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―火山、崩落した瓦礫の中―

ハンマー 「……ッ痛……(頭を打ったか……)」
ハンマー 「(俺は……無事なのか……?)」
ハンマー 「(シュボッ)……(火種があってよかった……)」

ハンマー 「(………頭上に……大きな岩盤が……途中でひっかかって止まったのか……)」
ハンマー 「(洞窟のようになっている……)」
ハンマー 「(周りを落石が封鎖している……出口を探さなければ……)」
ハンマー 「(巻き込まれた者はいないだろうか……)」

ハンマー 「……(何だ……右足が動かん……)」
ハンマー 「! (落石に挟まっているのか……)」
ハンマー 「(くそっ……足を抜かなければ……)」
ハンマー 「(それに、熱気が酷い……)」
ハンマー 「(どこからかマグマがあふれ出しているのか……?)」
ハンマー 「(このままでは煮えたぎってしまう……)」
ハンマー 「(くっ……動かん)」

ハンマー 「(俺の武器は……)」
ハンマー 「(…………崩落の時に、どこかに落ちてしまったのか……)」
ハンマー 「(何たる不覚……)」
ハンマー 「(あれがあれば、こんな岩……すぐに砕けるものを……)」

ハンマー 「!!」
ハンマー 「(何だ……?)」
ハンマー 「(これは……モンスター達のうなり声だ……!!)」
ハンマー 「(瓦礫の向こうから聞こえる!)」
ハンマー 「(まさか、俺の臭いを嗅ぎつけて……)」
ハンマー 「(離れなければ……!!)」

××× 「…………(ザッ)」
ハンマー 「!!!」
キリン 「…………」
ハンマー 「(あれは……キリン!? どうして、こんなところに……!!)」

キリン 「(ザッザッ)」
ハンマー 「(まずいぞ、こんな状態で幻獣など相手にできない!)」
ハンマー 「(殺されてしまう……!!)」
ハンマー 「(くそっ)……(バッ)」
キリン 「!」
ハンマー 「(今あるのは、この投げナイフだけか……)」
ハンマー 「(しかし、やるしか……)」

キリン 「ヒィィ!」
ハンマー 「(ピシャァァン)うわっ!」
ハンマー 「(ナ……ナイフだけを正確に……雷が……)」
キリン 「(ザッザッ)」
ハンマー 「(やられる……!!)」
キリン 「ヒヒィィィ!」

ハンマー 「(ピシャァァァン)………………?」
ハンマー 「(これは……)」
ハンマー 「(足を押さえていた岩が、砕けた……)」
ハンマー 「(まさかこの幻獣……)」
ハンマー 「(俺を、助けたのか……!?)」

キリン 「…………(くるっ)」
ハンマー 「…………」
キリン 「(ザッザッ)」
ハンマー 「(モンスターが、人間を助けるなんて……)」
ハンマー 「(そんなバカな……)」

ハンマー 「(このキリン、もしかして……)」
ハンマー 「(先日、村の道具屋に、薬を取りに来たキリンか……!)」
ハンマー 「(誰かの怪我を、治すために……?)」
ハンマー 「(まさか……)」
ハンマー 「(あの、女の子か……!?)」

キリン 「!! ヒ……ヒィィン!(ピシャァァン)」
ハンマー 「うおっ!」
ハンマー 「(何だ……? 瓦礫の山に雷を落としたぞ……)」
ハンマー 「(いや……違う!)」
ハンマー 「(瓦礫に何か埋もれている……)」

ハンマー 「(あれは!)」
ハンマー 「(俺に突撃してきた、怪鳥だ!)」
キリン 「ヒィン! ヒヒィィ!(ガリガリ)」
ハンマー 「(死んでいるのか……? 動かない……)」
ハンマー 「(掘り出そうとしているのか……?)」
ハンマー 「(無茶だ……動物の足や雷では、傷つけずに全ての岩をどかすことはできん……)」

キリン 「(ガリガリ)」
ハンマー 「(よろよろ)…………どくんだ」
キリン 「! (バッ)」
ハンマー 「ふんッ! ぐぉぉぉぉお!」
ハンマー 「とりゃぁあ!(ズゥゥン)」
キリン 「…………」
ハンマー 「俺が岩をどかそう……」
キリン 「………………」
ハンマー 「ぐぬっ! とりゃぁあ!(ズゥゥン)」

ハンマー 「……………………はぁ……はぁ……(ドサッ)」
ハンマー 「これで……怪鳥の上の、瓦礫は全てどかしたな……それに、生きているようだ……」
キリン 「…………(ブルルルル)」
キリン 「(カミッ)……(スッ)」
ハンマー 「何だ? たてがみ? ……くれるのか」

キリン 「…………」
ハンマー 「ありがとう。いただいておこう」
ハンマー 「(やはり、あの時見たものと同じだ……)」
ハンマー 「(と、するとあの女の子……)」
ハンマー 「(熔岩の中に落ちていったように見えたが……)」

