カテゴリ:イギリス
さて、そして私のイギリス生活は続く。(爆)
先日続けて書いた整理整頓・掃除について。 いや、別にこれをいまだにずるずる引きずった結果の話ではなかったのだが、今日、職場でこういう話になった。 私たちのデスクのある近くに休憩室がある。 普通のテーブルや椅子の他、部屋の半周分の壁際にはソファもあり、そこでお昼を食べたり、ちょっとしたミーティングに使ったり、夜勤の人たちはソファで仮眠も取っているらしい。 スペースとしては比較的広いし快適ではあるのだが、私たち日本人チームにはいつも気になることがある。 ずばり、そこの使い方が汚いっ。 あの心理はこの私にも到底理解できないのだが、誰もいなくなった休憩室に入ると、必ずどこかのテーブルの上に水のはいったコップが置いたままになっている。 そこの休憩室にはミネラルウォーターの大きなボトル(ボトルというか、プラスチックのコップが備え付けてあって、レバーを押すと水が出るタンク)があって、そこで飲み水を入れて飲んだ後と思われるコップ…これがだいたいいつも1つか2つ、テーブルの上に置いたままになっているのだ。 もちろん誰が飲んだのか、誰が置いたのか、その現場を見ていないからわからないのだが、どうして自分が飲んだコップをその場に放置していけるのだろう。 問題はこのコップだけではない。 テーブルの上でサンドイッチなどを食べた後のパン屑だとかパスタのソースの飛び散りとか、ひどい時だとコーヒーがこぼれたままになっている。 自分ですら片付けないのに、いったい誰が片付けると思っているのだろう。 だいたい、食べている途中でももしも粗相をしたら普通は反射的になんとかしようとするものだと思っているこっちがおかしいのだろうか。 そんな話をみんなでしていると、今朝の女性トイレでの話になった。 はいった時には気づかなかったが、個室にはいって用を足してから洗面台に移動すると、トイレットペーパーが置いてある。 厳密に言えば手洗いのシンクの手前、とても邪魔になる場所だ。 邪魔になるが、そんな誰がなんで使ったのかわからないトイレットペーパー、ほとんど丸々残ってるが私が触る気にはなれない。 そのトイレには、手拭き用のペーパータオルのボックスが2つ壁に取り付けてあって、朝と夕方に会社が契約している業者がトイレ掃除とペーパータオルを補充してくれるのだが、それがなくなったから誰かがトイレットペーパーを使ってそのままにしていったのかと思ったらそうではなく、ペーパータオルはボックス2つとも補充されている。 「誰やねん…こんなところにトイレットペーパー置いて…」と舌打ち気分になり、デスクに戻って、その直前にトイレに行っていたみつこさんに「あんな邪魔なところに誰がペーパーなんか置いていくんよ」とブーたれてたら、みつこさんも「そうなのよぉ、それにさ、あそこのトイレって本当に誰がやるんだかわからないけど、いつもペーパータオルが床に落ちてるわよね」と鼻を膨らませる。 ペーパータオルのボックスが2つ取り付けられた真下にゴミ箱が置いてあって、はずしようがないような場所なのに、誰か手を拭いた後のペーパータオルが必ずゴミ箱から10cmほど離れた床の上に毎日落ちている。 いったいどんなコントロールしてるねん…と、これもまた腹が立つ。 私は(自慢ではないが)整理整頓は苦手でも、普通の清潔観念は持ち合わせていると思うし、自分が何かをこぼしたら拭くとか、手を拭いたペーパータオルがもし何かの拍子でゴミ箱からそれたところに落ちたら、それはゴミ箱に入れてもう一回手を洗う。 「そういうのって普通じゃないわけ?」という純粋な疑問をみつこさんとゆみさんにぶつけていたら、みつこさんとゆみさんは「普通じゃないのよ、こっちでは」と言う。 子供がない2人ではあるが、それぞれご主人はイギリス人だから、彼女たちは私が知らないこともよく知っている。 「なんで?」と聞き返したら2人が言うには、イギリスの学校では生徒が掃除をする習慣がないのだそうだ。 つまり学校は生徒に「自分たちが使う場所を自分たちで掃除する」ということを一切教えない、それが美徳だという概念はイギリスには存在しないということらしいのだ。 私は今日これを初めて2人から聞き、一通りでないショックを受けてしまった。 もちろん私もみつこさんもゆみさんも、小学生の時から先生の指導で、机を全部教室の後ろに下げ、学校の掃除用ロッカーの箒やちりとりを使って掃き掃除をし、家の宿題か家庭科の授業で縫った雑巾に名前を書かされたもので机の上を拭く経験をしてきたし、その時代には「えー?そうじー?」と不満げながらも、それをするのが当たり前だという育ち方をしてきた。 そういうことをイギリスは一切教えられないのだということを今日初めて知って、マジでしばらく放心状態になった。 みつこさんは言う。 「だからね、イギリスでは一応ちゃんとした家でも『家の中はキレイにしなさい』と言うわけよ。でも玄関から一歩外に出れば公共の場だから、そういうところをキレイにするなんて意識はぜんぜんないわけ。家の中のゴミを玄関開けて道に捨ててるところだって多いんだよー。日本だったら今の時代は『隣り近所は知りません』という家も多くなっただろうけど、やっぱり昔からの人たちがいるところだったら、通りの自分のところの前だけじゃなくて、ちょっとその周辺も一緒に掃きなさいって言われなかった?(言われた、言われた)そういう観念ってこの国はなーんにもないのよ」 うーん、ムカつくぅ。 イギリスでは割り切りがすごいというか、生き方自身が粗野というか、掃除は掃除を仕事にしている人がするもの、という刷り込みがイギリスには存在すると知り、だからコイツらはこんなに公共の場が汚くても平気なのかと愕然とした。 そりゃ確かに、誰かの仕事を守るという意味では「掃除は掃除が仕事の人に」という考え方はわからなくはないが、だからといって、自分が今まで飲んでいた水がまだはいっているコップまでテーブルに置きっぱなしでその場を堂々と離れられるというような粗雑な神経には私は耐えられない。 私みたいに「掃除しなきゃ、でも苦手」なんていうジレンマはこの国には存在しないのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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