カテゴリ:本・音楽・映画
阿川佐和子さんが好きである。
(あ、阿川さんみたいな書き出しになっちゃった) こういう40歳になりたいなーと憧れる女性である。 報道番組で司会をされていたり、旅のリポートをしているのをよく見かけるけれど、 私は特に阿川さんの書かれるエッセイが好きで、文庫が出るたびに購入し、 たいがいその日のうちに読みきってしまう。 だいたい3~4ページで終わる短いエッセイ。 最初の頃は手軽さが気に入って数冊購入したが、 (電車やバスで1駅移動する間に1項目読み終えることができる) 段々とそのテンポの良い文章、そして何より阿川さんの人柄に惚れてしまった。 オンナならば誰でも経験があるような日常の1シーンを、飾らず格好つけず描いている。 それがとっても親近感がわいてしまう。 難しい言葉や表現はない。でも気のきいた言い回しに思わずニヤリ。 友達の会話を聞いているようなリラックスした空気に包まれて、 読んでいると肩の力が抜けていくのが分かる。 「何かを学ぶ」とか「深く感じ入る」という種類の本ではないけれど、 仕事や家事の合間、堅くなった頭をホゲ~っとするにはオススメのエッセイです。 ![]() 私はカーディガンを手にぶら下げて、試着室へと進んだ。 「いかがですかあ」という声がカーテンの外から聞こえてくる頃、 私はすでに幻滅している。 やっぱり私にはかわいらしすぎた。 ハンガーにかかっているとき、あれほどお洒落に見えたカーディガンが、 そのうえに自分の首が出て、袖から自分のもっちり腕が生えたとたん、 不気味なものと化している。 「ダメだ・・・・・・」 私はそそくさとそれを脱ぎ捨て、自分の服に着替えた。 「いかがでした?」 試着室を出たとたん、店員さんが待ってましたとばかりに問いかけてくる。 私は応えた。 「いただきます」 自分でもギョッとした。 なぜ買うのだろう。似合っていないのに。よくわからない。 ただ、このミモザの香りをどうしても、家に持って帰りたくなったのだ。 無駄なことを・・・・・・。 自分自身に悪態をつきながら、心の半分でははしゃいでいた。 一度失ったものを取り戻したときのような、 なんだか妙にうれしい気持ちなのである。 <ミモザカーディガン より> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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