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テーマ:たわごと(26839)
カテゴリ:音楽の話
私が少年の頃からずっと第一線で活躍されている、ロック評論家の渋谷陽一という人がいる。
私も学生時代などには彼の文章を何度も目にしたし、彼がDJを努めるFM番組も聴いたりしたことがあった。 彼の真骨頂はいいモノとそうでないモノをスッパリと白黒つけて、いいモノはとことん絶賛し、 そうでないモノはバッサリと切り捨てる、その歯切れの良さだった。 まあ良いものを見極める確かな観察眼は持っておられたと思うが、モノの善し悪しというよりも 彼自身の好き嫌いが顕著に出ているような感覚で、そういった姿勢に共感するロックファンからは 絶大な支持を得ていたのだが、正直私はあまり好きになれなかった。 仮にも「評論家」を名乗るのであれば、常にニュートラルな立場を堅持し、ぶれることの無い 基準に沿って大所高所から評していくのが本来の姿ではないか、などと彼よりもうんと若造の私は 生意気にも思ったものだった。 やがて彼の文章に触れることも無くなっていつしか30年近くの歳月が経ち、先日ひょんなことから 渋谷氏のウェブサイトを目にする機会があった。 ある種の懐かしさも感じながらしばし眺めていたのだが、その中のコンテンツのひとつである 「ライブ・リポート」を読んだところ、私が以前から持っていた渋谷氏のイメージとのギャップに しばし唖然としてしまった。 何本読んでもひとつとして「けなしている」文章が見当たらないのだ。 まあ意図的に良かったものだけを載せているのかとも思ったが、中には以前の彼ならまったく 聴かないだろうと思われるようなアーティストも多数取り上げられており、それらもすべて 見事なまでに「ニュートラルな立場で」「主観をあまり交えないで」評されているのだ。 まさに30年前に私が注文をつけたような内容に仕上がっているのだ。 「渋谷さんも丸くなったなー」と思ったが、30年も経っていれば人間誰しもそうなるのは 至極当たり前の話で、一読者にそんなことを言われる筋合いではないと怒られてしまうかもしれないが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年06月15日 17時22分33秒
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