2008/05/29(木)12:02
『ニューヨーク拝見』 バーバラ・コーエン
『ニューヨーク拝見』 著:バーバラ・コーエン
ダイヤモンドの氷山のように川面に漂う、
ニューヨーク350年の歴史とその表情を、O.ヘンリー、
フィッツジェラルド、ヘンリー・ミラーなどの作家たちはもちろん、
ジョン・レノンやニューヨーク市長の日記にいたるまで、
250を超える文章と絵によって捕えた異色のアンソロジー。
様々な物語に登場するニューヨークをかき集めた一冊。
辻馬車が走り、豚が通りを我が物顔で闊歩する19世紀末から、
建物は空を目指し、スラムはその暗さを増すようになった、
20世紀末までのニューヨークが、多種多様な筆によって描かれる。
その時々の文化、街の表情、暮らし、服装、流行、
その変化をいながらにして目の当たりにできる。
人も車もやかましく、タクシーも流行も速く過ぎ行き、
物価も建物も高く、そして愛すべき街ニューヨーク。
これを読んでいるだけで、その雑踏の中に身を置いた気分に、
目もくらむほどの摩天楼を見上げた気持ちになる。
そして、ほんの400年ほどの歴史しかないのに、
他にはないほど、これだけ物語の舞台となったこの街を、
訪れたいと思う。
多くの作家が、その作品の中に登場させたニューヨーク。
それは時に、悪意に満ちていたり、哀しみをたたえていたり。
しかしそこに見られるのは全て、ニューヨークへの愛。
愛するがゆえに、反目したくなる。
愛しているからこそ、時に批判的になる。
この街の何がそんなに人を惹きつけるのか。
そんなに魅惑的な何が、この街にはあるのか。
世界のどの都市とも違う空気を持ったこの街の雑踏を、
感じられる一冊でした。
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