」

次回に続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.06.06 22:26:16
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.