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2023.02.15
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カテゴリ:神社仏閣・御朱印
七里の渡しから揖斐川右岸の堤を10分程下ると右手に三之丸公園、九華公園が見えてきます。
目指す鎭國守國神社は堀に囲まれた桑名城址の本丸跡地に鎮座します。

三之丸公園の南側に建つ本多忠勝(1548~1610)像。
徳川四天王の一人で名槍蜻蛉切(とんぼきり)の使い手で戦国最強の名将とも称された武将。
忠勝は桑名藩の初代藩主として藩政の確立を図る一方、揖斐川右岸の当地に城郭を整え、桑名城下の町割り、桑名宿の整備など桑名の礎を築いた武将。
肩から数珠をかけどっしりと腰を据え、強烈な印象を与える鹿角脇立兜を被り、背後に異様な長さの槍を備えた光景は何事にも動じない圧倒的な容姿だ。
反面、勇ましい兜の下から覗く表情は、桑名の発展に満足するかのような穏やかさに満ちている。

現在の桑名城は三之丸公園、九華公園として整備されています。
この地に城が築かれたのは、信長、秀吉の家臣だった伊藤武左衛門が東城として築いたのが始まりと云われ、後の天正19年(1591)秀吉の家臣だった一柳右近が当地に入り、揖斐川沿いに伊勢神戸(かんべ)城の天守閣を移築した桑名城を築いたもの。

そして慶長6年(1601)本多忠勝が桑名藩に入封後、揖斐川沿いに城郭の建造を始め、松平定重転封当時の城廓引渡帳に「櫓数51(三重櫓3、二重櫓24、附櫓24)多門12、門46(内舟入門1、埋門2) 井戸14、水門3、武具蔵9」と記され、堀に囲まれ扇のように広がる壮大な姿から扇城と称されるまでに拡張されていったとされます。
しかし元禄14年(1701)城下より発生した火災で天守を焼失以降、残っていた建物も慶応4年(1868)戊辰戦争で新政府軍により破壊され、明治4年廃藩後は城内の遺構は取り払われ、明治6年の全国城郭存廃ノ処分並兵営地等撰定方により土地・建物は全て払下げになったとされます。

本丸(左)を取り囲んでいた石垣も治水などに流用されるなどし、堀も大部分が埋め立てられ今は南部分を残すのみで水城の面影や遺構は残っていない。

上は現在の九華公園マップ。
かみさんが幼かった頃、園の遠足で「何度か連れてこられた」当時の記憶と歳を重ねて見る姿は多少ギャップがあったようだ。

堀を渡って本丸跡に鎮座する鎭國守國神社へ。
石の神明鳥居をくぐった境内の左に修祓殿が鎮座します。
祓戸大神として瀬織津比賣、速開都比賣、氣吹戸主、速佐須良比賣の四柱をお祀りし、心身の罪穢れを清め主に車のお祓いを祈祷する目的の社のようです。

鎭國守國神社境内全景。
境内は左から鎭國稲荷神社、その右に九華招魂社、鎭國守國神社が鎮座します。
松平家の守護として桑名藩祖を祀る神社で、桑名藩と桑名城の盛衰の歴史を共に歩んできた神社かも知れない。
起こりは松平越中守定信(1758~1829)が天明四年(1784)に白河城(福島県白河市)内に定綱の祖廟を奉祀
したのが創建とされるようで以下はHPから神社沿革を抜粋。

・元和6年(1620)旭八幡社を松平定綱公(1592~1651)が桑名に勧請。
・天明4年(1784)松平定信公(1758~1829)が白河城内の祖廟に定綱公を奉祀。
 旭八幡社は松平氏祖先(尾張國知多郡坂部村八幡社)の産土神。
・文政7年(1824)定永公の白河から桑名に複封にともない桑名城内に造替。
・天保4年(1833)松平定永公が、定信公の霊を守國霊神として旭八幡社に祀る。
・明治12年(1879)内務省貯木場設置で社地収用、吉之丸49番地に移転。
・明治40年(1907)現在地に移転。
・大正9年(1920)現本殿造替(大正期:狛大、灯篭、鳥居寄進)。
・昭和39年(1964)拝殿玉垣整備。

鎭國稲荷神社。
社頭左に「宮光稲荷大明神」、右に「稲荷神社」の社標があり、神明鳥居から先は朱の奉納鳥居が連なり社殿へ繋がる。

稲荷鳥居の扁額は「鎮國稲荷神社」

拝殿全景。
瓦葺の切妻平入の拝殿で稲荷らしく朱で彩られ、一対の狛狐の姿がある。

拝殿前の由緒と手水鉢、由緒は以下。
「鎮國稲荷神社 御祭神 正一位稲荷大明神(倉稲魂神)
由緒
藩祖松平越中守定綱公(1592~1651)が本城鎮護稲荷大明神と称し勧請。
その後二十余柱の稲荷大明神を合祀。
例祭日 4月3日」

