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カテゴリ:お酒の話
先日、某所で日本酒の試飲会を開催した。
実はその場に出すべく、以前からとっておいた「サプライズ」商品があった。 それは、京都・伏見の小さな酒蔵が造る「純米大吟醸」だ。 まあそこそこ地酒に詳しい方なら、誰でも知っているようなモノなので、 いまさら「サプライズ」でもないのだが、これがよくよく見ると........ 詰口日付の表示が「91.7」、 そう、つまりこの酒は、今から18年前にビン詰めされたものなのだ。 人間に例えると「高校3年生」ということになる。 どうしてこのようなものがあるのか? 実はこの商品、まだ私がこの店に入る前に、ウチの店で売れ残ったものを、 倉庫の冷蔵庫の奥の奥にしまいこんでしまったまま、放ったらかしになっていたのだ。 それを私が数年前に見つけたのだが、ひょっとしたら面白いことになっているかも、という期待感もあって、 すぐに開けることをせず、それにふさわしい機会が巡ってくるのを密かに待っていたのだ。 そしてその絶好の機会はやって来た。 試飲会の最後にこの酒を出し、その謂われについて参加された方々に説明した。 この時まで私は中身をチェックすることが出来ないから、ハッキリ言って多少の不安はあった。 しかし開栓して、ビンの口から立ち上った芳香を鼻に捉えた瞬間、 私の期待感が間違ってなかったことを確信した。 会場の皆さんに振舞った。 あちらこちらから「美味しい!」という声が耳に届いた。 場が盛り上がったのは言うまでも無い。 私自身はそのあとクルマに乗る必要があったので、その場ではあえて口にせず、 帰ってから早速飲んでみた。 この酒の元の味はよく知らないが、18年という歳月の割りには、 基本的な味わいというのはさほど変わっていないのではないかと思えた。 色ももう少し黄ばんだ、というか褐色がかったような色合いを想像したものの、 色付きはそれほどでもなく、意外なほどにキレイな色艶を保っている。 そして何よりも、熟成によって角が取れて味に丸みが認められるのが、非常に印象深い。 やはり、キチンと造られたしっかりした酒を、理想的な環境で保管しさえすれば、 劣化するどころか、逆に良い状態で熟成していくものだ、ということが実証できたようで、 非常に嬉しく思った。 ちなみにこれが保管されていた冷蔵庫は、常時5℃に保たれており、 箱に入れられていたので光もまったく入っていない。 昨今、日本酒も「賞味期限」が云々されるようになってきたが、 そういうのとはまったく違った次元のハナシだ。 酒は日付の新しい方が良い、ということを盲目的に信じている方がおられたら、 ぜひとも味わっていただきたかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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