ちゃと・まっし～ぐ～ら～！

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• 線引き

  この間からちらちら見ていたニュース。「高校生の娘に戸籍がないため、パスポートの申請を受理されなくて、このままでは修学旅行に行けない」というニュース。これってなんだろう･･･このニュースを最初に見た時、いまいち腑に落ちない気がしていたが、今朝だったか最終的にやはりパスポートは発給せず、という結果になったらしいことを読んだ。最初にこんな話が浮上してきているのを知ったのは今年にはいってすぐだったか。この高校生の娘さんをA子さんとして、その母をB子さん、その父をCさんとしよう。（但しB子さんとCさんが今の時点で婚姻関係にあるかどうかは知らない）ともかく、母親であるB子さんが以前、結婚していた相手はDV野郎らしく、そこから逃げ出すための手助けをしてくれたCさんとの間に出来たのがA子さん。が、そこに立ちはだかったのが日本の民法で「以前の結婚から300日経過する以前にできた子は前夫と見なす」ということになっているらしい。（また、実際に前夫との離婚が成立したのはさらにその後だったそうだ）この状況でA子さんの戸籍を作ろうとすると、現実はどうあれ、A子さんの実父は戸籍上、一旦は前のDV夫ということになり、そこから1クッション置いて、Biologicalな父に記載事項を変える手順が必要、といったような報道だったと思う。さて、こういう話を読むと申し訳ないが、引っかかることはいちいち書いておきたいというへそ曲がりなたちなので今日もそれを貫こう。＊まず、この母親について（私はやはり今日もココに大きな抵抗がある）離婚が成立していなくても、早々と他の人とそういうことになって子供を産む、という決断はおっけーなのかよ、というのが私の最初の疑問。離婚が翌年に成立したというのは、意外に速く片がついたとも言えるが、まあそれは結果論でもあるだろう。しかし、DV夫から逃げ出して1年経つか経たないか・もちろん離婚も成立していない、という中途半端な期間中でも、他の男性との間の子供は先取りして強硬に産んでしまう、というのは一般的にはどうなのかね？こんな話はイギリスじゃ珍しくもなんともないし、イギリスの新聞で読んでいても目にも留めないかもしれないのだが、あいにく私の頭ん中はがちがちの日本人なもので、こういう行為には非常に抵抗を感じるのですがね。「未婚の母」自体を責めるつもりはないが、その前に先に問題が発生していて、それも片付いていないわけだ。もしもその膠着状態が5年も6年も続いていれば、その間に誰かいい人ができてもしかたないとは思うが、1年ですよ、1年･･･昨日の話の続き、というわけではないが、これはユルくないのだろうか。＊「離婚後300日の間にできた子は前夫の子と見なされる」という法律これはこれで母親の言動とは別問題で、現状にそぐわないから変えなさいよ、まったく。＊この母親が戸籍を作らなかった理由つまりこの子、A子さんの戸籍を作る段階として、一旦はA子さんの父の名前は前夫で登録されるから、そこを変更するのに前夫の助力が多少必要⇔しかし居場所がわかると殺されかねないというほどの不安とジレンマ。実感として想像がつくわけではないが、この気持ち自体は理解できなくはない。ただ、自分の生活を前夫に脅かされることを恐れるあまり、罪なくして生まれてきたA子さんの戸籍問題は棚上げにしておいてきてよかったのか？それも10年以上も？そして今、あげくのはてにここまで結構な新聞沙汰になってしまっているのに「住所を知られたくなかったから」もへったくれもないんじゃないかと思うのは私だけだろうか。＊こういう問題には必ず後押ししてくれる支援団体があるのだが、聞くところによると「修学旅行という自ら選択できない事情なのに、親の事情から海外渡航や人権を制限されるのは不当」と言って、旅券申請の受理を訴えるとガンバっているらしいのだが、これもどうでしょ。高校生の修学旅行というのは自ら選択できない事情なのでしょうか、今は。それもパスポートを取って参加しないといけない、つまりどこだか知らないが海外旅行である。こんな「修学旅行が自ら選択できない事情」みたいな論調はインチキじゃないか？この間まで大きく取り上げられていたような履修もれ・履修不足、というような問題とは最初から土俵が違う問題だと思うが。高校の修学旅行に海外に行かなければいけない理由がいったいどこにある？このA子さんの場合の問題は、ソウイウ母親の事情で戸籍が（10年以上も）なかったことが特殊な事情に端を発している。しかし、学校の修学旅行が海外だということは、A子さんのような特殊な事情の生徒だけを排除しているのではなく、もっと大多数の生徒をも排除する場合がある。学校に在日の朝鮮半島由来の生徒がいる場合、国籍を韓国としておかない限り、海外旅行に行けない比率がかなり高いということを私は経験上、知っている。韓国籍の人たちは大韓民国のパスポートを取得できるし、おおかたの渡航事情は日本のパスポート所持者とほぼ同じだが、わざわざ韓国籍としない人たちはパスポートを申請するとすれば北朝鮮。実際問題として北朝鮮から一般人がパスポートを発給されたという人を私はまだ見たことがないのだが、そういう一般人の大半はパスポートに似た、冊子版の「再入国許可証」を日本の政府から発給してもらうのだが、ここから先も大変。その後は、旅行先の国のビザを申請し、その再入国許可証に押してもらうのだが、申請書は記入欄がてんこ盛り。ようやく書いた書類と再入国許可証を出した後、時間を膨大にかけてビザ待ちするのだが、やっとビザまで取れて晴れて当日現地に赴いても、見慣れない書類に現地の出入国係員が右往左往して入国に時間がかかった経験、そういうお客さんを引率した経験が個人的にある。話がちょっと逸れて長くなったが、そういうパスポートやビザ等の渡航事情がみんな同じでない生徒たちがいることを意識しているのかしていないのかわからないが、学校行事として無理やり生徒をどうして海外に連れていこうとするのかは私にとってはすごく謎なのだ。パスポートを取って海外に行く、というようなことは、こういう渡航手続きの事情も人によって違えば、やはり金銭的にそれが苦しいという家庭もあるだろう。例えば今回のA子さんのことだって、この子に戸籍がないことは学校だって知っていただろうし、そういう事情を知っていながら修学旅行の行き先を海外にするのって何か浅はかじゃないだろうか。いいじゃないか、パスポートがなくても国内に行けば。国内の旅行でも学ぶことはいろいろあるわけで、海外に行くことに特段の意義があると思う学校があること自体が間違っている。海外へは、それぞれの人がそれぞれの時期にそれぞれの目的で行けばいいのだ。最終的に滋賀県が外務省と協議した結果、やはり「パスポートの発給は戸籍が存在しているという条件を大前提とする」と決めたのは、私としてはこれが今の段階では正解以外のなんでもないと思っている。だって、そうではないか。以前から話題に上っている某プロレスラーと某タレント夫婦の代理出産だって私に言わせれば今回の「戸籍がなくてもパスポート発給を受理しろ」という問題と同じ。現状は法律で一応線引きされているエリアを最初から知っていながら力づくでとりあえず強行突破してしまってから「なんとかしなさい」と国に無理やりそこの線を消しゴムで後で消させようとする行為は方法論的におかしいと私は常々思っている。そういう時にわけわからん団体とかからすぐに出てくる錦の御旗が人道上という言葉なのだが、私ははっきり問い返すぞ。ホンマか？ホンマにホンマやな？ちゃんと目を見て答えろよ、と思う。もちろん「個人の特殊な事情でやむを得ず」という論理があることはわかるのだが、そうすると今度はその「個人の特殊な事情」の中で、どれが特殊でどれが特殊でないのかという論議が延々なされることになる。その時代や世の流れにおいて、変えなければいけない法律や決まりごとがあるのは事実だが、堂々と禁止柵や有刺鉄線を乗り越えておいて、取り締まられた時に初めて「越えちゃった境界は意味がない、取り外せ」と言うのは理屈か個人的なわがままか開き直りか売名行為以外のなんでもない。行為の派手さのわりには説得力がなさ過ぎるし、その後の議論の喚起の突破口になってもいやしない。ということで、今回の滋賀県の旅券申請不受理については私は支持したいと思う。出るべき結果が出たと思って読んだ。「それくらいなんとかしてあげれば」と思っている人たちも世間一般としては多いのだろうし、滋賀県も反発を食らうかもしれないが、結局いくら事情を斟酌しても、どこかに線引きは必要なのだ。いつの世も、文句を言う人は線を引いた外側にはじかれた人たちだけだとも言える。

  2007年01月17日

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• アレな話

  こういう話を書くのはどうか、とは思う。が、書いてみるのだ、結局。（爆）毎日受けている電話の中で、実は決して少数派ではない用件として「アレな話」で「どうしよう」というものがある。この「アレな話」は女性からだけではなくて男性からも来る。比率にするとやっぱり男女比は男性を1とすれば女性が5か6くらい、という感覚だ。客引きでそういう話を書くわけではないのだが、一度は書く日が来るだろうと思っていたネタではある。もちろん全部が全部、そうではないのだが、独身の女性（だいたい18歳から37歳くらいまで）の中には、日本で知り合ったのか、はたまたかの地で知り合ったかまではわからないのだが、カレシの母国に単身で赴く人が多い。話がある程度、具体的に固まっていて結婚しに行く人、とりあえず一緒に暮らしたくて行く人、遠距離恋愛中のカレシに会いに行く人と内情はいろいろのようだが、その中で、やはり微妙に困ってしまうのか「シモ系ご相談」の電話だ。頻度で言えば、そうねぇ･･･週に3本くらいかなぁ。＊えーっと･･･中で命中して（？！）大出血してしまったパターン。まあ、これくらいひどいと、本人はパニックで電話してこられないので、現地カレが代わって電話はしてくるが、びびってしまっていて何を言っているのかよくわからない場合が多いが、そのうちの何度かは、驚くなかれ現地カレママが電話してきたりするのだ。いったい何を話してんだか。だって、そうでしょう？こういう問題はあくまでも2人のデリケート問題なのであって、そこでトラブルが発生したからと言って「おかーちゃん、ボクどーすりゃいいの」って泣きつくムスコと、泣きつかれて「いいわよ、私が電話してあげる」と言えるおかーちゃん。個人的にはこういうムスコと親密な仲になるのは私はイヤだがな。（爆）＊聞きたくもないのに微に入り細をうがって説明する人。（じゃあ書くなと言われそうだが）●「ほらぁ、アノ時にですね、中で摩擦がありますよね、まさつ。それが嵩じてね、かなりひりひりして痛いんです」･･･確かこれは36歳の女性だったかしら、結構変わった人だったなぁ。じゃ、しばらくおやりにならないほうが、と言おうかと思っていたら向こうが「しばらくやらないほうがいいですよね」と自己完結コメントを述べたので「そうでしょうね」と言っておいた。●「なんとなくね、トイレに行くと痛いのよ。月窒（漢字を合成して読んで下さい。）を突き上げる感じね、ごっと突き上げる感じよ、ほら、わかるでしょ？」･･･驚くべき73歳女性が何度も「突き上げる感じ」を強調・連発。相槌も打てなかった。●「実はぁ、カレシがいてぇ、こっちに3週間遊びに来てるんですけどぉ、一昨日の夜、カレシがオシリに･･･（この女性はきっちりソノ言葉を言っていた）･･･しちゃったんですが、その時にオシリが切れてしまったというか裂けてしまったというか（以下略）」･･･話し始めはごく真面目そうでぜんぜん遊び人風ではない20代前半の女性だったが、そんなことするなよ。アンタもカレシも。皆さんの共通点は、場所が場所なので医者に行ったりはしたくないが、こういう場合はどうしたらいいか、現地のスタッフにアドバイスを聞きたいという電話。･･･知りませんって。アドバイスできませんって、そんなの。男性になると、微妙にシチュエーションが違ってくる。短期の旅行でアレな症状を訴えてくる人は少ない。その分、日本に帰ってから困っている人はあるはずだが、そういう人たちからの電話を受けないので、後日談はわからない。男性で電話がかかってくるのは駐在員ご一行様である。これも本当に駐在員のごく一部、であろうとは思うのだが、はい、そうですね。えー･･･遊んでおられるようです。で、やっぱり家や会社には絶対知られたくないのだそうで、うちにも小さな声で電話してきて「この電話をかけたことって、家だとか会社だとかには報告されませんよね、大丈夫ですよね」というのがお約束の確認事項。はいはい、こちらからは電話は致しません。（そう言っておいてもらえれば、の話ですが）ただ、マジでこちらが気になるのは、中にきっちりSTDを拾ってしまった男性たちが決して少なくないことだ。ここまで来るとナイショだとかバレたとか言っている場合ではなくて、とにかく自分及び関わりのあった相手もすべからく治しておいてもらわないと、最終的には世界全体が迷惑･･･でもないか。（爆）いずれにしてもこのテのお話は、直接、お医者さんに話して頂きたい。こういうことまでこちらに電話しさえすれば解決する、と思うのは幻想であり、聞いているこちらも（仕事だからおくびには出さない努力はしているが）話している間中「そんなことを私に言われたって･･･」という気持ちが拭い去れないのである。

  2007年01月16日

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  ちょー小ネタ

  PCに向かってファイルの整理などしていると、クマイチがテレビでちょっと古い映画を見ているのに気づいた。おっ、ミハイル・バリシニコフが出てるやん、と思った。ずーっと前に映画評を書いた「ホワイト・ナイツ」を実は一昨日の夜に久しぶりに観ていたところに偶然ミハイルくんの顔が今日出ていたので何の番組だろうと思ってテレビをしばし凝視。ミハイル・バリシニコフはここ最近だと（いや、もうかなりになるかな）「Sex and the City」に出ていたとは聞いていたが自分ではまったく見ていないから、これが「Sex and the City」かなと一瞬思ったが、どうも画面が古くさい上に、出演している人たちの髪型や服装もなんとなくレトロ。今度はミハイル・バリシニコフと絡んでいる共演のショートカットの女性を見つめる。見たことのある顔だ･･･かつての人気ドラマ「奥様は魔女」のサマンサ役のエリザベス・モンゴメリーにそっくりだ。しかし、比較的まだ若いエリザベス・モンゴメリーとミハイル・バリシニコフが共演していたのだろうかと思いつつも、本当にこの女優、エリザベス・モンゴメリーによく似ているな～と思いながら、テレビからPCのほうに眼を移した。しばらくすると背後からクマイチが「これ･･･ミハイル・バリシニコフじゃないよ･･･アンソニー・ホプキンスだってさ」と言う。「ええ～っ？それは違うでしょ、それは」と思わず答え「これ、何の番組？なんていうタイトル？」とクマイチに聞くと「知らない」と。5チャンネルだと聞いたので、5チャンネルの番組表をすぐさまインターネットで調べると、番組のタイトルは「Dark Victory」と書かれている。すぐさまその「Dark Victory」について調べてみる。判明。男性役はアンソニー・ホプキンスで、女性役がエリザベス・モンゴメリー。男性のほうはミハイル・バリシニコフだと信じて疑わず、女性のほうはエリザベス・モンゴメリーに似ているけど誰だろうと思っていたワタシ。なんでアンソニー・ホプキンスぅ～？「羊たちの沈黙」を思い浮かべる。アンソニー・ホプキンス･･･あ。似てるかも。そして探し出した写真はコレ。ミハイル・バリシニコフアンソニー・ホプキンスアンソニー・ホプキンス（若い頃）どうでしょうか。テレビで演技しながら動いている感じを見たら、この2人を間違えるのもムリはないと思いませんか？◇　◇　◇ちなみにこのアンソニー・ホプキンスとエリザベス・モンゴメリーが共演していた「Dark Victory」は1976年のテレビ映画。実はこれはリメイクで、本編は1939年にハンフリー・ボガードがベティ・デイヴィスと共演していた映画らしい。そこでクマイチに言われた。「あのね、ウチに『Dark Victory』あるんですけど･･･」えっ？そんなのいつ買ったの？そう言えば年末にクマイチがどうしてもベティ・デイヴィスの4本組DVDが欲しいといって通販で買ってしまった中に「Dark Victory」があったのだが、まだ4本組のうちの2本しか観ておらず、後の2本が何なのかにまったく興味を持っていなかった私なのであった。このベティ・デイヴィス4本組に最初から興味を示していなかった私はクマイチから「ボクはいつもちゃとちゃんが観たいってやつに合わせてあげてるのに、ちゃとちゃんはボクの観たいものには合わせてくれない、失礼だ、無礼だ」と言って正月明けから怒られて、まず2本をしぶしぶ（また怒られる）一緒に観たといういわくつきのベティ・デイヴィス4本組。ベティ・デイヴィスの映画評までは、まだまだ遠い。（爆）

  2007年01月14日

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• チェリーパイの真相

  大晦日の日、会社に向かって急いでいると、横を通り過ぎた車からクラクションの音が。誰かと思うと、隣りのセクションで働いているおっちゃん、クライヴだ。「これから出勤？」とクライヴが言うので「うん」と言うと「乗ってく？」と。「いいの？」と聞くと彼は「その代わりね、途中でうちのヨメと息子とそのガールフレンドを乗せて行かないといけないから、会社に着くのがちょっと遅くなってもいいんだったら」と言う。「いいよ」と答えた。大晦日のこの日の出勤は時間の縛りがなくて、とにかく会社に一度だけ顔を出すだけでいいことになっている。このクライヴは普段からなかよくしている人なのかというと、実はぜんぜんだ。彼は以前、一列に並んで仕事しているうちのチームの向かい、厳密にはみつこさんの真向かいの席に座っていた。私も、勤務シフトの関係で時々自分の席ではなくてみつこさんの席に座らなければいけない時があるのだが、そういう時、このクライヴというおやじの貧乏ゆすりがひどくていらいらした。足でしょっちゅうタンタン、タンタン、と床を鳴らして拍子を取っているのが、床伝いにダイレクトに自分の足元に伝わってくる。一度みつこさんに「あのオヤジの貧乏ゆすり、激しいでしょ」と聞いたらみつこさんは「え、そうかな、気がつかなかった」と言っていたが、強くはないがあれだけ頻繁な貧乏ゆすりは、ひとたび気になるとずーっと気になる。そのうち、そのクライヴたちの係の中で多少席替えがあり、クライヴは2列ほど向こうの席になったので彼の貧乏ゆすりからは解放された。が、今度、私たちの前の列にどかんと座った4人のイギリス人の女どもはクライヴよりすごい存在だった。その4人の女ども、向かって左から「白雪姫に出てくる毒りんごを持ったババァ」「ものの言い方が高飛車で（客に対して）話し方がヤクザのオヤジみたいな、とにかく印象ががさつで汚らしいおばはん」「マジメに仕事はしているがきつねとねこのいやなところを合体させたような顔の無愛想な女」「彼女も仕事はマジメで、そこそこ年はいっているが、後の3人に比べるとまだちょっと女性チックなところを残しているお姉さん」（まあ、向こうは向こうで私たちのことを黄色いサル軍団とでも言っているかもしれないが）とにかくビル全体の中でいちばんがさつでうるさくて荒々しい、染色体で分類したら女だったと判断されただけの4人組が私たちの前の席を陣取ってしまい、迷惑千番。こうなると、クライヴの貧乏ゆすりくらいはかわいいものだったのである。さて、このクライヴは以前からデスク近くでは絶対に話しかけてこないのに、キッチンにお茶を入れに行ったりして、そこで出くわすと必ず話しかけてくる。どこから通ってんだ、とか、キミたちは一時的に日本から来ているのかここに住んでいるのかとか･･･後でみつこさんやゆみさんに聞くと、他の3人は話しかけられたことがないらしい。そういう前提もあってか、クライヴは出勤途中の私に同乗しないか誘ってくれたのだろう。途中で乗ってきたクライヴの妻・息子・ガールフレンドたちは、どこかの釣り場に行って、そこで何日かキャンプをしてくる予定らしい。会社に行くのには、そのまま高速道路に乗って一発で走ってくれても1時間かかるのに、クライヴはみんなを乗せた後もずーっと普通の田舎道を走っていくつもりのようだ。いくら会社には顔を出すだけでいいとは言っても、このまま下道じゃあいつ頃着くかわからないし困ったなと思っているが、クライヴは意に介さずに「どう、仕事のほうは」と聞いてくる。私は「うちの仕事のほうはまあまあかな。でもさ、席替えしてから私たちの前に座っているあの4人のBi●chたち、なんとかならないかな･･･もううるさくって、あれが邪魔で仕事がスムーズに行かないわ」と正直に愚痴をたれてみるとクライヴはハハハと笑い「あいつらねー、どうしようもないよねー」と言っている。そのうち、クライヴたちは訳知り顔に、途中のパブ近くに車を止めてすたすた降りていく。どこ行くねん、と私がいぶかしんだ様子に気づき、クライヴは「あのさ、ここのパブは昼間に出してくれるチェリーパイがおいしくてね、この辺に来るといつもここでチェリーパイを食べることにしてるんだよ」と言う。ええ～？朝っぱらからパイ食って行くのかよぉ～～～、アンタは休みでもわたしゃ今日も出勤やっちうねん、と思ったが、だからといって、こんなところから自分一人で別行動しても、駅までの道もわからないし、自宅と会社の間のどのへんに来ているのかもわからない。腹を括って、クライヴたちと行動を共にすることに決め、この「King’s Arms」というパブの入り口にほど近いテーブル席でクライヴ一家と一緒にチェリーパイを一緒に食べていくことにした。が、やっぱりそこのチェリーパイはおいしくて、わざわざ車を止めて食べにくるだけの価値があると思う。モーニングティーの時間が終わり、そろそろお店を出て車に戻る頃、クライヴの息子が急に「ちょっと胸が苦しいな」と言い始めた。「大丈夫？」と聞くと、息子はもう一度テーブルのところの椅子に座り、荒い呼吸をし始めた。これはクライヴに知らせて車に乗せるよりも救急車を呼んだほうがいい。＊＊＊そう思った辺りで今朝、目が覚めた。（爆）いやぁ、さすがにリアルな夢だと自分でも驚いた。ここまでの部分で事実だった部分は、そのクライヴなるおっさんが会社にいて、最近席替えで少し遠くに移動したことと、私たちの席の前に移動してきたババァーズの傍若無人さくらい。クライヴに息子がいるのかどうかも知らないし、当然ガールフレンドの話もまったく架空なのに、突然、走っている道筋に「King’s Arms」なんて、イギリスであちこちに見かけそうな名前のパブがあり、おまけにそこで、普段どこかで注文したこともないチェリーパイが出てきて、それが評判通りにおいしかった･･･というような具体的な話が全部夢、なんて、私はいったいどうなっているのか？もちろん大晦日、31日は日曜だったから、出勤もへったくれもなかったのである。

  2007年01月13日

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• 今日の結論

  ぜんぜんたいした話ではない。出勤する電車の中でのこと。いつものように2列がけの席に1人で通路側に座る。カバンから数独の本とペンを出して格闘していると、聞くともなく、前の座席に座っていた女性が携帯電話で話す声が聞こえた。英語ではない、アジアのどこかの言葉。なんとなく母音の感じからベトナム語だなと思った。フランスにはベトナム人の人は多いが、イギリスではベトナムから来たという人にあまり会わないし、ベトナム料理のレストランもイギリスには決して多くはない。女性の話の中にはごくたまに英語がはいる程度で、内容はほとんどわからないが、のんびりと楽しそうに話していた。この列車の路線は、私の家の最寄り駅から会社の最寄り駅までの間で、携帯電話の電波が途切れるところが何箇所かあり、結局その女性の電話も途中で切れたようで、いつの間にか会話も終わっていた。会社の最寄り駅のホームに電車が滑り込む。私より先に、そのベトナム人の女性が電車の戸口に向かい、電車のドアと私の間にその女性が立ってドアの開閉を待つ格好となった。「あ、この人もここで降りるのか」と、考えるともなく考える。この区間の特急の車両のドアには押しボタンが着いている。そのボタンの周囲を囲んだランプの部分が点滅している時にボタンを押せばドアが開くようになっていて、駅に着いてもドアは勝手には開かない。（点滅していない時はボタンを押してもドアは開かない･･･走行中だとか列車の着発の瞬間はランプが点滅していない、つまりドアは開かない）このベトナム人女性、電車が止まってもドアの正面でただドカンと構えて待っている。ドアを開けるのにはドア脇についている押しボタンを押して開けるのだということを知らないらしい。しかし、位置的に私がそこまで腕を伸ばしてボタンを押すには、その女性の体に触れかねない恐れがあったので「Press that "Open"（「開」を押して）」と後ろからその女性に言った。女性はオォ～、と言ってそれを押す。ドアが開いてその女性が降り、私が続くと、そこで初めてその女性がくるっと振り返って私を見た。50歳にはなっていないだろう人懐こそうな丸顔の女性が一瞬バツの悪そうな顔の後、アジアなまりの英語で「押して降りるのねぇ、知らなかった～。あのまま待ってたら、そのまま電車、出ちゃうとこだったのねぇ、あははは」と私に照れ隠しに言っている。その女性、あのままドアが勝手に開くのを待っているうちに時間がきて、また電車がそのまま発車するイメージがよっぽどおかしかったのか、私から離れず私の腕を2～3度バシバシ叩いながらしばらく笑い続けていた。（爆）もちろん暴力的に、ではなく、いわゆる「隣りの人を叩きながら笑うおばちゃん」風に、である。私も思わず笑ってしまい「時々、アレ押してもドア開かないこと、あるしね」と言って会社に急いだ。アジアのおばちゃんはどうしても笑う時に人を叩きたいらしい。

  2007年01月12日

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• Inventor逝く

  ほやほやのニュースではないが、日清食品の創業者、安藤百福氏が96歳でなくなったとのこと。昨日のインターネットのニュースでは、さすがにニューヨークタイムズでも報道されていた、との記事を読んだが、はいはい、イギリスでも報道されておりますよ。ニューヨークタイムズよりも知名度は落ちるが、ロンドン近郊なら、手にとって読んだことのない人は恐らくいないであろうメトロ紙（地下鉄の各駅に置いてある無料の新聞。笑）にも「For ever and ever, Ramen」というキャプションで、ほぼ1面全部にこの人のことが載っていたのは7日のことだ。それ以外にもUSAトゥデイ、BBC･･･まあ私には英語以外のソースの報道だとちょっとわからないから大手ではこのくらいだが、とにかく世界にインスタントラーメンをもたらした父祖の死去と過去の功績は英語圏の国でも大きく報道された。個人的にはこの安藤百福さんという人はすごいだと思いましたね。日本人の場合、お店で食べるラーメンというものとインスタントラーメンというものをひとくくりにはできず、いろんなラーメン関係のウェブサイトを見ても、食べ歩きをしている人の「ラーメン屋」研究サイトと、インスタント麺追究サイトはまったく別モノとして存在している。その2つのラーメンの片側のルーツはこの安藤百福さんだったのは間違いなく、世界もそれを認めていたということだ。子供の頃からよく「インスタントラーメンなんて体に悪い」と親に顔をしかめられながらも、結局はかなり頻繁に食べていた袋入りの乾燥麺。「麺の油分がきつい」だの「スープが塩辛い」だの、あげくのはてには「そんなものばっかり食べていると長生きできない」だの･･･しかし、安藤百福さん自体は、自社の製品は毎日食べておられて96歳。長患いもされず心筋梗塞であっさりと亡くなったのだ。もちろん、人が亡くなることには本人も周囲も悔いがまったくないわけではなかったと思う。しかし、それでも世界中のほぼどこでも誰でも一度は食べたのではないかと思われるような食文化・インスタントラーメンを世に残した偉業でなくてなんであろう。イギリスでは、日本から実際に輸入されているチキンラーメンやカップヌードルが日本の食材店にあるし、オランダやマレーシアで作られたカップヌードル（日本産より安い）もある。うちでの買い置きはだいたい後者だが、イギリスはイギリスで1979年から「ポットヌードル」という名称で、やはりカップ入りの同じタイプの麺がある。（但し、激マズ･･･以前、友達が下宿していた家の家主夫妻はこれを大型の箱で買って「ダイエットにいいから」と称して喜んで食べていたが、私たち日本人の舌にはどうにもマズかった。マズいからダイエット、ということなのか結局よくわからなかった）味の違いはあるにしろ、乾燥麺を、しかも丼が存在しない国で麺を食するためのカップ型という発想は安藤氏率いる日清食品が持ち込んだものなのである。アメリカ・イギリスの両方の報道では、このインスタントラーメンは、ウォークマンや任天堂のゲーム、そしてカラオケと並ぶ20世紀に生まれた世紀の発明との位置づけなのだそうだ。安藤氏のご冥福をお祈りします。

  2007年01月11日

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• 非生産性の極み

  今日もちょっと体力を温存したいので小ネタで。しかしアレですね～、よくもこんな個人的なちまちました日記に、そりゃあ片っ端からそうしているだけなのでしょうが、エッチT/Bみたいなの貼り付けたり、わけわからんHNの日記の人が足跡つけに来たりしますよね。言っておきますが私んとこでそんなことしたってムダムダ。足跡ついている人んところに行ったりしませんから。そうでなくてもこのところ、知っている人のとこだって毎日行けやしないんだから。どっか他のところでやりなはれ。さすがにバカらしくてリンクなんか貼ったりはしませんが、つい先ほどお越しになっていたのは23:53 ♪秘密のメル友と超すごい事しちゃった(*/∇＼*)さん18:59 いや～ん エッチ～. あっ あぁぁ～ん. もっとおっぱい揉んで～さん･･･恥ずかしくないか？自分で書いて後から読んでも。（爆）なんだったら音読してみて下さい。バカ。ちょっと見に行ってみたら、コンテンツのレイアウトはかなり違っていたが（でも両方エロ系）どうも同じ人らしい。一応、こういういかにもな文章（だけど普通、こういうのを見て乗らんやろぉ～～～、乗るかぁ～～～？）書いて、写真貼ってリンクして、結構手間ヒマかかると思う。そういう作業をやっている人の真横で、そういう時の一所懸命な顔を見てみてあげたい。いったいそれだけの見返りはあるのか？朝起きて（まあ、こういう人は昼起きてるか夕方起きてるか、なのかもしれないが）日がな一日、こういう作業をやってるのねぇ。アホねぇ。つける薬がございません、と言いたいが、つける薬がもったいのうございます。あまりの非生産性に同情すら沸き起こるちゃとなのであった。P.S.誰か今日のこの日記にエロ・トラックバックつけてくれるかな。（そんなヤツがいたらアホ満点）

  2007年01月09日

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• 名残り

  左手の親指の爪、その人差し指寄り側の上のほうが直径5mmくらいのほぼ円形で茶色く汚れている。去年、忘れもしない10月1日の日曜の朝、家のドアで親指を挟んでしまった時の最後の名残りだ。今のその汚れは最初、爪のその部分の生え際（爪と皮膚の間）がどす黒く血に染まってできていたものだったが、その汚れがそのまま爪にはいりこんでしまったようで、時間の経過とともにその汚れの部分は爪の中で同じくらいの大きさを保ったまま、爪の生え際からだんだん離れていった。痛み自体は2週間くらいで消えたし、この爪の汚れも、2ヶ月も経ったら完全に消えるかなと思っていたら、結局あれから3ヶ月経ってもこうしてしっかり、あの時の「なんでまた･･･」という一瞬のうっかりを思い出させてくれる。今年はそういう怪我をしないといいなぁ。･･･ええ？もう今年も1週間過ぎたの？速過ぎるっ！

