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2021.09.04
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カテゴリ:神社仏閣・御朱印
「火之御子社」の夫婦杉から左に続く神道を宝光社に向かいます。
神道は宝光社、火之御子社、中社の三社を結び、杉の古木と落葉樹の森に包まれた道。
宝光社へは緩やかな下りが続き、過酷な道ではないですが雨後などは足元が滑りやすい場所もありサンダルとかは避けた方がいい。
道標も整備され道に迷う心配もなさそうです。

火之御子社からクマ除けの鈴の音とウグイスの鳴き声を聞きながら神道を5分程下ります。
右手に大きな杉の大木、その根元には注連縄が巻かれ、手前に石碑が見えます。

伏拝(ふしおがみ)
「室町時代の古書に「御正体飛来の処、伏拝と称す」と記しています。
950年頃(天歴年中)の祝部(神主)が、宝光社の御祭神・天表春命を奥社に合祀しました。
1058年(康平元年)天表春命の御正体がこの地に飛来「奥社は女人禁制にして、冬は登拝が困難である。
この地は四季を通して老若男女がお参りできる社を建て我を安置せよ」と申されました。
里の人々は御神意によって宝光社を建立し、御正体をお祀りしたと伝えられている。」

その昔はこの先から女人禁制、奥の院や御神体の戸隠山はここで拝みなさいという事。
今は樹々が生い茂り拝み見る事は出来ない。

根元の二つの石標。
上「NHK小鳥の声放送記念碑」
なんで?
この戸隠の森は野鳥の宝庫のようで、NHK長野放送局が1933年(昭和8)に日本で初めて野鳥の鳴き声を全国に中継したそうで、 その場所がここだという事で、それを記念した建てられた碑のようです。
下「伏拝所」石標
角がとられた一枚の岩に梵字一字と伏拝所と記され、右にも何か彫られているように見えますが風化により定かではありません。

伏拝から宝光社までは10分程の道のり。
明るい森に続く神道ではすれ違う参拝客はなくとっても心細い、「熊出没注意」の看板はそれに拍車をかける、熊とご対面だけは勘弁願いたいと嫌でも感じる。
「パン〃」柏手の音が森に響く。

やがて神道は宝光社の神輿庫の横に出る。
目の前には拝殿と神輿庫が視界に入ってくる。

神輿庫
中には新旧二基の神輿(しんよ)が保管されています。
右の御神輿は1804年(文化元年)、奥社、九頭龍社、中社、宝光社に配すべく四基製作され、現存する唯一の一基で2015年に修復が施されたもの。
左のものは1991年(平成3)に新たに作られた神輿です。

ガラス張りの神輿庫、内部に置かれた解説と、右の神輿を撮ってみた。
左の神輿は撮っては見たが周囲の人の映り込みが激しくお見せできる代物ではなかった。
二基安置され、一基は新調とあるけれど、ぱっと見では派手〃のこちらが新調されたものに感じるけれど、色鮮やかな神輿が残存する結一の一基、修復技術には驚くばかりだ。

神輿庫から眺める「宝光社」社殿と社務所。
木材の色合いを生かすため、塗りが施されていない素木造りの社殿は、周囲の自然に溶け込み落ち着いた趣があり個人的にとても魅かれる。

戸隠神社は1847年(弘化4)の善光寺地震により大きな被害に見舞われ、宝光社も被災しています。
権現造りの社殿は戸隠五社に中では最古のものといわれ、被災後の1861年(文久元年)とされる。

向拝から軒にかけて見事な宮彫りが施され目が奪われる。
屋根は入母屋造りの妻入りで唐破風向拝を持つ。

木鼻の獅子や象を始め、虹梁や蟇股には龍や麒麟、向拝懸魚の鳳凰など生き生きと描かれています。

外観にマッチしたシンプルな額ですが、その周辺は見事な彫が溢れている。
彩色され直球ど真ん中で勝負してくるものに対し、外角低め一杯に超スローカーブを投げ込むような味わいのあるものだ。

拝殿内と社殿解説板。
それによれば宮彫りは江戸末期から明治期に活躍した宮彫師の北村喜代松(1830~1906年)の作とされるようですが諸説あるようです。
祭神は天表春命を祀る。
式年大祭は7年に一度行われる戸隠神社最大の式典で、今年(2021年)がその年だったようです。
大祭では、先に見た御神輿で中社に渡り、父神の天八意思兼命と対面し再び戻ってくるのだそうだ。

