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テーマ:国内長編SF小説(38)
カテゴリ:讀書録
第10回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作ということで手に取りましたが お気楽な読書ばかり続けてきて 文学の素養などない私が 感想を書く資格があるとは思えません なにしろ登場する文豪達のモデルとなった作家さんの著作を 一冊も読んでいないのですから 正直 途中でギブアップしかけたほどです 舞台は西暦80万2700年のはるかな未来 とっくに人類は滅亡していて 謎の知的生命体「玲伎種(これどういう意味?)が 地球を支配し なぜか滅び去った人類の文明を調査しているというのです その一環として 過去の作家達をよみがえらせ不死の命を与え 「終古の人籃」という施設において 小説を書くことを強制しているのです そのような閉塞的な環境で ただ書くことしかできない中で いかに飛び抜けた才能があるといえども あらたな物語を創作できるとは思えませんが・・・ そんななか 時代もジャンルも異なる10名の作家の競作の試みが始まります 物語はその10人と 巡稿者という役割を与えられたメアリ・カヴァンという女性によって 作者と読者にとって また文明の中で 小説とはどのようなものかという考察がすすめられます 小説は人の心の奥底にあるものを明らかにするものなのでしょうか 私としては 人間の脳の働きも そこから生み出される「心」も なぜそれが存在しているのかが不明のままでは 表層だけの現象であり 自分とは違うという感想しか出てこないです だから 作家をこころざし 作品において人間を描こうとする人が 毎年 新人賞にたくさん応募する意味がわからないのです あなたたちは 人の心の何を知っているのですか かなり脱線してしまいましたが 私が本書を読みながら考えていたのはこういうことでした 物語は SFとしてはなんともおぼつかない経過をたどり 巡稿者メアリの ある情念の結果である結末を迎えます これは感動的な愛の物語なのか 私にはわかりません しかし 心ゆさぶられた読書体験ではありました すべては 誤読だったのかもしれませんが 『標本作家』 著 者 小川楽喜 発行所 早川書房 初 版 2023年1月25日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 10, 2023 03:45:40 PM
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