  2007年01月08日

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• 思慮のない人

  仕事で、ちょっとびっくりしたことがあった。11月の末頃に日本の本部の実働部隊に入社した2人の女性のうちの１人の赤井さん。うちの会社の中でも、いわゆる事務部門ではない実働部隊だと、やはり実務上で覚えることがたくさんあるので、個々のお客さんと実際にやり取りデビューするまでには1ヶ月強の研修期間がある。個々のお客さんとのやり取りデビュー以前には、そういう新人の人が海外支部とコンタクトしてくることもない。会社で使っているシステムに入り込んで毎日の仕事の流れを見ていると、赤井さんたち2人がようやく独り立ちして、お客さんとやり取りを開始したことはわかっていたが、その赤井さんから突然、ウチのオフィスに手書きのFAXが来た。決してキレイとは言えない字だった上に、これはいったいなんだろうと思って読んで本当に驚いた。少し話は遡るが、去年の9月くらいから、ウチのオフィスが日本のクライアントから依頼されていた調査依頼があった。その進捗状況の報告書をこの間クライアントに提出したら、それに対して日本のクライアントから返事が来たのだが、そのFAXの写しは日本の本部にも送られていた。しかし、その中身は日本の本部にはほとんど関係ないものなので、本部ではそういうFAXはファイリングして終わり。へたすると読まれもしないはずだ。（だからクライアントも、そんなFAXを本部に送ったって仕方ないのに送りたいらしい）仕事の中身としては、淡々と調査を進めていくだけのごく単純なものだったのだが、その調査の一部を、私はヨーロッパにある一つの下請け業者を使っていて、そのことはクライアントも知っていた。そして、くだんの赤井さんの手書きのFAX。クライアントが私に返信したFAXの写しがいつもの通り本部にも送られたのだが、その写しのFAXの余白に赤井さんが「ちゃとさんへ、赤井と申します･･･」から始まる書き出しで書いて送ってきたその内容とは、私が使っていたヨーロッパのその下請け業者に対するものすごい非難。はぁ？この赤井さんという人（もちろん会ったことはない）はそんなに怒っているのだろうと思って読み進めると、赤井さん、以前はヨーロッパの某国に住んでいて、しかもその下請け業者に勤めていたらしい。「あそこの内情はわかっています、ひどい会社です」と、赤井さんは、クライアントと私の間のやり取りのFAXに思い切り手書きで書き綴っているのだが、中を読むと、何があったのかは知らないが赤井さんはそこの業者を解雇されたのだそうだ。この赤井さんって、いったい何者？というか、こんな人に仕事をしてもらっていいのか、というのが私の率直な感想。別に赤井さんがそこの業者にいたこと・そこを解雇されたことは、大事ではないとは言わないが、少なくともその仕事自体と、その仕事を担当している私には何の関係もない。どんな会社・企業であっても、外から見えない内情もあれば欠点もあり、実際に勤めたら「ひどい待遇だった」「不公平極まりない実態だった」「ケンカして辞めた」ということもあるだろう。ただ、この調査依頼についてはその業者が、頼んだ仕事を決まった料金できちっとやってくれれば問題ないのだ。仕事の質やスピードに怠慢があれば当然、そこの業者にプロとしての不十分さを突っ込むだろうが、少なくともその業者がこれまでにとんでもない失敗をやらかしてくれたこともない。それよりも、昨日・今日はいってきたばかりの、私もよぜんぜん知らない日本の本部の新人がどういういきさつでその業者と袂を分かったかとか、その業者の企業としての経営体質がどなんてことは関係ない。それどころか私にしたら、その赤井さんのほうがずいぶん問題だ。「ここの業者の手数料はこうなっていて･･･」「この業者には私がここにいることは言わないで下さい」と彼女は書いてきていたが、途中から手数料を無理やり上げられたわけでもなく、こちらが頼んだ質の仕事に対していくら払うとウチが納得して仕事を出し、結果をもらっているのだ。それに、その業者にはほぼ毎月頼む仕事がある。私はそんな、おたくにいたダレダレが今はウチの会社にいてどうのこうの、なんてわざわざ言う気もない代わりに、逆に気を遣って隠してあげるような事実でもないと思うし、赤井さんがうちに来たことはいずれどこかでわかるだろう。（向こうがそれを知ってもどうとも思わないだろうし）基本的に、辞めた会社にはなんらかの不満な部分があった場合が多いとは思うが、だからといって、個々の仕事自体とは関係のないところで、聞かれもしない前の勤務先への個人的な腹立ちをぶつけたFAXを、はいって間もない会社の、それもいきなりよその部署の責任者に送ってくるという神経のほうが私からしたら失礼に思える。この人はうちで勤まらなくて他に次に転職した場合、今度はうちの会社に対して「ひどい会社でした」「ちゃとさんって冷酷です」とか言うのだろうと想像する。軽々しく「大人になれ」というようなうやむやなことをいう気はないが、物事の後先を考えずにこういう軽率なことができる人を雇ってしまった日本の本部に問題あり、と、そう思った。

  2007年01月06日

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  ここぞ

  この間、国鉄の工事のために途中駅で足止めを食らい、怪我の功名でご近所に住む元同僚のみかちゃんに会った日･･･一匹、サカナを逃がしてしまった。なんのことはない、ebayのオークションだったのだが、たまたまその前日、久しぶりにebayを見ていたら（見なければよかったのだが　笑）興味を持ってしまったバッグがあった。こういうやつ。最初の希望価格が325ポンド。ざっと76000円。結構な額だ。出品されているブツは中古で、新品だと790ポンドするらしい。185000円･･･クマイチに「あのさぁ、ちょっとebayで欲しいバッグがあって･･･」と言うと「どんなやつ？」こういうやつで、こんなんで･･･と説明していると「いくら？」出たっ。そう来ると思った。（爆）スタートが325ポンドと言うと、クマイチはおし黙った。そうやんな･･･いくら仕事をしているとは言っても私は一応これでも家計を預かる主婦だ。イギリスに住んでいて、贅沢かどうかの一線は私たち2人にとっては100ポンドか、いや、実勢は50ポンドだ。クマイチは結構「買いなさいよ」と言ってくれるのだが、今回はうーんとうなった後、声がフェイドアウトしていた。そりゃそうだよなぁ、325ポンドだもん、いくらほしくても痛いよなぁ、見なければよかったのになぁと逡巡しきり。どっちにしても翌日の20時半頃までの出品なので、しばらく様子見しようと思って入札しないで一夜が明けた。そして、翌朝は6時半から仕事を始めていたし早めに帰れる。家に帰ってから、もう一度、冷静に本当に欲しいのか、それだけ払っても惜しくはないのか考えることができると思っていた。なのに結局その日は残業になり、会社の最寄りの駅で電車に乗ったら18時15分。会社で最後にPCを切る直前にそのebayのサイトを見たら、あと2時間ほどで終了なのに、まだ1人も入札がなかった。ということはぎりぎりの締め切りの間際で明暗が分かれるかどうかというところだ。電車に乗ってからクマイチに電話。「あのね、昨日のバッグね、やっぱり欲しいんやけど･･･」クマイチも数秒考えて答えた。「じゃ、ちゃとちゃん、買いな。まあ買いなって言ったってオークションだし絶対買えるとは限らないし、今の時点でいくらになってるかだけどね」とのこと。「実はまだ誰も入札してなかったよ」と言うと「じゃ、勝負は最後だね」と。しかし、折からの国鉄工事での迂回して帰るため、その時点では本当は何時に帰れるかもわからなかったし、クマイチには「もしも、あと2時間で帰れなかったらどっちにしても無理だから、その時は縁がなかったと思ってあきらめるわ」と口では言ったが、いくらバスに乗り換えたり迂回したりしながらでも、絶対に20時半には帰れると踏んでいた。そして、途中駅で電車の運行が終わると、予定の帰宅ルートが亡くなっていたという顛末。ご近所の旧同僚であるみかちゃんと駅の構内のカフェで時間をつぶし、迎えに来てくれたクマイチの車で家に帰ったら21時35分。オークションの終了時刻を1時間たっぷり過ぎていた。仕方がない。ダメだったらあきらめるって決めてたのも確かだし、だいいち前日の時点で入札しなかったのだから誰にも文句は言えない。ブツは最後、いったいいくらになったのだろうと思って、保存しておいたサイトを見る。325ポンド･･･そのままだ。結果的に、たった1人がそのスタートの金額でブツをかっさらってオークションは終わってしまっていたのだ。その上、このブツは、今回その1人の入札者に落ちたが、実は3週間前にも同じ人が同じ値段で出品していたが誰も買い手がつかなかったものだったことが後でわかった。うーん･･･こうなるとクヤシいっ。まあ、でも、これがオークションなのだ。◇　◇　◇日本で仕事をしていた時に、お得意先の会社の事務の人が結婚することになったのでハネムーンのお世話をした。彼女が「向こうにいったらいろんなブランドのバッグなんかを買いたいなぁ。ここぞっていうときにやっぱり欲しいですしね」と言ったので「そうですね、どっさり買ってもらって下さいよ。」と答えた。彼女は真顔になって「でもねぇ、毎日こんなふうに家と会社を往復していても、持ち歩くバッグって決まってくるからホントはそう頻繁には変えないんですよね。結婚して出歩くのが今より減ったら余計に機会がなくなっちゃうし。そうすると結局ここぞっていう時のためにいいものを買ったとしても、そのここぞっていうタイミング自体がなくて使わない、みたいになったりするんですよね」そっかぁ、ここぞがなくて、せっかくの逸品をしまいっぱなしにしてしまうことってあるよなと、私も彼女と一緒に苦笑したのをよく覚えている。その会話からすでに10年ほどが経っている。そういえば私にもあまりここぞがない、ということを今、つらつらと思うのであった。（爆）

  2007年01月05日

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• 遅刻デシタ

  ･･･遅刻、した。（爆）これまで、遅刻しそうになったことはあっても、完全に寝坊して遅刻したことは今の職場になってから一度もなかったが、今日は記念すべき完全遅刻デーになった。自慢にならん。今日は朝、7時半には会社に座っていなければ、という状態で自宅を出るのは6時45分の予定だった。ふっと･･･目が覚めると、普段なら真っ暗なはずが、ちょぉっとカーテンの外がうっすらだけ明るいような気がしたが、気のせいだと打ち消したかった。そして、ベッドの隣りのサイドテーブルに置いてある2個の目覚まし時計を見たら、7時45分。がび～ん。いや、誤解のないように訂正しておくと、私のその2個の目覚まし時計たちはどちらも45分進ませてある。45分進ませた状態で、それぞれ5時40分と6時にアラームをかけてあった。知らない人が聞いたら、そんなややこしいことをせずに時間通りに時計そのものを合わせて、起きる時間そのものにアラームをかけておけばいいのだが、そこは人間、少しひねりたい。ぱっと目が覚めた時に目覚まし時計を見て「実際の時間はここから45分引く」と考え、且つ「あと何時間（または何分）でアラームが鳴る」と考えることで朝から頭を使いたいのだ。（うそうそ）とにかく、こんなにすやすや寝込んでいたということは、恐らくアラームのスイッチをどちらも入れ忘れていたのではないかと思う。ということで、実際には起きた時間は7時だったが、どちらにしてもその時間はすでに電車に乗っているべき時間。まずいな･･･今朝のペアはゆきちゃんだ。「寝坊しました」と彼女に言うのはイヤだ。（笑）ここはのっぴきならない状態で遅れたことにしたい。たとえそれが身の保身と言われても、だ。（爆）しかたなく「朝方からちょっとお腹の具合が悪かった」というシナリオを勝手に採用。7時半までに会社に着いていた彼女に連絡して遅れることを伝えた後、家を出る。私が遅刻や～～～と言っていたので、クマイチが慌てて私の分のサンドイッチを作ってくれていたようだったが、話の成り行きとして、お腹の具合が悪くて遅刻したのにサンドイッチは持ってます、じゃ、ちょっとツジツマが合いにくいのでゴメンねと言ってサンドイッチは置いていくことにした。非常に元気な状態で、45分遅れで会社に着き（笑）ゆきちゃんに「ごめんね～」と謝った。「大丈夫ですかぁ？」とどこまで本気で心配しているんだかよくわからないゆきちゃんではあったが、まあこっちも仮病だし「いやー、朝方は大変だったけど、もう大丈夫。ノロウイルスとかじゃないみたいよ、他はなんともないしぃ」といけしゃあしゃあと言っておいた。但し、今日はちょっとミルクティとかカプチーノは飲まないことにしておこうと思って、お茶のたびにブラックティーを飲むように気を遣った。そんなの、誰も気にしていないかもしれなかったが。（爆）別に普段から、のっぴきならない案件で居残りも多いし、それは責任者だからではあるが、だからといって、今日みたいに遅れても定時に帰るということでは示しがつかない。誰が言うわけでもないが「45分遅れたので、1時間Make-upします」とみんなにメールを書いて、1時間居残って仕事をして帰った。家に帰ってクマイチに遅刻の分、1時間居残って埋め合わせをしたという話をしたら「世の中の上司っちう人たちがみんなアンタみたいにマジメだったらなぁと思うよ」と言われた。何はともあれ不名誉であった。（爆）

  2007年01月04日

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• 初夢

  初 夢　＝その年最初に見る夢。元日の夜または正月二日の夜に見る夢。などと大辞林には書かれている。それからすると私のこの夢は、大晦日に夜更かしの結果、元日になってからベッドにはいって眠ってから見た夢なので無理やり初夢だということにしておく。前にも書いたような気がするが、私は高校時代の理数系の成績の悪さが今でも深く心を抉るトラウマになっていて、高校時代の数学や物理の授業前に慌てている夢を今になっても半年に1回くらいは見てしまう。今年の初夢が、イヤなことにずばりソレだったのだ･･･だいたい夢の中の私はもう、授業前で頭が動揺のあまり崩壊しそうになっている。（いつもこのパターンだ）ほとんどの場合、私はすでに学校を何かで休んでいるというシチュエーション。しばらくぶりに学校に来たら、もともと得意でない数学や物理の進度だけが順調に先に先に進んでいて、自分はもう教科書のどこをやっているのかもわからないという状態。今、学校で教えている場所がわからないどころか、それまでに習っているはずのところでさえ理解できてもいないのに、という焦燥感のあまり、オシッコをもらしそうな顔で学校に着く。周りの友達が頭を寄せ合って授業前の予習に興じているところに自分も遅ればせの頭を突っ込む･･･多少パターンは違っても、ほとんどの場合、私のこの夢はこの「出遅れ」から始まるのがどうもお約束らしい。さて、今回は（爆）久しぶりに学校の数学の授業に出たら、どうやら統計・確率の授業のところまで進んでいるというストーリーの夢だった。うーん、関数だとか微積分を今日いきなり授業で当てられて立ちすくむするよりは、統計・確率のほうが若干でもましかもしれないと密かに思ったりする。すでに予習用のプリントがみんなに配られていて、そのプリントに書かれている内容について同級生があーだこーだ言っているところに首を突っ込む私。ええ～？でも私のプリントはどこ？ないよ～～～。そのプリント、実は配られた段階で全部で5枚ほど足りなかったため、前の授業でもらっていない人の分は今日、先生が持ってくるのだという。確かに休んでいた私が悪いのだが、私は数学ができないのだから、誰か得意な人が先に私にプリントをくれないかなぁと思ってもみるがそれはどうやらムリな話なようだ。その時、同級生の野中さんという優しい女の子が私にプリントを見せながら少し説明してくれた。「ちゃとさんな、このプリントに書かれていて今日習うのは『ひょん学』のことやねん」と言う。「ひょ、ひょんがく？」「そう、『ひょん学』」ピアノのうまい野中さんは、いつもの穏やかなにこにこ顔で「ひょん学」なる、数学に似つかわしくない言葉を繰り返す。「ひょんがく･･･って？」当然、私は聞き返す。休んでいた間に「ひょん学」のちょっとした説明くらいはあったかもしれないが、私はそんな言葉は聞いたことない。言葉も聞いたことないというのは大きな問題だ。古い香水のように中身は抜け切っていても、三角関数や微積分、放物線･･･といった言葉自体は覚えている、が、その「ひょん学」なんていうのはどこかで見た覚えも聞いた覚えもない。野中さんが説明してくれる。「つまりね、ちゃとさん。こういう数学の確率の概念の中には一つ特別な場合があるんよ。ほら、よく人間って『B>ひょんなことでナニナニとナントカする』みたいに言うよね。ああいう時の『ひょんな』時っていうのは、そうではない平常の時とはまた区別して、多少の偶然性を加味して確率を考えないといけないわけ。その偶然性の加味については特別の係数が別にあって、このプリントはその『ひょんな』時とその時に計算に使う係数についての規則が書かれてるんよ。それでね、確率学の中で、この『ひょんな』時を考える確率の学問のことを『ひょん学』という呼び名で区別してるわけ」野中さんのその説明を聞いたか聞かないかで目が覚めた。2007年1月1日、午前8時20分頃。私はベッドからがばっと跳ね起きると、トイレにも行かず、もちろん顔も洗わずに、そのままPCの前に座ってYahooで検索してみた。「ひょん学」次の条件に一致する情報は見つかりませんでした。 ・検索キーワード：ひょん学まったくアイソなしの検索結果。（あたりまえか）野中さんが夢に出てきたことはこれまで一度もなかったし、今回、彼女が夢に出てくるまで、もう何年も野中さんのことを思い出したこともなかったのだが、彼女が突然夢に出てきて説明してくれた「ひょん学」は、えらい説得力があったのだ。夢の中の荒唐無稽な話とは言え、あまりにも出来すぎた筋立てに自分でも思えた。ベッドからPCのあるリビングルームに移動する間も口の中で「ひょんがく、ひょん学か･･･」と実際に言ってみた。数学が苦手な私だからこそ、本当はこういう狭義の法則がちゃんと存在していて、無意識にどこかでその名前を見たか読んだかで覚えていて夢に見たのかもしれないし、だとしたら私はかなり頭がいいのではないかと、心の中でちょっとわくわくしながら検索してみたのだが、完璧な虚構に終わってしまった。（爆）この初夢が、今年一年こういう虚構でわくわくするだけで終わるという暗示ならば、それはそれで困ったものである。

  2007年01月03日

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• 謹賀新年

  あけましておめでとうございます。日本から遅れること9時間で、イギリスにも2007年がやってまいりました。去年は後半、なんとなく人生で初めて立ち止まったような気がした時期に突入してしまってなかなかそこから抜け出せなくてもがいていた部分がありましたが、ちょっと今年は新たな環境を作るべく、とはいえ、あまり気負いがないようにやっていきたいなと思います。皆様と皆様のご家族や大事な人や、できるだけ世の中の多くの人に少しでもたくさんいいことが起こる1年でありますよう･･･今年もどうぞよろしくお願いします。

  2007年01月01日

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  「ヘンダーソン夫人の贈り物」

  年末は最後まで仕事、なのであった。最終日もやっぱり最後まで忙しくて、第三者から見ればこまねずみチックとも思われる動きで働き、そして残業･･･南イングランドは29日からこっち、嵐のような強風に襲われていて、この残業後の帰宅もこんな冬のさなかにアリかと思われるほどの吹き降りの中、すでに仕事が休みだったクマイチがまたも送り迎えしてくれる車で高速を駆って帰った。◇　　◇　　◇さて、話は変わるが、こちらのテレビですでに「ヘンダーソン夫人の贈り物」をなんと放映したので楽しみに観てみた。この映画、日本だと公開になったところだったとは知らなかった。というより、こちらでの公開は済んでしまっているので、日本での公開とそんなに期間が開いているとは思いもしなかった。これから観る人もあると思うので、過剰なネタばれを避けながら少しだけ。＊＊＊ヘンダーソン夫人（ジュディ・デンチ）は、夫に先立たれた上流階級の未亡人。莫大な遺産を残され、友達からは「これからはなんでも好きなことができるのよ、チャリティに力を入れるとか、宝石をしこたま買いまくるとか･･･」とそそのかされたりする。しかし、ヘンダーソン夫人は元来、人の言うことを聞かない、自分の感覚だけで動き回る、相手の迷惑だとか自分の言動の行き着く先を考えない･･･まあ、非常におちゃめで無邪気とも言えるが、とにかくヘンダーソン夫人という人は突拍子もないヘンダーソン夫人なのだ。そのヘンダーソン夫人、あり余る経済力を武器に、つぶれた劇場を買い取ってしまう。もちろん自分では劇場運営の采配のノウハウなど知るわけもなく、縁あって熟達者、ヴァンダム氏（ボブ・ホスキンス）を劇場支配人として雇うことになる。ヴァンダム氏のそばには、自分の劇場運営の知恵袋として、実際に出演する芸人かつコーディネーターの役割を果たすバーティ（ウィル・ヤング）。一筋縄ではいかない者同士であるヘンダーソン夫人とヴァンダム氏のコラボレーションで、無事に劇場の初日の幕が開く。ヴァンダム氏の構想が当たり、この劇場は、ロンドンの上流階級の人たちにとって話題の社交場になるのだが、人気者の宿命で、周辺の劇場がどんどんそれを真似た演目に変えていくことで、ヘンダーソン夫人の劇場は、いわば「多くのうちの一つ」に成り下がってしまったのだ。しかしヘンダーソン夫人がこの劇場を買い取った理由、自分がこの劇場で体現したかった本当のコンセプトは･･･女性のヌード、だったのである。時代はちょうど第二次世界大戦が勃発し、激化していく時代である。この時代にヌード･･･である。そしてイギリスは次第にドイツの砲撃に苦しめられることになっていく。＊＊＊＊＊まあ、はっきり言っちゃいましょう、年末ですから。ものすごく印象に残った一本、とはちょっと言えないかも、だ。（笑）しかし、この映画について「観たほうがいいか、観なくてもいいか」ともし聞かれたら、迷わず「観たほうがいい」に一票。個人的に私がこの映画を観たかったのは、やっぱりジュディ・デンチが出ているから。私自身、このジュディ・デンチという人はイギリスの女優でいちばん色っぽい人ではないかと思っている。「エントラップメント」に出ていた時のキャサリン・ゼタ・ジョーンズなんか、そりゃもう爆発的にキレイだし、今をときめくキーラ・ナイトリーのぷくっとした口元と大きな瞳も、女性でも心惹かれるものがあるが、なんといってもジュディ・デンチは、この声と目線とたたずまいがすばらしい。この映画の中では、劇場に出演する幾多のキレイで若いねーちゃんたちを当然配しているのではあるが、そんな中の誰よりもいちばん美しいのがこのジュディ・デンチだと言わせてもらいたい。ま、ジュディ・デンチも御年72歳なので、このへんの私の主張をいきなり却下する人もあるだろうが、それは人それぞれだ。とにかく私がこの映画を観たかったのはジュディ・デンチ目的。それから、相方役となるボブ・ホスキンス。私はこの人のことは名前以外ほとんど知らなかったが、辣腕の劇場支配人でとしてレベルを下げない厳しさに溢れながらも好感の持てる人柄として描かれている。出ている場面でいちばん観ていて小気味よいのはやはりジュディ・デンチとの間の、どちらも退却しないやり取りだ。そしてそして、そして･･･最後にウィル・ヤング。ええ、私がずーーーっとここで書いてきているウィル・ヤングが、結構この中では大きくてオイシい役になっている。当然、自分も出演していろいろ演技をしながら歌を歌う、という設定だが、正直に言えばがっかり。その理由。ここに出ているウィルというのは私が求めているウィルではないからだ。（爆）彼はきっと、この役の話があった時から絶対に自分がやりたい、やれると思ったのだろうと想像する。彼は天性の音程とリズムと、そこから来るダンスの才にも恵まれた人だし、元来が器用な人で、基本的にはなんでもできる頭の良さもある。それを自分でよく知っているウィルはきっと、この映画で自分の能力がフルに活かせると思ったに違いない。（えー、勝手に決めてますが）しかし、彼がこの映画の中で演じていた中身はミュージカルだ。ミュージカルが悪いと言っているわけではないが、結果的にそれが彼には合わなかったのだというのが私の感想なのだ。ミュージカルの歌、というのは、演技の中での単なるダイアログ・会話に音階を当てて歌のフレーズの形式に後付けで出力変換しているもので、こう言っちゃあ悪いが、音楽的なリズムというものに、なんの発展も意表もない。それが好きな人には申し訳ないが、ミュージカルの中の歌というものは、一個の音楽としての評価は私には「ノーコメント」だ。確かにそういう中からアンドリュー・ロイド・ウェバーやロジャース&ハマースタインみたいな大御所が作ったミュージカルの歌の中には、今や人気が一人歩きしてスタンダード化がなった歌もたくさんあるにはあるが、それとこれとはちょっと別。（爆）もちろん舞台上での踊り・シークエンス・構成・役者の演技の巧拙・歌･･･とすべて揃ってミュージカルとして完成度ができていくということはわかっているし、ミュージカルをミュージカルとして観ることはぜんぜんキライではない。ただ、私はウィル・ヤングがこの映画に出て「ウィル・ミーツ・ミュージカル」をやってみたが、結果的にスベったことがイヤ、という話。2時間弱の映画一編の中で、あれだけたくさんの時間、ミュージカルの人気者よろしく露出していたことは、ウィルにとって成功というよりはむしろ失敗に近いのではないかという、そこがこの映画とウィルに対する不満なのだ。この映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」の中で見るウィルの演技は、あまり人を魅了していない。非常に平面的に、ちょっと器用なミュージカルの出演者をこなしている以上のものが見られない。もしもこの映画の中で初めてウィル・ヤングを見た人にとって、この映画の中のウィル・ヤングというものはほとんど印象に残らないのではないか。それくらい、ウィルの持っている本来の才能がこの映画からは読み取れない。ウィル・ヤングの出始めからのガチガチの支持者の私としては、あの映画の中のウィルをもって「あれがウィル・ヤングという人」と思われたら困るのだ。クマイチに「ウィルが映画に出たんだって」と言った時、クマイチは「彼はシンガーなんだから、なんで映画になんかわざわざ出ようと思うんだ？」と言って、バカらしい、といわんばかりだったが、まさにその通りの結果になったと思う。ということで、この映画はとにかく「ウィル・ヤングは出てほしくなかった、出なくてよかった」という個人的な痛恨もあるにはあるし、うーんと･･･ちょっと全体の流し方とか映画を作る人の真意の伝え方がファジーな部分はあるが、ジュディ・デンチとボブ・ホスキンスのやり取りは、ああいうキャリアと味のある役者ならではのかけ合いに仕上がっていて、それだけでも、映画が好きな人なら観る価値はあると思う。よろしければ観てみて下さい。

  2006年12月31日

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  「グッバイ、レーニン!」

  そして、この間借りてきたDVDの最後に見たのが「グッバイ、レーニン!」だった。結論から言おう。ダイスキだ。（爆）「グッバイ、レーニン！」**そして、いつものように若干のネタバレでスミマセン。1989年の10月のある日。当時、東西に分かれていたドイツ、東ドイツのベルリンでのこと。どこにでもいるような青年、アレックスは、迫り来る自由経済・資本主義の静かな圧力が引き起こす学生デモの一つに参加していたところ、デモの沈静化に躍起になる警察につかまってしまう。その現場をたまたま通りがかって目撃したアレックスの母、クリスティアーネ。彼女はそれを見てその場に倒れこんでしまい、急性の心臓発作で病院に搬送されてしまう。クリスティアーネがそれほどの打撃を受けるのには背景もあった。まだ幼かったアレックスと、その姉アリアネを抱えたクリスティアーネの夫は西側に亡命していった。その打撃を振り払うかのように、2人の子供を育てるかたわらで、クリスティアーネは一心に社会主義活動に精を出し、児童団の少年少女を社会主義流に育て、ともかくまっかっかの社会主義ガチガチの生き方をまっとうしようとする。アレックスがデモに参加したのは別にそういう母への反感というような強い感情でもなく、ただ世間の流れに乗って自分もデモに参加して歩いてみた、という程度だったはずなのだが、とにかくその時にアレックスが警官に小突き回されているのを見たクリスティアーネ自身は、東ドイツ建国40周年の式典に参加する途中。社会主義一辺倒で生きてきて、いまや模範的な党員としての立場を築いた自分と、軽い気持ちで西側社会への憧憬を連呼するデモに参加している息子。病院に搬送されたクリスティアーネは、いつ覚めるともわからない長い眠りにつく。年が変わって1990年、ベルリンの壁は崩壊し、東ドイツという社会主義国は永遠になくなってしまう。奇跡的にクリスティアーネが8ヶ月の昏睡状態から目覚める。そのクリスティアーネを家に引き取り、介護する生活を始めようとするアレックス。姉のアリアネもそれなりに手伝ってはくれるが、彼女は彼女で子供ができ、そして新しいボーイフレンドもでき、彼女自身の家庭として考えるべき生活もある。母の退院の時に主治医から「お母さんにはいかなる精神的ショックも与えてはいけない。そのことで次にまた発作が起きた時の命の保証はない」と強く言われたアレックスは一つの決心をする。あれだけ社会主義に誇りを持って生きてきた母に「東ドイツは、社会主義は、崩壊したんだよ」とは言えないアレックス。しかし、家の窓を開ければどこもかしこも資本主義の色にどんどん塗り替えられていく旧東ドイツの残骸（もう残骸さえも見当たらないほど）ばかりで、8ヶ月の昏睡状態の間にそのような大きな変化の波が押し寄せ、そしてさらわれていったことは絶対に母に知られてはいけない。ベッドの中で日がな一日、静養して過ごさなければいけない母クリスティアーネに「社会主義の東ドイツ永遠なり」をアピールするためのアレックスの、笑えるような笑えないような工作が始まっていく。＊＊＊＊＊はい、終わって泣きました。ちょっと。（笑）ここしばらくで私にとってはかなりヒットの映画。最初にこの映画のことを知った時、このお母さんという人は、もう相当お年を召した人をイメージしていたら実際はぜんぜん違っていた。お母さん・クリスティアーネ役のカトリン・ザースという人はキレイな人だったので驚いた。私好み。特に、退院してからの感じがきれいな人だなぁと思った。そして息子役のダニエル・ブリュール。名前はドイツっぽい気がするが生まれはスペインだそうだ。むちゃくちゃオトコマエという感じではないが、押し付けがましくない母親思いの役柄はぴったり。そのガールフレンド役のチュルパン・カマートヴァって、映画の中でもソビエトから来た看護婦という役だったが、本当にロシア生まれのようだ。この子がまた、なんとも言えずかわいくてイヤミがなくて、ファンも多いだろう。いわゆる悪人のいない映画というか、人間の善意というのはこういうものなのだという映画。アレックスがお母さんに、とにかく壁崩壊・資本主義のなだれ込みを見せないために一つずつ考える小細工が、とってひっつけたようでおかしい。おかしいのだが、それをマジでやっている息子という構図が優しいと思う。どちらにしても映画というものは虚構の世界だから、この映画の冒頭から結末を理詰めで考えれば「そんなん、おかしいやないか」と突っ込む人もいることはいるだろうが、どちらにしても想像の世界なのであれば私はこういう映画が観たい。病み上がりのお母さんにショックを与えないために、あらゆる周りのものに工作しまくって、いわばウソにウソを塗り固めていって、いったい最後はどうなるのだろうと、思いながら観ていた。人によっては結末が納得いかないと思う人もいるらしいのだが、私はあれでよかったのだと思う。若干、膨らまし足りないエピソードや登場人物があったりで、それならいっそのことカットしてもよかったのではというような場面がなきにしもあらずだったが、総体的に秀逸な映画だと私は思った。人間らしい心のあり方、の一つの形をコミカルともシリアスとも、見る人のスタンスで見ることのできる佳作であることは間違いない。

