南風一の世界

　　　春休み　　　　南風一

子どもたちが春休みを迎えるころ

野原には土筆がにょきにょきと背を伸ばし

田んぼは一面レンゲの海

ガキ大将は近所の子分や女の子を引き連れて

鬼ごっこや缶蹴り

小川で鮒獲りに興じる

昼飯を食べるのも忘れ

誰かのお母さんに呼び戻されてようやく一息つく

風は温み

高くなった陽射しはぽかぽかと暖かい

遊び仲間は言うに及ばず

何の邪気もなく一緒に遊んだ女の子たち

若くして交通事故で亡くなった友達もいるけれど

一緒に遊んだ仲間たちはすでにお母さんやお父さんになって

（中にはすでにおばあさんやおじいさんになって）

子どもたちを呼び戻す役回りになっているのだろう

一日中外で遊んでいただけなのに

あんなに楽しかったのは

なぜかな

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