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先生のラグビー日記

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2007.08.31
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カテゴリ:仕事
 何が「ぐるんぐるん」って、頭と目玉台風昨日と今日の放課後は、夏休みの作文の処理で文字通り忙殺された。全校生徒は約270人、それが全員「読書感想文」をはじめとする複数の作文を書いてくる。国語の担当教員は2人、手分けして目を通しているがとてもとても読み終わらない。
 大学院にいる頃、雑談の中で指導の先生が「卒業論文、修士論文を読んでいる時期は、他人の、それも整っているとは言えない文章ばかり読んでいるので、自分で頭が混乱してくるのが分かる。美しい日本語の文章を読まないと、人格が崩壊しそうになる」と言っていたのを思いだした。ちなみに、その先生は三島由紀夫の小説を読んで頭の中を整理するそうだ。
 中学生が一生懸命書いた作文だが、やはり、こればかり読んでいると頭がぐるんぐるんになる。今夜は三島でも読もうかなあっかんべー

 たくさんの作文の中で「これは」と惹き付けられるものがいくつかはある。これらに共通しているのは「事実」または「具体例」の組み込み方が優れていることだ。
 中学生に「環境問題」、「人権問題」、あるいは「交通安全」等について作文を書け、と言ったってそうそう斬新な意見など書けるわけはない。「地球に優しい生活をしよう」「いじめのない社会を作ろう」「交通マナーに気をつけよう」など、極めて当たり前でかつ抽象的な意見を書くのがせいぜいである。意見文指導が研究テーマの一つでもある僕としては、こういった作文を書くような生徒にはひとこと言ってやりたいのだが、今回の作文は授業でやったものではないのでぐっと我慢する。ではどのような作文を選ぶのか。その基準が「組み込んである『事実』にどのような意味をつけてあるか」である。
 昨年あった「福岡市職員が追突事故を起こし、幼児3人が水死した」という事件を「交通安全」に関する作文に組み込んできた生徒の多くは、加害者への怒りと被害者の悲しみへの共感を書き連ねていた。このこと自体は正しい。だが、同じ事件から「加害者の家族もまた、苦しんでいるだろう」と一味違った意見を導き出す生徒もいる。人は、こういう表現に出会うと心を動かされる。そして、彼の「交通事故は関わった人全てを不幸にする」という意見は重みをますのである。

 もう20年近く前だろうか。ラグビーファンなら「イアン・ウイリアムスのトライ」で通じてしまうあの試合。様々な人たちがロスタイムで逆転された三洋の不運を語り合っているとき、当の監督は次のように言ったそうだ。「ロスタイムは関係ない。(最後までウイリアムスを追いかけていた)ナモア以外の14人はどこにいたんだ。」―これもまた、心動かされる表現である。

 読み終わった作文は、全体の3分の一程度。まだまだ先は長そうだ。





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Last updated  2007.08.31 23:32:21
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