参拝を終え再び上を仰ぐ。
参拝時には気付かなかった虹梁下側に錫杖が彫られ、その錫杖に龍が巻き付いている。
時間をかけ細部を見て行くと他にも気づきがあるやもしれない。

拝殿左の社務所。
社頭へは左の女坂か拝殿正面の男坂を下りていく事になります。

社務所後方には境内社が祀られています。

女坂沿いには苔むした手水鉢置かれ、山から湧き出た清水が鉢に注がれていました。
ここから境内社に向かってみます。

斜面に祀られた社と石灯籠?


いや、燈籠ではなくこれは石の社、〇に金の紋が入る事から金刀比羅神社。

奥の社は中には石像が安置されていますが、詳細は不明。

拝殿前に戻り男坂から社頭に向かいます。

男坂から下の眺め。
ここから社頭前の県道36号線までは290段ほどの石段が続きます。

石段中ほどの左側に境内社が祀られています。

石段途中から本殿へ続く参道がありますが、もう少し降ると左に鳥居があり、そこから本殿に続いています。
本殿左に社名札が掛けられ、二文字記されているようですが、青はなんとなく読めるけれど下が読み取れません。青龍? 詳細不明です。

その鳥居です。
神明鳥居と正面に石の社が三社見えています。

石段を上がると傾斜地を切り開いた社地が広がり、そこには見えていた三社以外にも複数の石の社と石仏が安置されています。
石仏のいくつかに頭部のない物もあり、神仏分離の影響?と勝手に想像してしまう。
このエリア全く分かりませんでした。
先程の不明社へは左側に参道が伸びています。

男坂も間もなく終わり、鮮やかな緑のトンネルの先に狛犬と鳥居が見えてきました。

宝光社の狛犬。
年齢不詳ですがとても愛嬌のある顔つきです。

手水舎。
柄杓はなく、龍から注がれた清水は鉢の外に導かれています。

男坂上り口から上を仰ぎます。
一本の石段ではなく二カ所の踊り場があり、それ程きついものではありません。
女坂は先に見える燈籠から左に拝殿まで伸びています。

鳥居から見る男坂、真っすぐ続く石段の先に拝殿が見えています。

宝光社鳥居と社標。
「戸隠神社 宝光社
御祭神 天表春命
御由緒並びに御神徳
御鎮座年代古く、第七十代後冷泉天皇の康平元年(1058年)に奥社遷祀奉斎されました。
御祭神は中社御祭神の天八意思兼命の御子神様で技芸、裁縫、縁結、安産、厄除、家内安全などに御神徳があり、婦女子や子供の守り神として御霊験もあらたかで広く萬民に高大なるお恵みを給う大神様です」


県道から宝光社の社頭の眺め。石段はここから始まります。

戸隠神社信仰遺跡の解説。

戸隠神社「宝光社」御朱印
これで戸隠5社の御朱印はコンプリート。

さて、ここから中社までどうやって戻るか?
神道を戻るしかあるまい、再び神輿庫の脇から神道を上り中社に戻ります。

火之御子社から先の神道。
熊笹ぼうぼうは少し不気味ですが僅かな距離です、途中分岐には行先も表示されているので中社を目指せば大丈夫。

やがて道は舗装になり戸隠道を進めば集落が現れ始めます、集落を流れる渓流に目をやれば、住民の方が大切に守っている岩魚が悠々と泳ぐ姿も見られます。

写真の時間データで見ると宝光社鳥居から神道➡戸隠道を経て、三本杉が聳える中社鳥居までほぼ40分。
森林の中を歩いたり、熊笹の生い茂る道を歩いたこの時間は、清々しくもあり、心細かったりと楽しい時間を過ごす事が出来ました。
着いた頃は丁度蕎麦屋の開店時間に間に合いました。
2021/6/24

戸隠神社「宝光社」
祭神 / 天表春命
創建 / 1861年(文久元年)
所在地 / ​長野県長野市戸隠2110
徒歩所要時間 / 火之御子社から10分、 宝光社社頭から中社約40分

関連記事 / ​戸隠神社 奥社と九頭龍社​ 、​戸隠神社 中社​ 、​戸隠神社 火之御子社​ 
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Last updated  2021.09.04 20:46:00
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