祖母が最後に家で過ごしていたのは、祖母の寝室です。
祖父と祖母の末子が祀られた仏壇の前に、介護ベッドを入れていました。
久々に会った私のいとこはその部屋を見て、
「おばあちゃん、特等席だね」
と言いました。
祖母がベッドを嫌っていたことを知らず、ぎりぎりまでベッドではなく布団で寝ていたことを知らないとそのように言うことができるのだと、新鮮な思いでした。
しかし、そう言われてみれば、私たちは祖母を「箱入りばあさん」というほど大切にしてきたのです。
まさに特等席でした。
平素より祖母は病院に行きたがらない人でした。
しかし、入院した時には、自分から「入院させてください」と言いました。
それでも正月には家に帰るつもりでいたようです。
客観的に祖母の様子を見ることができた私は、正月帰宅は不可能だとわかりながらも、せめて年明け1月7日の祖父の命日が祖母の命日ならばいいのに(よくもないけど)と思いたかったです。
結果として、祖母が入院したのは18日間でしたので、苦しみがそれ以上伸びなくなったと考えれば、それで良かったのです。
上手に表現する人ならば、「おばあさんと、側に居る人を楽にするために、おじいさんと息子が迎えを早めてあげたのでしょう」と言うかもしれません。
残念ながら私はそのように思うたちではありませんが。