女神たち

2013年に『ガリレオ⑦虚像の道化師』と『ガリレオ⑧禁断の魔術』を読んで

これで「ガリレオ」シリーズも終了かと　淋しかったので

その後　すっかり油断していて　2018年に本書が発表されていたことも知らなくて

出版から５年近くたって　やっと読みました

つまり　10年ぶりの　湯川学教授(!)と　内海薫さんとの再会でした

そして　変わることのないというより　さらに進化した面白さを堪能させていただきました


科学知識を使用した奇想天外なトリックを　ガリレオこと湯川学准教授（当時）が

「じつにおもしろい」なんて言いながら　解き明かすことが主題のミステリーでしたが

長編『容疑者Ｘの献身』から　いわば犯罪心理学というか

犯罪者を含む人間の心の闇や愛情など　人間そのものが主題となった気がします

本書でも　殺人事件の被害者の残された家族や友人の苦悩に寄り添った物語が展開されます

そして　現代の法治国家では　けっして許されない復讐・敵討ちが･･･

現実社会でも　毎日のように　理不尽な犯罪や交通事故により

突然家族を失った人々の苦悩が報じられています

それに対して　警察や司法がどう寄り添うのか　重要な問題ではないでしょうか


そして　さすがは匠のミステリ作家である東野圭吾さん

これで解決かと思われたのに････やられました

次作2021年発表の『透明な螺旋』にも更なる期待が高まりました

と思ってたら　なんと『ガリレオ⑧禁断の魔術』が文庫化にさいして

収録されていた『猛射つ』が長編化されていたのですね　知らなかった

これは　読まねばなりましぇん


​『沈黙のパレード』​

　著　者　東野圭吾

　発行所　文藝春秋

　初　版　2018年10月10日