  2006年12月30日

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• 長い一日

  休み明け初日は最悪の出だしとなった。休業明けは、休業日の間に他の部署が引き受けてくれていた仕事を山盛り戻されるので、もともと心してかからなければいけない日、ではある。しかし、この間の日記にも少し書いたが、よりによって世間全体が休業明けの日だというのに国鉄の突貫工事が急遽決まった。通勤する列車の途中が一部断線になってバス接続になるという状況から、休みの日の最後は会社にほど近い駅のホテルに泊まって翌朝出勤することも考えていた。しかし、わびし過ぎる･･･ホテル代が会社から出ても、お金の問題ではない。いろいろ考えた結果、涙の決断でクマイチが朝、職場まで送ってくれることになった。いや、もちろん彼も出勤日だから、彼は私を送ってから、反対方向に出勤しなければいけないのに、だ。タクシーを手配しておいて会社まで、ということも考えたが、朝まだ真っ暗な時間に、そんな知らない人の車で（そりゃタクシーですから）出勤してもらいたくないとクマイチ。結局、昨日の朝、クマイチと私は5時半に家を出発。もちろん、真っ暗。しかし、案外冷え込みが緩くて道も凍っていないし、さすがにこの時間だから道路もまったく混んでいない。かなりスピードを出して走ってもらったが、やはり高速を飛ばしても55分かかる。途中、国鉄手配の代替バスを追い越したが、お客らしい姿はぜんぜん見えず。（そんなバスにこの時間、乗ることを想像するとイヤだ）会社に着いたら6時半。クマイチは車でそれからまた1時間かけて家に帰り、出かける準備をして、今度はまったく反対方向のロンドンの中心に向けて電車通勤していくのであった。･･･ご苦労様でした･･･ありがとう。やっぱりこの日は仕事が立て込み、普通だったら3時半に終わって帰るところ、結局その日のタスクが全部片付いたのは6時。（後半、能率が落ちた･･･）国鉄の工事は終日なので、帰りも電車は途中駅まで。バスが出ている途中駅で電車を降ろされる。その途中駅は規模が大きくて、そこからバスの乗り場まではかなり距離があるが、あちこち行き交う人たちの流れに沿ってバス乗り場に向かう。到着したバス停で、それらしい代替バスが見当たらないので、そこらにいる係員に「●●駅に行きたいんだけど･･･」というと「2つ方法があるね」と。よく聞くと、実はとんでもないことになっていた。最初、そうなると聞いていたような途中区間のバスのピストン運行はなぜかなくなっていて（というより路線が変更になっていて）私がいるその駅から1）もう一度、会社の方向に電車で戻り（ええっ？）今いる駅も迂回するぜんぜん違う路線の列車に乗り直して、できるだけ家の最寄り駅に近い駅で降りるか（うそっ）2）一旦ロンドンの中心の駅に直行するバスに乗り、そこからうちの最寄り駅に行く反対方向の電車に乗って戻るか･･･つまり家の付近を横目に見ながらロンドン市内に行っちゃって逆戻りというとんでもないオプション2つを提示された。1）はとんでもない。いつも通っている区間の駅付近すら土地勘がなくて困っているのに、ぜんぜん違う路線に乗って、家の最寄りに近そうな駅で降りて、そこから家に戻るなんてことは私にできるはずがないし、2）だってひどい。なんで家の近所の高速をスルーしてロンドンまで行かないといけないのか･･･文句も苦情も言わず「はあ、そうですか、考えます」と言った。こういう時の苦情は、言っても改善しないことがわかっている分、自分が疲れるだけで相手が動かない空砲に終わる。途方に暮れながらクマイチに電話して状況を説明。「まだ会社の近くだけど、家に帰って車とってから迎えに行こうか？」と言ってくれる。でも、朝も迷惑かけちゃったんですけど･･･それに、はっきり言えば、クマイチがロンドン市内から家に戻り、それから車で来てくれるとしても、どんなに早くても1時間、まあ普通に考えて1時間半程度はそこでじぃっと待たなければいけないのだ。うーん･･･どうしよ。こういう時、日本だったら知らないところでも時間の潰しようがあるが、イギリスの知らないところで私はうろうろしたくない。毎日そこを通ってはいても、文字通り通り過ぎるだけで近辺のことはよく知らないのが途中駅だ。でも、結局のところ、知らない場所でバタバタ乗り換えながら結果的に目算2時間ほどかけて家に帰るのか、じぃっとここで1時間半くらいクマイチを待って車で連れ帰ってもらうかのどちらかしかないのも事実。電話口で、うーん、うーんと、便秘のオバハンよろしく悩んでいる最中に声がする。「ちゃとさんっ、ちゃとさんっ？」はぁ？こんなところで誰が呼ぶねんと、電話を持ったまま左横60度の声の方向を見ると、なんと前職での同僚、そして同郷のみかちゃんではないかっ！「ごめん、ちょっと電話切る」と言ってクマイチとの電話を切り、みかちゃんに「きゃ～、どーしたん？」とあらためて向き直ると「ちゃとさんこそ」とみかちゃんも驚愕している。みかちゃんは彼氏と一緒で、2人ともスーツケースを持っている。彼氏の郷里でクリスマスを迎えて飛行機で戻ってきたら、この突貫工事でダイヤが変更になっていることを今、駅で知ったのだと言う。みかちゃんの家も実はうちに程近い。みかちゃんと彼氏に、この大迷惑な国鉄の工事期間に突入していて、私も帰宅途中で途方に暮れていたと手短かに話す。彼氏が「タクシーにみんな一緒に乗って帰る？」と提案してくれたが、この状況だと、ミニキャブと言われる値段交渉のタクシーも売り手市場でいくらにふっかけられるかわからないし、だいいち車自体が見つからないかもしれず、この状況で空いている車のほうが怪しくさえある。みかちゃんは渡英直後に3週間うちに居候していて当然クマイチのこともよく知っているし「実はね、今、電話でクマイチが『迎えにいこうか』って言ってくれてたんだけど、みかちゃんたちさえよかったら一緒に乗って帰る？その代わり彼自身がまだロンドンの中心にいるし、一度家に帰って車とってきてから来るから時間はそこそこかかるよ」と持ちかけた。彼女たちも一緒に同乗するなら、彼女たちも、待ち時間はかかっても確実に家に帰れるし、待っている間に久々にお茶でも飲みながら話して待ち時間は潰せる。「でも、もしも早く帰る用があるとかなら無理に引き止めないし、ミニキャブで帰れそうだったらそうしてくれてもいいよ。でも、もしもよかったらと思うだけで」みかちゃん、彼氏と顔を見合わせ「ホントにいいんですか？」と。話が決まったのでクマイチに電話。実はみかちゃんに会って･･･と話すと、クマイチは「わかった。じゃ、家に戻ってから迎えに行くから」と言ってくれた。座れるところに場所を移して、みかちゃんと彼氏と私の3人でお茶を飲んだ。食事でも、という話も出たが、結局誰もお腹が空いたという人がなかったのでお茶だけ。みかちゃんとは4月頃に一度タイ料理を食べに行ってからご無沙汰だったのだ。家は比較的近所なのに近所では会わず、本当だったら私もみかちゃんも降り立つ駅でもないところで偶然会うなんて本当に驚きだ。しばらくご無沙汰の近況を埋め合い、みかちゃんの彼氏とも少しずつ話す。みかちゃんの彼氏の話はもう数年に亘って聞いていたのだが、彼は今、よその国で仕事をしていて、みかちゃんと彼は中距離恋愛だったから彼女が彼をパーティに連れてくるような機会もなかったから、会ったのは昨夜が初めて。結局クマイチが来たのは1時間半ほど経ってから。クマイチも、私がみかちゃんと偶然会ったことにびっくりしていたが、みかちゃんと彼氏が一緒だったからかえって安心したようだった。車の中で、またひとしきり話しながらの帰り道は本当に速かった。とにかく年が明けたらまた食事にでも行こうねと言いながら彼女の家で2人を降ろした後、家に着いたら9時過ぎ。そうして休み明けの一日が過ぎた。

  2006年12月28日

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  「おばあちゃんの家」（この映画、お好きな方にはゴメンナサイ）

  うーん･･･今日の日記を書くのは勇気が要る。（苦笑）まず初めにlalameansさん、そしてべるさん、スミマセン。韓国映画「おばあちゃんの家」を観たのですが、私のツボにははまりませんでした。なら、他人様の気を悪くしてまでこういう日記は書かなきゃいいという考え方もあると思うのだが、あえて･･･書いてみることにした。「おばあちゃんの家」***以下、最後までネタばれ、若干あります。（未見の方、すみません）どんな映画かという背景もちょっとは書いておかないとわからないし、かといって書き過ぎてもアレなのだが、端折って書いてみるとですね、離婚して母子家庭になった若い母親が生活リセットのために仕事を探す間、郷里のおばあちゃん（自分の母親）に、まだ会わせたことのなかった息子＝おばあちゃんにとっては初めて会う孫息子、を2ヶ月ほど預かってもらう、その間の子供とおばあちゃんの距離感を描くというという淡々としたストーリー。いえ、もう私は十分泣きの準備にはいっていたんですよ。DVDをプレイヤーにセットした時から泣きモードに王手がかかっていた状態。すでに昨夜もちょっとしたことで泣いたため「また映画で泣くの、いやだなぁ」と観る前からうんざりするくらいその気満々な上（爆）、だいたい何を見ても泣くタイプなので私が泣いた番組・映画だということは別に何の指標にもならないくらいだが、とにかく背中を人差し指で押したら泣く、という地点に立って観始めたこの映画、実は最後までじわっともほろっとも来なかったのだ。観始めてすぐ、私はこの映画を理屈と理性で観てしまっていることに自分で気がついていた。よほど驚くような展開にならない限り絶対にこの映画では泣かないだろうことはかなり最初の部分でわかり切ってしまった。こういうひねくれた観方で映画に入り込むことは自分でもかなりめずらしい。この映画を勧めて下さった方々、いいと思っておられる方々にケンカを売るつもりは一切ありませんが、私的な映画評なのでどうぞお許し下さい。＜泣けなくさせてくれたポイント＞１．何よりもまず年配の親族に対する敬愛が最初から意図的と言ってもいいくらい露骨にこの映画から抜き取られていること。最初からここまであざとくするのは最後のシーンのためなんじゃないの？と最初に感じてしまい、ああ、ダメだなと思ってしまった。もう、最初からこの主役のガキたれが、人に対する敬意のかけらもない＆ただイヤミにこましゃくれている人物設定。あまりの敬意のなさが目立ち過ぎ、最後には、大団円とまではいかなくても、子供とおばあちゃんの間で何か意志の疎通に成功したような場面で終わらせるんでしょ、はいはいという読みがはっきりし過ぎていた。だいたい、自分自身の幼児体験から今に至るまで、親や年寄りをないがしろにするという行為が私の辞書にはない。だから、最初からふてくされまくったガキたれを観ていて、映画だとわかっているにも関わらずガマンできず激怒に溢れてしまった私なのであった。こうなってくると、そこまで逆鱗に触れるガキを演じているこの子の演技に拍手も真実味もあったものではない。映画という虚構の中でも、あたしゃ親や年寄りをこんなふうに扱うテーマは許せないと思ってしまうのだ。2．この子供の母親にも大きな嫌悪感を感じた。この子供がこんな底意地の悪い性格になったのはだいたいオマエのせいじゃ、とまず画面を見ながら毒づいてしまった。どういう経緯で子供の父親と別れたかは描かれていないが、察するに、田舎暮らしに嫌気が差して家を飛び出し、くっついた男との結婚（結婚したか単なる同棲かは不明）との「できちゃった」でできたのがこの子供、そして男にはきっちり逃げられた、という筋書きは容易に予測できる。捨て置いて出てきた母親にも顔向けできる年月ではなく、本当に困り切って今回初めて親元を頼り、まだ会わせたことのない子供を厄介払いのように預けたと思われた。母親も母親なら子も子。すごい偏見と先入観ではあるが私はそう思ってしまう。この母親自身も我が子がわずらわしい（そう見える）と思っている様子がうかがえる上に、その厄介者を預けたおばあちゃん･･･つまり自分の母親、も別な厄介者と思っている様子が見え隠れする。この若い母親にとっては、自分自身とおばあちゃんでさえ不義理をした年月の果ての再会のであるにも関わらず、長年の音信不通を詫びる気持ちもなければ思いやりのかけらもなく、こましゃくれた子供だけを置いてさっさといなくなってしまう。そうでなくても韓国は目上の人を敬うことにかけては日本よりもきちっとしていると思っていたが、これはいったいなんだ？負の感情で観始めると、どんどんそれが大きくなってしまい、こういう母親を作り出したこのおばあちゃんの責任も小さくないのではないか、というところにまで思いが至ってしまった。こうなると「坊主憎けりゃ･･･」式に憤怒は雪だるま式に膨れ上がる。（爆）この非常に寒々とした初期設定であったことで、私はすでにこの映画への愛着を無くしてしまっていた。韓国の映画やドラマは、時々こういう「これでもか」系ネガティヴ・不幸満載の状態から始まるものが多いが、どうして普通にできないのかと思ってしまう。3．細かいことを言うが、この子供の母親役って子供の年齢と見た目からは30歳前後の設定と思われるが、それに比例しておばあちゃんが年寄り過ぎ。この母親役の祖母だというならわかるが、確かにおかあさんと呼んでいた。このおばあちゃん、どう見ても70をとっくに過ぎている。70どころか80を過ぎている設定だと言われても不思議ではないくらいだ。映画そのものが2002年の作品で、特に昔のどこかの一時代を切り取って描いたものではないはず。（だって子供はポータブルのゲーム機みたいなのを持っているし）いくら姥捨て調に過疎の田舎に置き去りみたいな状況にいるおばあちゃんとは言え、本当に字も読めないし書けないというのは腑に落ちなさ過ぎ。口が聞けない、腰が曲がっている、体が弱い（このおばあちゃんは老齢であっても持病があるとかいう設定ではなさそうだったが）ということはあり得るかも知れないが、現代を描く映画で、いくら年配の人でも韓国で文盲という設定は説得力なさ過ぎではないのだろうか。いわゆる、社会的弱者中の弱者のアイコンに仕立てられたおばあちゃんと、「超」がつくわがまま・利己主義・怖いもの知らず・リアリティ無しの現代のク●ガキがそのおばあちゃんから何かを2ヶ月で学ぶという設定、ちょっとそれはアリかよと思う。淡々と場面を描いて綴る映画なのであれば、そういう極端を排除しなければならなかったのではないだろうか。いかにもな初期設定は観ている人を興醒めさせてしまうだけだ。まあ、出来上がっているものに対してあれこれ言うのは簡単だが、ここまで行くとToo muchな映画だと思わずにいられなかった。･･･ということで酷評ばかりでごめんなさい。私にとっては「あり得るかもしれない」「普通の」映画として観ることはできなかった、ということも時々は隠さず書いておきたいと思ったので。

  2006年12月27日

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• 本日のイチオシ（笑）

  私はだいたいマンガ・アニメ、というのを見ない。キライというのではない。むしろハマってしまった時のことを考えると、未然にそれを防いだほうがいいと思うのと、別にマンガやアニメでなくても普通に本でも映画でも読むべきもの・観るべきものがいっぱいあるので、マンガやアニメには意識が回らないだけだ。で、そういう中で。ひょんなことで（実は姪っ子の下のほうから教えてもらった）知って、結構ツボにはまったネットアニメ。えーと、今、全部でどうも8話らしい。基本的には短編だったので、いきなり全部見てみたが、かなり笑えたのだが、これはどちらかというと姪っ子みたいな子供が見ておもしろいと思うアニメでもないというか、場面によってはシャレにならんというか･･･とにかく見てみて作者の感性にびびった。（笑）人それぞれにスイッチがはいる場所が違うので、誰が見ても絶対おもしろいという確約はできないが、人によってはウケるかもしれないのでご紹介。やわらか戦車

  2006年12月24日

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• 映画の窓

  さて、そして休みになった。この時期はテレビでもいろいろ映画をやるのだが、それ以外にも時間を余すところなく映画漬けになりたいと思ってDVDを借りてきました～♪とは言え、こっちのビデオ屋は新作も高いっ。1泊で900円くらいするのさ。なので、借りてきたヤツは「今、見るんか～？」というような古いやつばっかりだが＊ユージュアル・サスペクツ（1995年）･･･ついこの間、初めて観たのだがもう一度。（笑）＊クライング・ゲーム（1992年）･･･実はこの映画は公開当時からメチャメチャ好きで。＊おばあちゃんの家（2002年）･･･韓国映画。lalameansさんが前に映画評を書いておられたので。＊グッバイ・レーニン（2003年）･･･都たんぽぽちゃんの映画評を以前読んで、絶対に観たかったから。＊ブラス（1996年）･･･また観るんかいっ？（爆）＊ビヨンド・ザ・シー（2004年）･･･観たかった。ボビー・ダリンの同名曲タイトルだったし。それではそろそろ突入します。うひっ。

  2006年12月23日

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• 年末の困惑

  一昨日の夜あたりからか、イングランドはきゅ～～～っと冷え込んできた！12月の前半はなんだか、しびしび、しびしびした雨が多くて、暗くて落ち込んだ。いや、雨でなくてもこの時期は暗いというか、そりゃもう日本の冬至の短い日照時間からさらに短いような日照時間は精神衛生上も悪い。しかし、その、雨の多い12月前半は、それはそれでめちゃくちゃ寒いわけでもなかったが、さすがに半分過ぎてしまうと急激に冷え込み、今日も4時半過ぎにはすでに暮れ切った家路を5～6分歩いただけなのに、その寒いこと。そりゃもう、超特大サイズの冷凍庫の中を歩いているのではないかと思うくらいだった。同じビルのイギリス人たちはもうぜんぜん仕事をしていない。仕事をしていないだけなら目をつぶってやるが「黙れ、おまいら」と日本語で叫んでしまうほどうるさい。こっちは仕事中だ。客からの電話を捌いているというのに、イギリス人連中たちはクリスマス前だというと、普段から仕事なんか片手間にしかしていないのに、さらに仕事放棄に拍車がかかり、もう何をしに会社に来ているかわからない。（だったらどこかよそのパブでしゃべってきやがれ、だ、まったく）とりあえず私たちも連休にはいることははいる。土曜は少々営業するし、その日の出勤当番も決まっているが、まあ私の出勤ではないので4連休。自分のでぶ性出不精さ加減には拍車がかかってきてしまい、その休みは家でゆっくりしよう、できたらちょっと掃除でもしよう、というふうに考えていたら、10日ほど前にクマイチがいきなり「連休、どっか行く？」と言った。ああ、こういう言葉に弱い。もともと自分自身はどこかに行きたい、とか、最近は思わないことにしているのだが、人から言われると、どこかに抑圧されていた気分がムラムラと首をもたげてきてしまう。「どっかって、どこよ」と自分で思い始めたが最後、おうち休息の予定のはずが、いきなり心はお出かけ。（爆）「えーっ？寒いところはイヤだしなぁ･･･」まず、寒いのは絶対にパス。イタリアか？それもローマとかじゃなくて、ほんの短期間だけど今年行けなかったシチリアにする？でもなぁ、基本的に25日のクリスマスは、ヨーロッパはどこの街も死んでいる。ローマだったらある程度は勝手はわかるけど、そんなに暖かいわけじゃないし。ギリシャ？アテネくらいだったら？ちょっとのことで遠いかな･･･4日間か、または前日の金曜の夜から出かけられて5日間弱だし、いずれにしても短期間だと割り切って行くしかない。ドバイに行ってみる？イスタンブール？いっそのこと、往復の飛行時間は長いし高いけどシンガポールに行ってみる？･･･こうなるともうメチャクチャだ。もう少し現実を見ろってんだ。南欧、というような字づらだけ見ていると、同じヨーロッパでも南は暖かいのかと思ってしまうが、ちっちっ。そりゃ寒いです、冬なんですから。（爆）で、またパリにでも行ってみるかという気になって航空運賃を調べたら思ったより安いし、まだホテルも取れそうだ。パリに行くなら金曜の夜から出かけられる。（しかし、寒いところはイヤだという大前提は音を立てて崩れ落ちる）そう思って、自分で組んでいる職場のスケジュールを確認したら、なんと連休の前日だから自分を遅出にしていた･･･これだと仕事の後には出発できない。あ～あ、と思いながら、土曜からでも4日間行くかどうかを考えていたら突然、気持ちが萎えた。やっぱりヨーロッパの25日は何も動かない廃墟だと考えたほうがいい。パリと言えどもロンドンと同じか、宗教色が少し強い分、さらにその影響が色濃いだろう。でも、25日でも食事はしなければいけないし、そういう手配のことを考えたら途端に気が重くなって、結局どこかに行くという企画は挫折。クマイチはいまだにまだ「その時にさ、どこかドライブして一泊してもいいし」なんて言っているが、私はふらっと出かけて気が向けば泊まる、というような行動は好きではない。高くていいところに泊まりたいと思うわけではないが、どうしようもなくて妥協してまでヘンなところに泊まらないといけなくなるような事態がイヤなのだ。それ以前に「どこかに行く？」と言われるのがもっとダメかも。最初からそういうことを意識していない時にそういう「寝た子を起こす」誘いで、平穏な気持ちがどうしてもぐらぐらさせられる。せっかくクリスマスから新年用にテレビガイドも買ったのに。（爆）しかし、さすがに10日も経ったので今はもうどこかに行く、というような気持ちは収まってしまったとは言え、もう少し近場でどこかないか、と思わないでもない。（やっぱり）そうすると候補地としては2箇所。ロンドンの街中は（いつでも行けるし）ちょっとカンベンしてほしいかなと思うので、ここから車で片道2時間かけて、とあるアウトレットショッピングセンターに行くか、車で45分の大ショッピングモール（アウトレットではない）に行くか･･･いやぁ、すごく買い物したいわけではない、と言いつつ、そりゃあ何かあったら買うかもしれないけど、ちょっとは連休らしいこともしたいかな、みたいな気持ちだ。まだクマイチには相談していないし、実際にどの日に行くかは考えないといけないのだが（25日はどっこも休業です）いくら車でも、ちょっと躊躇するくらい寒くなってきたし。と、そんなことを考えていたら一大事。27日が連休明けの出勤日になるのだが、他のスタッフの負担を考えて私が早出で出勤して、連休中の引継ぎ分を処理しようと思っていたら、この27日とから28日にかけて、なんと国鉄が工事することに決まったのだ。自宅の最寄り駅から会社の最寄り駅は、特急で30分なのだが、その区間が工事のおかげでぶった切られA駅（自宅の最寄駅）↓　　　　　　　　　この区間は電車B駅↓　　　　　　　　　この区間は代替バス運行（爆）C駅↓　　　　　　　　　この区間は電車D駅（会社の最寄り駅）という変更になるのだそうだ。所要見積もり時間が1時間20分･･･これ、もしも全部の交通機関がちゃんと走って1時間20分だから、どれかが遅れたら2時間くらいは軽くかかりそうだ。よりによって連休明けにどうしてこんなことになるんやぁ～～～。遠距離通勤の経験がいろいろあるみつこさんは「時々この代替バスって、ぜんぜん道を知らない人が来るのよね～、サイアクよぉ」と言っていた。バスに乗ってるお客が道を運転手に教えることがあるらしい。そんなバスに乗った日にゃあ私は目的地まで着きまへん。だいたい途中のそんな車が通る道なんて私はぜんぜんわからないし時間も読めない。考えた末、私は連休の最終日にC駅の駅前のホテルに泊まることを最悪の選択肢として考えざるを得なくなった。会社の最寄り駅はなーんにもないところで、C駅にしかホテルがない。この2日間は自宅から会社に行くのも大変だが、会社から自宅に帰るのも同じ遠回りになるのだ。しかし、だからといってC駅前のホテルに泊まってまで出勤しないといけないのかしら、ワタシ･･･そんなところに1人で泊まってもしかたがないのでクマイチも誘いたいところだが、クマイチがC駅に泊まると、彼が反対方向のロンドン市内に通勤する時に同じことになってしまう。「連休にどっか行く？」なんて悠長なことを言っていたら、どうして連休明けの出勤日めがけてC駅前のホテルに泊まるような状況を考えないといけないようになるなんて予測もしていなかった。なんでまたこんな気が重い年末になってしまうのだ？いまだ予定はまったく立ちそうにない。（爆）

  2006年12月21日

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• Golden Girl

  予定外の話題だが、この間オーディション番組「X Factor」で勝ったレオナ・ルイスについてもう一度。土曜にこの番組の決勝で優勝してからも、イギリスでは彼女関連のニュースはコンスタントにアップデートされている。そこからすると、やはり彼女はイギリスが満を持して世界に王手をかける最初のアーティスト、という位置づけにいるらしい。審査員兼彼女の指南役でもあった悪名高きサイモン・カウェルは番組の決勝を待たずに、アメリカの音楽業界の大立者であるクライヴ・デイヴィスにレオナのテープを送り「いけそうだと思ったら連絡がほしい」と相談していたらしい。抜け目ないクライヴ・デイヴィスは商売にならないモノはどうでもいいのだが、レオナのパフォーマンスを見てすぐにサイモンに連絡。「X Factor」で優勝するかどうかはどうでもよかったのだそうだ。レオナ自身は、番組で何度も審査員たちから何度も「自分の本当の才能・能力の質量に自分自身で気づいていない」と言われていたが、まあ確かにそうなのだろうと思う。テレビカメラの前に一度立てばイギリスの全人口6000万人に見られるかもしれないのだ。そう思うと誰でも多少は、ちょっと様子する・カマトトぶる・よく見せようとする、みたいなところがあるだろう。それが思いのほか長期間になってくるとボロも出てくるだろうが、彼女はこの番組の期間中ずーっと、歌っている時以外は煮え切らない感じで、見た目の華やかさとはずいぶん違う子だなと思っていた。あまり自分の立場もよくわかっていないというか強欲・ナマイキなところがまったく見えないイモねーちゃん的な素の部分と、歌っている時の彼女のギャップがあまりにも大きかった。彼女自身は相当努力した人らしい。高校卒業後にピザ屋のウェイトレスや、会社の受付係といった職でこつこつ貯めたお金でスタジオを借り、楽器を借りて自主録音もしてみたが、結局そのレコードを出してくれる会社は一つもなく、門前払いで冷たくあしらわれる日々だったそうな。この「X Factor」の直前にも他局のオーディション番組に出たがダメで、今回の「X Factor」でダメなら、これをしおにきっぱり夢はあきらめようと思っていたのだと。･･･こう書けば、いかにもありそうな話ではある。彼女でなくても、こんなふうに努力している人たちはあっちにもこっちにもいるだろうが、成功する人は何かがやっぱり普通の人とは違うはずだ。さて、先週の土曜日の決勝は視聴者1280万人で、投票総数800万人強のうち60％がレオナ票だったそうだ。彼女が優勝の瞬間の直後からデビュー曲のダウンロードでの先行発売が始まったが、なんと優勝直後30分で50000ダウンロードは世界最速のペースだという報道で、今の段階で週中のダウンロードチャートでは当然1位。それまで1位だったテイク・ザットの1回ダウンロードの間にレオナのシングルは6回ダウンロードされているという比較。シングルCDは明日の水曜に店頭発売開始。実は今年のシングル売り上げの年間No.1はナールズ・バークレーの「Crazy」で、数字は80万枚強なのだが、今のペースだとレオナのデビュー曲は明日の店頭発売開始後、日曜までに70万枚売れ、年内中にレオナがナールズ・バークレーの年間No.1の位置を明け渡させることはほぼ間違いないと予測されているらしい。そして毎週月曜に発表されるUKチャートNo.1。特に次の月曜はクリスマスということで、毎年クリスマスのUKチャートNo.1はよく話題にされるが、もちろんレオナのこのシングルで決定との予想。レオナのこのデビュー曲「A Moment like This」はもともとはアメリカのケリー・クラークソンの持ち歌。誰が作った歌か知らないがメロディの作り方がばらばらだし「無理やり転調もしてみましたぁ」という感じで、あまり褒められた出来の歌ではないので私は買わない予定。ついでなので、オリジナルのケリー・クラークソンの動画とレオナの動画も貼っておくので、おヒマなら比較でも･･･まあ身びいきと言われてもしかたがないが、もともとケリー・クラークソンは好きになれないこともあってレオナの圧勝。（笑）おっと、それから他国の反応として、You Tubeではレオナのパフォーマンスにすでにアメリカからのアクセスが100万回を超えているそう。さて、こういう状況もあって余計に、マスコミも音楽業界も「レオナ・ルイスはイギリスが待ちに待った国際級シンガー」で、これまでのイギリスでのオーディション番組の優勝者とはそりゃもうぜんぜん違うスケールだという論調で全英一致。彼女はこの流れでいけば、年明けにもアメリカに飛んでロサンゼルスあたりでお披露目ということになっていく。しかし、これは非常に個人的なわがままなのだが、やっぱり彼女はイギリスのアーティストであることを忘れないでいてほしいと思う。昔はそんなことにはまったく気づかなかったのだが、イギリスの音楽というのは本当はいろんな意味でおもしろい。イギリスは、アメリカのように国土の大きさに明かしてどかーんと売る戦略は取れない。大きな理由は、そこまでのお金がないからだ。今回の「X Factor」だって100万ポンド=2億2千万円のレコーディング、なんて言ってびびっているが、すでにアメリカじゃレオナに5000万ポンド=110億円のオファーが用意されている。しかし、そういうヒンソでヘンコなイギリスだからこその色合いというものもある。●イギリスにはどこまでいってもちまちましてひねくれた部分・天気を繁栄したインウツさ・そしてかつての大英帝国の過去の栄光的プライド・非常に頑固な手内職的な性格･･･こういったものが相まって絶妙・珍妙な文化を生み出していて、それが映画にもテレビドラマにも、そして音楽にも反映されていると私は常々思っている。●イギリスというのは、どかーんと売る戦略を要求もしない代わりに、あちこちに「ええ？こんなことまでやっていいの？」的な実験的試みを取り入れられる強みがある。（お金がかかってないから）失敗したらすぐにフェイドアウトできるように、かどうかは知らないが、結果がダメだったものは簡単に消えては行く。●しかしイギリスという国は文化的には打たれ強いというか、社会的な非難を少々受けてもへこたれない頑迷さに満ち溢れていて、それが突然、陽の目を見ることもある。（笑）ちょっと周りを見回しても＊テレビドラマの「The Office」もアメリカに輸出され、輸出されただけではなくてアメリカ版の「The Office」になった。（最初からこれだけ見ていればおもしろかったかもしれないが、最初にイギリス版を見たらアメリカ版はおもしろくない）＊それにだいたい今アメリカで続いている「アメリカン・アイドル」も、もとはイギリスの「ポップ・アイドル」が本家。こっちがちょっとした騒動が元で消えただけなのに、どこかのアメリカ人のブログでは「イギリスの『X Factor』は『アメリカン・アイドル』の二番煎じ」みたいに間違ったことを堂々と書いたりしていて、大きなお世話だ。（怒）＊そして今なら、知る人ぞ知る「Borat」･･･詳しくは書きません。日本でやれるのかしら。イギリスで深夜番組で細々とやっていた、番組中の馬鹿げた一つのコーナーが映画になってしまい、それも、きっついアメリカ風刺を入れながらも、アメリカでの評判もものすごいことになっている。（爆）えらい話が飛んでしまったが、そうそう、我らがレオナ・ルイスだ。確かに世界デビューは彼女の壮大な夢には違いないとは思うが、いくらアメリカの音楽業界の大立者だとは言え、クライヴ・デイヴィスの感覚はもう古い、古過ぎる。（だいいち、この間の「アメリカン・アイドル5」の時にクライヴ・デイヴィスが選曲して参加者に歌わせた歌なんかひどかった。どの歌も、どの参加者にも合っていなかったし･･･ま、これまでの功績からして、彼は死ぬまでアメリカの音楽業界に君臨し続けるだろうが、おそらくああいうおっさんの感覚はイギリスでは誰も省みないだろう）なので、レオナには、はっきり自分を持ってもらい、やりたくないスタイルまでやらされないように気をつけてもらいたい。間違っても、すでにアメリカにいるような女性歌手のマネで今後突っ走るのではなく、あくまでも自分のスタイルを発見し、そして守り切ってほしいと切に思う。そういう意味では、もしもレオナが世界的にブレイクしたらうれしいし、そうなりそうだと感じる半面、ちょっと残念な気がする。では、ウィル・ヤングがまだ世界的にどうこうならないのはどういうことなのか、と考えると、やっぱりウィルはイギリスを引きずっているのか、ウィルは世界サイズでは受け入れられない素材だからか、ちょっとわからない。売れて欲しいが、今のままでもいい。ファンというのは勝手なものなのだ。･･･読むのがイヤなくらい長いぞ、これ。

