生きるよすが
生きるよすが 南風一人類の幸福のためにとか貧困の撲滅のためにとかそんなことが生活の目標になる人は幸いなるかな不幸にも私にとって生きる目的から程遠い自分の生活の糧が多くの人に勇気と希望を与える職業というものはそうそう在るものではないだろう食うや食わずの子どもや浮浪者にとって屋台のおでん一本はどんなご馳走よりも美味いに違いないおでん屋は貧しい子どもや浮浪者に元気を与えたことになるから世の中のために大いに役立ったと言えよう他方でおでん一本を無料で施す場合にしろ施さない場合にしろおでん屋の売り上げにさしたる差はなく一日の稼ぎなど高が知れているおでん屋台を一人で引いている限り億萬長者になれないことは日の目を見るより明らかに違いない同じ時間をかけるなら少ない時間で多く稼げる職業がいいに決まっているなぜそんな職業へ殺到しないのかサラリーマンからすれば不思議に違いないそれでも恩師が考えていたような迂回ではあっても人々の行動の原理を解き明かすことで愚かな選択はしない、させない、許さないそんなことで戦争が起きなければ大いなる成功その癖教え子たちには適度に金を稼いで普通に暮らすことを望んだ恩師の矛盾それは先生にとって矛盾でも何でもなく当たり前のことだったのかも知れない眼前の教え子の暮らしの方が高邁な理想よりずっと大切学問の本では言わないけれど先生の背中がそんなことを語っていた矛盾した理想家だった (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。購入は、こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング