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カテゴリ:【数学】
関考和は次のような表記方法を考え出しました。
図1 : 傍書法 表の上は、現在使用している西洋式表記です。 西洋と交流がなかった日本において、同じような数学表記が誕生したことに、 数学の不思議さを感じずにはいられません。 これは数学と言うものが、それぞれが勝手に突き詰めていっても、 やがては同じような道を辿ることを示しています。 仮に宇宙人がいたとしたら、彼らとの意思疎通が数学で行われる根拠でもあります。 表記方法は異なっても、同じ宇宙に存在しているならば数学の本質は同じだからです。 まあ、宇宙人には遭遇しないほうがよいのですが、それはまた別の話です。 ---------- 数学嫌いの一つとして、『数学独特の表記が苦手』 があります。 幼いころに植え付けられた数学に対する嫌悪が、数式表記を避けさせるのです。 このことは非常に重要な問題です。 嫌いな表記を無理やり使わせても、その面白さが感じられるはずがありません。 では、各人が好きな表記を使うのはどうでしょうか。 そんな馬鹿な。と思うかもしれませんが、数学の本質は表記方法ではなく、 その中身なので、表現方法など好きにすればよいのです。 実際、物理では 『ニュートン流』 と 『ライプニッツ流』 の二つの 表記方法があり、それぞれ好きな方を使ってよいのです。 それでもこの2つは、『みんなが使う表記』 として使用を強制されていますが、 究極の 『自分専用の表記』 を使用している数学者がいます。 それは、ブラックホールの特異点定理をスティーブン・ホーキングと証明した、 天才理論物理であるロジャー・ペンローズ(1931~)です。 図2 : ペンローズ流表記 一般表記の式は物理で使う式ですが、面白いことに下の絵も同じ数式を意味しているそうです。 このマヤ語のような絵は、ペンローズが計算に使うという表記です。 たぶん大丸が微分で、四角がPだと思いますが、それがわかっても ペンローズ表記の仕組みが分からないのでまったくお手上げです。 しかし、鑑賞するなら断然ペンローズ流です。 何だか見ているだけで、天才の頭の中を垣間見た気になります。 話が和算とずれてきましたが、表記という外面に惑わされて、 数学の本質が隠されてしまうのは非常に残念なことです。 ---------- 話を元に戻します。 紙に数式を書きだす方法を得た和算は、世界で初めて 『行列式』 を発見するに至ります。 ニュートンやライプニッツが 『行列式』 を発見したのが1693年であり、 ファンデルモントが 『行列式の計算』 を発表したのが1771年ですが、 関は1680年代にはすでに 『行列式』 を研究したことが分かっています。 また関だけでなく、井関知辰(いぜきともたつ)や田中由真(よしざね)という和算家達も、 関とは関係なしにそれぞれ独自に 『行列式』 を発見しています。 当時の和算は世界レベルに匹敵していたのです。 ニュートンやライプニッツよりも数学研究が進んでいた、誇るべき和算家達がいたことを 何故私たちは忘れてしまったのでしょうか。 また、関は円周率の計算において、『加速法』 という計算方法を編み出しました。 この計算方法は現在で言うところの 『エイトケン加速』 と呼ばれるもので、 海外では1926年に発見されました。 しかし関はそれより200年早く、その計算方法を発見していたのです。 (つづく) ---------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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