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テーマ:お勧めの本(7265)
カテゴリ:むぎこの本棚
ある秘密ある秘密 精神分析医として開業しているフィリップ・グランデールの自伝的小説です。 第二次世界大戦が終わったころ逞しい父と美しい母の間に生まれたひ弱な一人っ子の“私”は想像のなかで“兄”を作り出します。 ところがある日、彼は屋根裏で自分のものでない古い熊のぬいぐるみをみつけ・・・多感な少年のなかでの作り話はやがて現実味をおびた物語へとかわっていきます。 占領下のパリでの出来事 禁断の恋 ホロコーストの恐怖 迫害の中では日常的だったであろう母子の運命 戦争が終わっても傷跡は残る 自分以外のみんなが知っていた“ある秘密” 淡々として無駄のない文体は圧迫感はなく、でもどんどんこちらを引き込みます。 感情的になって当たり前の内容がぎりぎりまでそぎ落とされている それがかえって何とも言えない恐さや哀しさを際立てる部分でもあります 哀しくて苦しい、でもモノクロ写真のような美しさのある逸品です。 それにしてもこれが高校生が選ぶゴンクール賞受賞作というのがすごい。 フランスの高校生おそるべし! こんな本を選ぶなんて・・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月20日 09時47分43秒
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