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さて。
今週は忙しい霧です。 今週の土曜日曜が大学祭なのです。 本当は、別に部活サークルに入っているわけでもないので「大学祭行かなくてもいいかなー」とか考えていたのですが( いやほら、最近気候変化が激しくて、体調が崩れがちなんですよ。 駅のホームでふらついていたりして、そのうち落ちて轢かれちゃうんじゃないかなーとか思うほど(( 夜は血圧高いんですけどね! で、「行かなくてもいいかなー」とか思っていたのですが、 なんと金曜日土曜日に、大学付属図書館の、余分な蔵書を100円均一でバザーやるとかなんとかという記事を見つけて、「よし、行こう♪」と俄然行く気が湧いてきたわけですよ。 金曜日は専門書関係、土曜日は一般書。 両方行くしか。 しっかりと銀行から2万円引き出してきましたから、「お金が無くて買えない」なんてことにはならないはず。 まぁ、一体どんな本を売ってくれるのか全く分かりませんが、古い外国の本なんかは訳した人が違うとまったく別の物語に見えてきたりと面白いので、兎に角買いあさるつもり(( ああ、楽しみです。 本と言えば。 本日ついに、「日本三大奇書」と呼ばれる「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」「虚無への供物」の全てを読み終えました♪ 「ドグラマグラ」は夏休みに読み終わっていて、「黒死館殺人事件」に手こずって、「虚無への供物」が一番さらっと読めました。 と言うことで、感想しながらお勧めしてみます。 ドグラマグラと黒死館殺人事件は夏休みくらいにちょっと触れましたが、改めて。 「ドグラ・マグラ」 精神病院のお話です。 三大奇書はどれも「狂気」と言うものを面白く描いていますが、「狂気」のレヴェル、構成で言えば恐らくピカイチ(古いですかね…… まず、小説の巻頭歌として、 胎児よ 胎児よ 何故躍る 母親の心がわかって おそろしいのか とあります。これに惹かれる方も多いのではないでしょうか。 本分は、 …………ブウウ----ンンンーーーーーンンンン…………。 とか言う音から始まり、 ……こんな不思議なことがあろうか……。 ……自分で自分を忘れてしまっている……。 と。いきなり記憶喪失です(笑 この、…………ブウウ----ンンンーーーーーンンンン…………。とか言う音の表現の異様さから引き込まれて、主人公の記憶喪失。 上下巻で長い作品なのに、これからどうなるのだろうと思って読み進めてみれば、すぐに 「……お兄さま、お兄さま、お兄さま、お兄さま、お兄さま……(略)どうぞ……どうぞ今のお声をモウ一度聞かして頂戴……聞かして……聞かしてエーッ……お兄様、お兄様、お兄様、お兄様……おにいさまアーッ……」 と隣の部屋から声が聞こえます。 ここまでで興味をもたれた方は是非是非読んでみてください。 面白いです。 本当に、まねできないです。 作者様はこの作品を10年かけて作られたそうですが、成程確かによく出来ています。 この作品の面白いところは、普通、誰かが狂っていくor狂っているという物語ですが、そうではなく、主人公が狂っているところです。 そして、それ以上に狂っている周囲。 果てには狂気の理由が狂っています。 是非是非おススメしますね。 ただ、問題が一つ。 難しいです。 途中に、 「キチガイ地獄外道祭文」だとか「地球表面は狂人の一大解放治療場」だとか「絶対探偵小説 脳髄は物を考えるところに非ず」「胎児の夢」「空前絶後の遺言書」だとかいう、論文だとか小説だとか祭文だとか事件の考察だとかを読ませられます。 勿論、これが物語において重要であることは確かで、欠かせないのですが、文章が苦手な方は挫折してしまわれるかも?? しかし、一定のリズムがあるので、慣れればスラスラとフムフムと読み進めます。 読後感は、スカッとした爽やかさは皆無ですが、脳は霧が晴れたようになります( 三大奇書の中でも、最も奇書らしく、そして私は一番これが好きです。 が。 やはり一筋縄ではいかないのです。 途中に登場する「ドグラ・マグラ」という小説。 一体誰がいつ書き上げたのか? と考えると嵌められます。分かりません。 しかし、それも含めておススメなのです。 どうぞ是非に。 「黒死館殺人事件」 ふふふ……。 読書家でない方々、おススメしません( 読書家の方々、覚悟を決めて読んでください(( どうしてここまで難しいのでしょう(笑 この小説の「難しい」はドグラマグラのような理解が「難しい」ではないです。 違いを説明するのは骨が折れそうなので、一部引用してみますね♪ 「実は、僕の恫喝訊問には、妙な言だが、一種の生理拷問とでも云うものが伴っている。それがあったので、初めてあんな素晴らしい効果が生まれたのだよ。ところで、二世紀アリウス神学派の豪僧フィリレイウスは、こう云う談法論を述べている。