九華招魂社社頭。
一ノ鳥居の先に一対の狛犬が参道で守護する。

小型ですがピンと立った耳とボリュームのある鬣を持つ狛犬。


参道左の舟形手水鉢。
旧桑名藩軍制致人隊53名の寄進者氏名が刻まれたもの。

高龗(たかおかみ)神社と本丸の井戸。

高龗神社。
御祭神 高龗神(龍神・水神)
由緒
藩祖松平越中守定綱公本丸に一井を掘り高龗神を崇め、本城鎭護・延命長寿子授け・子育てを願を願い奉祀。
例祭日 11月15日

九華招魂社。
入母屋瓦葺の妻入りで向拝が付く社殿。

社殿全景。
九華招魂社
御祭神 桑名藩領内殉難護國之英霊
由緒 明治9年(1876)奉祀建。
 元治甲子明治戊辰を初め大東亜戦争までのすべての戦役の郷土桑名出身の戦没者を祀る。
例祭日 4月第3日曜日 春季大祭、7月土用の入り みたま祭、10月第3日曜日 秋季大祭。

境内右に鎮座する鎭國守國神社。
鳥居の右に「縣社 鎭國守國神社」社標。少し右手に撫で牛が安置されている。
鎭國守國神社の始まりは天明4年(1784)、松平越中守定信公が白河城内に鎭國神公を大鏡神を祖神として祀ったのがはじまりとされる。

九華天神神牛像。
天満天神(菅原道真公を相殿に祀る)
久松松平家の阻は、菅原道真の孫雅規(幼名久松麿)が知多郡の阿久居に配流され、その後子孫の道定の代に久松を名乗ることに始まり、神牛像は学問の神様として知られる御祭神に願いを届けられるよう祀られたもの。

文政7年(1824)定永公の白河から桑名に複封にともない桑名城内に造替されたもの。
建物は大正8年(1919)に再建された入母屋瓦葺の妻入で向拝付き。
外壁は柱を表した真壁造りの白漆喰で浜縁、高欄が付き、妻格子と懸魚の木の色合いに金の飾り金具がアクセントになり落ち着いた佇まいのもの。

鎭國守國神社を守護する狛犬は鬣が立派な筋骨隆々としたもの。

九華明神 鎮国守國神社
御祭神
鎮国大明神 (松平越中守定綱公)
守国大明神 (松平越中守定信公・樂翁公)
相殿神
旭八幡大明神 (応神天皇・誉田別命)
山末之大主神   (日吉大神・大山昨命)
天満天神   (菅原道真公)
八天宮   (火之迦具土神)

例祭日
5月2日・3日 金魚祭り
5月13日 当日祭・献茶式(茶道松尾流)
12月25日 御由緒祭

鈴紐が外された静かな拝所には酒好きの黒猫も守護していた。
温かい菰樽の上は心地よかったのだろう、昼寝の邪魔をしたようだ。

鎭國守國神社右の桑名城天守台跡地に建つ忠魂碑。
天守台跡とは言うものの、石垣崩落の危険性から立ち入りは禁止、天守が建っていた実感は得られなかった。
上に建つ碑は戊辰殉難招魂碑戊辰の役での桑名藩士犠牲者を追悼し明治20年(1887)に建てられたもの。
天守台前に松平越中守家の略系図が掲げられ、久松松平家と松平家との繋がりが示され、松平家康の名も見える。
鎌倉も終わり、今は家康が注目されています、徳川四天王の一人本多忠勝が脚光を浴びることもあるか。
鎭國稲荷神社
 創建 / 不明
 祭神 / 倉稲魂神
九華招魂社
 創建 / 明治9年(1876)
 祭神 / 桑名出身の戦没者
鎭國守國神社
 創建 / 天明4年(1784)
 主祭神 / 鎭國大明神(従三位松平越中守定網公)、守國大明神(従三位松平越中守定信公・樂翁公)
 相殿神 / 旭八幡大明神(応神天皇・誉田別命)、山末之大主神(日吉大神・大山昨命)、天満天神(菅原道真公)、八天宮(火之迦具土神)
所在地 / 三重県桑名市吉之丸9
参拝日 / 2022/12/17
七里の渡しから九華公園まで徒歩 / 揖斐川右岸堤を​南へ10分程
関連記事 / ​七里の渡し跡と蟠龍櫓(水門統合管理所)





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Last updated  2023.02.15 00:00:19
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