999296 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

サイド自由欄

カレンダー

コメント新着

バックナンバー

2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2024.01
2009.06.22
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
―二年前、人の里―

女将 「まったく! そこじゃないっつってんだろ!(ビシッ)」
女児 「きゃあ!」
女将 「お前のお袋と同じく、使えない娘だよ。雨が降ってきたら、とっとと洗濯物を取り入れな!」
女児 「はい……ごめんなさい……」
女児 「…………」
女児 「(とぼとぼ)」

女児 「(雨……)」
女児 「(雨が降ってる)」
女児 「……?」
兵士A 「住民票がないアイルーはこっちだ!」
兵士B 「抵抗するようなら殺せ! 所詮モンスターはモンスターなんだよ!」

アイルー達 「ひぃぃ! あっしらは何もしてないにゃァァ!!」
兵士C 「黙れ!(ビシィッ)」
アイルー達 「ビャァ!」
兵士D 「どうせお前らが、モンスターに内通してやがったんだ!」

アイルー達 「あっしらはそんなことは……」
アイルー達 「人間様の味方でさぁ!」
兵士B 「連れてこい! 住民登録もないアイルーは、別の街に奴隷として売りに出す!」
アイルー達 「そ……そんニャ! あっしらは今までギルドに尽くしてきたのに……」

アイルー達 「横暴だニャ!」
兵士C 「うるせぇ!(ドガッ)」
アイルー達 「ビニャァ!!」
兵士C 「俺は今まで、モンスターが人間と同じような面ァして、そのらへん歩き回ってるのが気に食わなかったんだ!」

兵士C 「これでせいせいするぜ!!」
アイルー達 「おいらにはご主人がいるニャ! ご主人に会わせてくれにゃァァ!!」
アイルー達 「嫌だにゃァァ! 奴隷生活は嫌だにゃァァァ!!」
兵士B 「(ガチャン)連れて行け」
兵士E 「了解しました。任務ご苦労様です。ではこのアイルー達は、護送車で運び出しますので」
アイルー達 「ヘルプ! ヘルプにゃァァ!!」
アイルー達 「あっしらは無実でさァァ!!」

住民達 「またネコが連れて行かれるわよ(ひそひそ)」
住民達 「でも、噂ではこの前のシュレイド城の戦いで、アイルーがモンスター軍と内通してたんじゃないかって……」
住民達 「ほんと!? でもあのネコ達、人なのかモンスターなのか分からないから、前から不気味だって思ってたのよ」
住民達 「この機会に、街からいなくなってくれれば嬉しいんだけどね……」
住民達 「ウチの子も、あの戦いで大怪我してね。今はモンスターの顔を見るだけで吐き気がするわ」
女児 「…………」
アイルー達 「ヘルプ! ヘルプミィィィ!!」
猫護送車 「(ガラガラガラガラ)」

女児 「…………」
女児 「(お洗濯もの……)」
女児 「…………(とぼとぼ)」
女児 「モンスター……」
女児 「モンスターが、お父さんと、お母さんを……」
女児 「…………」

女将 「何してんだい! とっとと取り込んで来るんだよ!!」
女児 「! はい! ごめんなさい……!」
女将 「ぐずぐずしてると鞭でぶつよ! お前みたいな役立たずを拾ってやったんだ! いくら役立たずでも、働く努力くらいはするんだね!!」
女児 「(ダッ)」
住民達 「……やぁねぇ。あのお屋敷の子、また怒鳴られてるわよ」
住民達 「父親が、母親と軍を脱走したんだろう? 子供もろくな子じゃないのかもしれないね」
住民達 「何でも、あの子を捨てて、二人で逃げる途中に、砦蟹の侵攻に巻き込まれたとか……」

女児 「…………」
女児 「よいしょ……」
女児 「(ふらふら)」
女将 「それが終わったら、あとはお客さんの食事作りだよ。休むんじゃないよ。とっととしな!」
女児 「はい……!」
女将 「まったく本当、使えない……(ススッ)」
女児 「…………」

女児 「よいしょ……」
女児 「雨が……」
女児 「……強くなってきた……」
女児 「(お洗濯ものを、中に入れて……)」
女児 「痛っ……」
女児 「(さむい……)」
女児 「(手が、しもやけで切れてる……)」

女児 「ふーっ……ふーっ……」
女児 「(すりすり)」
女児 「よいしょ……」
女児 「…………」
女児 「(あとは、お食事をつくらなきゃ……)」
女児 「…………」
女児 「(てが……いたい……)」

