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テーマ:怪談(66)
カテゴリ:心霊・幽霊
ようやく秋晴れになりました。
しかし、急に涼しくなりましたから、植物も戸惑っているようです。 今年は、ハヤトウリの開花が遅かったのですが、先週から一挙に実がなり始めました。 さて、今日は時間を少し戻して一郎君のホラーな話をすることにします。 母の高子さんが京丹波の家に一人で住んでいた時、君子さんが彼女を千葉県の利根川の近くの自宅に連れて行ったことがありました。 丁度その頃、京丹波でホームレスのような老人が出没していました。 千葉から戻った時、たまたま君子さんが送って付いてきたのですが、家に入って見ると、テーブルの上にミカンが一つ乗っていたのです。 千葉に行くときにミカンを置いて行った覚えはありませんから、何者かが家に侵入したことになります。 直ぐに地元の警察に連絡し、見に来てもらった上に、巡回パトロールのコースに入れてもらうことにしました。 そのことは一郎君にも伝わりましたが、彼は話を聞くや、あることを考えたのです。 ずばり、ホームレスになった父の常和さんが、家の周囲をうろついていて、侵入したのは彼なのではないかと。 でも、警官もやってきたことだし、しばらくは寄り付かないだろうとも。 その2週間後に一郎君が出張ついでに京丹波に立ち寄って、高子さんと少し話したのですが、警官がパトロールしてくれるようになったからか、何も起きていないとのことでした。 その後、一郎君は仕事の都合で3年間京丹波に行く機会がなかったのです。 そして3年後、訪れた彼は、荒廃している家の周囲を片付けて回りました。 すると、家の裏手の山側に生えていた細い木に、布が引っかかっていたのです。 どうも、レインコートの切れ端のようだなと推測できたのですが、木の下には何も残っていませんでした。 恐ろしい話なのですが、一郎君、ホームレスの老人は父の常一さんで、元妻にあてつけてその木で首つり自殺したのではないかと考えました。 ところがこの木、見事に家の陰に隠れていますから、首を吊った場合、見えるのは家の中から、しかも、一つの部屋の窓からだけなのです。 一郎君、母の高子さんに、この3年間、何か変わったことはなかったかと尋ねました。 すると、実に意味深長な言葉が返ってきたのです。 「私は、何も見ていない。」 そこで一郎君、おじいさんが熊の猟をしている隣の家の人に尋ねてみました。 「この辺、熊は出ますか。」 すると、こんな答えが返ってきました。 「ああ、以前は出えへんかったんやけど、ここ3年ばかりは家の前まで出るようになったわ。去年は、お宅の家の横の柿の木に登って柿たべてたわ。」 ついでに聞いてみました。 「熊、肉食べますよね。」 すると、笑いながら恐ろしい答えが返ってきました。 「果物やドングリだけでなく、何でも食べるわ。肉やったら、人も食うんとちゃう。」 その答えに、熊だけでなく、アナグマも居るし、もし首つり死体があったとしても、1年もしたら、跡形もなくなって不思議はないなと一郎君は理解しました。 一郎君、京丹波に二日居た後、姫路での仕事に出張しました。 姫路郊外の夢前温泉の宿に泊まって車で市内に通って仕事をしたのですが、温泉宿で一人になると、嫌な感じがしました。 もしかしたら、京丹波から悪霊連れてきたかな。 彼の思った通り、その夜悪霊が現れて彼の首を絞めたのです。 ただその悪霊、一郎君の恐ろしさを知りませんでした。 彼が首にかかった悪霊の手に触れ、「消え失せろ。」と低い声で言った瞬間、彼の手から炎のようなものが出て悪霊を包み、消し去ったのです。 一郎君、悪霊を消し去った後、考えました。 もし今のが父の悪霊だったとしたら、私は、父の霊を殺したことになるのだろうか。 しかし、悪霊ならいいかと彼は割り切ることにしました。 幸い、後年常和氏が亡くなったのは高子さんよりも後で、当時はまだ生きていたことが確認されました。 となると、本当にホームレスが自殺して悪霊になっていたのかもしれません。 続く。 画像は、なりはじめたハヤトウリと、我が家に出没している野良子猫です。 実は、網の下にはメダカが居て、すくって食べようとしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 8, 2023 09:38:00 PM
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