  2006年12月19日

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  「X Factor」終了

  そして昨夜、今年の「X Factor」が終了した。決勝に残っていたリバプール出身のスゥイングボーイ、18歳のレイと、UK産のホイットニー・ヒューストン、マライヤ・キャリー、クリスティーナ・アギレラ等と評された21歳のレオナ。そして、見事に優勝したのはLeona。まあ確かにすごい歌唱力だ。毎週あれだけ舐めるように見ていた私とクマイチなのに、最初のオーディションの時の彼女には実はまったく印象がない。不思議なくらい覚えていない。この件を最初に書いた10月15日の日記にも私はレオナの「レ」の字も書いていない。（笑）彼女の存在が認識できたのは予選が終わり、次の予選が終わり、各グループに分かれてからの特訓→さらなるふるい落とし、の時だろうか。そのふるい落としが済んで決勝進出となり、観客を会場に入れての決勝ステージになるから、その直前までの彼女の記憶はほとんどない。彼女にあまり注目していなかったのは、彼女の歌う声や歌の運びが生理的にあまり好きではないタイプだったからだろうし、うまいとは思っていなかった。レオナは外見だけを見ているとなんだかフォクシーレディみたいで、当節の若いイケイケねーちゃん的に見えたのに、中身が意外にそうではなかったところも、後になって彼女に注目し始めた理由の一つだ。歌っている時に力がはいった時に思わず出てしまうオバサン的な身振りや、しゃべらせてみるとこれがまた、最近はなかなか巷間でお目にかからないくらいの引っ込み思案だったりで、決勝以降の彼女を追いかけてみているのが結構おもしろかったとは言える。彼女の歌が好き、とは最初は言えなかったのではあるが、毎週聴いていくうちに、彼女なりの覚悟ができたというか何かの眠りから覚めたように、彼女が階段を一段ずつ昇っていくのがわかる気がした。審査員が何度も彼女に「You can do no wrong!」と言っていたのが印象的だったのだが、つまり「アナタのやることで、まかり間違っても失敗することはない」という褒め方だ。その上、時々、審査員から「うーん、ちょっと今日はマライア・キャリーの（ホイットニー・ヒューストンの）真似っぽかったね」と言われていたこともあったが、考えてもみてほしい、普通の一般の人間が真似しようと思ってマライア・キャリーの、ホイットニー・ヒューストンみたいに歌えるものか。そういうことで、今年のシリーズ開始当初から、我が家では注目度はゼロに近かったレオナではあったが、私は彼女の歌に2回泣けた。それがこの2曲。「Summertime」「Sorry seems to be the hardest word」1曲目の「Summertime」は、この歌、こんなにいい歌だったのかと初めて聴き惚れたし、たくさんの歌手が歌っているが、レオナの歌の解釈は素晴らしかったと思う。それに2つ目のエルトン・ジョンのこの曲、今、ここに貼り付けるURLを探すのにもう一度見て、また泣けた。「胸を締め付けられるような」というのはこういうことを言うのではないかと思う。2コーラス目以降の彼女の歌の運びは圧巻だ。彼女の歌い方はかなりリスクが高いというか「そんなふうにもっていっちゃって本当に大丈夫？」と思わされ、聴いててハラハラさせられる部分があるが、彼女は絶対に失敗しない。強烈な印象を残して歌い終えたかと思うと彼女は、別に自分の歌唱に感極まることもなく（私だったら、自分があんなに歌えたら絶対に泣く）歌いきったぜ、どうだぁと言わんばかりのポーズを見せるわけでもなく、単に「あのー、こんなモンですが、どうでしょう？」みたいに平生としているのがスゴい。彼女は今回の決勝戦中、酷評家のサイモン・カウェルからずーーーっと「各国のこういうオーディション番組で見てきた女性シンガーの中で間違いなくキミがいちばん」と言われ、他の2人の審査員からも「ワールドクラス」「イギリスが待ちに待った世界に通用するアーティスト」と言われ続けてきた。それが現実になるかどうかはまだわからない。それにこういうオーディション番組の場合、鳴り物入りの優勝者がその後も破竹の勢いを保って進撃し続けるとは限らないし、2位だとか3位の人だとかのほうがデビューして、その後コンスタントに活動し続けることも多い。全体的に今年はかなり番狂わせが多かった印象があって、シリーズとしてはイマイチの感が拭えないという気持ちでいたが、レオナの優勝は妥当なものだったと思う。そして、優勝者は100万ポンド（2億2千万円）のレコーディングの権利が与えられ、レオナのシングルは来週の水曜に発売になる。このクリスマスでのUKチャートNo.1を目論んでの発売だ。シングルは買わないと思うが（笑）アルバムが出たら買いそうな気がしている。P.S.今回の決勝の対抗馬、レイが買つようなことがあったら、私はバニーガール姿でここら近所を周回すると豪語していた。が、残念ながらというべきか幸いというべきか、とにかくそれはなくなった。（爆）

  2006年12月17日

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• 気持ち・転換スイッチ

  ということで、皆様からも多数のお励ましを頂いたことも大きな力になり、ケチウイルスによる発熱・発汗・激怒状態は治まりました。心からお礼申し上げます。いやー、でも結局は楽天ってこういう時にやっぱり気持ちを楽にしてくれるものなんだなとあらためて思いましたよ。発端は本当につまらないこと。一蹴してしまえばいいことにいつまでも悶々としている自分も情けないとは思いつつ、そんな些細なことにそれだけ敏感にショックを受けてしまった事実にもまた驚きあり。とにかく自分が書きたいことを書いて、そのどーでもいい愚痴に共感して下さる方、読むだけ読んで「レスするのもくだらない」と思った方（これは想像）･･･ありがとうございました。決してイヤなことばかりじゃないとは思うのだ。合計でこの2週間ほどの間に噴出していた溶岩みたいなものがだんだん治まってきた昨日、この間の会議で会った他支部の郷さんから、メール添付で写真が何枚か送られてきた。ここでは初登場（のはず）の郷さん。彼女はいまだ20代後半で、その地区の実質的代表者。彼女と会うのは去年と今年でまだたったの2回なのだが、すでに意気投合。前に何度か書いたことがある年下友達の平松くんと郷さんはかつて一緒に仕事をしていた。私が平松くんと知り合ったのはそのもっと後で、郷さんは一度この仕事を離れて日本に帰国していた。が、平松くんは私に何度も「前に一緒だった郷さんって、若いのに本当に人間はよくできているし仕事はできるし」と常々ほめていたので、いったいどんな子だったのだろうと非常に興味があったがその時は話だけ。そして去年、彼女もやっぱり今の社長である山村さんの引き抜きでうちの会社にはいり、彼女と私は同じ会社の同僚ということになったのだが、支部が違うとなかなか会う機会はない。彼女から「いつも平松くんからちゃとさんのことを聞いているので、一度お会いしたいです」と用件の後ろに書かれているメールをもらったりしていたが、そのうち初めて会う機会になったのが去年の会議の時で、今年が2回目。去年初めて会った時に、やっぱり平松くんが褒めるだけあって、若いのに（というか、もちろん人間は年齢だけで決まるわけではないのだが）しっかりしているし平衡感や遠近感が取れているし、いい子だなと思った。**ちなみに彼女は、うちのケチゆきの一つ年下だ･･･**郷さんは郷さんで、平松くんからナニを聞いたか知らないが「平松くんがいつもちゃとさんのことを話していたのでやっとお会いできてうれしいです」とリップサービス。（笑）以来、ちょくちょく仕事の中身のことで郷さんから相談を受けたり、私のほうから郷さんに「こんな件、過去にやったことある？」と意見を求めたりと、月に1～2回はメールや電話でやり取りして1年が過ぎ、今年の会議の時は再会を喜ぶという感じで彼女とはより近くなった。会議の最中は、私も郷さんも（それに他の人も）完全に仕事モードだから、不明な部分は突っ込むとか難題の今後の解決に頭をひねるとか、完璧にその中に入り切るしかなかったが、お客さんのいない身内だけの小宴会だと話はまた違ってくる。ぼちぼち個人的な話をし出したり趣味の話になったり、仕事とはぜんぜん違う方向に話が向いてしまって、また違うその人となりが見えてくるものだ。とは言え、こっちはもう筋金入りのおばちゃんで彼女はまだ20代後半だから、社会的・文化的背景は共通するところはないに等しいのに、なんとなく話していて壁を感じないという気はしていた。会議週間が終わって「じゃあね」「気をつけて」と言って、それぞれの便でそれぞれの場所に戻ってきてしまったが、郷さんから日本での写真が送られてきたのが昨日だった。そのメールに、こう書かれていた。「去年はやっと直接お会いする機会ができてうれしかったんですが、今年はさらにいろんなことを聞いて頂いたり、ちゃとさんのほうのお話をうかがったり、これまで見たことのなかったちゃとさんの一面に驚いたり（コレはちょっと私がハメをハズし過ぎまして･･･はい）で、もっと親しくなれた気がしています。ちゃとさんは私にとって憧れのオトナの女性です。次にお会いした時に『成長したね』と言ってもらえるようにがんばります」うっひゃ～、聞きましたぁ？憧れのオトナの女性だそうですわ、みなさん。（爆）こういうことを言われたことが過去にあっただろうかと振り返ってみるが、どうもなさそうだ。ケチゆきトンネルにはいっている間に、外からまたこういうことを言って気を奮い立たせてくれる人が出てくる。そう、決してイヤなことばかりじゃない。

  2006年12月16日

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  ラッパー・ちゃと

  時々、会社なんかで「わっ」と悲鳴が聞こえ、次の瞬間、誰かが立って机の上を吹きまくっていることがある。そう、コーヒーだとかお茶をうっかり机の上で倒してしまう瞬間だ。今の職場でも、やってしまう人は必ず複数回やっている。（笑）が、自慢ではないが、私自身は生まれた時から一度も学校・会社の机の上で液体を倒したりこぼしたりことがない。（と思う。そういう記憶は一度もない･･･と言いつつ、過去の日記に書いてたりして･･･しぃらないっとぉ）つらつら考えると、今の職場だと、液体をこぼして拭いている姿を見たことがないもう一人はみつこさんである。ま、誰がこぼす・こぼさないの話ではないが、きょうびの机の上には必ずPCがあるわけで、倒れたコップからの液体がキーボードにかかってしまうと大変だ。そういう液体のアクシデント防止目的（これは私にはほとんど当てはまらないが、今後もないとも言えない）及びキーボードの文字消え防止目的（私の場合はこっちが問題だ）、そして一般的なホコリよけのために、今のPCを買った時にキーボードカバーを初めて買ってみた。こういうやつ。（PC全部が見えていますが、文字盤全体にほぼ透明のくにゃくにゃしたカバーがかかっているのです･･･）このカバー、最初に使い始めた時はなんとなく気持ち悪いというか、1つずつ押さえるキーボードの感触がいかにも頼りなくて違和感があった。結局、1つずつのキーボードのタッチを緩衝することで腱鞘炎を防ぐという目的もあったのだろうと思うが、本当にキーボード上の字が、前のPC2台（及び会社のやつ）とも呆れるくらい早く消えてくるので、字が消えないように保護したいというのが主な目的だったから、多少の打ちにくさは慣れるしかなかった。字が消えるのがイヤといったって、こんなものは使っているうちに字は消えてくるし、字が消えたらどのキーがどの字だとわからなくなるほどの初心者ではないが、とにかくキーボード上の字が消えるのがイヤであるがために買ったこのカバー。使ってみて3ヶ月ほどもすると、材質が、ではなくて形状がくにゃくにゃになってきた。要するに、カバーの上から文字を打ち続けていると、結局は自分の打つ時の一瞬の力と方向でカバーが少しずつ少しずつ伸びてくるわけだ。こういうカバーは別に形状記憶素材でできているわけではないから、そりゃもう伸びる伸びる。（爆）カバーをかけなければ消えていく文字としてE/R/S/Dあたり･･･つまり左手の人差し指・中指・薬指あたりに当たる部分。キーボード上の文字は消えない代わりに、キーボードカバーのその部分が伸び伸びになって、しかも元には戻らないから、キーボードカバー自体にとんでもない凹凸が出来始める。そのうちに、右手で打つK/Oあたりの場所もだんだん怪しく伸び始める。結局、PCを使う時、キーボードカバーがずれてくることにいらいらし始め、先日、よくよくいちばん伸び切っている部分を見てみたら、なんとキーボードのS/Dのところのカバーの組織が破れかかってしまっていて、残るはすでにミクロンの薄さという状態になってしまっているのに気づき、とうとうカバーをはずして捨ててしまうことにした。（このカバー、お茶やコーヒーをこぼしても中性洗剤で洗えるとのことだが、液体もタバコの火や灰もこぼさなかったので、時々ホコリは落としても、洗うまでの機会は来なかった）キーボードを久々に「素」の状態で打っていると、ぱしっと指先が気持ちいい気がするが、逆に言えば、このタッチが腱鞘炎を起こしやすいのだと気づく。とは言え、あんなに伸び続けてくにゃくにゃのこんにゃく超薄切りみたいなカバーをまた買って使うべきなのかと思っていたら、クマイチが言った。「そんなのさ、ホコリ除けとキーボードの字が消えるのがイヤなだけだったら●●ラップ使えばいいじゃん」そう言われれば確かにそうだ。台所からラップフィルムの箱を持ってきて、キーボードの盤より少し大きめにカット。それをキーボードの盤面にぺたっと貼り付ける。なるほど。タッチの衝撃の緩衝は一切期待できないが、少なくともホコリ除けにはなるしキーボードの字も消えないし、こりゃあいいと思った。そう言えば、会社で複数回飲み物をこぼしているYさんとYちゃん（爆）にもこのラップをかけてあげようと思い、会社の昼休みに隣りのコンビニで新しいラップを買ってきた。「これ、キーボードにかけてみる？」と言いつつ、家でのキーボードカバーの顛末をみんなに伝えると、みんなもそうしたいと言って、それぞれにラップを好きな大きさに切って自分のキーボードに貼った。「あ、ダメだぁ～」とゆみさんが言った。えっ、ナニがダメなんだろうと思って、ゆみさんの机のところに近づいて答が判明。天井の蛍光灯が反射して、ラップをかけたキーボード上がちかちかするのだ。指がキーを覚えているから盤面を見ないとか見るとか、もはやそういう問題ではない。ちかちかして仕事にならない。そっか～、蛍光灯が障害になるとは気づかなかった。イギリスの普通の民家の部屋の照明では蛍光灯なんて使わない。うちにも、蛍光灯の部分はキッチンにたった一箇所あるだけで、後はどの部屋の照明も全部、きいろ～い光を放つ裸電球なのだ。（ランプシェイドはついているが）残念だ。また会社の机の上で飲み物をぶっ倒されてキーボードをおシャカにされないかと戦々恐々としていたからの作戦だったのに裏目に出たぜ、ちっ。せっかくわざわざ買ったラップ（自宅にはあるのに）だが、出番がほとんどない状態なので家に持ち帰った。今、こうしてこの話を書いている時にふと気づいてキーボードのラップをはがしてみたら、ありゃ～、たったの3日間ですでにラップは破れていた。（爆）せっかく一巻き余分にラップを買ったのは怪我の功名とも言えそうだ。

  2006年12月15日

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• ･･･ということはアナタの電車の時間に合わせて会社の勤務時間を調整しろとおっしゃるわけで？

  あー、もうええ加減めんどくさくなったので適当に。（笑）実は前回の日記の「ケチゆき最終回のその前に」というタイトル、私がミスりました。何を思ってこんなタイトルをつけたのか自分でも今になるとよくわからないが、この日記の一つ前の面接の日記が最終回だったのでして、前回の日記は、面接の前日にみつこさんに愚痴っただけ･･･というそういう話だったのが、なぜか最終回がもう一回あるような誤解を招いてしまったという顛末。ああ言やこう言うのケチゆきのこと、先日の面接では結構淡々と「いろいろ会社に持ちかけたけどダメだったねー」というスタンスで回答した後で、新たに彼女が持ち出した希望。自分は後の3人よりも電車の便がいちばん不便なところから通っているので＊それぞれのシフトの仕事の開始・終了を電車の時間に合わせて少し調整したい、つまり、結構早く会社に着く電車に乗ることになるシフトの時は早くから勤務時間開始とみてもらって（シフトの終了時刻よりも）その分、早く終わって1本前の電車に乗りたいし、そのためには昼食の時間を削ってもいい＊自分の勤務時間はトータルで増減がないようにするので会社としては文句ないでしょ？＊もしも時間をずらしてもらえないなら、会社で電車待ちの間、ぼうっとしている時間がもったいないので、その時間分も仕事をするから給料に組み入れてほしい。バカバカしくてやってられなくなった。この件を提出されたのが先週の火曜日、そして今週、彼女は月曜・火曜といなかったので、その間に回答の文面を考えて、この件はもうメールで断言回答してやれと思い、昨日の間に返信しておいた。先週、相談があった勤務時間の調整の件を検討しましたが、残念ながらどの案もダメです。入社してから会社が移転したというような場合は会社都合ですから、何か妥協案や調整案も必要でしょうが、今の皆さんの自宅はそれぞれ前から住んでいる場所ですし、会社もずっと同じ場所にあります。それぞれ人によって列車の本数や乗車時間・通勤の便利さに多少の差はありますが、これは最初から納得して仕事に就いているわけですから、その差を会社が考慮する必要があるとは考えられません。時と場合によっては自分や家族の急病や、それこそ交通機関の不測の事態で、どうしても遅れるとか急に休むとかいうこともあると思いますし、そういう場合に私の裁量でOKできることならともかく、一人のスタッフの勤務の時刻をして「ゆきちゃんだけはAシフトの時は10分早い開始＋5分早い終了、Bシフトの時は5分遅くスタートして定時に終わる、Cシフトは･･･」というような扱いを私が毎日覚えていて管理することは不可能ですし、もしも今後、他の人から「仕事のためにフランス語を習うので●曜日は早く帰りたい」などと言ってこられたり、他のアレンジを頼まれた場合に「電車はいいのにフランス語はダメなんですか？」とか「どうしてゆきちゃんだけがよくて私がダメなのか」みたいな人的差別に置き換えられたりとか、そのたびに私が相手の言う条件を検討したり、説明したりするようなことで私の時間や労力を取られていては本来の仕事ができません。そういう理由で、もしも何かの緊急事態や健康上の問題が発生したら一時的に調整措置を取ることはあると思いますが、それ以外に、誰か一人だけの勤務体系を、会社として譲歩する・融通をつける・便宜を図るというようなことはできないのでご理解下さい。書きながら、ホントに下らないと思った。要は彼女は私をナメているのだ。ダメもとでもなんでも、言うだけは一度言ってみよう、ちゃとさん、なんとかしてくれるかもしれないし、てなもんだ。アホぬかせ、そうは問屋がおろしまへん。今日、出勤してきた彼女は、私のメールに「ご説明、よくわかりました。ありがとうございました」と書いてきたので、この話はとりあえず私の中ではもう終わり。彼女がぎりぎり歯噛みしながら自分の夫に「ダメだったよー」とこっそりメールしていようがしていまいが、もうそんなことはどうでもいい。何度も言うが、イヤだったら辞めなさい。それにしても本当に、こういうメールの返事を書く時間や気力、それ以前に、一旦こうして話を持ちかけられたら、それがどんな馬鹿げたことであろうと（とりあえず）検討して回答するポーズをとるだけの忍耐力、個人的に「ふざけるな」と叫びたいストレス、こういうものがたまってしかたがない。たいそうに聞こえるかもしれないが、テレビで見た野生動物のドキュメンタリーを思い出したりする。手傷を負った小動物（ちゃと）と、それを見つめるハイエナ（ケチゆき）。ハイエナは負けない。一時的に退却しながら虎視眈々とえさにありつく機会を狙い続けるのだ。ああっ、ダメだーーーっ。お金が大事なのはわかる。お金はないよりあったほうがいいこともわかっている。しかし、だからといって私はああいうふうに、隙あらば会社から1円でも１銭でも掠め取ろう・関係ないことにはタダでは動きたくない、という人間が近くにいるのが生理的にもう耐えられない。日本で時々やっている「私はこうしてお金持ちになりました」の2時間番組なんかで「街角でもらったポケットティッシュはすべて広げて畳み直してティッシュの空き箱に入れています」とか、ひどいのになると「一度、鼻をかんだティッシュも干して使っています」というのとケチゆきの感覚は私の中ではもう同じカテゴリーにはいってしまっている。お金はほしいけどそこまでしてもなのか？という疑問が払拭できない。あーあ、とにかくこの件は、事務的には無理やり一段落させてしまったが、こういう問い合わせとか希望が自分宛に送られてきて、そんなものにまことしやかに答えなければいけないというのは結構な精神的苦痛だ。言ってくるほうはいいよ、言うだけはタダだ。これがお客なら「きょうびのお客は変わってるなあ」と、ある程度は割り切れると思う。（現に毎日いるし、そういう人たち）しかし、この場合は相手はお客ではない。筋金入りのケチ道一直線の実践者であるケチゆき。私のすぐ隣りで愛想笑いで仕えているフリをしながら、心の奥底では、道に倒れたら草一本でも藁ひとすべでもつかんでやろう、とにかくタダでは起きないでおこう、と思っているなんて怖すぎる。野生映画のドキュメンタリーなどではなく、もしかしたら、知らないうちに無理やり出演させられているホラー映画のようなものなのかもしれない。

  2006年12月14日

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• ケチゆき最終回のその前に（笑）

  先日からこの話ばかりで申し訳ございません。でも、でもでもでもっ。これはもう私としては、中年になってもババァになっても太っても、それはそれとして心だけでもできるだけ「清く正しく美しくありたい」と思う気持ちのカタマリをどこかからゴキ●リに蝕まれるような、そんな気がする出来事だったのでございます。話は若干前後する。そんなこんなで、私は先週の火曜にケチゆきに引導を渡すつもりで（で、最後に別な注文を受け取る「ああ言やこう言う状態」を招いてしまったのではあるが）月曜までの間、自分の中であれこれ作戦を練っていた。が、どうしても、この人だけには話してしまいたくなった。みつこさんだ。みつこさんと私の関係は非常に微妙だ。野球で言えばクサいタマか。みつこさんとの付き合いがそろそろ7年になるが、彼女と私もこれまで決して最初から順風満帆ではなく、たった一度だけ、最大瞬間風速20mくらいの決裂危機があったのだ。7年前のその頃、仕事でちょっと横着かましていたみつこさんに当時の他の社員の不満が集中。新参者の私は、私を採用したみつこさんに対して強いことを言える気概がなかった。しかし、これ以上の不満が噴出すると、会社としてやっていけなくなると思い、とうとう意を決してみつこさんに「これはちょっとまずいですよね」と話を持ちかけた時、みつこさんは「ちゃとさんにとって私は不要な存在なの？」と泣かれてしまった。実はその時点では「このままなら不要かもなぁ」と思っていたのだが、私の口は「必要です」と言ってしまったいた。今後どうなるかなぁと思っていたら、みつこさんはテレビドラマの展開のように急激に変わり始め（というより、こっちが本当の彼女だったのだろうが）それからは今日までずーっと私を支えてくれる人であり続けたのだった。今でも、会社では必ず私にはほぼ敬語で話しかけてくるみつこさんではあるが、すでに私とみつこさんは切っても切れない個人的な友情で固く結ばれている。（と少なくとも私は思っている）そのみつこさんに、どうしてもどうしてもどうしても今回の話を聞いてほしくなった。本当だったらこれは会社の話だから、みつこさんに話してはいけない。それはわかっていたが、これ以上、自分だけでムカムカしていたら私がおかしくなりそうだったので、月曜の夕刻、勤務の組み合わせの関係で私とみつこさんが残った時に私が言った。「実は昨日（日曜）電話しようと思ってたんですよ」「実は私も電話しようと思ってたのよね」とみつこさん。電話しようと思ったが、翌週の勤務時間表を確かめると、月曜の夕刻はみつこさんと2人きり。その時に話せるからいいやと思って私は電話はしないでおこうと思い、みつこさんはみつこさんで、私が土曜の夕方に家に着いて日曜はゆっくりしているだろうと思い、具体的な用もないのに電話するのもと思ってやめてしまったという。みつこさんに思い切って切り出した。「この話、上司としてではなくて個人的にみつこさんに聞いてほしい話なんです、まあこんなこと言ってもたいして役に立ちませんが」ちょっと驚いているみつこさんに、前週、東京本部でケチゆきから待遇改善要求メールを受け取ったこと、そのメールが私にとって非常なイライラのもとになったこと、彼女にそれなりの返答をしなければいけない状況であることをかいつまんで説明した。みつこさんは一瞬、へぇという顔をした後、こう言った。「彼女、結構お金のことでいつも細かいこと言う人だなぁって私、前から思ってたのよね･･･」ひえええぇぇぇ～～～っ、みつこさま、やーはーりー！みつこさんは人生経験も豊富だし観察眼ももちろん鋭い。とは言え、そのテの話は私もこれまで振ったことがなく、みつこさんからも出なかった。みつこさん夫婦とうち夫婦は個人的に何度も会っているので、一度くらいはそういうナイショの話（ケチゆきとゆみさんってお金は何をどうすればトクみたいな話、いっつもしてるね、みたいな）が出てもおかしくなかったが、それも出なかった。が、みつこさんはやっぱり見ていたのであった。4人並んで仕事している時に、イギリスの年金をどうするだとか会社のプライベートの医療保険を使ってコレコレ（2年前に道でけつまずいて、その時放っておいたから今でも痛い膝）の治療をしないとソンだとかいう話はいつもケチゆきとゆみさんだけの間で延々交わされているのを知っていた。しかし、忙しい上におトク話にうとい私はそこに参加しない。大事なことではあるだろうが、その立場に立たなければどっちでもいい話だ。もっといろいろ考えればおトクな方法もいくらでもあるだろうが、仕事の時以外に頭は使いたくないのだ。そして、そういう時、みつこさんもそういう話にはあまり参加していないことに気づいていた。今回、私がガマンし切れずにみつこさんにケチゆきの「労働組合ひとり」話を振ってしまったせいで、みつこさんの観察内容を初めて聞くことができた。「そう言えばね、ほら、ずっと前にはるさんちで夏にパーティやったでしょう、私が向こうの犬と思いきり遊んでた時。あの時ね、ゆきちゃんは『飲み物は私たちがたくさん持っていきます』って言い切ってたんだけど当日何も持って来なかったのよ。あんなに豪語してたのにどうしたんだろと思ったんだけど、完璧な手ぶらであまりにもいけしゃあしゃあと飲み食いしてたから、逆に何か仕入れられない事情があったのかなって思ってたんだよね」そのパーティは私も行っていたのだが、そんなことがあったとは知らなかった。ちなみにみつこさんも私も、みんなで分けて食べられるものを午前中に準備してそれぞれ持ち寄っていた。「それとね、ゆきちゃん、よく言ってるのよ･･･週末にどこか掃除の仕事でもないかなって。だから『こうして正社員で仕事をしながらそういう他のところの仕事って、やっぱり税金の関係もあるし、まずいんじゃないの？それに週末は体も休めないと』って言ったら『体は大丈夫なんです』って言ってたけど･･･だから、ゆきちゃんとこって本当にお金に困ってるのかなぁって」みつこさんなりに、ゆきちゃんがいつでもお金が足りないような話をしているのを聞いて、ずーっとあれっと思っていたのだそうだ。「それとさ」とみつこさん。「ゆきちゃんって時々みんなにメール書いて『今日はどうしてもいつもより一本速い電車に乗らないといけないので10分早く出て、次の日に10分早くから仕事します』ってやってるけど、あれもどうかなって思うのよね。もちろん時々は緊急というか臨時でそういうことは私もなくはないけど、彼女、結構アレが多いじゃない。やっぱり10分早い電車に乗らないとできない約束はしちゃいけないんじゃないかと思うけど」ですと。ありがとうございます、みつこさん。他にも気づいてくれていた人がいたことは勇気百倍。てか、私も弱すぎるぞ･･･クマイチにも言われた。「ちゃとちゃんはボクにはあんなにエラそうに言うじゃない。なのにどうしてこういうところで弱くなるのかね」すみません、全部私の不徳の致すところでございます。これからがんばります。

  2006年12月11日

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• ケチゆきと対峙

  えー、それで、だ。その日が訪れた。前日のうちに（隣りの席なのに）「明日の○時～○時半に先日の件で面談しましょうか？都合が悪ければ他の時間または他の日にしますがどうですか？」とメールを送ったら、その時間でいいという回答が来ていた。この件、私は相当ムカムカしていたんだと思う。すでにそれまでに何度も手書きで作戦をノートに書き付けていたが、結局この火曜の朝、4時半過ぎに目が覚めてしまったので、そのまま起き出し、これまで手書きで書き付けてきたものをワードで整理しながら打ち直した。で、ムカムカが嵩じてやってしまった最たる失敗。完成したワードのドキュメントを会社の自分のアドレスに添付で送っておこうとして、送ったつもりだったが、結局それは会社には届かなかった。送っていなかったのだ。（爆）当日、ゆきちゃんの仕事が終わる30分前の約束の時刻になったので、彼女を人のいない小会議室に呼び出した。彼女の第一声。「ほんと、ちゃとさん、すみませーん、もうっホンットにこんなことでちゃとさんの大事なお時間を取ってしまったりして･･･お忙しいのに･･･」この声。音声ファイルで皆さんにお聞かせしたいほどだ。どのツラ下げて言えるかねぇ、まったく。彼女がそう言いながらぺこぺこしている姿と、彼女のドあつかましい直訴状の落差に、頭がくらくらする。「じゃ、時間もないので始めますね。ええと、今回もらっていたメールの件、本部のほうに内容を全部打診したんですが、結構冷たい回答でしたね」（非常に事務的に言った）「ああ、そうですかぁ･･･」（結構いけしゃあしゃあ、そしてわざとらしくニコニコしている彼女）「今回のこの件は社長の山村さんと北川専務と田中常務との個別会談の時に出したんですが、やっぱり北川専務と田中常務が厳しくてね。ま、山村さんはああいう人だけど、後の2人はわざわざ経営企画のためだけに後から来た人たちだから甘くないというか、にこりともしないで、終始『それで何ですか？』みたいな反応だったねぇ。」「お給料について、ゆきちゃんが考えていることを言ってみたけど、要するに今の仕事と引き合わないという部分とか、今年の昇給分以上に仕事内容が増えている、とゆきちゃんが思う根拠を提示すれば妥当かどうかを考えてくれるんですって」（めちゃくちゃ事務的に）「いえ、あのー、別に根拠とかっていう難しいものは何もないんですぅ。ちょっと私が思っていただけでぇ･･･」（ちょっと思っていただけで、あんなに強気で書けるんか？オマエは？）「えっ、そうなの？いや、私も北川さんや田中さんがにこりともしなくて焦っちゃったものだから『いや、絶対に本人なりに根拠があるはずなので、もう一度確認して内容をお知らせします』って言っちゃったんだよね･･･」（困り顔を作りつつ、半分、もう思うツボ）「すみませーん、ぜんっぜんそこまでのものじゃないんです」（へらへら･･･コロスゾ、コイツ）「それでね、仕事量についても『どう考えてもイギリス支部の仕事なんて多くないですよ。○○支部は新たに××のクライアントの受付を始めることになったし、□□支部では△△のリサーチ業務を始めることになったって、今回の会議で聞いてますよね。イギリス支部に比べたら両支部ともとんでもない負担ですよ』って言われちゃって。今回の会議でその話がずーっと出てたから、そう言われるだろうと思ったらその通りの反応でね」（と、気の毒そうにゆきちゃんを見つめてみたりする）「なるほど。じゃ本部としてはイギリス支部は仕事も少ないのに文句ばっかり言うなって感じなんですね？」「速い話がそういうことだよねー。今回の会議はそういう意味でも一週間ずっと肩身が狭くてさー･･･うちだけ新しい仕事の引き受けは外してもらっている分、かえって何も言えないというか言いづらくてねぇ･･･」（肩をすくめて身を縮めたふうを装う）「はぁ･･･やっぱりこれくらいじゃ仕事が多いうちにははいらないんですね」（あたりまえだよっ！）「それとね、今のままだったら、イギリス支部の他のスタッフも限界だと思ってきて、いつ辞めるかわからないという話もしてみたんだけど『企業ですから人の出入りがあるのはある程度しかたないですよ。企業か従業員か、どっちかがもうダメだと思ったら･･･まあたいていの場合は従業員がガマンできなくなるんですけどね。でも、ダメだと思っている人を引き止めるのもその人の将来に対して失礼だからできませんしね。そうなったらしかたないですね･･･別の人を探してトレーニングするまで大変ですが、他に方法がないですからね』だって」（わかる？さっさと辞めていいんだよ）「んもー、ちゃとさん、ホントにありがとうございました、そんなイヤな思いしてまでいろいろ言って頂いて･･･」（こらっ、ここで逃げるなっ、オマエ）「それにさ、言われちゃったよー･･･『ゆきさんがおっしゃるようにスタッフを雇って育成するっていうのは大変には違いないですが必要ならしかたないですよね。今のイギリス支部のスタッフって会社としても喉から手が出るほどほしい即戦力の人材であったのは確かですが、来てもらった当時、足元見て待遇は下げてませんよ。それに個々のスタッフもやっぱりメリットがあると思ってウチに来て下さったと思うので、これはお互い様じゃないんですか』って。コレ言われるとつらいんだよねー」（いちばん痛いところを突きました）「うんうん、確かにそうですよね～」（って立場変えるんかーっ？）「だから、その時はお互い様というかお互いのニーズが合致したから今のこの形があるわけだけど、2年経ってやっぱり『こんなはずじゃなかった』と思うことが出てきたとしたら、会社としては出て行きたい人は止められないからねーって北川専務は言ってたし、私としてはもう『おっしゃる通りでございます』って感じだったよー」（ウソばっかり）このあたりで予定の30分が過ぎてしまった。私は「･･･ということなんで、一応これが会社の回答でした」と無理やり閉めにかかった。ゆきちゃんはまた「いやー、本当にちゃとさんにはご迷惑をおかけしてスミマセンでした」と、まるで本当にそう思っているかのように平身低頭して私に挨拶している。それもできるだけ「たいしたことじゃない」的な表情を作ろうとしているのか、笑みさえ浮かべている。「じゃ、ゆきちゃんは後はもう片付けてそのまま帰れるよね」と言ったら、ゆきちゃん、おもむろに1枚の紙を出した。「それと、コレ、電車の時刻表です。前にちらっと言ったと思うんですが、私、家から会社の電車が少ないから、今のシフトの時間だとどうしても無駄な時間が出ちゃうので、ちょっと勤務のシフトの時間をこれに合わせて調整して（変えて）もらうか、待ち時間の分も仕事をするので、その時間のお給料を調整してもらうか･･･ダメだったらいいんです」あっちがダメならこっちで攻めろ･･･か。（落胆）こういう根性、私にはどこにもないよー、まったく。そして2人揃ってデスクに戻る途中で彼女は言った。「私ばかりお話を聞いて頂いて本当にすみません。で、もしもみつこさんやゆみさんもお話の機会を持ちたいと思っておられるようだったら、ぜひ聞いてあげて下さい。」だと。オマエに言われる筋合いはないよ。怒髪、天を突くとはこういうことを言うのだろうか。言うに事欠いて、そりゃオマエみたいに、一から十まで自分の理想と違って不満だらけであれもこれも主張したいことがあれば話もあるだろうが、みつこさんやゆみさんが私と話がしたいかどうかなんて2人がそれぞれに決めること。バカっ。翌日、私は公休だったが、ゆきちゃんはその後どんなことを考えただろう。さらにその翌日に出勤すると、彼女はまるで何事もなかったように普通に仕事をしていた。（笑）そうだろうよ、オマエは辞めないと思ったよ。そして私は電車の件でさらなる回答をさせられるのだ。（爆）やっぱりアイツは私の天敵だ。

