カテゴリ:建築士受験!!
構造力学編第3回(応力-2:せん断力他) 建築士試験に独学で挑戦する方のために、過去問を使って問題の解き方・ポイント・解説などを行っています。 過去問約20年分を1肢ごとにばらして、出題の項目ごとに分けてまとめています。1,2級両方載せていますので、1級受験の方は2級問題で慣らしてから1級問題に挑戦。2級受験の方は、時々1級の過去問題からも出題されますので参考程度に1級問題を見ておくと得点UPが狙えます!! 全科目終わるには先の長い話ですが、勉強の参考になると嬉しいです! 構造-5 構造の問題は大きく構造力学(計算問題)と各種構造・建築材料(文章問題)に分かれます。ここでは、計算問題と文章問題を交互に紹介していきます。 今回も力学編、前回の応力の続きです! 構造(力学) 3.応力-2(せん断力)、合成ラーメン、静定構造物の判定 今回は、応力の続きでせん断力(Q)、軸力が主となる合成ラーメン、静定構造物の判定の問題をまとめました。せん断力は、2級ではモーメントとセットでよく出ますが、1級ではせん断力はあまり出題されていません。合成ラーメンと静定構造物の判定は1級で出題されます。特に合成ラーメンは、応力問題の総まとめみたいなものなので、応力の解き方をしっかり理解しておかないと難しいです! (問題は、一部修正しているものもあります。) ***************************************************************** 問題 □ 応力(せん断力)(2級) 1 図のような荷重を受ける単純ばりにおいて、B点の曲げモーメントの大きさと、A-B間 のせん断力の大きさとの組み合わせとして、、正しいものは、次のうちどれか。 (2級H19) 2 図-1のような荷重Pを受ける単純ばりにおいて、曲げモーメント図が図-2となる場合、 A-C間のせん断力の大きさとして、正しいものは、次のうちどれか。(2級H27) 3 図A~Dのような荷重等を受ける単純ばりに生じる最大せん断力んの絶対値の大小関係 として、正しいものは、次のうちどれか。(2級H17) 4 図のような荷重を受ける単純ばりにおいて、A点の曲げモーメントMAの大きさと、 A-B間のせん断力QABの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のうちど れか。(2級H28) 5 図のような荷重を受ける単純ばりにおいて、A点の曲げモーメントMAの大きさと、 A-B間のせん断力QABの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のうちど れか。(2級H29) 6 図のような荷重を受ける単純ばりにおいて、A点の曲げモーメントMAの大きさと、 A-B間のせん断力QABの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のうちど れか。(2級R03) 7 図のような荷重を受ける静定ラーメンにおいて、支点A、Bに生じる鉛直反力RA、RBの 値と、C点に生じるせん断力QCの絶対値の組み合わせとして、正しいものは、次のうち どれか。ただし、鉛直反力の方向は、上向きを「+」、下向きを「-」とする。 (2級H15) 8 図のような荷重を受ける静定ラーメンにおいて、支点A、Bに生じる鉛直反力RA、RBの 値と、C点に生じるせん断力QCの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のう ちどれか。ただし、鉛直反力の方向は、上向きを「+」、下向きを「-」とする。 (2級H19) 9 図のような外力を受ける静定ラーメンにおいて、支点A、Bに生じる鉛直反力RA、RBの 値と、C点に生じるせん断力QCの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のう ちどれか。ただし、鉛直反力の方向は、上向きを「+」、下向きを「-」とする。 (2級H24) 10 図のような外力を受ける静定ラーメンにおいて、支点A、Bに生じる鉛直反力RA、RBの 値と、C点に生じるせん断力QCの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のう ちどれか。