238627 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

女神たち

女神たち

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
Apr 19, 2024
XML
カテゴリ:讀書録


この「共立スマートセレクション」というシリーズは 初めて読みました

てか 共立出版さんの出版物を読むのが たぶん初めてだと思います

巻末の「スマートセレクション」の既刊リスト眺めたら

面白そうなタイトルが並んでいて 今まで知らなかったことが残念です

本書もタイトルの惹かれて手に取ったのですが

なかなか高度な内容が わかり易く書かれていて 満足できる一冊でした

ただ このシリーズには著者のほかに コーディネーターさんが存在するようで

その役割が何なのか 気になっていますが・・・


さて 本書を読もうと思ったのは タイトルに「古細菌」と謳われていたからです

最近 進化生物学の書物を読んでいて

進化の系統樹が 昔習ったころとは変わっていることに気付いていたからです

以前は 核を持たない「元核生物」と核を持つ「真核生物」の 大きな2つの流れしかなかったのに

最近では そこに「古細菌」というカテゴリが新規参入しており

「細菌(真正細菌)」「古細菌」「真核生物」という 3つの枝葉が

系統樹に存在するように 書き換えられているのです

しかも「古細菌」という名のわりに 「真核生物」はその「古細菌」から枝分かれしているのです

残念ながら 今まで読んだ書物では この「古細菌」の説明がなかったので

本書において 1977年に発表されたひとつの論文を端緒に

この「古細菌」の研究が 50年近くの年月で どれほど発展してきたか知れてよかったです


もっとも私自身は ネオ・ダーウィニズム懐疑論者なので

その古細菌が 他の細菌との共成関係の結果 真核生物に進化したという結論には

賛同できないのですけどね

このあたりの話は 別の機会に譲りますけど・・・


とはいえ あらためて この地球という星の主役は

せっかく知能を持っているのに 地球環境を破壊し 自らの首を絞めてしまっている人類ではなく

海洋底の奥底にも 火山や温泉地帯にも 私たちの周囲の土壌にも

いや それどころか 私たちの体内にも 生活の場を持って

環境に順応して 生き続けている 細菌や古細菌であることを 賞賛するばかりです

そして 最後に日本の研究所が この分野の研究に 画期的な貢献をしたことも知り

日本の研究者の皆さんの 地道な努力にも 賛辞を送りたいです


​『われら古細菌の末裔​ 微生物から見た生物の進化​​』​

 著 者 二井一禎

 コーディネーター 左子芳彦

 発行所 共立出版 共立スマートセレクション38

 初 版 2023年2月25日

 目 次

  ① 全ては3ページの論文から始まった
    1.1 1つの表が意味すること
    1.2 ウーズの辿った道
    1.3 「分子時計」という概念との遭遇
    1.4 分子系統解析法の確立
    1.5 隣の研究室はメタン菌の研究をしていた
    1.6 成果の発表と学会の冷たい反応
    1.7 3ドメイン説の提起(ウーズらによる1990年の論文)
    1.8 3ドメイン説に対するマイヤーの批判
    1.9 マイヤーの批判に対するウーズの回答
    1.10 3つのドメインの系統樹上における関係
  ② 初期生命としての微生物
    2.1 生命は自然に発生するのか
    2.2 生命は物質から:化学進化説を唱えた2人の巨人
    2.3 化学進化を実証しようとした最初の実験
    2.4 ミラーの実験に先立つ実験、続く実験
    2.5 マーチソン隕石
    2.6 有機物の生成から生命の誕生へ
    2.7 原始生命を育んだ温度環境
    2.8 原始生命の姿
    2.9 生命の痕跡
  ③ 大気環境を変えた微生物たち
    3.1 原始大気の変遷
    3.2 海洋の誕生、二酸化炭素濃度の低下、地球の冷却
    3.3 嫌気環境下における微生物の代謝
    3.4 光合成の起源は深海で
    3.5 光合成系の進化
    3.6 酸素発生型の光合成の起源
    3.7 ストロマトライトが語るもの
    3.8 大酸化イベント
    3.9 スノーボールアース仮説
    3.10 酸素濃度の上昇と真核生物の誕生
  ④ 真核生物への進化
    4.1 真核生物の誕生をもたらしたメカニズム:細胞内共生
    4.2 真核生物の特徴:複雑な細胞構造
    4.3 真核生物はいつ誕生したのか:化石による証拠
  ⑤ われら古細菌の末裔
    5.1 培養せずに微生物を検出する新しい方法:メタゲノム解析法
    5.2 新たな古細菌の探索レース
    5.3 真核生物に固有のタンパク質(ESPs)による系統解析
    5.4 アスガルド上門:真核生物の先祖か?
    5.5 ロキアーキオータの形態から導かれた新しい真核生物誕生モデル



​​​​​​​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Apr 19, 2024 07:39:22 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.