  2006年12月09日

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• シナリオ組み立て

  彼女の直訴状が舞い込んだのは先週の木曜。次に彼女と対峙しなければいけないかったのは今週の月曜。それまでに、何をどういうふうに運んでいくかの筋立てを考えておかなければいけない。細かい部分の流れがどうなろうと、私のほうの大前提は譲れないものにしておく必要がある。その大前提。「イヤなら辞めてもらっていいんですよ」これに尽きる。これはもう私自身の率直な気持ちである。仕事に就くということは、企業側と個人側の綱引きだ。企業はできるだけ優秀な人材をできるだけ安く仕入れたいし、個人側は自分の経験や知識をできるだけ高く買ってくれる企業を探したい。前々からの持論だが、就職と結婚は似ている。お互いが引き合っている時には結ばれる過程にも加速がつく。反対に、退職するとか離婚するとかの負の方向に向かう状態の場合は、たいてい両者のうちの片方だけか両方ともか、相手方に対する消化不良型不満が必ず既に発生している分、進み方はこれ以上ないほどキレが悪い。今の職場にどうして、そのゆきちゃんが来たか、というのは前の日記に書いた。本当はウチに来てほしかったさつきさんが都合で辞退し、突然手を上げたマリが合格通知をもらっておきながら直前に辞退し、もう一人どうしても必要だったところに、成り行きでゆきちゃんが来ることになった。当時、私なりに今の3人の待遇には便宜を図り、以前の職場とほぼ同じ待遇になるところまで交渉した。社長の山村さんにも「前の会社が潰れたから引き取る人材だと足元を見るのはやめてもらいたい」と、言いたくないことも言ったが山村さんは理解してくれた。私の見立てが甘かったと言われれば返す言葉もないが、本当にこのゆきちゃんみたいに、何かあれば全部ゼニで換算しないとやってられんという人に、私はこれまで会ったことがなかった。仕事の中での考え方の違いは、ある程度までは許容範囲だと割り切るしかないだろうが、お金への執着をここまで躊躇なく浅ましく見せて平気な人に、こんなに自分が嫌悪感を抱くことになるとは自分でも想像していなかった。さて、彼女の直訴状をもとに作戦を立てた。こうなったら私の言いたいことを言ってやろう。但し、私の発言を「彼女の直訴状に対する会社の本部からのすげない回答」に変換しておかなければいけない。以下、彼女の主張のポイントと会社の（というより私の）回答。1）「仕事が給料に見合いません」「今年の昇給分よりも仕事量の増え方のほうが大きいです」というポイントそれではまず、あなたのほうから、どれくらいの仕事はどれくらいの給料で行うものなのかという根拠、それと「昇給分＜仕事量の増加」と判断する根拠も提示して下さい。見合う・見合わないといったような、一見、個人的主観と取られやすい説明について、それが主観でないという根拠を提示してもらえれば、本部で内容を再検討します。ちなみに、会社側としては、同業他社の平均的な給与体系は把握していますし（これはウソ。だけどこれくらいの情報は1日で集められる）イギリスの物価上昇指数も考慮して今年、昇給しましたが、それが何か･･･？2）「給料が増えないなら仕事量を減らせ」との主張現状、海外の各支部での取扱実績と売上高のスタッフ1人あたりの成績を見る限り、イギリス支部のそれは、支部全体の平均を下回っています。但し、これはあくまでもかかってくる電話の数の比率が仕事を左右しているので、イギリス支部の人たちの怠慢だという意味ではありませんが、一つの事実です。スタッフ1人あたりの実績と売上高をトップの○○支部と比べるとイギリス支部のそれは、2.7分の1です。この状況で仕事量を減らせと言われるほどイギリス支部の仕事量が多いとは、会社は今のところ考えていません。3）「イギリス支部発足当時とは話が違ってきて、余分な仕事が増えた」とのポイント仕事の内容というものは、どんな企業や団体でも、その時点でのクライアントの意向や業界・社会の動向によって変遷していきます。例えばイギリスでテロが発生すれば、警察官や警備員という人たちは、自分の責任でもないのに警備や警戒の質量を強化しなければいけなくなりますが、そのこと自体によって給与がアップするなどということはありえません。もちろん残業が増えれば残業手当はつきますが、基本的な給与がアップする理由がないことは理解できますか？業界を取り巻く外的な変化がそれぞれの仕事の内容に反映されるのは当然です。また、仕事というものは「10やりなさい」と言われて10できたとしたら「ご苦労さまでした。これからも10だけやっていればいいですからね」ということはまずありません。会社が大きくなって、増えたProfitを従業員に還元するためには10から12、12から15と要求は増えます。4）「新たにスタッフを採用するのって大変ですよねぇ。今いるスタッフだってこういう状況じゃ、いつ辞めるかわからないし」という彼女なりの静かな脅迫。**彼女は自分のジャンルを準専門職であると見て、その自分がやめると、後釜を雇うのも育てるのも大変よねぇと、脅しているのである。しかしここで負けられないのだ。**はい、スタッフの採用は大変です。一人前になるまでに会社は物心両面の負担があります。但し、企業にとって人材の出入りは避け切れない必要悪でもあります。企業側は同じ従業員にできるだけ長く勤めて貢献してもらいたい、従業員は企業側にその成果を還元してもらいたい、とお互い思い合うのが理想ですが、時に思惑のバランスは崩れます。特に従業員側に「こんなはずではなかった」という不満が出やすいです。会社としては、そういう不満に耳を傾けて解決に努力します、というお約束はできても、結果として必ず個々の不満をすべて解消できるというお約束はできない場合もあります。それに会社としては、1人の従業員の不満を100%解消することより、従業員200人の不満を85%解消することが優先される場合が往々にしてあります。それに、ゆきさんの主張では、イギリス支部はたまたま経験者且つ現役の人たちが定員数でうまく異動してきたのだから、会社はそのことに感謝すべきと言っているように聞こえますが、これはお互い様ではないでしょうか。あの当時、ゆきさんを始め、みつこさん・ゆみさんは前の職場と同じ給料且つほぼ同じ勤務時間で、しかも、より少ない交通費自己負担と通勤時間減少という条件に魅力を感じて今の会社に来られたのではなかったのでしょうか。つまり、4人がウチに来てくれたことが会社にとってラッキーだったのは事実ですが、逆にその4人も、転職先をハカリにかけて検討しませんでしたか？前の会社はなくなることになっていたわけだから、もっといい転職先があれば、そちらに行く自由もあったのにウチに来たのは、皆さんのそれぞれになんらかのメリットがあったからではないのですか？もちろん、あれから2年近く経ちますから、皆さんに「仕事に飽きてきた」「今一つ給料が安い気がする」「もう続けられない、限界だ」というような気持ちの変化もあるかもしれません。しかし、そういう気持ちの変化に会社として形で対応できない場合、皆さんの人生ですから、会社は皆さんを引き止めるわけにはいきません。会社としては残念ではありますが「次のところでもがんばって下さいね」と言うしかありませんね。以上のシナリオ完成。月曜は職場復帰当日なので、他に仕事もあるから個別面談の時間が取れない。Xデーを翌日の火曜に決めた。ゆきちゃんは早出だし、勤務時間の最後の30分で面談して、そのまま帰らせよう。私はその次の日は休みだし、ゆきちゃんが面談後に泣こうがわめこうが（面談中に泣いたり怒ったりするようなタマじゃない）とにかく自分で、何が得策なのかゆっくり自分で考えればいい。本当に退職するつもりなら、次に私が出勤した日に退職願でも持ってくるだろう。でも、持ってこないと思う。彼女、辞めないって。（爆）どう？ゆきちゃん、わかる？アンタ一人がダダこねたって、会社は別にびくともしないんよ。2年前に今のオフィスが開く時は全員が経験者でなければ、当日に開けられなかったのは事実やけど、私は別にその時だけゆきちゃんを利用して、今になってポイ捨てしようとしてるんじゃないよ。この2年間、同じ条件だったらできるだけ働きやすいように私は私で工夫もしたし、本部とケンカも攻防もして、守るべきところは支部を守ってきたつもり。でも、ゆきちゃんにとってそんなことはおゼゼそのものじゃないからどうでもよかったんよね。辞めたければ辞めて下さい。はい、どーぞ。脅してもアンタの給料は上がりません、いえ、上げません。アンタの仕事は、アンタでないとできない仕事じゃないよ。もちろん、いきなり辞められたら、その穴埋めは私がするしかないから、それを考えたら頭がパンクしそうやけどね、ほんとは。でもね、これから先も定期的に「金銭で割に合わない」「給料が安いからお客にも荒っぽくなる」なんて言いながら居座られるんなら、辞めてくれたほうが空気がキレイになる。結局アンタが辞めたって、新人雇って全部教えるまでの間、私が数週間～数ヶ月、辛抱したら済む話なんよ。アンタはその少ない人生経験と、今の仕事しかない職業経験と浅はかさを武器に、どうぞがんばって転職活動して下さい。自分の家からロンドンまで、とてつもなく長い通勤時間と膨大な交通費を計算しながら新しい仕事、探しなはれ。で、仕事見つかったら教えてな。ちょっと豪華な「転職おめでとうカード」送ったげるからな。大丈夫。カード代は私のオゴリやからね。

  2006年12月08日

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• 過去日記宣伝

  この前の日本への帰省を結構くら～いものにしてくれた事件の1つがコレ。顛末としては昨日の時点で一応カタをつけた格好にはなっているが、その話はまた後日。でも、本当にムカつきました、私としては。

  2006年12月07日

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• 「フラガール」

  今回は観られないかもしれないなと思っていた「フラガール」。いや～～～、本当にラッキーなことで、復路の飛行機の中で無事に観られた･･･帰りの飛行機の中の映画や音楽のプログラムはちょうど12月で変わっていたのがラッキーだった。往路は11月のプログラムだったし、目玉かと思われた「有頂天ホテル」もあまりのくだらなさに寝てしまうというていたらくで、復路はちょっとくらいマシかと期待していたら「フラガール」が観られるという。人間、精進が大事だなぁと思ってしまった。（爆）いろいろなところで好評を博していたのは知っていたが、桑輝さんとlalameansさん両名の絶賛を見て、これは観るべし、という気になっていた。「おススメの映画」というのは、おススメするのもされるのも微妙に難しい。人それぞれの笑いのツボ、泣きのツボ、怒りのツボ･･･もちろん普段の趣味や嗜好性が自分と比較的近い人から勧められたものは失敗は少ない。が、巷間で売れまくっているものが自分もいいと思えるとは限らない。反対に自分で完璧にはまりきってしまって、世間の皆さんにぜひお知らせしたいと思ってそうしたら、皆さんにはことごとく首をかしげまくられる場合もある。この「フラガール」については、どこででも調べられるので、今さら詳しく筋立てを書くことは差し控えたいと思うが、そりゃもうストレートに感動させられました。今、これを書いているだけでも、また涙腺の奥のほうから、それこそ温泉みたいに温かいやつがじんわり沸きあがってくるのを感じる。私がロンドンに着いた時に空港まで迎えに来てくれたクマイチに、車の中でこの映画を観たと説明している途中でがごがご泣け始めてきて、そのしゃくり上げ具合のすごさにクマイチが思わず「かわいそうになぁ」と言いながら私の背中をさすってくれた。「そういう意味じゃないっ」というひとことが言えないほどしゃくり上げて号泣PTSDに突入してしまう･･･冷静に説明したくてしかたなかったのに、涙に押さえ込み・寄り切られてしまう映画だったのは確かだなぁ、少なくとも私にとっては。蒼井優という女優は初めて見たのだけれども、かわいいねぇ･･･なんというか、周りに文句を言わせない美人の一人みたいな松雪泰子とはまた違って、いつ、どこであってもほっとするような空気を持っている人だなぁと思い、二重マルをあげたい。目玉であるフラダンスのシーンも、私はそりゃもう素直に感動するしかなかった。いっぱい練習したんだろうねぇと思いながら。この映画は役者がみな一様に役柄とうまく合っていた、稀な映画のように思えた。久しぶりに見た（まあ私の場合は日本を離れてしばらく経つから、という理由だが）富司純子のおかあちゃん、最高。富司純子というよりも、どうしても「緋牡丹博徒」シリーズの藤純子としてのイメージしかなかったのだが、このおかあちゃん役には脱帽でした。それと豊川悦司ね。もともとこの人はキライだったので･･･はい。（笑）まあ、あんまり出ている作品もよく知らないけれども、なんとなくカッコつけて実はたいしたことない人、みたいに思っていたが、この映画の中での、炭鉱一筋に生きる蒼井優のあんちゃん役は非常に好感が持てる上に、単純回路で単細胞な役に入魂している部分が素晴らしい。実は最初、このあんちゃんが素晴らし過ぎて、逆にこれって豊川悦司（？）と気づくまでにほぼ30分くらいかかった。（恥）松雪泰子ねぇ･･･うーん、私にはちょっと評価が難しい。舞台になっている煤と灰の色がたっぷりついた炭鉱町に、異色のイケイケ女が来た、という設定では、あの松雪泰子の醸し出す違和感たっぷりなバービーっぽさはハマリ役と言えなくはない、確かに。但し、あの役は彼女でないと絶対に成り立たなかったかと聞かれると、もしかすると他の人でもできたのでは、と、ちらりと思ったりもするし。でも、個人的にはマルです、○。それと、山崎静代って、名前にしか聞いたことはないのだが、お笑いコンビの南海キャンディーズのしずちゃんっていう人ですかね、あの人。いまいち頂けなかった･･･ですね。というか意味がないの。意味が人が意味のない出方をしているというか、映画の一つの呼び物的な役割以外のなんでもなかったのね。彼女にまつわる一つの悲劇が映画の中で描かれてはいたけど、結局「でか過ぎて、とてもそういうタイプではない」人を無理やり突っ込んだだけで、彼女の役柄の存在感がかえって希薄になってしまっていて。ああいう、フラダンスとなんの関係もなさそうな人もがんばったんですよ、というのを、もっと象徴的に見せるためにこういう人を使いたかったのかもしれないが、あれは逆効果ね。意味ないもん。エラそうだけど私はそう思った。そして個人的にいちばん期待はずれだったのが岸部一徳。この人、いろいろ出てるわりにはあまりうまくないのかなぁと思った。特に映画の前半の部分、この人がしゃべる間の取り方がすごく悪くて、こっちは観ているだけなのに躓き感を何度となく感じたから。後半になる頃にはそこまで気にならなくなったが、順調に走っている電車ががたんと線路の継ぎ目を感じさせる感覚。この「フラガール」という映画では、その唯一の電車の継ぎ目が岸部一徳だったんじゃないかなぁ。こっちもそれなりの役者なんだろうと思ってみているから余計厳しくなるのかもしれないけど、この演技で助演男優賞はちょっと難しいよな、と結論づけてしまった次第。邦画よりも洋画のほうで頻繁に、前半に一つのなんでもないシーンを入れておいて、それを大事なところでパンチラインに使ったりして「だからあのシーンがあったのか」と納得させられる手法が取られているが、この「フラガール」のソレは秀逸。手荷物の中に武○士のポケットティッシュ（わりと中身ははいっているほう）を2つ入れていたのだが、映画の2/3を観終わったところで全部使い切り、後はしかたないから涙と洟を手で拭いていた。（汚）もう一回でももう二回でも観たい映画なのだが、現在のところはこの一回きりの鑑賞ですでにパブロフの犬状態になっているため、半年ほどは期間をおいてみないことには、今、この映画の冒頭が目の前で始まったら、その段階で号泣に突入しそうなのである。＜追記＞そうそう、この日記を書き終わってから思い出したことなのだが、この映画についてよくよく考えてみると、イギリスの映画で、やっぱり斜陽の一途を辿る炭鉱の街が舞台になっているものがいくつか。この下の3つは「フラガール」のような華やかさはないし、もっと炭鉱の閉鎖について社会的に突っ込んでいたり（しかし皮肉っぽい）映画としてもかなり出来がいいので、ついでにおススメ。「ブラス」･･･翳りゆく炭鉱の街で気を吐くブラスバンドにかける人たちの物語。指揮者のピーター・ポスルスウェイトがいい。ユアン・マクレガーもがんばっている。「ビリー・エリオット（邦題の『リトル・ダンサー』）」･･･炭鉱の街で暮らす少年がひょんなことからバレエダンサーへの道を辿る。これもおとうちゃんが泣かせる。「フル・モンティ」･･･これは炭鉱の閉鎖ではなくて製鉄所の閉鎖。だけど働き盛りの男たちが職安に職を求めるもNo Luck。そして男たちが一攫千金（ほど多額じゃないけど）を狙って目論んだイベントとは？

  2006年12月06日

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• 通路側がスキ

  感覚的なこと、という一言に尽きるとは思うが、こんな場合って一般の人はどう考えるのだろう。東京からロンドンに戻る飛行機の中でのこと。私はトイレが近い（爆）と自分で思っているので大阪-東京間みたいな短距離路線でない限りは絶対に通路側に座りたい。そう思っている限り、空港に駆け込んでから取れる席を取る、なんてことは絶対にしないし、できる限り事前にリクエストしておかないと気が済まない。その場合、目指す席は真ん中のカタマリの通路際だ。つまり、まあ機種によっても違うが窓ABC通路DEFG通路HJK窓　　　　　　　　　　要は上のDかGが本来狙いたいスペースなのだ。窓に近いほうのカタマリの通路側の席･･･CやHだと自分より窓側にいる2人の立つ頻度のあおりを受けるが、真ん中のカタマリの通路側の席だと普通は自分より内側にいる隣りの人の影響だけしか受けない。今回の機種はそれぞれのカタマリが3-3-3の機種だった。真ん中のカタマリ3つがどれも開いている列の通路Dを予約しておいた。窓ABC通路DEF通路HJK窓右の2席、EFは予約時点では空いていたが、搭乗日には当日の指定で埋まっていく。もしも、そのEFに2人連れが納まったら、真ん中（E）に座る人も、席を立つ時は同行者の場所をまたぐはずなので、私のD席はおそらく脅かされずに済むだろう。もしも誰か1人で乗る人が席を予約する場合、通常、飛行機の座席はEではなくてFがアサインされる。真ん中のEまで単独渡航の誰かが座るなら（つまりD・E・Fがそれぞれ1人モノ）本当に予約がパンパンだということだ。この時は、かなり混んではいたが超満員ではなかったはずだ。なので、私は自分がDに座り→誰か1人で乗る人がFに座り→真ん中のEは空いたままで離陸するだろうと踏んでいた。別に、空いた真ん中のEを荷物置きに使おうとか思っているわけではない。ただ、誰からもまたがれないという心理的圧迫感がないことを祈るだけなのだ。機内では映画も観るし本も読むが、一度寝たら爆睡するほうなので、もしも隣りに座っている他人が私の前を横切って通路に出るなら、多少踏んでもいいから勝手に大またぎしてほしいのだが、時々、不必要に丁寧な人がいて、寝ているのに耳元で「すみません、すみません」と言って起こしてまで通ろうとする人がいる。はっきりしない頭で目を覚ますと「通りたいんです」と言うので「どうぞ」と不機嫌に言うが、こっちがわざわざ立ってその人を出してあげないと納得しないような変わった人が時々いるのでメチャ腹が立つ。えーと、そういうことで話を戻すと、今回は上の図のDに座って離陸待機中、EFに誰か来るかな、と思っていたら、なんと隣りのEの席に女性が座ってしまった！がっかり･･･最後に埋まるべきEの席に人が座ったということは、必然的にFも誰か1人で乗る人が来るという理解になる。意気消沈しつつ、あきらめモードで離陸の瞬間を待っていると、なんとこの飛行機は、この列のD席に私、E席にその女性だけを乗せ、F席は空席のままで出発したのだ。心の中で考える。「ひょっとして、この女性の席ってFなんじゃないかな･･･搭乗券、見間違えてんじゃないかな･･･できたら離れてほしいな」はい、もちろん「離れてほしいな」は私の勝手なお願いである。しかし、その女性にしても、わざわざ空いている端っこの1席を空けたままにして、私とぺったり隣り合わせで13時間もじっとしていなくても、自分も1席ずれれば通路側で飲み物や食べ物も取り易いし、席を立つのもより簡単だし･･･と私が思うのはヘンだろうか。この状況だったら、私なら絶対に離陸後に席を移動する。だって、自分の右側（それも通路際）の席が空いている状態で、わざわざ見も知らない人（私）と左側でぴったりくっついている必要はないし、自分が移動することで別に他の誰にも迷惑はかからないし･･･だから、離陸して水平飛行にはいったら彼女はすすっとそっちに移動するだろう。甘かった。結局この女性は13時間ずーっと私を左側に置き、自分の右側の空の通路側の席をそのままに（かといって自分の荷物置き場にそこを使うでもなく）13時間、ロンドンまで乗って行った。私はだいたい日常でも愛想が悪い上に、飛行機の中だと特に愛想が悪く（爆）、はっきり言ってその女性にはどうあっても、空いているそっちの通路側の席に移ってもらいたかったのだ･･･気持ちは断固、そうだった･･･それに絶対に彼女が自分の席の記号を見間違っていたのだと今でも思うし。とは言え、私には「すみませんが空いているのだから、そっちに移ってもらえませんか」などと言える権利はないし。隣り同士なので、凝視までしなくてもその女性が動く気配はわかる。動かないな、と思った時はその女性は寝ているようだったが、起きているなと思う時の彼女のなにやらせかせかとした動きが気になって仕方がない。しかし、復路は映画を3本観たり、買った数独の本に興じていたりで、彼女も私の前を通って席を立ちはしなかったので、隣りに人がいるという心理的圧迫感は完全に消えなかったが、まあ自分のスペースを侵されることはまったくなかったのは幸い。が、ロンドンへの到着時刻が近くなり、機内の照明がまた全部明るくついた時に初めて気づいた件。その隣りの女性が伸びの姿勢を取ったと同時にふっと自分の視線がそっちに向いてしまったのだが、その女性、首の周りが掻き傷だらけ･･･ところどころ乾いた血がついた爪痕は見えるわ、両手首から先もものすごい湿疹か何かで赤く腫れ上がり、やはりかきむしった跡が一面。そして、彼女が膝からかけていた紺色の毛布の上にはかきむしった跡の皮膚の細かい断片が散乱。最後の最後にこう言っちゃあ本当に失礼な話だとは思うが、精神的にはやっぱり厳しかった。

  2006年12月05日

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• すぐにこんなやり方をしてしまう

  えー、そういうことで、体だけは無事にロンドンに戻ってきたので、ちょこちょこ帰省中のことを（余力があると感じる時は）書いたりしてみたいが、まず出発時のことなど。

  2006年12月04日

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• 帰ってマス

  2週間の日本滞在を終えて、昨日の土曜日にロンドンの自宅に帰宅。とにかくもう、体力的にも精神的にも非常に疲れた2週間だったとしか言えない。京都にいた週も「自分の陣地でリフレッシュ」などという感覚とは程遠かったし、東京に移ってからの1週間も、まあ仕事だから仕方ないとは言うものの、それ以上に神経をすり減らされる余分な出来事が勃発したりして、なんとなく、ほうほうの体でこっちに戻ってきたような気がする。あまりにもストレスだらけだった2週間なので、何かバックデートして書きたい気はするのだが、日記を書くということはいわば追体験だから、その時のそういう気持ちにもう一度立ち戻って記憶を辿って書くという行為も、結構しんどいものだとは思うが。どうするかはまだよく考えていない。本格的な冬が始まったという気がしている。

  2006年12月03日

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• 怒り心頭

  これを書いている今日現在（2006年12月6日）は私は公休で在宅。しかし、ちょうど1週間前に当たる11月最後の木曜に、一つの災難に襲われた。（と思っている）私にそんなに責任のあることだとは思わないが、とにかく無性に腹が立った。うるさいっ、と大声でどこかに叫びたかった。昨日の段階で、その件のコマは1つ進めておいたことで少しだけ気持ちが落ち着いたとも言えるが、とにかく無性に腹の立った（または暗い気持ちにさせられた）一週間だった。その日は東京にいた。海外の各支部からの代表者が集まる会議日程中の1週間は時間が飛ぶように過ぎていく。あんまりおもしろくないというか膠着気味のネタもすり合わせておかなければいけないし勉強会もあるし、クライアントへの訪問・挨拶前に作戦会議もしておかなければいけない。また、うちの会社はなんせ社長の山村さんがとにかく従業員を上から下まで大事にする人で（なので山村さんに惚れ込んでがんばってしまう人が多い会社だ）彼がこの機会に大宴会を企画する。出入りの業者も大事なお客も全部呼び込み、海外の支部長を巻き込んで顔合わせ・挨拶させたがるので、ヨーロッパ暮らしが長くなってきたこっちはヘキエキするほど一日の拘束時間が長い。しかし、30日の木曜だけは珍しく、ちょっとだけ一息つける日ではあった。この日の日程を全部消化した後、夜に食事会があるにはあったが、その前に私は空いているPCを借りてロンドンの仕事の捗り具合を確認する。私の留守中にマズいことになりそうな案件が発生していないか、留守部隊の3人が判断に迷っているような案件はないか、一応チェックし、モノによっては東京から私の名前でコメントをつけておけば、時差があるのでロンドンでの一日の仕事が始まる時点でみんながその指示を読んでおくことができる。すると、私宛に同僚のゆきちゃんからメールが届いているのを発見。実は私が今回帰省する直前に休暇をゆきちゃんが取っていたので、彼女の顔を2週間見ないままに私は日本に来た。つまり彼女と入れ替わりに私が今度は職場を留守にしたので、都合1ヶ月ほどの間、ゆきちゃんと私は顔を合わせない状況だった。最初の頃からずーっとお付き合い頂いている皆様で、もしも勘がしゃっきり冴え渡っている場合は、ゆきちゃんから私に来たメールの内容がどんなものか想像がつく人もいるかもしれない。（爆）出た･･･直訴状だ。労働組合の要求書のようなものだ。まったく彼女には本当に頭が痛い。というか、はっきり言って私は頭に来ているのだ。「劇団ひとり」という役者がいるが（結構スキ。頭いいし）オマエを今度から「労働組合ひとり」と読ぶぞ、とさえ思ったが、それでは「劇団ひとり」に失礼だしなぁ･･･この日記の時には自分に余裕があったのか彼女を一瞬見直してしまったが、私が甘かった。さすがにもう海千山千だと思っていた40女の私が、こんな20代後半のク○ッタレにカモられたようなものだ。（嘆息）彼女の正体はやっぱりこっちなのだ。こういう性分は治らないのだ。結論。で、今回の彼女の主張も結局は前と同じ。「仕事量が増えています」「最初（オフィス設立時）と話が違ってきています」「2年経っても状況が改善されないのでもう限界です」⇒つまり、どうしろというのかいうと「お給料が安過ぎます」「今年、昇給してもらった昇給分に見合いません」というだけのお金の話。いつものことだ。いつものことではあるが、強烈に気分が悪い。実家にいた前週、最初におかんが体調を崩し、その後おとんが体調を崩し、以前の日記で書いていた温泉行きはキャンセルせざるを得なくなった。そのことをメールで他の用とともにみつこさんにちょこっと書いたら、みつこさんはそれをゆきちゃんやゆみさんにも伝えたらしい。なので、ゆきちゃんはメールの冒頭でうちの両親の体調について聞いたことに触れ、いかにもおためごかし的に「ご両親のこと、ご心配ですね」なんて、知らない人が聞いたらホンマに心配していると騙されそうな言葉を冒頭に書きやがった後で「そういう心労がおありのところに追い討ちをかけるつもりはないんですが」･･･ってしっかりかけてるやんけ。要するに、自分の給料を上げるか、仕事を減らすかを突きつけてきているのだ。いや、そういう形は取っているが彼女の問題は終始お金で、後者は口だけ。だいいち彼女の仕事量は減らさないとまずいほど多いとは私はまったく思わない。彼女は、ちょっと積み重ねた経験と知識をタテに「このままなら辞めちゃうよ」と私にも東京の本部にも脅しをかけているわけだ。上等やで、まったく。ここだからはっきり書いておくが、私自身は彼女を、自分が知っている身の回りでいちばん狡猾で腹黒で･･･と書いたところで「へなまずるい」という言葉が浮かんだが、さて、これは感覚的にぴったりした言葉なのだろうか･･･とにかく人間としては嫌いだ。何度も言わすなというくらい大嫌いだ。不幸の手紙を書いて送り付けたいくらい腹が立つ。（アホらしいからやらないけど）前にも書いたが、ぐだぐだ言うなら辞めてもらっても構わないのだ。だが、彼女は結局辞めずに、年に2～3回のサイクルで同じことを言ってくるだけだ。そんな実を結ばない抗議を年に何回もしてもらっても結果は変わらない。私が気分を悪くするだけだ。これも前に書いたが、彼女の待遇は決して悪くない。その上、本当はこれを書くのもアレなのだが、私はうちのスタッフにはかなりの身出しもしている。クマイチが何も目をつぶってくれているからいようなものの、やっぱりそれはひとえにみんなに気持ちよく働いてほしいから。しかし、実は今回の会議でのとあるセッションで、ゆきちゃんのことがちらっと問題になった。彼女と東京本部の関連部門のスタッフとが1ヶ月ほど前、メールで大ゲンカしていた。そのことで、そこの部長から私に話があったのだ。そのケンカの最中、何か起こっていることに気づいてはいたのだが、その時はかなり忙しくてそんなことに関わりあっているヒマがなく、ひとしきり火が消えた頃にメールのコピーを読んで愕然。どう見ても悪いのはゆきちゃん。その時にリアルタイムで見ていたら注意しなければいけなかったが、その時は物理的にどうしてもそれができなかった。人間、後で言われると腹が立つものだと思い、その時期を逃した私は、ゆきちゃんには「今回はアンタが悪かったね」とはもう後になって言うのはやめた。その時に監督できていなかった私が悪い。こうなると相手の部署にも謝るのは私。今回、相手の部長に平謝りした。相手の部長のほうは「いや、うちのスタッフも何か虚勢だけ張ってたみたいなメールでしたしね」と言ってくれたが、相手のことは相手の部長の責任であり、うちのほうの責任は私にある。ゆきちゃんは、私やみつこさんには絶対服従の慇懃無礼な姿勢を見せてはいるが、そのメールの件以外にもお客さんやクライアントに対しての物言いだとか仕事のやり方で不親切なところが散見されたので、なんとかしなければいけなかったのだ。しかし、ゆきちゃんのこの直訴メールの内容を考え合わせると、彼女としては「会社の待遇がすべて悪いから私にも余裕がなくなってきている」「もう限界」だと言いたいわけだ。まあ、それならそれでさっさと辞めてくれ。暴れたらなんとかしてもらえると考えているところが甘い。バカっ。（真剣に怒ってマス）彼女のメールの〆の部分も結構すごい。「勝手なことばかり言ってすみません。でも、こういう話を自由に伝えられる上司としてちゃとさんがいて幸せです。」･･･いったい、どの面下げてそんなこと書けるねん･･･そして、あろうことか、その後に「こういう状況だと私を含めて、みんないつ辞めるかわかりませんよね、スタッフ探すのも結構大変でしょうし」激怒。なら私や山村さんが「ゆきちゃんじゃないとダメなんだ。辞めないで」と言うとでも思っているのだろうか、コイツはいったい？一時的にどんなに苦労することになっても、こんな子はもう辞めてもらって、イチから誰か探して教え込んだほうがマシだ。私は一計を案じた。よし、彼女が「この件を本部に上げろ」と言っている以上、社長の山村さんの耳には入れよう。しかし、ロンドンに戻った後の私のシナリオの都合上、2つ前提を考えた。1）経営陣に話を上げ、（すげない）答をもらった形にする。･･･「やめたかったらどうぞ」的判決。2）今回の会議中に名指しでゆきちゃんへの指摘を数点受けていて、この状態でちょっとこういう話を上げるのは躊躇した形。･･･「ゆきちゃんの立場が不利になっても困るしね」的脅迫？山村さんは「どっちでもいいよ、任せるよ。会社に通した形で回答してくれてもいいし、ちゃとさんが止めている形でも、どっちでも」とのこと。この件で山村さんと話し終わった8時頃から、やたら体調が悪くなり始め、顔が痒いなと思ったら、怒りとストレスのせいか一発で顔面にブツブツ発生。遅れ加減で会社の小宴会に一応顔を出したが、ほどなくその場を抜け出し、前にlalameansさんから教えてもらっていたラーメン屋に一人で行って辛いみそ麺の大盛りを食べ、それから本屋に寄ってホテルに戻った。この時点では私はもう、ロンドンに戻ったらゆきちゃんの息の根を止めてやる、という気分いっぱいでいたのは本音。こういう気持ちが、部下に対する上司の気持ちとして決して正しいとは思わないが、私も人間だ。許せることと許せないことははっきり分かれている。絶対にぎゃふんと言わせてやるっ。この続き（実際の面談の様子）は後日。