ただし、鉛直反力の方向は、上向きを「+」、下向きを「-」とする。 (2級R01) 11 図のような外力を受ける静定ラーメンにおいて、梁DEに生じるせん断力QDEの絶対値 として、正しいものは、次のうちどれか。(2級H17) 12 図のような荷重を受ける静定ラーメンにおいて、A点に生じるせん断力QAの絶対値と 曲げモーメントMAの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次のうちどれか。 (2級H16) 13 図のような外力を受ける静定ラーメンにおいて、支点A、Bにに生じる鉛直反力RA、RB の値と、C点に生じるせん断力QCの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、次の うちどれか。ただし、鉛直反力の方向は、上向きを「+」、下向きを「-」とする。 (2級H28) 14 図のような外力を受ける3ヒンジラーメンにおいて、支点A、Bに生じる水平反力HA、 HBの値と、C-D間のせん断力QCDの絶対値との組み合わせとして、正しいものは、 次のうちどれか。ただし、水平反力の方向は、左向きを「+」とする。(2級H29) 15 図のような外力を受ける3ヒンジラーメンにおいて、支点A、Eに生じる鉛直反力VA、 VEと水平反力HA、HEの値、B-C間でせん断力が0になる点のB点からの距離xの組み 合わせとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、鉛直反力の方向は上向きを 「+」、下向きを「-」とし、水平反力の方向は右向きを「+」、左向きを「-」と する。(2級R04) □ 応力(せん断力)(1級) 1 図のような荷重を受けるラーメンにおいて、AB間にせん断力の生じないX点がある。 A点とX点との距離の値として正しいものは、次のうちどれか。(1級H18) □ 合成ラーメン(1級) 1 図のような荷重Pを受ける骨組みにおいて、各部材の軸方向に関する次の記述のうち、 誤っているものはどれか。(1級H15) 2 図-1のような構造物に水平荷重Pが作用したときのせん断力図として、正しいものは、 次のうちどれか。ただし、せん断力の符号は図-2に示した向きを「+」とする。 (1級H25) □ 静定構造物の判定(1級) 1 次の架構のうち、不安定構造物はどれか。(1級H15) 2 次の架構のうち、静定構造はどれか。(1級H20) 3 次の架構のうち、静定構造はどれか。(1級R01) ***************************************************************** 解説 応力を求める手順 ① 反力を仮定して、図中に書き入れる ② 応力を求める位置で構造物を左右(上下)に切断し、何方か一方を選択する。選択する方に 支点があれば、切断する前に反力を求める。 ③ 切断した図を描き、切断位置に応力を仮定し、図の中に書き入れる。 ④ つり合い条件式により、応力を求める。 ⑤ 応力の向きを検討する。 ⑥ 応力の種類と向き(+、-) □ 応力(せん断力)(2級) 1 ΣME=0より反力VDを求める。 VD×8m-2KN×6m-2KN×4m-2KN×2m=0 VD=3KN(↑) B点で切断して、左側の絵を描きΣMB=0より、MBを求める。 3KN×4m-2KN×2m+MA=0 MA=-8KNm(下側引張) A-B間をX点で切断し左側の絵を描き、ΣY=0よりQXを求める。 3KN-2KN-QX=0 QX=1KN(時計回り) 正解 2番 2 Q=M/ℓ(せん断力と曲げモーメントの関係式)より、QAC=12KNm/2m=6KN 正解 3番 3 各単純ばりの反力がせん断力となるので、反力を求めその大小関係をみる。 Aの反力VA=30KN、Bの反力VB=30KN、Cの反力VC=200/6KN、Dの反力VD=0 D<A=B<C 正解 4番 4 ΣMC=0より、反力VDを求める。 8KN×2m+2KN×6m-VD×8m=0 VD=3.5KN(↑) A点で切断し、右側の絵を描きΣMA=0より、MAを求める。 