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テーマ:デザインコラム(294)
カテゴリ:アート・デザイン
久しぶりに椅子の話
ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー 1914年生まれのデンマーク人 生涯にデザインした椅子が500脚とも言われる 椅子デザインの神様みたいな人ですね 木工工房に弟子入りし、17歳でマイスターという家具職人 自分で作れるとこんなにもデザインが豊かになるぞ ということを見せつけられてしまいます 「The Chair」(イラスト左) さて、「The Chair」と名付けられたのがこの椅子 1949年に発表されるのですが、当時は話題にさえならなかったそうです これが究極だ!という理由は、構造や座り心地を備えた上で これ以上シンプルにできない美しい各部のライン 柔らかい曲面を描く背は、3本の材を継いで作られるので 当時は継ぎ目を隠すため籐を巻いていたそうですが かえってこの継ぎ目がアクセントになって綺麗ですよね J・F・ケネディとニクソンのTV討論で座っていたことでも有名 いつかは欲しい椅子の1つです ※「The Chair」は彼が名付けたのではなく 彼の作品を販売していたコペンハーゲンのインテリアショップの役員 彼は単純に「まるいやつ」と呼んでいたそうです 「Y-Chair」(イラスト中) この椅子の方が日本では馴染みがあるのかもしれません 僕も初めて見たウェグナーの椅子はこれでした 中国の明時代の椅子をリデザインした「Chinese Chair」から この「Y-Chair」まで、曲木の背を持つ同じ流れとして 中国デザインからヨーロッパデザインへの変化がおもしろいです この後脚は複雑な3次曲線と思われがちですが、実際は簡単な2次曲線 それを斜めにねじるとこの様に見える よって座面のペーパーコード以外は機械化できるため かなりの低価格化に成功しました(現在は高いですねぇ) 背あてのY字の部分は成形合板です 「Valet Chair」(イラスト右) 通称「独身者の椅子」と呼ばれるこの椅子 彼らしくない奇妙な形をしています ある展覧会へ出品するのにデザインができず 締め切り直前に2日間で制作したといういわくつきの椅子 背はハンガーに、座面を手前に起こすと三角形の収納箱(ネクタイ入れ) 起こした状態の座がズボン掛け という機能を持っているため独身者の椅子と呼ばれる (でも座れなくなりますね・・・) その展示会で、当時のデンマーク国王が気に入り 友人へのプレゼントも含み8脚注文したそうですが 急いで制作図面を書いたそうです (できてないじゃん!) なを、納入は1年半後だったそうです (全然できてないじゃん!) でも、この椅子、取って付けたような形をしていますが ハンガーの背の丸みは不思議と背中にフィットし 実は座り心地良かったりします 「Valet Chair」の座面を上げたところ やっぱり1.3mmと0.5mmの芯(シャーペン)の違いは大きい! (あとの絵が細い芯です) みなさんにはどうでもいいことですね(笑) こんなにも違うのかぁと勝手に納得 とにかく木の椅子でこの人のデザインから影響を受けていない モノはないであろうほど そっくりなのがあちこちに並んでます でも、ぜひ一度はオリジナルに座ってみて下さい その微妙な違いが楽しめると思います また、以前のコラム 北欧デザインとコーディネート http://plaza.rakuten.co.jp/nagoo/diaryold/20030709/ も合わせてお読み下さい nagoo 本館 http://www1.odn.ne.jp/nagoo/index.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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