北原亞以子 「あんちゃん」
金・金・金・・・の人生になってしまった・・・6人の兄弟姉妹で末っ子の捨松。姉2人は、売られてしまった・・・貧しい野作業の暮らしを飛び出した捨松。十数年後の捨松は、今ではいっぱしのお店の主人となっていた。・・・・・・・・・・・・・・・いつも味方してくれていた兄が江戸に会いに来た。捨松の出世を心から喜んでくれた・・・なのに・・・捨松の話す事は金の話ばかり・・・そんな事を聞いたのではない・・・売られてしまった心配と亡くなった姉たちへの想いの言葉一つかけてやれない捨松・・・・・・・・・・・・・・・・・・金をせびると思ったのか「あんちゃんの俺」が・・・あんちゃんの両親は貧しい末にすでに亡くなっていた・・・兄たちの中で捨松を成功した。自分たちが出来なかった事を共にただ喜び、安心したい為に江戸に会いに来たというのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・「あんちゃん」は金を一つ受け取らずに田舎へ帰ってしまった・・・・・・・・・・・・・・・・・捨松は、何を失った事かやっと分かった・・・「田舎に帰ろう・・・」兄たちに会いたい・・・女房は離縁していた・・・結局自分に残っていたのは金だけだった・・・店の者たちへ任せ渡そう・・・・・・・・・・・・・・・・兄が助けてくれた想いを恩返ししよう・・・何もかも捨てたはずの田舎・・・今、江戸での暮らしを全て捨て、田舎に帰ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・表紙の横顔の絵が全てを物語していた。装画はイラストレーターの遠藤拓人さん。素晴らしい内容と装画でした。