世の中に絶へてデニムのなかりせば

かつて、クイズ番組と言えば知識の幅の広さを競っていたように思う。「カルトなんとか」という番組が流行ったのは９０年代だったかな？しかし、最近のクイズ番組はいわゆる「常識」を問うものが増えているように思う。コレはなぜなのだろう。

先の「ガリレオ」に関する日記にも述べたように、テレビ番組が現代日本の抱える問題に対する一つの答えが、ここにも表れているように思う。それは言うまでもなく、「常識の欠如」である。

ここで言う「常識」とは「義務教育の中で身につけるべき知識」と言い換えてもいいだろう。テレビ朝日の「Ｑさま！」、フジテレビの「ヘキサゴン」「平成教育学院」など、小学生や中学生でも知っているようなことを問題にしていることがある。そんなことも知らないの？　と驚いてしまうことも多い。もちろん、中には自分のキャラクター作りのためにボケている回答者もいるのだろうが。

しかし、なぜこのような番組が多く作られるのか。答えは簡単、娯楽の中で子どもに知識を、大人たちには忘れていた自分たちの過去を振り返らせるためであろう。

では、このような番組が作られるようになった原因は何だろう。

それは数年前に行われたＰＩＳＡ型の世界学力調査で日本の子どもたちの学力が諸外国の子どもたちよりも学力が劣っているという結果が報道されたからではないだろうか。思い起こせば、太陽が東から昇って西に沈むのは、地球ではなく太陽が動いていると思っている小学校高学年の子が数十パーセントもいるという報道もあったように思う。このような状況に対してテレビは何ができるのか、という課題に対する一つの答えが、昨今の「常識」を問題としたクイズ番組なのではないだろうか。

「理科離れ」といい「常識の欠如」といい、本来テレビが関わりそうもない問題である。しかし、数年後、あるいは数十年後、「学校よりもテレビで知ったことが多かった」と言い出す人が出てくるかもしれない。学校の授業時数が削減された今、テレビは学校教育を支援するものとなろうとしているのかもしれない。

ただ、最近の若いアナウンサーのしゃべりだけは、子どもたちにまねしないでほしい。本当にイライラするから…。