霊気(ニューマ)は呼気と共に体外に脱出するものなれば、その空虚を打てーーと。また比喩には隔絶したるものを択べーーと。正に至言だよ。だから、僕が内惑星軌道半径をミリミクロン的な殺人事件に結び付けたと云うのも、究極のところは、共通した因数(ファクター)を用意に気づかれたくないからなんだ。そうじゃないか、エディントンの「空間・時・及び引力」でも読んだ日には、その中の数字に、てんで対称的な観念がなくなってしまう。それから、ビネーのような中期の生理的心理学者でさえも……」 お分かりですねー。 やたらと脱線しながら、物凄い雑学を披露してくれます。 科学系から神話、伝承、魔術……古典文学は当然で、詩も頻繁に登場します。 ボードレールの詩を登場人物たちが口々にしながら皮肉を言い合ったりしますが、もとを知らないとサッパリだったり( しかし、作者の知識の量は異常で、どれだけ読書家だったのですか? というくらい凄いです。 さて。 肝心の内容ですが、これはなかなか面白い。 黒死館という狂気に取り付かれた屋敷が舞台ですが、雰囲気はよく出ています。 全編通して、不気味、この人たちおかしい、という感じですね。 主人公の法水さんが本当に頭がいいので、格好良いのですが、頭が良すぎてついていけません( 下に書く「虚無への供物」でも「御屋敷だったら黒死館くらいの仕掛けが(だったかな?)」とか引用されるくらい、舞台は凄いですね。 文章にくじけなければ、面白い作品が読めます。 気軽にお勧めはできませんが、私はある程度楽しめました。 「虚無への供物」 おススメ。 恐らく、これが一番一般ウケするでしょう。 所謂推理小説です。 「ドグラマグラ」「黒死館殺人事件」よりも新しい作品なので、文章も読みやすく、内容も普通の推理小説です。 ……推理小説の皮を被っているとも言えますが( アンチミステリ。 といわれるだけあって、相当振り回されます。 タイトルの通り、「虚無」が多いです。 事件が起こり、推理し、「コイツが犯人かな?」とか「となると動機はこれかな?」とか、色々推理できます。 素人探偵(? 一応、凄腕も混じっていますが)が5人もいるために、それぞれがそれぞれ推理を展開します。 勿論、最初のその推理は間違っているわけで(御約束?)、読者はならこれとこれは正しそうだな。とか進めます。 が。 次の事件やらが起こると、全て水の泡です。 動機やら何やらが、かみ合わなくなります。 虚無化します。 主人公視点で語られる物語で、推理と日常で、狂気と正気を行き来します。 それぞれが意味を持っているであろうことはほぼ間違いないと思いつつも、事件のたびに振り出しに戻ります。 振り回されちゃいます。 しかし勿論、最後には「嗚呼、成程。やられたなぁ」と思って作者を賞賛するわけですから素晴らしい。 本気で推理したい方は、恐らく直感を信じるといいでしょう。 よくよく読み返してみると、そうするのが一番に思えるようにも出来てますから。 さて。 この本、とても面白い上に読みやすい、是非是非おススメしたい本なのですが、実はトラップが仕掛けてあるきがします。 というよりも、これは深読みしすぎかもしれませんが、途中で、 ある登場人物が、「これから起こる最後の密室殺人」を事件よりも先に「小説」に書いて、真相を突き止めさせる。 というようなシーンが有ります。 その中で、「実はそのミニ小説に細工がしてある、それを見つけてくれ」というようなことを言います。 そこで、成程と思わせられる細工があるのですが、それが「虚無への供物」そのものにもあるような気がしないでもないのが嫌です。 勿論、ただ読み進める上では何の問題も有りません。 ただ、本当に些細な部分で、「あれ?」と思ってしまう場所が有ります。 2週読むと面白いかもしれませんよ。 登場人物たちも魅力的です。 ワトスン役を押し付けられる主人公と、キレはいいのに真相の斜め上をいく愉快ホームズの女性、一人称が「ミイ」二人称が「ユウ」語尾は「~だて」な老人探偵、人の推理を聞くときには眠ってしまう少年探偵。 おススメです。 是非是非。 さて、感想終わり( どれもおススメです。 読みやすさは 虚無への供物 > ドグラマグラ > 黒死館殺人事件 霧のお気に入り度は ドグラマグラ > 虚無への供物 > 黒死館殺人事件 「奇書に興味有り」という方は「ドグラマグラ」、 「凄い小説を読みたい」という方は「虚無への供物」でしょうか。 流石に、「日本三大奇書」といわれるだけあって、素晴らしいです。 実は「三大奇書」に似せて作られたといわれている四冊目、「箱の中の失楽」というのも有ります。 買ったんですが、どうにも文章がうまくないので挫折してしまいました(( ……今回は結構書きましたね……(( ではでは。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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