  2006年11月30日

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• 帰る日の顛末

  いつもの帰省時は、土曜にロンドンを出発することにしている。金曜に仕事を終えて、それから荷造りをだらだらし始め、もしも土曜のフライトが夕刻に出る日本への直行便なら、荷造りなんか午前中でもできるし。（笑）しかし今回の帰省は無理やり金曜に仕事が終わってから出発しようとしていた。前にも書いたが、イギリスから日本に移動すると、それだけで日が変わってしまうし、土曜の「チャングムの誓い」の最終回を見ようとすると土曜にロンドンを出ていたのでは遅いからだ。（すごいちゃちな理由だが）クマイチが先に日本に行ってしまっていた一人の週は自分では結構がんばっていた。その前週には8回目の結婚記念日を迎えるも、特に不仲というわけでもないのにいきなり離婚する話に加速がついてしまったり撤回したり、さんざんだったことで精神的に疲弊していたが、一人でここにいてあれこれ考えるのもイヤで、いつにも増して体を動かして家事に勤しんでいたのだ。それで、木曜の仕事帰りにちょっとだけお土産を買いにスーパーに寄って、両手に袋いっぱいにあれやこれや買って帰ったら両肩がぱんぱんに腫れたが、時間がないので気にするヒマもなく荷造り。金曜は朝の7時半には会社に着いていなければならないし、それに間に合うように荷造りして、寝て、荷物を全部持って会社に出発しようと思うと、私にとっては大きな負担だが、自分が好きでそうすると決めたのだからしかたない。結局、荷造りを終わって2時間くらい寝て5時起きしたが、会社に向かって家を出て駅に向かう途中、やっぱり荷物がかなり重いことを体感。電車に荷物を乗せて会社の最寄り駅に着いたらそれを降ろして会社に徒歩で向かうのだが、いつもはなんとも思わない程度の会社までの距離が荷物のおかげでめちゃくちゃ重くて遠い。会社について、さすがにやばいと思って京都の実家に電話した。関空についたら、予約してあった乗り合いタクシーで実家に行こうと思っていたのだが、この金曜の朝の段階ですでに気持ちがめげてしまっていて体までしんどい。関空に着いたら予約のタクシーに乗るだけ、というふうに気持ちを切り替えられず、やっぱりクマイチに迎えに来てほしくなったのだ。実家に電話したら、いきなりクマイチが電話に出たので驚いた。（おとんかおかんが出ると思っていたから）話を聞いていると、クマイチは一人で留守番していて、おとんは自分の用で外出していたが、クマイチが実家に着いた時からおかんの具合が悪く、今は点滴を打ちにお医者さんに行っているので自分が留守番しているというようなややこしい話になっている。実家もややこしいが私も自分の体力にちょっと自信がなかったので、クマイチに、悪いけど乗り合いタクシーをキャンセルすることと、関空まで迎えに来てもらうことをお願い。その電話の後で仕事を開始したが、なんだか午前中は体が重い上に頭も集中力を欠き、本当に今日はちゃんと出発できるのだろうかというへろへろの状態。みつこさんもまだ休んでいたし、ゆきちゃんもまだ休暇中だし、この日もゆみさんと私の2人きりの仕事だったが、この状態がやっぱり長く続いていたから、すでに疲れがたまっていたのだと思う。それでも、ゆみさんが「最近凝って飲んでいる女性向きのお茶」というのをちょっと分けてくれて、それを飲んだらいくぶんかすっきり。なんとか3時半まで持ち堪え、会社を出て駅に向かう。帰る方向の電車だが、次の駅で降り、そこから出ている空港行きのバスに乗る。雨が降り始める。蓄積した疲れもあってバスの中で爆睡していたら、目が覚めた頃にはかなり空港の近くまで来ていたが、雨の状態がこっぴどくなっている上にものすごい渋滞。走る速度と時間を比べていると、ひょっとしたら今日は飛行機に乗れないかもしれない、というような状態になってきた。乗れなかったら、それは後で考えようと思っていたら、なんとか空港には間に合ったが、今度は夏のテロ計画行為以降の持ち物検査で列がなかなか進まず。それはそれで時間がかかったが結果的に飛行機には乗れた。とにかく飛行機に乗って席に着いたら、いろんなややこしいことは忘れようと思って観始めた映画は「有頂天ホテル」。上映当時はいろんなところで絶賛されていたので楽しみに観てみたのはよかったが、何がおもしろいのかまったくわからず･･･というより「ここでウケるんではないか、観客はクスリ笑いするはず」的な自己満足的小細工がミエミエで、気分的な盛り下がりは直滑降状態。気がついたら寝てしまっていたが、その後、もう一回寝たところから続けて観てみようという気にはなれず、結果的には映画は一本も観ずじまい。関空でクマイチの顔を見た時はほっとした。空港内のスタバでちょっと飲み物を買って、クマイチ不在中の私のほうの話をしたり、彼のほうの話をちょっと聞いたりして時間をつぶす。やがて京都行きの空港バスに乗り込み、夜に京都の実家に向かう。「チャングムの誓い」の最終回を無事に実家で両親とクマイチとで見た。が、やっぱりアレを見ていて感じたことだが、こういうドラマとか映画はやっぱり演じているその人の音声（それが外国語で、意味はわからなくても）で聴くほうが、臨場感がはっきりしている。でも、あんなに意気込んで最終回だけ見るというのもヘンな感じだと、見終わってからつくづく考えたのである。

  2006年11月18日

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• 「Facing the World」

  イギリスのテレビは時々、めちゃくちゃ鋭いものを放送する。中身がかなり濃いし、日本のイマドキの番組のように「CM前にはっと息を飲ませ→CMにはいる→CM前に放送していたところを重ねて放送する」みたいなせこいひきつけ方をしないところが気に入っている。「My New Face」と題された昨夜の番組は、イギリスの2人の外科医を中心としたドキュメンタリー。世の中のありとあらゆる人の顔にはそれぞれ美醜もあれば個性もあるが、やはり病気がもとで、避けきれない障害を顔に負ってしまった人がいる。比較的よく見かけるものには口唇口蓋裂があるが、顔面裂や顔面軟部組織の腫瘍・部分的な欠損・変形、色素異常等、細かく分ければきりがないだろう。このイギリスの2人の外科医は「Facing the World」つまり、世界に顔を向けて生きよう、という名前のついたプロジェクトを主宰している。英語のFaceという意味は、顔という限定された意味もあるが、そこから転じて「（問題などに）直面する・直視する」という意味もあり、つまりこのプロジェクト名自体がダブルミーニングである。プロジェクトを主宰する2人の外科医は時間を見つけては世界の発展途上国を旅している。医学的レベルが低い上に、自己資金というものがおよそない頭蓋を含む顔面異常の人たちを探し、その異常・奇形の詳細を医学的に調べてロンドンに呼び寄せ、その手術が本当に患者にとってのQuality of Lifeの向上に寄与するなら、という目的で手術を施しているのだ。先週のいつかの段階でこの番組の予告編を目の端に捉えた私は、その中で一瞬映されたインドネシアのAriantoという青年の顔の映像に衝撃を受け、この番組が放送されるのを待っていた。昨日、放送された1時間半のドキュメンタリーでつぶさに取材されていたケースは4例。そのうちの1人がAriantoという、番組の予告編で見た青年。彼は遺伝性の神経線維腫症を父親から受け継いでしまい、そのための腫瘍が顔に集中して発症してしまっている。（父親は全身のあちこちに小さな腫瘍がたくさんあるのに対し、息子であるAriantoは顔の一箇所の腫瘍だけが尋常でないサイズになってしまったのだ）顔面の片側だけが、顔の内部に巣食う腫瘍のために、もう片方の顔面の3倍ほどの面積と体積になって垂れ下がっている。この障害のために彼はすでに右目の視力と聴覚を失い、腫瘍による顔の垂れ下がる重みから来る激しい頭痛に見舞われている。決して生活が楽ではない家庭に生まれた彼は孤児院暮らしで17歳になったが、ここには他にも彼と同じような奇形に悩まされている子供たちが生活している。Ariantoは2004年に1回目の手術を受け、その際に1kgもの腫瘍をすでに摘出した。今回はその次の段階としての顔の再形成･･･義眼や義歯のはめ込みを含め、できる限り本来の顔に近いバランスに形成する手術のためにインドネシアから再度ロンドンを訪れた。次の1人は12歳のNeyというカンボジアの少年。彼は実はAriantoほど顔面が肥大化してはいないが、原因が脳ヘルニアにあるため、症状としてはこちらのほうが対策を急がれる重症。Neyは近所や学校でいじめに遭い続け、道行く人々から文字通り石持て投げられる憂き目に遭い、とうとう学校にも行けなくなった。そのNeyがロンドンに連れてこられ、この2人の外科医から、最初のアセスメントを受けるが、年齢の割りに体の成長が遅いことが心配される。やはり手術自体のリスクがかなり高いことから、成長が遅滞しているホルモン異常等のほかの疾病があった場合は、Neyはロンドンにまで来ながらも手術をせずにカンボジアに帰国させられる可能性もある。彼の手術シーンはすごかった。顔面をぺろっと剥がし切り、その上、頭蓋を切り取り、ネジも填め込んでいるシーンも手元のカメラではっきり映されていた。彼は手術後、一瞬、漿液性髄膜炎を起こして発熱する場面もあり、緊張しながら見たが、その後なんとか軽快してホッとした。この「Facing the World」のチャリティは、一般市民の基金によってまかなわれているため、世界中で同じような奇形に悩む人々や、それらの人々の治療に当たっている医師から「この患者を一度診てほしい」という依頼が引きも切らずにやってくる。その中で、たった2歳のAngeloというフィリピン人の子供の例があった。このAngeloの奇形は、もともとは最初のAriantoと同じ神経線維腫症が原因ではあるが、神経管が欠損していて脳（いわゆる脳みそ）が頭蓋から抜け落ちている状態であり、今後は徐々に視力も減少していく。つまり、両親にとっては非常に残酷な結果だが、このAngeloの手術が成功して、顔面だけが改善されたとしても、そのことがAngeloの生活上、今後の将来に明るい展望をもたらす見込みがないという医学的判断に基づき、母親の必死の願いにも関わらず、この子の手術は断られてしまった。この1人分の枠は、本来の意味で生きる希望と今後の生活の向上が見込める他の誰かに回されるという結果になったのだ。世界各地から送られてくる候補のケースを精査するのは、この2人の外科医だけではない。このプロジェクトに賛同する麻酔医・歯科医・形成外科医・脳外科医など、一度に医師が20人くらいと看護師が10人くらい。すべてボランティアベースでこれらの精査と手術に関わって、たった1人を救う。番組の最後に、この2人の外科医は、3年前に手術したEyerusalemという女の子が住むエチオピアを訪ねて行く。手術以来、実に3年ぶりの再会。Eyerusalemはまれに見る血管奇形のため、生まれた時には無視できるくらい小さかった顔のコブ状の障害が顔の左目の下から左の鼻全体を圧迫し、通常の呼吸にすら危険な影響を及ぼすようになっていたのを、このプロジェクトの一環で手術が行われたのだ。今、テレビに映って恥ずかしそうに笑うEyerusalemはどちらかというととても可愛い女の子。かつての写真との比較には驚くべきものがある。そしてこの「Facing the World」のプロジェクトは昨日以来、何分かごとに寄付額がどんどん増えていっている。これまでにすでに14人の患者がこのプロジェクトの寄付金で手術を受けており、現在15人目の候補の患者の選定が進んでいる最中だそうだ。実は私もこのドキュメンタリーに感動して、決して大きな額ではないが今ちょうど寄付したところ。最後にこの番組のページを紹介しておこう。イギリスの番組なので全部英語ですが、まずページの最初に、このプロジェクトの中心の2人の外科医の先生の写真（不謹慎だが、2人ともかっこいい！やっていることを見るともっとかっこいいと思うのは、善行の魂が顔にそのまま表れているからでもあると思う）そして文章がだーっと書かれ、いちばん下に行くと、今回の番組で紹介された患者たちのもともとの写真が出ています。一瞬、自分の目を疑うような写真ですが、決して興味本位で紹介しているわけではないので、ぜひ見て頂きたい。写真の順番は左からArianto、Angelo、Ney、そして下にEyerusalemそれらの個々の写真をクリックすると、手術前の写真、彼らがどのような病気で苦しんでいたのかの説明と、手術後の写真が掲載されています。ここで紹介されている人たちは手術前でも、その奇形ゆえに虐げられても人から石を投げつけられても、自殺する道は選ばなかった人たちであることも強調したい。手術を受けた後でも、まだ奇形が完全に消えたわけではないのに、前よりも何倍も明るくなって、これからの自分の人生に未来を見出していこうとしている人たちだ。こういう番組を見ていると、日本で多少、背が低いだのうざいだの言われて、いじめだなんだと言ってすぐ死にたがる若者にあえて鞭打ちたくなる。

  2006年11月17日

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• だいしっぱい

  本当にどうかしていたのだ。今朝、出勤する時に電車を乗り間違えた。いつもなら仕事の開始の30分前にはデスクに座ってすでに仕事の体勢にはいっているというのに今日は会社についたら逆に30分遅刻してしまっていた。その間、土俵を守ってくれていたのはゆみさん一人。話は少々遡る。今週はゆきちゃんが休暇を取っているので、職場はみつこさんとゆみさんと私の3人。その私は金曜に仕事が終わり次第、とにかく私の留守の間に何か言ってきそうなものの当たりをつけて片付けておかないといけないため今週は結構忙しいし、クマイチがいないこともあって、家でも（わざとそうしている部分がなきにしもあらずだが）なんやかやと用を作って片っ端からやって時間をやり過ごしている。昨日、3人のうち私が最後、つまり遅出の出勤だったので私が会社に着いた途端、なぜかみつこさんがかばんを机の上に置いている。「あれ、みつこさん、まさか間違って今来たんじゃないだろうな」と思った瞬間、目が合ったみつこさんは大粒の涙。「ど、どうしたの、みつこさん！？」と思わず叫ぶ私に「ジョージのママが危ないの」とみつこさん。そう聞けばそれ以上、長々話を聞いている時間はない。「わかった。大丈夫だからもう行って」と言うのがせいいっぱい。先週末に義理ママの具合がちょっと悪いとみつこさんは言っていたが、急に状況が悪化して、ジョージが朝から泣きながら2度ほどみつこさんに電話してきていたのに、みつこさんは「ちゃとさんが来たら説明してすぐに帰るから」とジョージを待たせていたらしい。みつこさんは一旦、家に戻ってジョージと一緒に義理ママの家に車で向かう予定らしかったが、みつこさんたちの家からジョージの実家まで車で5時間もかかる。2人とも気持ちがそんな不安定な中を車で大丈夫なのかという気持ちがよぎったが、私が何か言える立場でもないし時間もないから、とにかくみつこさんを追い立てるようにして帰らせる。「向こうから電話します」みつこさんはそう言って職場を後にした。縁起でもないと言われればそうなのだが、2年前にクマイチの両親がなくなった時のことを思い出し、まだ健在とはいうものの自分の両親のことを思い出すと鼻の奥がつんとしてくる。ジョージは以前、お父さんの死に目に会えなかったそうだし、自分の上にいた兄が若い頃に亡くなっていて男の子供で残っているのは自分一人だという意識から、とてもお母さんを大事にしていた。みつこさんはみつこさんで「義理ママって大変よねぇ」と口で言いながらも、義理ママを非常に大事にしていて、年に3回はジョージと一緒に片道5時間の距離を義理ママに会いに行っている。偉いな、私にはできないなといつも思う。ジョージのお母さんはもう80を過ぎたご高齢だが、年齢のわりには丈夫な人のようで、イギリスの片田舎で自分で車を運転しながら一人暮らししていることは聞いていたが、先週の週末に急に不調が出たとのこと。それが昨日、かかりつけの登録医のところに着いた途端、救急車で病院に運ばれたという知らせがお母さんの近所の人からジョージにはいってきたのだ。そういうわけで、昨日は私とゆみさんの2人で仕事を切り盛り。幸いにも大きな件は発生しなかったのでなんとか乗り越えられた。しかし、みつこさんがいつ職場復帰できるかわからない。もしも最悪の事態になったら、日本とは風習が違うので、みつこさんが職場復帰できるまでに最低でも1週間から10日はかかってしまう。しかし、そのあたりの段取りは他の支部のマネージャーと確認しながら、なんとか体勢を整える準備もつけたので、仕事の上ではこれ以上心配してもしかたない、できることしかできないんだから割り切ってやろうとゆみさんと話して昨日は終わった。今朝。電車を間違えた。イメージしやすいように駅を阪急の京都線になぞらえよう。（関西人しかわからない）京都の始発駅＝＝自宅最寄り駅＝＝途中停車駅＝＝職場最寄り駅＝＝列車の終点駅　　↓　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　↓河原町駅　　　　　　大宮駅　　　　　　　　高槻駅　　　　　　　茨木駅　　　　　　　梅田駅遅出の時はいつも私は大宮駅を10時3分に出る電車に乗る。この10時3分の電車は、途中、高槻駅にだけ停車したら次は茨木駅で、私はそこで降りる。今日は家から駅を歩いている間にずっとジョージのお母さん、どうかなと考えていた。昨日のことはあまりにも突然だったのと、あんなに取り乱したみつこさんを見てショックだったのとで私も何も言えなかったのだが、一日経って「どうしてもっと思いやりのある言葉がかけられなかったんだろう、せめて『距離が長いから運転は2人で気をつけないとダメだよ』と、わかっていることでももう一度言ってあげればよかったのに」などと思っている間に涙が出てきて、ホームの端まで歩いていた。ほどなく電車が来てそれに乗り、席についてぼんやりしていると検札がきた。イギリスでいちばん働いているのは間違いなく税務署と検札に来る車掌で、どんなに列車が遅れていようと、予定の電車が遅れて文句を言おうと（電車が遅れているのに検札だけはしっかり来やがって、みたいな）検札だけは借金取りのようにきっちりやってくる。私は車掌に定期を見せる。いつもちらっと見て終わりなのに、今日の車掌は定期をじぃっと見た後、私に「マダム、どこに行かれるんですか？」と聞く。「え？どこって？定期にある通り茨木駅までですけど？」と答える私。「･･･この電車、大宮駅から梅田駅まで直行ですよ」と車掌。･･･ええっ？いや、確かにそういう電車が時々あるのは知っている。でも、そういう電車は本数が極めて少ない上に、普段から注意して乗っているから、会社の最寄り駅である茨木駅を飛ばして梅田駅まで行く電車になどこれまで乗ったこともないし、だいいち私が乗る時間帯にその電車は走っていないのだ。ようやくわかった。いつも乗る電車のかーなーりー前の直行電車（いつもは顔も見ないやつ）が遅れて来ていたのが、たまたまいつもの電車と同じ時刻・同じ柄だった上に、私自身が他のことに気を取られていたので行き先など見ないで乗った結果がコレだったのだ。さっきの車掌がしばらくしてすすすーとやってきて「マダム、梅田駅まで乗って折り返してくるしか方法、ないですよ」とこそっと言う。「しかたないのでそうします」と答えた。ゆみさんに電話する。「ゆみさん、ごめんね･･･今、乗っている電車、梅田まで直行するってことがわかったの。遅れてたみたいなんだけど気づかなくて乗っちゃったんだ」と説明。「あらー、でもこっちは大丈夫ですよ、今日も落ち着いてるし、とにかく折り返し、気をつけて来て下さいね」とゆみさん。梅田駅について、反対方面の電車に乗ろうと思うが、普段ここまで乗ったことがない駅なので、10本ほどあるホームの電車で、先発はどれか、茨木まで速く行ってくれるのがどの電車か、を確認しようと思ったら、駅の構内の電光掲示板が全部停電している。（さすがは大英帝国だ）そのうち、1本の電車の行き先が河原町行きと書かれている。「おお、これかこれか」と思って乗りかけたら、途中の停車駅が大宮だけの表示。茨木に止まらないんじゃ、私はまた自分の家まで戻ってしまう。（爆）危ないところだった。正しい電車をやっと見つけて乗り込み、茨木駅についたら30分遅刻していた。その顛末だけで今日は会社に着いた時点で疲労困憊。どうやら普通の状態に戻ったのはお昼も大きく過ぎた3時頃だった。この年になると、いろんなことが外から内から起こってくる。人間ってなかなか一生を穏やかに過ごすわけにはいかないんだなぁなどと考える。

  2006年11月16日

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• 追跡

  意外な、うれしいことがあった。地元の小学校を出た後、私は中学と高校は地域とは関係のない学校に行った。その時の同級生で連絡を取り合っている人たちはめちゃくちゃ少ない。これにはまあいろんな理由があって、それこそイジメにあったとかやられたとかではない。経済的になかなか付き合いのしづらい学校（要は金持ちが多かった）だということが、入学してからわかり、ぜんぜんレベルの違う自分の実家を考えると子供心に肩身が狭い気持ちもあり、あまり同級生と深入りできなかったという理由が一つあった。その中で、特に中学生の時に大親友だった友達に村松美紀（いつもの通りの仮名）がいた。その中学校の下には小学校があり、大半がそこの小学校から中学校に上がってくるのだが、美紀と私はどちらも、中学校からの「外から」組だということがあって、クラスもクラブも違うのになぜか（きっかけは忘れた）仲良くなった。他にも「外から」組で何人か仲良しはいたが、美紀とは特別に仲が良かった。仲良くなった要素は2人ともその頃から洋楽好きだったからかも知れないが、私はカーペンターズ一辺倒だったし、美紀はクイーンとかエアロスミスとかキッスとか、かなりガンガンのやつが好きだったから具体的にはほとんど共通項がない。しかし、例によって例のごとくで、女子中学生が2人揃えば「誰がカッコいい」だの「目が合った」だの、そのへんの他愛のない話が温泉のように湧き出てくるもの。美紀とは中学校3年間そんな感じでべったりだったが、高校に進学してからはちょっと距離ができた。私は金銭的な理由でバイトしなければならなくなって、そっちの人間関係もできてきたことと、彼女はいわゆるガリ勉ではなかったが、もともと勉強が好きだったし、自分の将来設計もきちっと持っていた。彼女と私とは高校卒業とともに別々の道を歩くことになったが、それぞれが就職してからそんなに年数も経っていない段階で彼女が結婚する、と知らせてきた。ひゃ～～～、早いなぁ･･･と思っていたが、だいたい彼女は私よりもませていた。（爆）私がオクテというわけでもなかったが、彼女のソレには所詮かなわなかった。結婚後は東京に住むことになったので、しばらく会えないねという話をしていたら、それから何年も経たないうちに彼女から「ちょっと勉強したいことがあるから3ヶ月ほど某国に行こうと思うので手配して」と頼んできた。そっか、結婚してからでも妻の短期留学を許すなんて、心の広い旦那さんだなと思っていたが、とにかく美紀は手配した通りに某国に旅立つことになり、私は「帰ってきたら電話してね」と言っておいた。しかし、彼女の短期留学は終了目前で早めに切り上げられた。確かあの時、旦那さんの身内の方が危篤とかで、彼女は某国から「帰りを早めないといけなくなった」と電話してきたことを覚えている。そして彼女は帰国してきたはずだったのだが、それ以降、なぜか彼女とはほとんど連絡が取れなくなり、しばらくして誰から聞いたか忘れたが、離婚したように聞いた気がする。一昨日くらいだったか会社で調べ物をしていた時にふと、美紀のことが頭をよぎった。何とはなしに彼女の名前（旧姓）を検索画面で叩いてみた。すると、その同じ名前のコンテンツが含まれたサイトが結構な数、ヒットしたのだ。もちろん、ただの同姓同名ということもあるが、その名前が含まれたいろいろなサイトで紹介されている彼女の名前についている勤務先と役職名を見て、彼女だと確信した。彼女が以前、就職していた業界の他社に転職したようで、彼女は全国津々浦々を講演して回っているポストについていた。しかし、彼女の名前が出ているサイトの中に、彼女の写真のようなものが見あたらなかったし、ここの企業は誰でも名前を知っているような企業であることから、それらのサイトには彼女の直接の連絡先に当たるようなものは一つも見つからない。そんな中で、彼女のその仕事と関係のないサイトで、そのサイトの管理人（個人の通信販売の経営者？）がお得意様の名前や感想をたくさん出していて、その中に彼女の名前もあり、それにメールアドレスのリンクがくっついていた。セキュリティ上、相当甘い話ではあるし、そのアドレス自体がまだ使われている保証はない。それに何より、そこのサイトは彼女の仕事とはまったく関係のないものだから、そこにアドレスつきで出ている人が、他のサイトで出てくる有名企業勤務の美紀（これは絶対に美紀に間違いない）と同一人物かどうかもわからない。私はそのアドレスにメールを出してみるべきか、考え込んだ。ここで村松美紀と仮名で書いているが、本当は彼女の名前は一見ありそうな名前に見えて、同姓同名はなかなか見つからない。彼女自身が中学の時に「この字の組み合わせの名前が少ないんだ」とえらい自慢していたのを覚えていた。意を決して私はそのメールアドレスに、自分の捨てアドレスから昨夜とうとうメールを送ってみた。「失礼を承知で突然メールをお出しすることをお許し下さい。貴女は京都市●●区出身の村松美紀さんでしょうか？もしもそうであれば私は貴女の同級生なので、それを確かめてから普通に近況報告のメールをお送りしたいと思いました。しかし、もしも違っているようでしたらどうぞご放念下さい」私としても、あまり素っ気無い文章にはしたくなかったが、もしも同姓同名の別の人だったら私のことをいっぱい書いてもしかたがない。この村松美紀さんが私の知っている美紀なら、訝りながらでも何かとにかく返事をくれるだろうし、くれないなら同姓同名の別人だったと思うか、もう使っていないアドレスなんだと思ってあきらめるしかない。今朝になっても返事は来ていない。そんなに期待していたわけではないから仕方ないと思っていたら、今日の昼前、会社でメールチェックしたら「そうですが、あなたはどなたですか？」の回答あり。やった～～～っ！すぐに「ちゃとです」と返事を書く。向こうも相当驚いていたようで「あらまあ」と書いてきた。とにかく私は、どうしてこのアドレスを知ったかとか、説明すべき背景もあるので、家に帰ってからまた落ち着いてメールするねということで、やっとさっき、コンタクトがなかった10数年分を1000字くらいに凝縮したメールと近影を送った。美紀からもほどなく返事は来るだろう。これはきっと10年前ではできなかった形の再会だと思う。このメールがきっかけでそう遠くないうちに美紀と再会できるだろう。そう思うとうれしい。いつともわからないのに、今から「会ったらあれも話そう、これも聞いてみたい」と思ってしまっている。（笑）

  2006年11月15日

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• やりすぎ

  ダメだ･･･はっきり言ってがんばり過ぎだ。（爆）自分で言うのもナンだが、土曜出勤し、家に帰ってぽつっとタソガレるのがいやさに、掃除に洗濯に着るものの整理に土日とも思い切り時間を使ってしまった上、今朝は出勤前にベッドのシーツも引っぺがして洗濯終了。今日は遅出だったからそれができたが、実は昨日の日曜は掃除に興が乗ってしまったためにスーパーに買い出しに行けず、野菜が何もなかった。今日の帰り、スーパーに寄ろうかなと思ったが、スーパーは駅を出て家とは反対方向にある。それから買い物をして倍の時間と距離を歩いて家に帰るのかよ。いつもそんなめんどくさいことはしたことがない。しかし、なんとなくロケットなんかのサラダが食べたかったし、結局、駅に着くと反対方向に歩いていってスーパーに行った。私は一人だったらパンも食べない（ごはん人間）なのにお弁当のサンドイッチ用に食パンも買って･･･クマイチが見たらそこだけでもひっくり返って驚くだろう。普段からこれくらい働けば兼業主婦の鑑なのだが、普段はちぃともエンジンがかかっていないものだから、さすがに思った以上に疲れてしまって眠いぞ～～～。ということでQ●スーパーゴールドでも飲んで早めに寝よっと。思わず子供のように日数を数えてしまう。土曜が過ぎ、日曜が過ぎ、月曜も過ぎつつある。火曜、水曜、木曜が終われば、金曜に仕事を終えたら夜には機上の人になる。いつもなら土曜に日本に出発するのに、今回は無理やり金曜の出番を早出に調整し、会社に荷物を持っていって空港に直行する。なぜか？クマイチに会いたいから、というのが第一の理由ではない。＜答＞土曜の夜に実家に着いて両親とクマイチと一緒に「チャングムの誓い」の最終回が見たいから！（爆）