ハンマー 「ふふっ……」
キリン 「?」
ハンマー 「モンスターに礼をもらうとはな。俺はハンターだというのに、とても不思議な気分だ」
キリン 「(くるっ)……(スタスタ)」
クック 「………………」
キリン 「(ペロペロ)」
ハンマー 「(怪鳥の傷を舐めている……)これを使うといい(ぽいっ)」

キリン 「!!」
ハンマー 「俺がいつも、お守りとして持っている、いにしえの秘薬だ。大抵の傷はそれで治る」
キリン 「………………」
ハンマー 「……言葉は分からんか。だが、薬の存在が理解できるなら、悪いものではないと、分かるだろう?」
キリン 「(カミッ)」

ハンマー 「よせ、頭など下げるな」
キリン 「…………」
ハンマー 「……この崩落を引き起こしたのは、俺の仲間だ……」
ハンマー 「都合のいい話とは思うが、受け取ってくれ」
キリン 「…………」
ハンマー 「……モンスターと話をするなど……奇妙な気分だ……」

ハンマー 「(そういえば……隣街で、奇妙な噂を聞いたことがある……)」
ハンマー 「(まるでモンスターと話をしているような、不気味な行動をとる子供がいると)」
ハンマー 「(随分と迫害されていたようだが……もし……)」
ハンマー 「もし、お前達にも……」
ハンマー 「……俺達と同じような心があるのなら……」
ハンマー 「(そして、俺にもそんな力があれば……)」
ハンマー 「(今のこの気持ちを、お前達に伝えられるのだがな……)」

キリン 「…………」
××××× 「ぉーぃ!!」
キリン 「!!」
ハンマー 「助けが来たか……お前達の仲間とは、反対方向のようだ」
キリン 「…………」
ハンマー 「身構えるな。俺は、ハンターとして義理は返す。お前は俺を助けてくれた。黙って去ることにする」

ハンマー 「……(よろよろ)」
キリン 「…………」
ハンマー 「……少し上に登らねばならんようだな……」
キリン 「(スタスタ)」
ハンマー 「? 何だ?」
ハンマー 「背中に乗れというのか?」

ハンマー 「……すまない。俺が、足を痛めていることも分かるのか……」
キリン 「…………」
ハンマー 「少し背中を借りるぞ(バッ)」
キリン 「ヒィィィ!(ダッ)」
ハンマー 「うおっ!」
ハンマー 「(も……ものすごい跳躍力だ……!)」
ハンマー 「…………(たちまち、数十メートルも上についてしまった……)」

ハンマー 「よっ……と」
キリン 「…………」
ハンマー 「ここまででいい。ありがとう」
キリン 「(スッ)」
ハンマー 「いにしえの秘薬は、持っておいてくれ。お前の仲間に役に立つだろう」
ハンマー 「じゃあな……」

―火山、入り口―

ヘビィ 「ハンマー!! 大丈夫かー!!」
ハンマー 「心配をかけた」
ライト 「うおっ! お前、足怪我してんじゃねぇか!? 武器は!?」
ハンマー 「崩れた時に落としてしまったらしい」

ヘビィ 「ザマぁねぇなぁ」
ハンマー 「はは……まったくだ」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「奥には熔岩が流れ込んでいる。近づかない方がいい」
ヘビィ 「あンだってぇ? そりゃ大変だ。早いとこ街に帰ろうぜ」

ライト 「ガンランスの野郎、洞窟で爆弾ブッ放したんだって? ネコートさんにえらく怒られて、懲罰房に入れられたぞ」
ハンマー 「あの場合は、仕方がなかったとも思うが……」
ヘビィ 「はぁ……ま、死人が出なかっただけよしとするか……」
ハンマー 「行方不明は、もういないのか?」
ライト 「お前で最後だよ」
ハンマー 「そうか……」

ヘビィ 「しっかし、あれだけやって出たのが損害だけってのもな……割に合わなすぎるぜ……」
ハンマー 「そんなことはない。今はもう、この奥には近づけないが……(スッ)」
ヘビィ 「! お前、そりゃ……」
ハンマー 「メランジェ鉱石と、黄金石の原石だ。これだけの量があれば、街にも食料がいきわたるだろう」
ライト 「すげぇでかさだ!」
ヘビィ 「あぁぁ~! 熔岩がひでぇんだろ? くそっ! 俺も巻き込まれてりゃな……」
ハンマー 「ただの偶然だ……」

ハンマー 「…………」
ハンマー 「(もしも、あのキリンのように、モンスターにも心というものがあるのなら……)」
ハンマー 「(何故、あの怪鳥は、俺に殴られながらも、それでも尚飛び掛ってきた……?)」
ハンマー 「(あれは怒りというよりも……)」
ハンマー 「(悲しみに見えた……)」

ヘビィ 「(バシィ!)」
ハンマー 「ッ……」
ヘビィ 「何シケた面してんだ。今晩は逃がさねェぜ。酒場もフル回転だ」
ハンマー 「俺は酒は……」
ライト 「怪我に一番効く薬は酒ってな。ほら、行くぜ」

第6章に続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





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最終更新日  2009.06.06 22:27:03
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