教師修業日記

　たびたびご登場頂くA部長のお言葉。

　二年前だったか、突然校舎にやってこられた。

　中三の模試の結果が悪かったので、ハッパを
　かけに来られたらしい。

　職員全員が集められてミーティングが始まった。

　最初は、「今日は随分にこやかだな。」と思っ
て聞いていた。たまたまうちの校舎はメインの２中
学が模試の前日まで定期試験だったこと。前回の模
試に比べればかなりアップしていることがあったの
だろう。

　さらに実はこの時室長（課長）と係長・主任が激
しくぶつかっており、前日も揉めていたのだ。

　そこで部長は係長と主任に、室長の前に話を振っ
た。まず、あえて公平な態度を取ったのだ。

　「お前ら、はい、どげんするとや。言うてみい。」

係長「えっと、中三は、今回成績の悪かった奴等を
補習来させて、もうプリントをひたすら解かせる、
そういう感じでやらせていこうと思ってます。」

　と、みるみる部長の顔が険しくなった。

　それを見た主任がフォローをいれる。

主任「具体的には、次回のテストに出そうなプリン
トを撒いて、それを○日までに提出させて、出せて
いないものは、集めて怒鳴りつけ、残ってやらせま
す。特に今回偏差値○○以下だった奴等には、○○
プリントを撒いてやらせれば、取らせられるかと思
います。」

A部長が、声を張り上げた。
「生徒は動物か？！プリント撒いて、とはエサかな
んかのつもりか。

しかもお前たちの話にはさっきから固有名詞が、い
っちょんでてこんやないか！！
本当に腹から生徒のことば考えとーとか？

あいつらが勉強せんけん、俺らこうやって怒られと
うったい。ぐらいにおもっとりゃせんか？
人ば相手にしとうとぞ。真剣に考えて、一緒に悩ま
んか。

お前ら、じゃあ、君らの一人でも、生徒に、定期試
験があるばってん今度の模試どげんするや？そうや
、頑張るや。部活もありようとに偉いね。じゃあ先
生たちももっと頑張るけん。っていうたか。

さっきも見よったら部活で遅れてバタバタ来よう生
徒にお前ら挨拶もろくにしよらん。お疲れさん。
まだ間に合うよ。とか、食事はちゃんと食べてきた
？とか何で聞いてやらんとか？

さっきの補習来てもらうって話もそげな配慮とかが
全然なかろーが！」

といって顔を真っ赤にされていた。

「そげな配慮がない内には校舎を安心してお任せす
ることはできん！」

次の日もいらっしゃってわざと部活組の中三生たち
とこんなお話を、我々に聞こえるようにされた。

「今度の模試どげんや？そうや、○○点目指すや。
家で塾ない日、勉強できとうや。じゃあ、自習きて
みたらどげんや。メシが困る。なるほど。よかぜ、
先生たちに聞いて、食べたらいいぜ。パンかなんか
買ってからくればいいやんか。」

実は、模試や長時間授業以外は徹底的に飲食禁止の塾・
校舎だったのだ。

あえて、それを破ってみせることで、管理的な教師陣を
改めようとされたのだ。

重要なことを改めて思い知らされた。