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重信川の岸辺から

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2015/04/08
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 辛美沙著『アートインダストリー』を読んだ。欧米を中心に隆盛をきわめるアート産業についての丁寧な解説書であり、同時に産業としてのアートの実態を紹介した本だ。アートが産業だといういうところに驚いた。

 丁寧な解説書=マニュアルの部分は関係する人には非常に役に立つようによくできているが、興味を持ったのは別のところにあった。

 彼女はまず「「人体を血が流れるように、金は社会を貫いて流れるべきだ」 すばらしいではありませんか」」という。

 そして「値段でジャッジすることは、資本主義の基本である。そして数字は世界の共通言語である」という。なるほどすべてを金に置き換えて判断する資本主義の本質を簡明にのべている。だが、こういうのは苦手だ。

 アート産業の実情はこうだ。

 「ここ数年のアート価値の上昇は、実際のところ投資ファンドなどと比較すると驚異的なパフォーマンスにうつる。現在実に多くのアートファンドが設立され、投資としてのアートは職業の定義を変え、新しい職業を作り、インフラを変える。サブプライム問題に端を発して始まった世界的な経済不安で、あらゆる市場が金融危機による経済的なプレッシャーを受けるなか、アートは安全なアセットクラスとして認識され、いまや金融投資家にとってポートフォリオの必須アイテムとなっている。それはまるでどんな産業にも隆盛と破壊のサイクルがあることをすっかり忘れてしまったかのようだ。」

 それではどういう人たちがアート産業に熱中しているのか。

 「ヘッジファンド長者、オイル長者、IT長者、ハリウッドスター、国別では従来の欧米はもとよりBRICs諸国にいたるまで、バイヤーは拡大をつづけている。金儲けの次に来るものはアートであり、アートを所有することがはステイタスであり、」

 「プライベイトジェットで好きな場所に行き来し、超高級デザイナーコンドミニアムを世界中にいくつも所有し、マンション(邸宅)に住まうヘッジファンド長者たちにとって、安物の作品で壁を飾ることはありえない。高額のアートを買うことは豪華なクルーザーを所有し、秘境の高級リゾートに出かけ、子どもをスイスのボーディングスクールに通わせ、プラダやグッチをみにまとうことと同様、ライフスタイルの一部であり、あるソーシャルサーキットに属するための必須アイテムなのだ。」

 彼らは自家用ジェットで市に乗り付け、数億から百数十億のアートを買う。あるアートフェアには自家用ジェット画2百機も連なったという。こうして、アートが商品として高額で取引される。それは投資、あるいは投機の対象でもある。

 この本を読んで、あらゆるものが、投資、投機の対象となり、商品として売買される資本主義のもう一つの側面を知った。そして、世界の1%の生活の一面を垣間見た気がした。

 芸術家が正当に評価されることはいいことだが、世界の1%の生活ぶりには、考えなければならないことがあるように思う。そうした生活の背後には、圧倒的多数の貧困者がおり、収奪される労働者の犠牲があるのだ。
 


 





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Last updated  2015/04/08 11:27:39 AM



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