女児 「……?」
女児 「あ……」
女児 「(こんなところに、アイルーがいる……)」
白アイルー 「…………」
女児 「(あまやどりかな……)」
女児 「(でも、バッジをつけてない……)」
女児 「(へいしさんたちに見つかったら、つれていかれちゃう……)」
白アイルー 「…………」

兵士達 「路地裏も全部探せ! バッジのないアイルーは、全部奴隷市場送りだ!」
アイルー達 「ギニャァァ!!」
兵士達 「逃げたぞ! 追えぇぇ!!」
女児 「…………」
白アイルー 「ふぅふぅ」
女児 「(手に息をかけてる……)」
女児 「(この子もさむいんだ……)」

女児 「……こっちだよ」
白アイルー 「!」
女児 「そこにいたら、こわい人につれていかれちゃうよ」
白アイルー 「…………(きょろきょろ)」
女児 「かぞくの人と、はぐれたの?」
白アイルー 「(こくり)」
女児 「とりあえず、こっちにかくれて。ほら……」
白アイルー 「(こくり)……(トコトコ)」

兵士達 「(バタバタ)」
女児 「!」
兵士達 「おい、そこのガキ! この辺にアイルーが逃げ込んでこなかったか!?」
女児 「(ビクッ)…………」
兵士達 「とっとと答えろ!」
女児 「し…………しらない(ふるふる)」
兵士達 「おーい! こっちだ!」
アイルー達 「ギニャァァ! 見つかったニャァァ!!」
兵士達 「チッ(ダダッ)」

女児 「…………」
女児 「(スッ)夜まで、うごかないほうがいいよ」
白アイルー 「…………」
女児 「さいきん、ずっとこうなの」
白アイルー 「…………」
女児 「(しゃべれないのかな……)」
女児 「そうだ……」
女児 「(ごそごそ)これ、あげる」
白アイルー 「?」
女児 「お魚の干物」

白アイルー 「???」
女児 「(ぐぅ~)」
女児 「あ……」
白アイルー 「…………」
女児 「はい」
白アイルー 「(ふるふる)」
女児 「じゃあ、はんぶんこにして食べようか(ポキッ)」
女児 「……はい」
白アイルー 「(もぐもぐ)……(にこっ)」

白アイルー 「……?」
女児 「?」
白アイルー 「(スッ)」
女児 「どうしたの? わたしの手?」
白アイルー 「(こくり)……(ぐい)」
女児 「あ……よごれてるから……」
白アイルー 「(ふぅ)」
女児 「!」
女児 「きずが……」
女児 「きずが、ふさがった!」
白アイルー 「(にこにこ)」

女将 「女児! 女児、どこにいるんだい! とっとと戻ってこないとぶつよ!」
女児 「(ビクッ)」
女児 「あ……ごめんね、わたし、もういかなきゃ……」
女児 「よくわからないけど……」
女児 「手、なおしてくれてありがとう(なでなで)」
白アイルー 「(ごろごろ)」
女児 「この納戸にはだれもこないから、夜までまっててね。また来るから」
白アイルー 「(こくり)」


―どこか、遠い場所―

×××××× 「Min datter(娘が)」
×××××× 「…………Hun er ikke her(娘が、ここにいない)」
×××××× 「Hun er ikke(いない)」
×××××× 「Det er nodvendigt at lede efter hende(探さねばならぬ)」
×××××× 「Det er nodvendigt at finde hende(見つけねばならぬ)」
×××××× 「Vores barn er en vigtig barn(あの子は大切な子……)」
×××××× 「At barnet skal vare hvidt(……白くなければいかぬ……)」

×××××× 「Landsby(人里か?)」
×××××× 「Landsby(人里!?)」
×××××× 「Det beskidte landsby(あの汚らしい人里!?)」
×××××× 「Jorden regeret af menneskelige der defiled (穢れた人間に、支配された土地に!?)」
×××××× 「Ah……(ああ……)」
×××××× 「Fadase der, hvad er det vard(失態をした……)」
×××××× 「Det faldt(落ちたのだ)」

×××××× 「At barnet vil blive defiled(このままではあの子は、地上の毒に冒されてしまう」
×××××× 「Det er nodvendigt at hjalpe(助けなければ)」
×××××× 「Det er nodvendigt at hjalpe(助けなければいけない)」
×××××× 「Fra rotted jorden(腐った地上から……)」
×××××× 「Min datter(娘を……)」
×××××× 「Lad os komme i gang(……降りましょう)」
×××××× 「Til at rotted jord(あの腐りきった土地へ……)」
×××××× 「Kun en gang nu(今一度……)」

次回へ続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.06.22 15:46:35
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.