2KN×2m-3.5KN×4m+MA=0 MA=10KNm(下側引張) A-B間で切断に右側の絵を描く。ΣY=0よりQABを求める、 -2KN+3.5KN+QAB=0 QAB=-1.5KN(反時計回り) 正解 4番 5 三角比を使って、斜め荷重30KNをX、Y成分に分解する。Y成分=15KN(↓)、 X成分=15√3KN(←) ΣMC=0より、反力VBを求める。VB=10KN A点で切断し、右側の絵を描きΣMA=0よりMAを求める。-10KN×2m+MA=0 MA=20KNm(下側引張) A-B間で切断し、右側の絵を描きΣY=0よりQABを 求める。 -QAB+10KN=0 QAB=10KN(反時計回り) 正解 3番 6 三角比を使って、斜め荷重60KNをX、Y成分に分解する。Y成分=30KN(↓)、 X成分=30√3KN(←) ΣMC=0より、反力VBを求める。VB=15KN A点で切断し、右側の絵を描きΣMA=0よりMAを求める。-15KN×4m+MA=0 MA=60KNm(下側引張) A-B間で切断し、右側の絵を描きΣY=0よりQABを 求める。 QAB+15KN=0 QAB=-15KN(反時計回り) 正解 2番 7 ΣMA=0より、反力RBを求める。50KN×4m-RB×5m=0 RB=40KN(↑) ΣY=0よりRAを求める。RA+40KN=0 RA=-40KN(↓) C点で切断し、 右側の絵を描きΣY=0よりQCを求める。40KN+QA=0 QA=-40KN(反時計回り) 正解 5番 8 ΣMA=0より、反力RBを求める。40KN×6m-RB×8m=0 RB=30KN(↑) ΣY=0よりRAを求める。RA+30KN=0 RA=-30KN(↓) C点で切断し、 右側の絵を描きΣY=0よりQCを求める。30KN+QA=0 QA=-30KN(反時計回り) 正解 2番 9 ΣMA=0より、反力RBを求める。60KN×8m-RB×6m=0 RB=80KN(↑) ΣY=0よりRAを求める。RA+80KN=0 RA=-80KN(↓) C点で切断し、 右側の絵を描きΣY=0よりQCを求める。80KN+QA=0 QA=-80KN(反時計回り) 正解 5番 10 ΣMA=0より、反力RBを求める。60KN×6m-RB×8m=0 RB=45KN(↑) ΣY=0よりRAを求める。RA+45KN=0 RA=-45KN(↓) C点で切断し、 右側の絵を描きΣY=0よりQCを求める。45KN+QA=0 QA=-45KN(反時計回り) 正解 2番 11 ΣMB=0より、反力RAを求める。VA×8m+8KN×8m-4KN×4m=0 VA=-6KN(↓) D-E間で切断し、左側の絵を描く。ΣY=0よりQFを求める。 -6KN-QF=0 QF=6KN(反時計回り) 正解 3番 12 ΣX=0より、QAを求める。8KN-QA=0 QA=8KN(時計回り) ΣMA=0より、 MAを求める。8KN×2m+MA=0 MA=-16KNm(左側引張) 正解 2番 13 ΣMB=0より、反力RAを求める。8KN×2m+RA×4m=0 RA=4KN(↓) ΣY=0より、反力RBを求める。-4KN+RB=0 RB=4KN(↑) C点で切断し、 左側の絵を描きΣY=0より、QCを求める。 -4KN+QC=0 QC=+4KN(反時計回り) 正解 1番 14 ΣMA=0より、反力VB、HBを求める。12KN×8m-VB×6m-HB×4m=0 2HB+3VB=48---①式 ΣMD=0より、反力VB、HBを求める。 HB×4m-VB×2m=0 VB=2HB---②式 ②式を①式に代入してHBを求める。 2HB+3(2HB)=48 HB=6KN(←) ΣX=0より、HAを求める。 12KN-6KN-HA=0 HA=6KN(←) ②式より、VBを求める。VB=12KN C-D間点で切断し、右側の絵を描きQCDを求める。12KN+QCD=0 QCD=-12KN(反時計回り) 正解 5番 15 ΣMA=0より、反力VEを求める。20KN×2m-VE×8m=0 VE=5KN(↑) ΣMC=0より、反力HEを求める。-HE×5m-5KN×4m=0 HE=-4KN(←) ΣY=0より、反力VAを求める。-20KN+VA+5KN=0 VA=15KN(↑) ΣX=0より、HAを求める。