私は市民オーケストラの団員になることは無いが、毎年どこかのオーケストラから手伝いを頼まれる。嫌いな曲が入っていると断るが、そうでなければ手伝いに行き、後ろの方でガンガン弾く。ドヴォルザークの「新世界」を二度、別のオーケストラに手伝いに行ったのだが、この曲にはチェロの首席のソロがある。その直前にはチェロが二人だけで演奏という箇所がある。片方の団では団員がソロを弾けないというので、私がトップサイドに座ってソロを弾いた。もう一方の団では団員が首席でソロを弾き、私はトップサイドで二人だけの部分を弾いた。団員でないのに最前列で弾くのはどうかと思うが、頼まれたときはその通りにする。
このソロはcon sordinoだ。弱音器を着ける。ただ、大ホールで演奏するのだから音が弱すぎるのはまずい。また、美しい音色で弾かなければならない。自作の軽い弱音器で練習で弾いたのだが、置き場所に困る。ポケットから取り出して脱着するのは目立つ。そこで、譜面台の鉄の部分に着くように磁石を仕込んだ弱音器を作った。まず、四角の磁石がギリギリ入る穴を彫り、その後周囲を切り落としたり削ったりして作った。直前まで譜面台に磁石で着けておき、弾く前に駒に装着し、終わったらまた譜面台に戻す。音色もなかなか良い。