  2006年11月14日

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• 嵐の後

  昨日、クマイチは日本に発った。金曜の夜、休暇前の仕事の後片付けで彼はへとへとになって帰って来た。私もそれほど帰りは早くなかったが、一人であろうと二人であろうと荷造り自体はいつも私にお鉢が回ってくるし、彼がやるより圧倒的に私がやったほうがうまいにも関わらず、取っ掛かりが遅いのが私の大欠点だ。ここで長くお付き合いしている皆さんは私が荷造りを始めるタイミングがいつも遅くて遅くてだらだらしていることをもうご存知であろうし、中には「ちゃとはいつか飛行機に乗れなくなるで」と密かに期待されていることがあるかもしれない。私も半ば楽しみだ。（自爆）とにかく私は、荷造り＆出発タッチアンドゴーおばさんであることを認める。が、なんと金曜の夜の彼の荷造りはすぐに済んだ。すぐに、と言ってもいつもよりはさっさと、という意味だが、まあ男性の場合は持ち物も洋服も限られているし、日本なんだから足りないものは買えばいいのだ。（しかし私はそれができない。持ち慣れたものを持って動かないと調子が出ない）クマイチが出発するというのに出勤当番だった昨日の朝、私は7時前に家を出て会社に向かう。彼の空港行きのバスが家の最寄り駅を出発するのは時間は午後2時50分で、おまけにこのバスは長距離をだらだら各停で走るので時間通りに来たことがない。私が仕事を定時で終わってすぐ特急に乗れさえすれば午後2時40分に最寄り駅に帰ってこられる。幸い、時間通りに会社を出られたので予定の特急に乗り、駅の出口のいちばん近い車両の入り口付近の席に座る。電車がホームにはいり、そろそろ停止するという頃にクマイチから電話があり「バスが早く来てしまって、もう乗ってる。空港に向かってる」との連絡･･･万事休す。いや、別に毎日会ってる夫婦なんだから、1週間離れるくらいで何度もがたがた言っているとしまいに「アホちゃうか」と言われそうだが、過ぎてしまった先週は実際のところ私たちにとって結構大きな試練の1週間だったのだ。今だから書けるというものの本当のことは詳しく書けないし、クマイチは（日本に出発したとは言え）私がこれを書くのをあまり快く思わないだろうが、実は先週末、私たちに離婚の話が突然持ち上がった。9日の木曜、8年目の結婚記念日を目前にして、すんでのところで8年持たずに終わっていたかも、という事態になりかけたのだ。決して誇張の話などではなく、私は自分の出勤の出づらを見て、大使館に離婚届の用紙をもらいに行くのを何曜日にするか考え、離婚してもクマイチの姓を名乗るか旧姓に戻すか、そして私がここを出て会社の近くにでも間借りするかというような実利的なことまで先週の土曜日に考えざるを得なくなったのだ。私とクマイチの間でどちらかに不貞行為があったとか借金があったとか、とにかくお互いを裏切るような行為があったわけではなかったのだが･･･マジで離婚しそうになったのは確か。結果的には週末だから手続きができなかったという、その事実のためにはからずも頭を冷やす結果になったといっていい。その時、もちろん私とクマイチの間でもめ倒した。本当に、詳しく書けないのがアホくさいくらいだが、とにかく2人は氷の炎の中で燃え上がっていたようなものだ。売り言葉に買い言葉のような最大瞬間風速の中、お互いに「籍を抜く」という最悪の事態で合意し、私は、その瞬間に目の前の受話器をひっつかんで実家に電話し「離婚することになった」と言った。母は驚きもせず「ああ、そうかー」と言っていた。（後で聞いたところ、この時の電話を母はぜんぜん真に受けていなかったらしく、この後しばらくして寝間にはいったらすぐによく眠れたと言っていた･･･決して脅し文句ではなかったのだが）クマイチは怒ってベッドルームに行ってしまい、私は母との電話を切った後、ぽつんとリビングルームにいた。何時間か経ってクマイチがぼそっと起きてきて、私はそこにいて、2人とも何も話さない。が、あれは冗談だったとか、言い過ぎたというような言葉も2人のどちらからも出ない。こうなったらマジで週明けに手続きを開始するしかないなと思いつつも、少し落ち着いていろいろその後のことをどちらからともなく話しているうちに、その中でちょっとした誤解のようなことが発生していることに気づく。結局、この離婚の話は翌日の日曜日に破談になった。（爆）とは言え、貴重な週末の2日間を離婚する・しないの話で2人ともすごいエネルギーを使い果たし、2人で自己嫌悪に陥った。どちらも相手にカマをかけていたわけではなかったから余計にぐったりした。2人とも精神的に深い疲労感を積み残したままで月曜から仕事。そして木曜の9日になんとか8年目の結婚記念日がやってきたにはやってきたのだが、実はこの日の夕方にまた問題勃発。今度の発端は先週の土曜に比べればごくごく些細なことだったのだが、結局は前週末の離婚云々の騒動以来、2人ともまだ精神的に十分に立ち直っていなかったことから、ちょっとした行き違いがまたもや大きな話になってしまった。とても結婚記念日どころではなくなり、号泣する私、憮然とするクマイチ。（あのー、イベントをしてくれなかったとかプレゼントをくれなかったとか、そんなんじゃありません。日本にすぐ帰るので特別なことは最初から予定していなかったし）私は私の気持ちの中で絶対に私は間違っていないと思っていたが、彼には彼の言い分もあったし別に彼に重大な失敗があったわけでもなかった。彼のほうの仕事の問題もあったりして、彼なりにPissed Offの日だったのだ。この日の台風はこの夜、寝るまでに収まったが、とにかく先週は私たち夫婦にとって、とんでもない試練の週だったことを2人ともが自覚しているから、私はバス停で彼を見送りたかったし、不可抗力とは言えバスがタッチの差で出てしまったのは本当に残念だった。バス停のほうには行かず、そのまま家のほうに向かう。鍵を開けて家にはいり、お湯を沸かしてコーヒーを入れる準備をする。その間にPCを立ち上げようと蓋を開けたところ、クマイチからの結婚記念日のカードがそこに挟まっていた。彼がくれるカードの字はいつもとても丁寧だ。やっぱり、この一週間は寂しいぞ･･･かなり。

  2006年11月13日

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• まだ言ってマス！

  他に書くべきことがないわけではないが、昨日のいじめの話で皆さんから頂いたレスをいろいろ読み、またそれに対して回答していくうちに、ちょっと延長戦に突入してしまうことになった。何がどんなふうに解決できればいじめが雲散霧消するか、のようなミラクルは今のところ想像もつかないし、こうしたらどうだろうというプランを持っているわけでもない。その上、いじめというものは、構造や構成要素がいろいろ複雑に絡み合った結果の社会の病巣とも考えられ、対処の極意のようなものはなかなか見つけ難いのだろう。そういう絡み合った要素のうちの一つについて繰り返したい。「何をもって、その言動を『いじめ』と判断するのか」という部分だ。もちろん、学校内外でのゆすり・たかり等、具体的に金銭や物で見える恐喝行為や肉体的暴力にのように、それ自体の具体的な被害が見えれば、いじめどころか犯罪として立件できるから、ここでの話からははずす。精神的な圧迫感を及ぼすいじめの実態とは、どういうものなのか、何がそれにあたるのか、をもう一度考えずにいられなくなった。例えば一つの集団に100人の人がいる場合、その中の1人が「これは自分に対するいじめだ」と言えば、それが直ちにいじめだということになるのかどうか、ということだ。大人が子供によく言うところの「自分がされたら（言われたら）イヤなことは人にもしない（言わない）」という認識。端的に言えば「自分の想像力を駆使して言動の是非を考えろ」という一つのしつけの原理だと思うのだが、では、その「イヤなこと」ってナンだ？この「イヤなこと」というのが、ひいてはいじめのキーワードになっていると考えられる。太っている人に「デブ」「ブタ」などと言ってはいけないと教えられる。顔の造作がユニークな人に「ブス」、背の低い人に「ちんちくりん」「チビ」、栄光の時代のこの人にあやかって田中角●と名前をつけられてしまった子供さんに「犯罪者」･･･いや、そりゃもう、世の中にはありとあらゆる罵り語があるだろうが、とりあえずここに出した例はいわゆるネガティヴイメージを含んでおり、こういう言葉を浴びせかけるというのは、一般的にいじめだと言えるだろう。しかし、そうではあるが、これはこれで人に与える影響の大小に実際には差もあるわけで、こういう言葉の暴力を受けた経験がある人が100％全員、死にたいほど屈辱的で悲観的に打ちのめされて生きてきた人ばかりかというと、そこに個人差が生じる。こういう中傷を好意的に受け止める人はいないだろうが、人によっては言われ慣れたとか、その他の理由で、人格を否定されたとまでは最初から考えない人もいるかもしれない。屁理屈ではなくて本当に私はそう思っている。小学校の頃は私のことをゴリラと呼び続ける人が複数いて、憮然とはしたが、泣きもしなければ学校に行きたくないとも思わず、そう言ってくるやつらを追い掛け回して「ゴリラちゃう～」と叫んでいた覚えはある。こんな例はどうだろう。職場ですっごい美人がいたとする。それも仮名＝しゃとさん。（爆）営業で訪れる人から道ですれ違う人から、しゃとさんは物心ついてからの人生でことごとく「あなたみたいなキレイな人、今までに見たことがないです」と言われ続けている。周囲の人々はみな、しゃとさんの比類なき美貌に、賞賛と驚愕で「キレイですねぇ～～～」と思わず言ってしまい･･･つまり、褒めている気持ちこそあれ、けなしている気持ちなど一つもない･･･が、こういう場合、そのすっごい美人のしゃとさんがいきなり怒り出したらどうなるか？「アナタたち、みんな揃いも揃っていい加減にしなさいよっ、人を見たらキレイだの美人だのって･･･ほっといてっ」捨て台詞を投げつけ、ぽかーんとするみんなを尻目にトイレに駆け込んだしゃとさん。「しゃとさん、何を怒っているの？何か悪いこと言った？」と思う他の人たち。実はしゃとさんには暗い過去があった。しゃとさんはその類まれなる美貌ゆえに、これまでに勤めた5つの会社すべての社長から「オマエ、美人だなぁ･･･オレの愛人になったら、いい思いをさせてやるぜ」と言い寄られ、屈辱にかられて転職すること6回目。その結果、「美人」だとか「キレイ」だと男性から称されること自体がしゃとさんの中ではすでにトラウマになってしまった･･･こういう場合、周りの人々が投げかけるしゃとさんへの言動は、蔑みからは程遠いわけなのだが、肝心のしゃとさんが、それをイヤだと言ったらどうなのだ？人々がすべて、しゃとさんに対して、もちろんいい意味で「美人」とか「キレイ」とかいう言葉で賞賛していること自体がしゃとさんにとってはすでに、誰からも言われたくないトラウマ言葉になっていたら、どうだろう･･･これはいじめか、いじめでないか。いじめ・つまはじき・嘲笑とはまったく逆の気持ちからの言葉なのに、その言葉にそこまでしゃとさんが傷つくとしたら？「褒めてるんだからいいじゃないの」という考え方が正しいのか、しゃとさんにはしゃとさん固有の人生があるのだから、その中での「イヤなこと」にはできるだけ触れないように心がけるのが正しいのか。しかし、後者が正しいとしたら、世の中すべての自分の周りの人の原体験を理解して、痛い部分には触れないようにしてあげないといけないということにならないか。そういう過去があったしゃとさんの気持ちをもし知らなくて、それを知らないばかりにしゃとさんが結果的に嫌がる言葉（だけど本人にはまったくそんなからかいの気持ちがない場合）を投げてしまったら、それはいじめだということになるのか。そういう意味で昨日の「言ったモノ勝ち」か？という疑問がふつふつ沸いてきたのだ。勘違いされるとちょっと困るのだが、私は別に「これはいじめです」と自分で思う人に対して「そんなことはないでしょう」と反論したいわけではない。しかし、たとえば今の小・中・高生だとか、もっといって社会人でもいいのだが、その「これはいじめです」と自分で判断したりダウナーな域に突入してしまったりする、それぞれの人の沸点を考えた場合、そこがやっぱり30年前に比べてものすごく低くなってはいないかという危惧は少なからずある。そこの沸点が社会的に低くなってくると今度は、前だったら気にも留められずに普通に聞き流されていたような「普通の範疇」にはいっていた会話自体が当節は「由々しき内容だ」ということになってくる。皆さんからの昨日の日記へのレスを読んで、ちょっともう一度こんなふうに、言いたかったことを再掲してみた。

  2006年11月12日

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• 言ったモノ勝ち

  毎日新聞に、こんな記事が出ていた。＜自殺予告＞大人によるいたずらの可能性？石原知事が見解　東京都の石原慎太郎知事は１０日の定例会見で、いじめ自殺を予告する手紙について、文章能力から「あんなものは大人の文章だ。理路整然としていて、私は違うと思う」と述べ、大人によるいたずらの可能性が高いとの見方を示した。　石原知事は手紙を受けた文部科学省など関係機関の対応については「届けられた方は迷惑千万でね、放てきするわけにはいかないだろうから、防ぎようもない」と同情。　また、「とにかく親が関与すべきではないか。私なんか、子どもにけんかの仕方を教えた。非常に効果があって、たちまち相手を倒したら小学校で番長になっちゃった」と自身の子育て経験に触れた。そのうえで、「自分で戦ったらいい。ファイティングスピリットがなければ、一生どこへ行ってもいじめられるのではないか」と語った。***ま、この石原慎太郎という人が何かを発言すると、普通の都道府県知事の発言よりはマスコミから取り上げられやすい。以前から私は「時々おかしなことを言う人だなぁ」と思っていたし、先ごろのフランス語誹謗問題発言（注．フランス語の70～99の数え方が十進法由来でないということで「フランス語は数も勘定できない言葉だから国際語として失格」と発言したため、フランス語学校の経営者から撤回を求めて提訴されている）。石原都知事のフランス語発言に抗議する会を聞いた時もアホちゃうか、このオッサンと思っていた。が、今回のこの毎日新聞の記事について私は思わず「いつもより若干マシ」だと感じてしまった。前半の「あんなものは大人が書いたイタズラ」という部分は別としても、こういう手紙が届けられたほうはなんらかの方策を取らされる立場で災難だという部分はまったく理解できなくはない。「子供にけんかの仕方を教えた」発言に至っては、まあこれを正しいとしてもろ手を挙げて賛成するというわけにもいかないが、ものすごく見当はずれというわけでもないような気がする。ここしばらくで連鎖的に起きているいじめ、そして自殺、という図式の中で、もちろん解決すべき点はある。いじめの内容自体が陰湿になって、殴り合いの一対一のケンカや決闘みたいなのがなくなった代わりに、相手をぎゃふんと言わせる以前にいきなり「殺しちゃってた」的な後先考えない型、かといってすごい憤怒でもなくて腐った魚のような目をして「ナイフで刺したら死んじゃったよ」と言える、みたいなゲーム感覚の延長。（･･･ばかりでもないが）多勢に無勢でのいじめを助長するツールとして、例えばインターネットや携帯電話がいじめ側の連携を取り易くさせている部分もあるのではないかなどと想像したりもする。日頃はバーチャルな世界で楽しんでいただけのゲームから、実在の誰かを標的にすることによって経験できる本物の臨場感と高揚感。何にしてもとんでもない話である。しかし、ここでいつも思うのだが「また○○県でもいじめ・自殺」という報道自体も、形の違う一つの連鎖を生むべくして生んでいないかという危惧があるのだがどうだろう。世の中に一つの問題提起や警鐘として知らしめるという意味で報道されながら、それを見て「やっぱり他にもそういう人がいるんだ」と、悩んでいる生徒・学生の背中をまったく逆の方向で押していないか？そしてここには日本特有の横並び発想としての「みんな、そうしているから」もふてぶてしく生きている気がする。もう一つ腹立たしいというか納得いかないのは、その「いじめを受けています」という側の尺度が私には今ひとつよくわからないこと。私が過去にいじめを受けた記憶はないが、特定の人をいじめたとかいじめグループにいた、という経験もない。もしも「△△さんからいじめを受けました！」と誰かが言ったら、これはある種、言ったモノ勝ちとは言えないかなという疑問がちょっと沸く。ええー？そりゃちょっと待てよ、と思う人はいないのだろうか。例えばだ、そこまで陰湿なものではなくても、ちょっとしたからかいというものは大人の世界の中でも日々発生しているし、もちろん普通に物心ついたら子供の世界にも起こり得る。いや、これは決してそういうからかいを容認するという意味合いではないが、そういう状況は現実として存在する。そういうちょっとしたからかい文句みたいなものをとって、言った側の軽々しい思惑（ほとんど意味もないのにふっと口から出た）と、言われた側の感じるところの大打撃を両方マナイタの上に置くとすれば、それはやっぱり絶対言った側が必ず加害者で、言われた側が必ず被害者なのだろうか。そうであれば、人間ってどんな社会構造であっても「私はいじめを受けています」「阻害されています」と言ったほうがトクじゃないかということにならないか？しかし実際には普通に毎日社会人をやっている立場で「私は職場でつらい目に遭わされています→そこからうつ病になりました」というような場合、今の文部科学省と同じくらい過敏になってくれる組織は一つもないように思う。基本的なところは「どうしても自力でなんとかできないのか」と周りから暗に期待されるだろうし、その「いじめ」「阻害」なるものの正体が合理的にそうだと認められるまでは、へたをすると被害妄想で片付けられてしまう場合もある。会社に来ても「それは私に対するいじめです」と発言するだけで、まともに仕事の責任を果たしていない毎日を送っている人は相手にされなかったりもするし、その一人の能率・効率の悪さ（「いじめられて」いることに社内で抵抗することに時間を費やしているから）でとばっちりを受けて余分な仕事の割り増しを受ける人たちは大迷惑だ。このあたりは、給料をもらって会社に勤めることと、好きで学校に行くこととは違う。（注．私はだいたい、学校というのは親や先生がお願いして「行ってもらう」場所ではなくて「勉強したい人が行きたいという意思を持って好きで行く」場所だと思っている）話が回りくどくなってしまった。結局、一人がいじめだと言い出すと、生徒・学生といった青少年の場合は、ボクもワタシも、と言ったほうが俄然強くなるというところ、あまつさえ文部科学省に、いわば一つの脅迫状とも言える死亡予告の手紙を出すというような行為って、これが本当に「命を賭した嘆願書」と言えるのだろうかと思ったのだ。中には本当に切迫感でいっぱいの子供たちもいるのだろうと思うが、しかし、そういう子供たちにしても、ぎりぎりの線である「その個人が耐え得る尺度・度合いの差」というものってだいたいどのへんにあるのだろう。社会が複雑化しているから今の子供は昔の子供よりも全部大変になったのだろうか。昔の子供より今の子供のほうがデリケートな状況にあっても、複雑な状況にあるとは私には思えないのだ。その尺度がもしも超甘だったりする場合でも、世間は言ったモノ勝ちの論理にマジで付き合ってやらなければいけないのかな。冷淡な私は考える。今週は疲れ気味なので支離滅裂だ･･･でもとにかく、毎日毎日いじめがどうだこうだというニュースを見ているうちに、いじめがあることにすっきりしないというより、いじめをネタにしたイジリ構造の世の中の動きにうんざりしてきたのは事実である。

  2006年11月11日

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  食わず嫌いと勘違い

  この間、注文したトニー・ベネットのCDが来た。それを今かけながらこれを書いているのだが、いいなぁ･･･CD（音楽でもいい）をかけておくっていうのって、すごく能動的に「ソレを聴く」という目的の場合もあれば、もっと無作為に「ソレでも聴いてみっか（かけておくか）」という場合もあるが、今のこの瞬間は、非常に今の心象風景にトニー・ベネットの枯れ艶やかな（勝手な造語ですが）声が染み入るようで快適だ。これ、おススメですよ、ホント。期待以上。こういう音楽でも本でも映画でも･･･結局のところ押し並べて全部に通じる話ではあるが「食わず嫌い」という現象がある。語源となった食べ物の場合、私は「食わず嫌い」を呈した食べ物は思い出せない。さしあたって、食ってみる。（爆）だから「食わず嫌い」はないが「食ったが嫌い」は存在する。但し、音楽の場合は私には結構食わず嫌いがたくさんある。（自覚あり）厳密に言えば食わず嫌いというよりも1～2曲、へたすると1つの曲の数小節で「私には合わん」「もういい、別に聴きたい感じじゃないのでもう止めて」という感じで、深く付き合って判断しようというところまでまったく思わないアーティストが山盛りいる。それらのアーティスト名もなかなか出しづらい。（爆）それというのも、ここで一旦名前を出せば私書箱に匿名の中傷メールが10通は届きそうなほど、世間一般・世界基準で5つ星の付けられたアーティストもいるし「食わず嫌いと言われようと、もっと聴けばわかるといわれようと、そこまでして理解したくない、とにかく聴きたくない、聴きたくないと言えば聴きたくない」という分類に頑固に押し込んだものも少なくない。さて、この彼をそこまで毛嫌いしていたかと言われると、そこまででもなかった。が、積極的に聴こうとは絶対に思わなかったのに、ラジオを1日かけていると絶対に1時間に2回はこの人の曲がかかるという、いわば人気アーティスト、ルーサー・ヴァンドロス。はい、お好きな方には申し訳ありませんが、私はこの人がダメでした。とにかく声がダメ。クマイチは「ルーサー・ヴァンドロスっていい声じゃん、うまいじゃん」と言うのだが、聴覚や脳内の感覚のいちばん弱いところをくすぐられる声ではないという理由で、私は彼の曲がことごとくダメだった。鼻につき過ぎる。だいたい、私が好きな男性ボーカリストは（ダリル・ホールとウィル・ヤングは別格なので除く）黒人だとハワード・ヒューイット、カール・アンダーソン、アレクサンダー・オニール、フレディ・ジャクソンとか白人だとボズ・スキャッグス、ミック・ハックネル、ボビー・コールドウェル、そしてちょいと古いがピーター・アレン。そこからするとルーサー・ヴァンドロスの声は何かひっかかりがあるというかストレートでない気がして聴きづらかった。で、私にとって彼と同じ位置づけでダメなのがバリー・ホワイト。（爆）彼の声はくぐもり過ぎていて、私にはもう、彼が何を（どの単語を）歌っているのか皆目わからない。**ファンの方、ゴメンナサイ。私の主観なんです･･･**実はこの辺りもヘンな話なのだが、私の中では「黒人なんだけど声がタイプではない」という共通項から、なぜかいつもルーサー・ヴァンドロスとバリー・ホワイトがごっちゃになってしまって久しく、顔もぜんぜん違うのに、よく勘違いしてしまいそうになるのだ。クマイチと話していても「ええと、アレよ、ほら、あのくぐもった･･･（ここでマネしてみる）この人よ･･･えーと、名前、なんだっけ？」となってしまう。そこで最初にとにかく名前が思い出せるほうがバリー・ホワイト。そのバリー・ホワイトの名前を主体に、その時の音楽トピックがバリホワの話なのか「バリホワじゃないほう」の話なのか、というお粗末な記憶の手繰り方。ルーサー・ヴァンドロスという名前がいきなり頭の中に出てくるようになったのは、今般、初めて彼のCDを買ったからで、それまでは彼の顔は頭に浮かぶのに、名前がぜんぜん出ない不思議なアーティストだったのだ。そのルーサー・ヴァンドロス、（私にはこんなに）名前は覚えにくかったのに、声は非常に覚えやすい。ダンスビートっぽいアレンジの「Shine」という曲が、この間から時々聴いているHip-Hop系のKiss-FMでほとんど毎日かかるようになり、それを聴いているうちにやっぱり1枚はルーサー・ヴァンドロスのCDを買ってみようかなという気に初めてなった。彼の曲は、普通に洋楽を聴く人だったら絶対に誰でもどれかの曲は聴いたことがあると思うし、声の特徴から、一度彼の曲を聴いたら、知らない曲でも「ルーサー・ヴァンドロスだ」とはっきりわかるはずだ。何よりも彼の曲は、あまりにもあちこちで耳にし過ぎている。つまり、それだけ売れている曲がいかに多いかということだ。それだけあれもこれも曲が売れている、どれを聴いても聴いたことがある、というのはアーティストとしてはものすごい事実だと言わざるを得ない。世の中には「一発屋」などとクサされても、その1曲がメガヒットになって世間で認知されたアーティストになるというのは、好むと好まざるに関わらずすごいことだ。クサしたり揶揄したりするほうは簡単だが、そんなふうにたとえ1曲でも、それが爆発的に売れるというようなことは、本人がいくら望んでもそうならない場合のほうが多いのだ。すると、そこから考えてもルーサー・ヴァンドロスのように、とにかく彼のヒット曲は？と聞かれれば、どれを答えても「はずれ～」と言われないヒットメーカーであることは、ものすごいことだと思う。「誰でも知っている」という冠をつけてもいい洋楽アーティストの一人に、このルーサー・ヴァンドロスは間違いなくはいるだろう。そして今回買ったアルバム。ルーサー・ヴァンドロス / アルティメット・ルーサー・ヴァンドロス1. Never Too Much 2. Give Me The Reason 3. Shine 4. Your Secret Love 5. Dance With My Father 6. I Really Didn't Mean It 7. Stop To Love 8. Searching (Performed by Change)9. Take You Out 10. Got You Home 11. Power Of Love/Love Power 12. So Amazing 13. Buy Me A Rose 14. Love The One You're With 15. Any Love 16. Always And Forever 17. Closer I Get To You (Duet with Beyonce)18. Endless Love (Duet with Mariah Carey)19. Shine (Freemasons Mixshow Radio Edit)あらためてルーサー・ヴァンドロスという人のCDを聴いてみると、曲名をよく知らなかっただけで、ヒットした曲のあれもこれもが収められている。彼はやはり、これだけ売れるにふさわしいアーティストだったのだなと今、思う。2度と彼の新曲を聴けることはなくなったが、きっと彼の声は世界中のあちこちでこれからもずーっと聴き続けられるだろう。

  2006年11月09日

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  くらいキモチ

  エエ年して何言うてんねん、という話。今週の土曜からクマイチは一足先に日本に向かう。実はこれにもいろんな前段があり、彼にとって非常に気の重い前倒しスケジュールだ。有給休暇が後1週間しか残っていない私にクマイチは「1週間、無給で休んだら？」とも言っていたが、その分の減給分も大きいので断念。とにかく復路だけは一緒に戻ってくるつもりで、クマイチがまず一人で1週間いろいろと日本での用事を片付けて京都に向かう頃に私が合流。1週間だけ一緒に過ごしてロンドンに戻る予定だったのに、私が仕事で東京に1週間居残り･･･本当はこの東京の1週間の仕事は、2度の往復になってもいいから他の時期にずらしてほしかったのだが、私の都合だけで決められる日程ではなかったので動かせず。つまりクマイチと私とでばらばらに行き来して日本に2週間いるという形。この土曜に彼を空港までもちろん見送りに行こうと漠然と考えていたくせに、私ったらボケまくってしまっていたのか、彼が出発する日なのに自分の出勤当番に当ててしまっていた。気づいたらすでに遅く、状況的に他の人と代わってもらうわけにいかなかったので、とにかく仕事が済んだら直接そのまま空港に向かう心積もりをしていたが（距離100km）夕方暗くなるのが早くなったし、空港から家に着くまでの長時間の市バスで何かあっても困るから来ないでいいよ、とクマイチに言われた。明日で、結婚してちょうど8年になる。これまでも私は帰省以外に仕事で出張することが多かったので、一旦別行動ということになると、残るのはクマイチで動くのは私、というパターンばかり。今回のように先にクマイチが日本に行ってしまって私のほうが残る立場になることがめったになく、私は気持ちが非常に不安定になっている。そうはいっても、2年前に彼の両親が亡くなった時に私のほうが少し先にこっちに戻り、彼がもうしばらく日本にいた時も事実あったのに、あの時は自分一人でどんなふうに過ごしていたか、いくら考えても思い出せない。相方がしばらくいない状況になるとせいせいする、というご夫婦もいるだろうし、そういう感じもわからないでもないが、私はやっぱり一人でここに置いていかれるのはイヤだなぁと、今ひしひし感じている。いい年して、とも言えるが、自分が守りにはいってしまって年々臆病になってしまった結果でもあるのだろう。自分一人が出張でうろうろしている時はそれが日本でもアメリカでもシンガポールでもなんとも思わなかったし（ちょろちょろ動いているほうは目の前のことがせいいっぱいで、大事なことに思い至らないということか）クマイチがどんな気持ちで一人で待っているかともあまり考えていなかったのだろう。私が不在の時、私が今感じているほどにここで一人で待つことをクマイチはそこまでイヤだとも思っていなかったかもしれないが、私はイヤだ。（爆）特に先週はそれが原因でブルーはいりまくっていたのだが、今週になってから多少あきらめがつき始めた。今、いちばん心配なことは、もしも家の中の電気が切れたらどうしようかということだ。家の中の照明は全部、壁際のスイッチをパチッと押したら電球がつくタイプなのだが、私はもう電気恐怖症なもので、電球が切れたりブレーカーが落ちたりすると、しばらく呼吸が乱れる、いや、マジで。あの、電球が切れる時の「ピン」という、何かクリップが撥ね返るような音がイヤだ。あの音と電球が切れた感触がスイッチから伝わってくると、それだけで感電した気がして立ちすくんでしまう。「ブレーカーが落ちた」と口ではいうが、それすら自分で上げたことがない。本当に感電するかもしれないので電球を自分で付け替えたことがない。（ちなみに蛍光灯の付け替えはなんとも思わない）2年前にクマイチの父が亡くなって彼が一足先に日本に経った後、翌日に私も出発するために、その日の夜に少し仮眠した後、荷造りを始めようと3時頃に部屋の電気のスイッチを入れたら電球が切れて泣きそうになった。まっくら･･･いろんな意味で。結局、朝方、うっすら手元が明るくなるまで待って（つまり電球は付け替えないで）マッハで荷造り、出発。確か、クマイチの実家について彼の顔を見た時、最初の発言は「家の電球、切れた」だったように思う。あー、ぐちゃぐちゃと愚にもつかない話ばかりだ。しかし、クマイチはクマイチで前倒しで自分一人で日本に行く状況を、彼なりの別な理由でとてもイヤがっている状況。夫婦2人、結婚後8周年で「いやいやえん」中。