+HA-4KN=0 HA=4KN(→) x点で切断し、 左側の絵を描きQx=0より、ΣY=0を使って距離xを求める。 15KN-5×x=0 X=3m 正解 3番 □ 応力(せん断力)(1級) 1 ΣMD=0より、反力VCを求める。VC×8m-8KN×6m=0 VC=6KN(↑) ΣY=0、QX=0より、A-X間の距離を求める。6KN-2X=0 X=3m 正解 5番 □ 合成ラーメン(1級) 合成ラーメンは、トラス材(材の両端がピン接点で中間に荷重無し)と曲げ材(トラス材の中間に支点等が重なり荷重をかけている材)の組み合わせで成り立っている構造物です。トラス材は軸力のみ、曲げ材は軸力の他に曲げモーメントやせん断力もかかってきます。部材の見分けがポイントとなります。原則、応力の解き方で解けます。 1 ΣMA=0、ΣY=0、ΣX=0より、反力を求める。VA=P(↓)、VH=P(↑)、 HA=P(←) 1 A-B間で切断し、下側の絵を描いて(図①)NABを求める。NAB=P(引張) 正しい 2 C点で切断し、下側の絵を描いて(図②)NBDを求める。 HA×3m-NBD×1/√2m=0 NBD=3√2P(引張) 正しい 3 D-E間で切断し、右側の絵を描いて(図③)NDEを求める。 NDE=0 正しい 4 E-G間で切断し、右側の絵を描いて(図④)NGEを求める。 NGE=0 誤り 正解 4番 5 G-H間で切断し、下側の絵を描いて(図⑤)NGHを求める。 NGH=P(圧縮) 正しい 2 曲げ材(部材の中間に荷重がかかっている部材)かトラス材かを見極める。BF材は曲げ 材、その他は全てトラス材(トラスの0部材より、AC材、CD材、CE材、EF材は0部材、 AD材のみに軸力が掛かっている)。 柱BF材にAD材が荷重をかけている状態と同じになっている。DFの部分のみ見ると、片 持ちの先端に荷重Pの状態と同となり図のような曲げモーメント図となる。 曲げモーメント図から、せん断力図は、M図が右上がりはQ図が-、M図が右下がりは Q図が+となり。 2番が正解となる。 1番は曲げモーメント図。 □ 静定構造物の判定(1級) 安定・不安定・静定・不静定の見極めは、判別式によって行います。 m=(n+s+r)-2k m=0(安定、静定)、 m>0(安定、不静定、mは不静定次数)、m<0(不安定) n=反力数、s=部材数、r=剛接接合部罪数(各接点に集まる部材のうち、剛接された部材の数から1引いた数の合計 下図参照)、k=接点数(自由端、支点、接点の合計) 1 1 (4+4+0)-2×4=0 安定 2 (3+5+2)-2×5=0 安定 3 (6+4+0)-2×5=0 安定 4 (4+4+2)-2×5=0 安定 5 (4+4+1)-2×5=-1 不安定 正解 5番 2 1 (5+6+2)-2×7=-1 不安定 2 (3+4+0)-2×4=-1 不安定 3 (5+4+0)-2×4=1 不静定 4 (3+5+2)-2×5=0 静定 正解 4番 5 (4+3+2)-2×4=1 不静定 3 1 (3+4+0)-2×4=-1 不安定 2 (5+4+0)-2×4=1 不静定 3 (4+4+0)-2×4=0 静定 正解 3番 4 (6+4+1)-2×5=1 不静定
2級のR04の問題は、1級のH18の問題と同じQ=0での距離を求める問題でした。1級で出題された問題が2級に、また逆の場合もありますので、1,2級両方やってみるといいですよ!! 今回は力学の応力(せん断力)、合成ラーメン、静定構造物の判定の問題でした。2回に分けて応力の問題を紹介しましたが、反力・応力は今後の応力度の問題や、1級で扱う不静定の問題にも繋がっていきますので、ここでしっかり理解してください。力学の次回は、トラスの予定です。その前に、次回は、文章問題(構造計画)を紹介します!! 今日はこんな言葉です! 『経営者意識、主人公意識をもって取り組めば、何事も自分を成長させる天職になるんです。』(上甲 晃) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 18, 2022 12:31:58 PM
コメント(0) | コメントを書く
[建築士受験!!] カテゴリの最新記事
|
|