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カテゴリ:詞・詩・唱
コンクリートから滲む熱が
黄色からオレンジに変わって 焦げた抜け殻の三歩先で 白い亡骸が許された その時だったのかもしれません 近づく木枯らしによそ見して 夏のしっぽを掴み損ねて 日々しぼんでゆく蝉時雨の 淡い一音を聴き終えた その時だったのかもしれません わたしの心臓はもうとっくに あなたになっていたはずなのに どうしてまだ生きられるのでしょう あなたの心臓はもうとっくに わたしになっていたはずなのに どうやって生きているのでしょう そんなことを考えていました でもさっき不意にわかったんです ただふたり一緒にいるだけで ご飯が あの道が 夏が 海が 音が 香りが 時間が 全てが 「しあわせ」という言葉に変わる 魔法のようなものだったのでしょう 愛はそんなものだったのでしょう 魔法が解けただけなのでしょう わたしの心臓はただわたしで あなたの心臓はただあなたで 愛だけが消えてしまったんです 消えてしまったんです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.09.29 00:40:40
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