  2006年11月08日

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• 冷淡な私

  つまらないことだが、なんとなく気分が陰鬱な週明け。自分でこう言い切るのも問題があるような気もするが、結構私は人間としては冷たい。但し、それは損得勘定で人間関係をどうこうするということでは決してないが、ともかく一旦冷め始めるととことん冷める性格だ。そして今、私は「とことん冷める」「完璧に壁際に引きまくる」状態に陥っている。ある男性から先週メールが来ていた。とりあえずここでは豪くんと呼んでおこう。豪くんは、ええっと･･･年齢にして6つ下か7つ下か･･･それ以下ということは絶対ないが、ひょっとすると5つ下かもしれない。彼のことは3年以上も前、ここで日記を書き始めて直後に書いたが、その時点で、若い人流の言い方をすれば「ウザかった」のだ。正直でスマン。またここで書くことはある意味では同じ内容になりそうだから、しつこいと感じる人もいるだろうが、とにかく一度ダメだと思うともう絶対ダメだからどうしようもない。但し、もしも豪くんに道でばったり会ったとしても知らんふりしたりは絶対にしない。きっと普通に「うわ～、久しぶり～。元気～？」と声をかけて立ち話の一つもするだろう。そういう偶然の再会があってもまったく抵抗はないが、メールだとか電話だとかで彼との接点を残すことには意義も執着も感じない、と書けば感じはわかるだろうか。彼は別にイヤな人間ではないし、彼なりに気を遣って生きていることも知っている。私との間で、人間性だとか話だとかが合う・合わないというようなことが問題なのではない。（いや、結局そこが合わなかったということなのだろうか）豪くんと知り合ってすでに12～13年。自分でこう言うのもアレだが、どうも昔から私は豪くんに一方的に好かれていたような気がする。色恋沙汰ではなく、彼にとって私は結構おもしろい・興味ある人だったのだと思う。大学生だった彼は、かつてよく行っていた珈琲店でアルバイトをしていた。私は営業に出て会社に戻る途中だとか、仕事が終わって帰宅する前だとかにここでコーヒーをひっかけていたので、定休日以外は1日に最低でも1回、多ければ3回くらいは通っていた。ここに何人か変遷していった大学生のバイトの1人が豪くん。私がその珈琲店に通っていたのはもちろんそこのコーヒーが単に飲みたいから通っていただけだ。店内はカウンター席が主体で、奥にテーブルが2つあったが常連はテーブルは使わないし、私はよほどのことがない限り、そこに誰かを誘って行くことはなかったから当然カウンター席だ。バイトの豪くんと顔見知りにはなったのだが、彼はその頃から空気が読めない比重が大きい青年だった。私ももちろん興が乗ればお店の人や他の常連の人と話し込むこともあったが、場合によっては黙って本を読みたかったし、それもせずにぼーっとただ沈思黙考したい日もあった。このお店は気難しいお客も多かったので、お店の人たち･･･長くいる社員はもちろん、歴代の大学生バイトくんたちも、結構そのへんの雰囲気の察知に長けていて、場違いなところで素っ頓狂な物言いをしない人がほとんどだったのに、この豪くんだけはそこにズレがあったのだ。疲れた日の帰り道にこのお店に寄って、彼の出番だったりするとちょっとしんどかった。コーヒーを前にしてぼーっと座っていたりすると豪くんはそういう時、私の目のすぐ前にわざわざ自分の手のひらを出して振ってみて「姉さん、大丈夫ですか？」などと言う。鬱陶しい･･･ひたすら。放っておいてほしいのだ、そういうときは。そう言えばよかったのだが、当時はまだ若かった私は「静かに考えたい時もあるから、そういうのはやめてくれる？」とは言えなかった。これも前に書いたが、そういう場の読めなさから、豪くんには友達だとか構ってくれる人があまりいないんだろうなとは思っていた。彼もやがて大学を卒業し、その時にバイトを辞めて就職したが、その後も彼は、自宅からも勤務先からもかなり遠いそのお店に時々顔を出していた。彼としては、自分がかつてバイトに来ていたお店に時々顔出しするのは浮世の義理と思っていたようだが、お店の人たちは案外クールで、別に彼の訪問をことさら喜ぶことも、かつての身内といった扱いもなく、彼が鼻白んでいた様子も見えていた。私としては豪くんがバイトをやめてからは、いろいろ考えたいことがある時にちょっかいをかけてくる人がいなくなって正直ほっとしていた。（どうしてリラックスしに来ている客のほうが、バイトの子風情で精神的にぎくしゃくさせられるのかと思うと腹も立っていたし）それから何年か経って、豪くんが、私なんかよりも遥かに人生の早い段階で伴侶を獲得できたことを聞いた時は私もマジで喜んだ。ともかく伴侶を得るということは、人生で最大にして最強の友を得るに等しいことだと思ったし、理解者が少なかったであろう彼についていきたいと思った女性がいたことを純粋にめでたいことだと私は思ったのだ。豪くんも結婚し、子供ができ、守るべき家庭ができれば、少しは空気が読めるようになるかと思っていたら、実はそうではなかった･･･別に彼自身も私を疑似恋愛の対象として見ていたわけじゃあるまいし、そこまで執着しなくていいのに、結婚後も驚くほどマメにメールが来て（しかし頻度のわりに内容が何もないメール）うんざりしてしまい、罪悪感がないではなかったが、私はあえて彼のメールへの返信の頻度を落とした。はっきりいって、彼の内容のないメールに返す内容もなかったし、だんだんフェイドアウトさせたらさすがの彼もわかるかなと思っているうちに2年ほどが経ち、彼からのメールも来なくなっていた。彼のことはその後ほとんど忘れていたし、その上、PCがおシャカになったアクシデント等も重なって彼のメールアドレス自体ももう見つからなくなっていたが、なんと先週、彼からメールが突然来たのだ。用件は「以前のメールアドレスにくっついていたメール転送サービスがなくなったので、今後は会社のアドレスかウェブメールのアドレスにメールを下さい」とのこと。はぁ、そうですか･･･でも、悪いけど私は、こんなに久しぶりであるとは言え、やっぱり彼に近況でも書いてみるかという気になれなかった。今、自分が実際にメールのやり取り（たとえそれが季節ごとの挨拶程度であっても、当然もっと頻繁であっても）をしたいな、この人とのコンタクトはまばらであっても無くしたくないなと思う人は、やっぱり私が書く何かに興味を持ってくれているとわかっている。それに私もその人たちの書くことから必ず何か気づかせてもらったり、おもしろいと思わせてもらったり、という人たちばかりだということははっきり言える。豪くんが3年前まで強烈に送ってきていたメールがメルマガの転送以外の意味がなかったことからも、彼は私とは接点を保っていたいと思いながら、そこに彼なりの中身が何もないという現実を私はうれしいとは思えない。この週末、豪くんに一応「メールアドレス変更了解」程度のメールは出しておくべきかとは思っていたが、実は土日にちょっと大きな問題が急激に持ち上がり、私もクマイチも精神的にかなり疲弊した。当然、優先順位が高くないメールの返事どころではなくなり（いや、そりゃもう私にとっては、当たり障りのない数行のメールすら書けない状態だった）放置してしまった。まあ、これまで2年ほどはそれでも放置していたのだから、言っちゃ悪いが私にとっては放置の延長に過ぎない。そしたら、なんとまた今日、彼からダメ押しメールが来た。彼は、この間のメールの他にまた違う無料のメールアドレスを取って「このメールアドレスだと自宅でも会社でもメールが見られるので、今後はこちらに送って下さい」と書いてきた。そして「特に用事はありませんが、ひとことご連絡下さい」と。こらこら、週に2回も内容のないメールで、勝手に人にそんな指示しないでくれ。そっちは何か返事がもらいたいかもしれないが、私はできたら放っておいてもらいたい。こういうことはやっぱり自分だけの意向ではなくて相手あっての話だということをそろそろわかってもいいのではないか。私が意地悪なのか？でも、勝手なようだが、私としては自分の時間とか思い入れとかは自分の思っている方向に遣いたい。別に、おざなりの返事でも書いて出してしまえば、それでお役御免なんだからそうすれば？と思う人もいるかもしれないが、これまでの経験則から、ほとんど意味のない定期的なメールを彼が再開するだろうことは見なくても想像がつく。私はとにかく今までのところ豪くんからポジティヴな何かを学んだことはなくて、もしも学んだことがあるとすれば、それは彼の姿勢を反面教師とする形で「空気（場）を読む」「ある程度は人の顔色を見る」ということの大事さだけだろう。こういう関係を惰性で続ける必要はないと思うのだ。自分でもやっぱり冷たいとは思うが、どこのどんな人に対しても均等にいい顔をし続けることは、どうしても私にはできない。

  2006年11月07日

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• リアリティのゆくえ

  桑輝さんの日記を読んで、やられたと思った。一人カラオケ･･･今、こんなに私が飢えているイベントはこれをおいてほかにない。最後に行ったのは今年の6月だったかなぁ･･･ちょうどあの時は父が入院したところだったので、行ったんじゃないかとも思うが実際には行かなかったかもしれない。覚えていない。要するに本当は「カラオケ好き」なんじゃなくて、ただ歌うのが好きだというそれだけだ。聴く人がいなくてもいい、音がなくてもいい、要は自分が歌いたいというだけなのだ。この間から毎週見ている「X Factor」だが、昨日のテーマはABBAだった。ABBAの歌なんて歌おうと思ったことは一度もないが、これまで聴くとはなしに聴こえてきていたジャンルだから、そらでは歌えないだろうが歌詞さえ見ればなんとか歌える。こういうオーディションで人が歌っているのを聴くと、自分だったらどんなふうに歌うかなと思うし、そうなるとテレビのCMの合間に自分なりに「こんな感じ？」と思いながら歌ってみる。他人が歌っている姿というのは妙にインスパイアされる何かがあるし、この間からもう歌いたくて歌いたくてしかたがないのだが、ロンドンのカラオケは高い。ちょっとしたレストランに食事に行くのと同じくらいついてしまうし、言っている間に帰省するわけだから日本まで辛抱するしかない。とは言え、今、ぐわ～～～っと歌いたい曲はほぼ全曲洋楽で、日本の歌で歌いたい曲は特にない。日本のカラオケにも洋楽があるにはあるが、日本で流行るものとこっちで流行るものにはかなり差があるので、日本で歌うと、安いのは安いが別な意味で消化不良になるのだ。「X Factor」のようなオーディション番組だと、それぞれの参加者がどこか不完全さを残しながらも、やっぱりどこかいいところがあって「ああいうふうには自分には歌えないな」と思うことが多い。その半面、選曲ミスと思える時もあって、歌と声が合っていなくてしんどそうに聴こえると「あそこはそんなに難しい場所かなぁ」と思ったりする。アホちゃうかと言われるかもしれないが、実は私は「X Factor」の予選に出たいなぁと今年は本当は思っていた。なぜ出たかったかという唯一の理由。別にいいカッコをするつもりもウソをつくつもりもない。ただ一つの理由、それは「予選に通るか通らないか」という単純な結果が知りたかったからだ。予選にさえ申し込めば、山盛り居並ぶ「われこそは」という面々が列を成す、その列の分の時間だけ待てば、とりあえずその機会が与えられる。アメリカン・アイドルの審査員としても有名な毒舌・辛らつなサイモン・カウェルを始めとする審査員3人の前で10秒でも20秒でも、とにかく相手方に止められるまでは歌うことができる。無伴奏。そこでなんと言われるかを自分でとても知りたい、一度は何か言われてみたいとずーっと思ってきたのだ。あの予選の場面をテレビで見ていると、順番が来てオーディションルームにはいったココの面々に、審査員の誰かが「あなたには本当に『X Factor』がありますか？あなたがその一人なのですか？」みたいなことを聞くわけだ。ここで毎年、すごい自信を持っているド下手が多いのだが、こういう人たちは質問されて不安げな顔をする人がなぜか一人もおらず「私がその『X Factor』です」とか平気で答えられる毛生え心臓を持ったやつが多い。私はもちろん、そんなふうには答えない。「自分自身の何を信じて今日ここに来たんですか？」ともしも聞かれたら「とにかく予選に通るのか通らないのかを見てみたかっただけです」と、場違いではあるが正直に答えてしまうと思う。いや、もっとバカ正直に言えば、そこから先に進めるということはないとしても、ここの第一次予選だけなら通るんじゃないかなーと自分では毎年思ってきた。が、これも本当にベタな言い訳になるが、そんな海のものとも山のものともつかないたった一回のチャレンジのために仕事を棒に振ることもできないし（無職や学生の人、後は職があっても工場に勤めているパートみたいな人たちとか。で、普通に月給もらっているようなサラリーマンはみんな予選が終わってパスした段階で休学・休職して、それ一本にかけるようだ）･･･後で困ってしまう。なんか、このテレビの「X Factor」の話とか自分の話とか（爆）えらく散漫になりつつある今日の日記だが、こういうオーディションで優勝して鳴り物入りでデビューした人たちも、実はその後がかなり厳しいのが現実だ。以前の日記に書いたが、去年の「X Factor」で優勝したシェイン・ウォードは、ちょっとジャスティン・ティンバーレイクばりの見目で、もっと売れるかなと思ったら、しばらくして声帯にコブができているとかでしばらく表舞台から遠ざかっていた。2位だったアンディ・エイブラハムはつい先日まで全英ツアーをしていたはずだが、チケットの売れ行きがよくなくて、いくつかの都市のライヴがキャンセルになるかも、というような感じだったらしい。（実際にキャンセルがあったかどうかは知らない）そして一昨年の初代「X Factor」の優勝者のスティーヴ・ブルークスタインは、ちょっとにやけた中年の優男が白人でソウルを歌うというところがウケて優勝したが、番組の優勝にくっついていたレコード会社と袂を分かち、自作の歌を引っさげてレコード会社を移籍して9月にアルバムを出したが、同じくアルバムの宣伝ツアー中のチケットの売れ行きが悪く、どこかの都市の会場で、定員930人のところのチケットの売れ行きが120枚だということだった。しかし、去年の2位のアンディも一昨年の優勝のスティーヴも、デビューシングルやアルバムはやはり番組終了後も余波で全英チャートのトップや2位になるほど一旦は売れるのだが、結局その後が長続きしない。そうすると、いちばん着実に足場を作ってきたアーティストは、2002年に「X Factor」の前の番組である「Pop Idol」で優勝したウィル・ヤングだけだ。そのウィルでさえ、彼くらい実力がありながら、どうも玄人好み・通好みの部分が若干過ぎるのか、まだ世界には出ていないところがもどかしいとクマイチは言う。こういう「Pop Idol」や「X Factor」そして「American Idol」などの番組をリアリティTVなどと呼ぶが、番組のその後の出演者の動向こそが本来の意味でのリアリティと言えるだろう。

  2006年11月06日

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  トニー・ベネット

  しばらく音楽ネタから離れていたのだが、まったく聴いていないわけではなかった。わけあって、このところ、各部屋に置いてあるラジカセから「KISS FM」というHip-HopやRap中心のFM局をたれ流していたのだが、食わず嫌いだったHip-Hopの中にも結構おもしろい曲があったりして、なかなかあなどれないなと思っていたのだが、いつも聴くFM局とはちょっとシステムが違うというか、なかなか曲名やアーティスト名が流れないので、何度も聴く曲のわりに情報が仕入れられない･･･が、聴けば楽しめる、という感じではある。実は書きたかったのはそういうHip-HopやRapの話ではない。トニー・ベネット。このオジサマをご存知だろうか？イタリア系アメリカ人のこのトニー・ベネットは、50年代から60年代にもっとも好評を博したジャズ・シンガー。･･･実は私自身も過去、そのくらいしか知らなかったし、今も決してよく知っているとは言えないのではあるが、数年前に、イギリスで有名なトークショーである「パーキンソン・ショー」で見たトニー・ベネットの歌が鮮明に頭の中に残っていた。いや、その時点ですでに見た目はもう確実に孫がいる年齢。にも関わらず全般的には矍鑠としている上に、声に張りがあり、結構難しいリズムをばりばりの現役歌手として歌いこなしていることにものすごく驚いた。それ以来、トニー・ベネットという名前を新聞で時々見ると気になっていたが、一度はイギリス（だったかアイルランド？）でのライヴが中止になっていたので、やっぱり年齢的・身体的に何か不調だったのかなぁと思いつつも、そのまま忘れていた。しかし、である。このところの土曜のハイライトである「X Factor」の先週のオーディションにトニー・ベネットがゲスト出演し、久しぶりに彼の健在ぶりを確かめたのだ。「X Factor」での先週の曲のテーマはラット・パック。同名の映画もあるようだが（私は見ていない）どうもラットパックとは、かつてフランク・シナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デイビス・ジュニア等5人で一緒にショーに回っていた悪ガキども、といった意味もあるらしいが、ともかく60年代あたりのスゥイング、ビッグバンド中心のそれらのアーティストが流行させた一連の音楽のトレンドを呼ぶようだ。それらのアーティストたちはすでに鬼籍に入ってしまい、今では華やかなりし頃のビッグバンドのナマ演奏に触れる機会というのはほとんどなくなってしまったのではないかと思うが、実はそこにただ一人君臨するのが、このトニー・ベネット。彼の名前で普通、いちばん思い出されるのが「霧のサンフランシスコ」という名曲。この曲で彼は1963年のグラミー賞でレコード・オヴ・ジ・イヤーと最優秀男性ボーカルの2冠に輝いている。このトニー・ベネットが先週「X Factor」のオーディションに招かれていたのだが、ゲスト出演での彼の歌声にはまたしても圧倒された。今年の8月で彼は80歳になったのである。まあ、どこにでも「引退宣言していないから現役」的な無理やりこじつけ方・芸歴エキスパンダーはいるが、トニー・ベネットだけは違うと私は激しく断言したい。彼がゲスト出演して歌ったのは、ここ最近出たアルバムの宣伝の意味もあるだろうが、まあそれにしても実に衰えを知らない人というか、それも、声やリズムに衰えを感じさせず張りを保ったまま若干枯れているという理想的なアーティストの年の取り方。おまけに外見もしゃきーんと見目麗しく、まだ30代や40代の女性と浮き名を流している、などと聞いたとしてもまったく驚かない淡麗な姿。彼は、こうしてテレビ出演しても、年齢が年齢だから敬老的な扱いを受けているわけでは決してなく、彼そのものと彼の芸歴と、今もって衰えない第一線の活躍ぶりが人々をして敬服させてしまうと言っていい。そういうことで先週は「X Factor」にゲスト出演し、今夜はまた久しぶりに「パーキンソンショー」に出演して、いちばん売れていた頃の話とともに今、出したアルバムの話をし、また1曲スタジオで披露したのだが実に素晴らしいアーティストだ。フランク・シナトラなんかもそうだったが、ある程度、年配になった人たちの歌声を聴いて、流行っていた頃のレコードを聴きたいと思って聴いてみると、場合によっては今の歌声のほうが気分的にしっくり来るようなところがある。若い頃の勢いに乗った演奏・録音が決して悪いわけではないのだが、やっぱり手垢がついた言い方になっても「時代と年輪のマジック」というものもあるのだと思う。さて、そのトニー・ベネット。新しいアルバムはTony Bennett / Duets: An American Classics (CD)「霧のサンフランシスコ」を除くこれまでの名曲を、いろいろな歌手（だから彼にしてみればもうみーんな後輩か子供か孫っていうところ）と共演しているアルバムだ。1. LULLABY OF BROADWAY - duet with Dixie Chicks 2. SMILE - duet with Barbra Streisand 3. PUT ON A HAPPY FACE - duet with James Taylor 4. THE GOOD LIFE - duet with Billy Joel 5. THE SHADOW OF YOUR SMILE - duet with Juanes 6. RAGS TO RICHES - duet with Elton John 7. THE VERY THOUGHT OF YOU - duet with Paul McCartney 8. COLD, COLD HEART - duet with Tim McGraw 9. IF I RULED THE WORLD - duet with Celine Dion 10. THE BEST IS YET TO COME - duet with Diana Krall 11. FOR ONCE IN MY LIFE - duet with Stevie Wonder 12. ARE YOU HAVIN’ ANY FUN? - duet with Elvis Costello 13. BECAUSE OF YOU - duet with k.d. lang 14. JUST IN TIME- duet with Michael Bublé 15. THE BOULEVARD OF BROKEN DREAMS - duet with Sting 16. I WANNA BE AROUND - duet with Bono 17. SING, YOU SINNERS - duet with John Legend 18. I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO 19. HOW DO YOU KEEP THE MUSIC PLAYING? - duet with George Michael 実は私も今、ぽちっと通販で買ったところ。（爆）でも、この2週間ほどで聴いたトニー・ベネットの歌声からして「The best is yet to come」や「For once in my life」がすごくよかった～。エルトン・ジョンと共演したビデオの中で聴いた「Rags to Riches」もよかったし、CDが着くのが楽しみだ。このビデオを見て思わずクマイチに「ライヴがあったら行きたいな～」と言ったところ「でも、やっぱり1時間以上ずっと立って歌うっていうのはこの年になるときついと思うよー、ライヴはさすがにもうやらないんじゃない？」と言っていた。しかし今日のテレビでも1曲歌った後、すぐにまた席についてインタビュアーの質問を普通に受け、息が乱れたところもなければ、もちろん脚にふらつきも何もない。その後、トニー・ベネットのサイトで調べて仰天。恐るべしはトニー・ベネット様さま。（ライヴなんかはもうムリじゃないかなぁなんて、クマイチはとんだガセネタ野郎だ。）彼はこの後イギリスから一路アメリカに戻るのだろうが、その後のスケジュール。11/17・18カナダ、そして19・24・30・12/2・6・7・10・12・13・15・17とずーーーっとアメリカ各地でライヴ。こりゃあ立派なツアーじゃないかよ、まったく！最後にトニー・ベネットのサイトを紹介しておこう。（すみませんが英語です）いきなり曲が始まるのでご注意。但し、ここで紹介しているアルバムの試聴ができるという仕組みなので、絶対ソンはさせません！

  2006年11月05日

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• 告白、そして達観

  こうなるともう隠せない。隠せないが、皆さんはもともと私を知らないので（大半の人は、という意味）まあいいのだが･･･太った･･･由々しき事態だ。今朝まで気づかなかったわけではない。この間から、ダメだなぁ～、キテるなぁ～とはずっと思っていた。今朝、それが決定的になったのは、去年買った別珍のおずぼんが自分にほぼちょうどになっていたこと。そのおずぼんは去年、いつもよく行くスーパーで安かったから買った。しかし、サイズの数字だけ見て、試着せずに買ったもので、実際に穿いてみるとベルトなしでは穿けなかった。ベルトを締めてもベルトの下からおずぼんの端がずれてはみ出るような（自分の体格に比べてそれだけおずぼんの腰周りが余っていたから）感じだったのだ。「なんか、試着しないでサイズだけ見て買ったら大きかったんだよねー」と会社でぶつぶつ言っていると、みんなが「買った次の週なら取り替えてくれるから、お店にもう一回行ってみたら」と言ってくれたのだが、れはそれで面倒くさくて行かずじまいになった。というようないわくつきのおずぼんだったため、よっぽど穿くものがない日以外は穿かないという低頻度のアイテムだったこともあって存在自体を忘れていたのだが、今朝それを箪笥の中で見つけ、おお、こんなのがあったと思った。今週からちょうど寒くなってきて、今日はさらに冷え込むらしい。とりあえず、その別珍おずぼんを穿いてみたら、なんと、そんなにギシギシとベルトで締め上げなくても落ちないほど･･･自分が成長していた（爆）そのことに愕然とし、ショックのあまり、結局そのおずぼんを今日穿いていくのはやめたほどだ。（泣）この成長ぶりの原因の最たるものは、まあ相も変わらずばくばく食べることにあるのは間違いない。しかし、それと同時に、やっぱりタバコをやめたのが同じくらい大きな原因になっている気がする。世間一般には「タバコをやめると太る」と言われてはいるが、モノの本には「それはタバコをやめたら太るのではなく、それはタバコを吸っていなかった場合に本来あるべき体重」だと書かれていたのも覚えている。なので、タバコをやめた時も「本当はそれだけあったはずの体重」になるわけだから、ある程度の体重増は割り切らなければと思っていたし、体重キープのためにタバコを吸い続けるなんてというのは本末転倒。ちょっと横道に逸れるが、禁煙自体は大成功。タバコをやめた後も潜在意識のどこかで吸いたい気持ちが皆無ではないと見えて、何度か夢でタバコに火をつけそうな（でも不思議なことにそこでも実際には吸っていない）シーンが夢に出ては来ていたが、実生活では、禁煙した日から一度もタバコを吸いたいとは思わず、今や自分がタバコを吸っていた日があったという事実が不思議に思えてくるほどだ。ということで、哀しや中年女の腰つき・腹回り。（爆）これまで私は結構フィットする服を着ることも多かったし、もともとはどんなに食べても体重が変わらなかったので、1度服を買うと平均して5～6年はしっかり着られたのだが、それが今年になって「これ･･･もうアカン」ってやつが増えたことは認めざるを得ない。実は今朝、前述の別珍おずぼんとは別の、日本時代からずーっと穿いていた仕事用おずぼんがとうとうダメになったことを知った。きちっとたたんでブツに一礼。「今までありがとね」と言ってゴミ箱の中に入れた。実に不経済だ。でも、だからといって、もうダイエットするのはイヤなのだ。楽しくない。去年の今頃、ちょうどダイエットに勤しんで、春雨中心のメニューにしたり（それはそれでおいしかったのだが）粉寒天をインスタントコーヒーに溶かして飲んだり（でも、これは中途半端に膨らんだ寒天の粉が喉にひっかかる。げぇ）人生で初めてダイエット経験をしてみて、それなりに効果はあったのだが、やっぱりおもしろくない。結局私は、食べたいものを食べたい量、食べたいのだと実感した。聞くところによると「イギリス男性から見た理想的な女性は身長163cm、体重63km」だそうだから、こうなったらもう開き直って、この基準さえ超えなければいいと思って生きていくか･･･ま、いいや。今から誰かに振り向いてもらいたいわけじゃなし、

  2006年11月04日

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• やっぱりそれをユニークとは言わないんじゃないかなぁ

  イギリスは急に寒くなった。普通はみじかーーーい夏が申し訳程度にあって、後は朝晩冷え込んで、そしてふゆ～･･･みたいな感じだったのに、今年の9月・10月はえらい暖かくて、エコロジー感覚にうとく（すみません）かつ寒がりの私は一人で地球の温暖化に気持ち、ほっとしていた。10月の中旬からだったか、やっぱりハネムーンでヨーロッパにやってくる人が多い。が、ハネムーンばかりかというと決してそうではなく、日本でどかどか新聞広告に出ているような薄利多売ツアーに乗ってやってくるおぢちゃん・おばちゃんも少なくない。そうかと思うと、相変わらず「こんな中途半端な時期になんで小学生の子供を連れてこられるねん」という、私が思うところのへんなパパママも引きを切らない。とにかく、世界が自分中心に回っている人が結構多い。（ま、これを言えば私もその一人だということを認めざるを得ないのだが）今日も、ずーっとずーっとずーっと、頼まれていた用件のために客のホテルに電話していたゆみさん。その客は、手配ができ次第すぐにホテルに連絡して回答するようにと結構えらそうに言っていたにも関わらず、ずーっとずーっとずーっと外出中だったので、ゆみさんはしぶしぶ内容を文章にしてFAXで送るしかなかった。（ひとこと連絡がつけばそれで終わった話なのに）早出だったゆみさんは、それからしばらくして仕事を終えて帰っていったのだが、くだんの客からの電話をたまたまが取った。朝からかなり話題になっていた客だったこともあり、余分にもめることは避けたいと思って愛想よく応対する。相手は、FAXをもらった相手･･･ゆみさんを指名。「大変恐れ入りますが、すでに退勤致しておりますので私が代わってうかがいます」と答えたら、この客。「え？まだこっち（=自分のいる国）は5時半ですよ。もう帰られたんですか？」･･･一瞬、言葉をなくす私･･･そういうリアクションは想定外だった。「は？あのぉ、ゆみは今朝は早出で出社しておりましたし、こちらも交代制で勤務しておりますので･･･」と言うと「はあ、そうなんですか、いえね、FAXをもらいましたので」と。もともと用事があったのはアンタのほうで、そのアンタがうろちょろして捕まらんかったんやでぇ～と一発かましてやりたい気持ちはやまやまだが、そうも行かず。こういう人からの質問も、普通はそんなこと聞かんやろ、というのが多いのだが、つまらんことで怒らせて時間がかかるより相手にはともかく普通気分で電話を切らせたほうがいい。なんとか成功。相変わらずヘンな人が多いというのが、私たち4人の統一見解だ。電波ゆんゆん出しまくっている人がかなり多くて驚く。この業界がある程度長いみつこさんと私でいつもしみじみ「5年前とははるかにヘンな人が増えたよねぇ」とつぶやき合う。どうしてこんなヘンな人が増えたのか･･･ということを、この間からつらつら考えていた。原因はいろいろあるだろうが、一つの原因は絶対にインターネットの普及だというのが私の仮説。私なんかが子供の頃は、何か言動だとか服装がおかしかったりすると必ず親から「アンタ、ちょっと表に出て他にそんなややこしい人がこのへん歩いてはるか見といで」と怒られた。そうそう、世間の規範はごく近所にあったのだ。かつての竹の子族とかナニナニ族みたいな人たちの特殊な格好。ああいう扮装の人たちも、みんなが集まる現場では我が物顔で歩けても、自宅（それが親の家でも自分だけが住んでいるアパートでも）から現場に向かうまでの間には、いわゆるご近所の路地を通っていかなければならない。あまりにも他に例のないような格好をしていると、近所のおっちゃんとかおばちゃんもじろじろ見るし、ヘタしたらよその子供にも石を投げられるかも、だ。つまり、ちったぁ羞恥心もあれば、確固たる（はずの）ポリシーにぐらつきもあったのだ･･･と思う。近所を見回して、そういう格好をしているのが自分だけ（だけど、特定の場所までたどりつけば仲間がいる）ということは、若干でも肩身が狭かったのだろうと思う。しかし、世の中はいきなり（まあ、徐々に･･･という見方もあるが、とりあえず）インターネットでつながった。これまでは「こんな考え方を持っているのは」「こんな格好がカッコいいと思っているのは」自分の周りには誰もいなかった。ひょっとしたら自分がやっぱりおかしいのかもしれないと思うと、表立った奇行はしないのが得策のはずだった。なのにある日、ネットの世界をのぞいてみると意外や意外。自分とまったく同じ考えを持っている人を見つけてしまった！それも1人や2人ではなくて、ここにもいた、あそこにもいる～～～！なーんだぁ、じゃあこれまで自分が「変わっているのは自分？」と思っていたのも、案外そうでもなかったかもしれないなぁ。･･･勇気百倍。今度は別の視点で。「なんとなく気持ちが共有できる人、しかし別に個人的なつながりはないから止めたりしなそうな人、と一緒に死にたいなぁ」で、またそういう人を探してみる。いたっ！苦しそうなのはイヤだし、見つかった時にえげつない状態の自分というのもアレだし、じゃあ練炭中毒でいくか･･･なんとなく年齢としても悩みの質も似ていそうだし･･････南無阿弥陀仏。この例が決して上品ではないことはわかっているが。どうも世界中がインターネットでぐるぐる巻きになってから人間の規範の主軸はだんだんずれて傾いていったと言えるのではないだろうか。「普通はこうでしょう」「こうじゃないと少数派でちょっと恥ずかしいかもよ」とかつて暗黙で定義されていたところの常識が常識ではなくなり、一般常識から単なる一つの選択肢・タイプみたいに格下げされたところ。昔なら、隣り近所を見回してもそういう人は誰もいないからという理由で、自分だけが違うことを言ったりしたりする勇気はなかったのに、時代は変わった。インターネットで簡単に仲間探しができるようになって（その人たちがどこにいるかは二の次で）「こういう奇行もアリ」「こういう突飛な考え方の人は確かにいるってことがわかったんだから安心していいんだ」式に、なんとなく方向性の違う激励を心に受け止めてしまう人。こういう人って確かに増えたんじゃないかと思う。うちみたいなところに電話してきて、希望することをやってもらってもお礼も言えない人や、自分の気に入らないところだけ極端に反応して激怒してしまう人が増えた背景にも、一つはこういうところ･･･「アナタのその感じ方は決してヘンじゃないよ、そういう感じ方もアリなんだよ」という地底からのささやき･･･みたいなものがあるのではないかと思う。こちらが仕事だとは言え「人に何かしてもらったらお礼を言うのが常識」「自分がイヤだと思うことでも相手にも何か根拠や言い分があるかもしれないことに思い至る想像力」が欠けた人が増えた原因の一つは絶対にインターネットだと思う。そう考えるとインターネットも本当に怖い。片や欲しい情報をいながらにしていくらでも収集できるツールである反面、あまりにも多岐に亘る情報の根っこにあるいろいろな規範のあり方を曖昧にさせて、人の心を安易なほうに引っ張るツールである局面と。変わった人、増えたよ、ほんとに。

  2006年11月03日

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• ホントに雑感

  具体的に説明しづらいが、なんだか毎日気ぜわしく慌しく過ぎていく気がしている。先週末にアレやらないといけなかったんだ～というようなことを週の真ん中にぽこっと思い出したりするのだが、次の週末にはまた違うアレが待っていたりして、そうすると「アレ」の強度によって、弱い「アレ」はいつまでも置き去りなのは、仕事もそれ以外の個人的な事務的なことも同じだ。いつも「この週末はしこたま寝るぞ～～～」と思って週5日働いていると、一週間が経つのって本当に速い。土曜ごとに気持ちを区切ると、これがたったの52回で1年経って、そしてまた一つ年を取ってしまうのだ。毎年、分子の1は変わらずに分母のxだけが増えていくものだから、それで1年のスピードがこんなにどんどん速くなるように感じるようになるのか。この週末のもう一つ後の週末には、クマイチが一足先に日本に向けて出発。実は彼の前倒しの帰省にもいろいろとごたごたしたことがあり、彼もあまり気が進まないらしい。そして、その次の週に私が出発し、それに合わせてクマイチも京都へ。一週間だけ彼と実家の両親とで過ごした後、彼はロンドンに戻り、私は東京で仕事･･･いろんなことの歯車がどうも若干かみ合っていない気がするのだが、人間のいろんな段取りだとかタイミングだとかは本当に考えたようには走らないものだとつくづく思う。

  2006年11月02日

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