テーマ:ワイン大好き!(30894)
カテゴリ:ワインプローベ
5. 1968 ?rziger W?rzgarten Riesling Kabinett (Weingut Fritz Berres, ?rzig) 黄色の色調の麦わら色。軽くシトラスのヒントにほのかな甘み、余韻にアーモンド菓子(マルチパン)の香りが漂う。1965よりずっと明瞭な果実の存在感で、生産年の条件の違いを伺わせる。 6. 1972 Erdener Treppchen Riesling Kabinett (Joh. Jos. Christoffel-Dr. Hermann) 淡い琥珀色。干したアプリコットの繊細な香り、繊細な丸い酸味、熟成香に干した柑橘のヒント。 「この年は72エクスレ以上に糖度が上がらなかった」と、ワインを醸造した本人のルーディ・ヘアマンは言った。「昔は90エクスレまで上がれば御の字だったのが、今は110エクスレまで普通に到達する。温暖化の影響だ」 実質的に1985年以降、ドイツでは良年が続いている。果汁糖度が70エクスレ止まり、という生産年はもはや皆無だ。 してみると、1984年産から始まったこの試飲会は、温暖化以前の生産年を遡るようにして始まった訳だ。 7. 1968 ?rziger W?rzgarten Riesling Sp?tlese (Weingut Merkelbach, ?rzig) 黄色の色調の麦わら色。ほのかに香るアプリコットのヒントから期待する甘みは枯れていたが、中身の詰まった酒躯にミネラル感があり、余韻に熟成香が漂う。 1968年は晩熟な年で、フォン・オテグラーフェン醸造所の記録では11月に入ってから収穫を開始。果汁糖度は63~78エクスレ、酸度は12~13g/Liter。シュペートレーゼは10年以上若々しく非常に上品な新鮮さを保っていたという。 8. 1973 ?rziger W?rzgarten Riesling Sp?tlese (Weingut Karl Erbes, ?rzig) 金色を帯びた麦わら色。昇華しつつも繊細な甘みがはっきりと感じられ、蜂蜜、干したアプリコットのヒント、長い余韻。今でも十分に楽しめる。 「1973年は素晴らしい夏だった。暑くて晴れた日が続いてな。あの夏は今でも忘れられんよ」と、年配の参加者がつぶやいた。 厳しい乾燥で葡萄は収穫を目前にしてそれ以上成熟することが出来ず、期待された偉大な生産年にはならなかったものの、熟した果実の味わい深いワインが出来たという。 9. 1973 Wehlener Klosterberg Riesling Sp?tlese (Weingut M?nchhof, ?rzig) やや暗い色調の麦わら色。熟成香にハーブ、干した果物のヒント。甘みのすっかり枯れた丸い舌触りの酒躯、辛口の余韻。 ワインに集中する参加者。 「それにしても、甘みはどこに行ってしまったんだろうね」と一人が首をひねる。「若い時のフルーティな甘みは、熟成すると枯れてしまうのはなぜだろう」 「フロリアン・ラウアーから聞いたんだけど」と一人が答えた。フロリアンはモンペリエで醸造学を学んだザールにあるペーター・ラウアー醸造所の若手醸造家だ。 「長期間の熟成で糖の分子が結合して、舌の味覚細胞の受容体に収まらないくらい大きくなってしまうらしい。だから糖は存在はしても感知できないから、辛口に感じるそうだ」 なるほど、そうなのかもしれない。 しかし、熟成を経て甘みが枯れるのは、可愛い子供が成長して大人になり、やがて老いていく人間の辿る過程に似ている気がする。そしてまた、老いてなお魅力を失わないものには、ワインでも人間でも、敬服するに値するのではないだろうか。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011/01/26 06:30:48 AM
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