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トドのつまりは・・・

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2011年04月09日
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カテゴリ:ラジオ

RadikoやLISMO WAVEの動きが活発化する中、ライター記事やブログなどで、いろんな意見を見聞きする。これなんか、正確な情報が伝わる、いい記事だとは思う。

西田宗千佳の ― RandomTracking ―
エリアを撤廃した「LISMO WAVE」の秘密と狙い ~全国のFM放送をどこでも聴けるau音楽新サービス~


しかし、他方、IT関係のライター、評論家を名乗りながらも、眉をひそめたくなるほど、いい加減なものも多い。
私も、それらの意見を読んで、思うところがあり、放送というもののしがらみについて、ちょっと書いてみたい。

現在の日本では、電波法、放送法で、放送局の県域免許制度というのが規定されていて、地上波放送局では、認可を得た県やエリア内でしか放送できない縛りがある。

この法律をベースに、放送に関わるCM料金や音楽などの著作権関係の支払いは、法律で定めたエリアの人口をベースに算出した視聴者数に比例する形で、契約内容が決められてるそうだ(そのことの是非はまた別途)。

そのため、地上波放送をエリア内に再送信する場合、放送の難視聴の解消が目的なので、放送と同等に扱われ、放送局の同意さえ得られれば、それ以外の個別の権利許諾が不要になっており、手続きが簡単になる。(一方、エリア外再送信は、本来的に法律では禁止なのだが、総務省の意向で、緩和の傾向にある。ただ、系列局や番組販売上のビジネス的な問題で、放送局の個別の許諾が得られないケースも多々あり、係争になっている。)

ところで、再送信というのは厳格な規定があり、元の放送の編成を変えてはいけないとか、画質音質が劣化しないとか、配信が安定していることとか、大きく遅延しないこととか、エリア内でみ視聴可能にすることとか、様々なガイドラインを満たさないと、再送信とは認めらない。
従来だと再送信というと、基本的にCATVの再送信のことだったのだが、2006年の著作権法改正で、IPマルチキャスト技術を用いたIP再送信が、上に書いた条件を一応満たすということで、認められるようになった。NTT東西のひかりTVの地デジ再送信がこれにあたる。

一方、インターネット上で、RadikoやLISMO WAVEで行っているストリーミングのサイマル配信は、法律に縛られる代わりに権利処理が簡単になる「放送の再送信」の定義を満たしていない。
だから、よく、「Radikoは、法律でエリア外の配信を禁止されている」みたいなことをいう人がいるが、それは正しくない。

RadikoやLISMO WAVEは、法律上は、放送の再送信とは認めてもらえないので、単なるネットの配信サービスでしかない。なので、放送をネットでストリーミング配信するためには、放送とは別のスキームを立ち上げ、新たに個別に権利処理を行う必要があるはずだ。

Radikoの場合は、IPアドレスによるエリア制限を行うことで、対象聴取者は増えない「難視聴対策」という立場をとることで、IP再送信と同様の条件を交渉で引き出し、JASRACなどにも追加の支払いなしで、サービスを実現していると思われる。
録音が可能なのも、放送の再送信条件として、コピー制御の情報を変えてはいけないという条件が、契約交渉の前提にあり、アナログ放送は元からコピーフリーなので、結果として、Radikoもコピーフリーでの放送が実現できたのだろう。

ちなみに、もし、今後、Radikoが、今後始まる地上デジタルラジオをサイマル配信することがあるとしたら、そのコピー制御方法は、ルール的には、元のデジタルラジオでの制限を引き継ぐことになるはずだ。
すなわち、録音できるかどうかは、元の放送のコピー制御情報次第ということになるが、おそらくRadikoみたいに、コピーフリーにはならないだろうな。

まとめると、すなわち、ネット配信の場合、別にエリア外配信を法律で禁止されている訳ではなく、Radikoの場合は、配信エリアなどを再送信条件と同等に自ら縛ることで、各権利団体との条件交渉を簡略化し、既に存在する再送信の条件をベースにして、素早く無料でサービスを始める、という道を選んだというだけのことだろう。

一方、LISMO WAVEは、聴取者からお金を取り、放送局に聴取者数に比例した配分を行うことで、地域限定をなくす道を選んだのだと思われる。
エリア外の聴取者数が増えることで、別途支払いが必要になる音楽著作権などの追加支払いも、有料にすることで、そこから支払に当てるのだろう。
こちらはRADIKOに比べて、大変だ。

想像がつかないのは、CM料金の扱いだ。
放送局が、「LISMO WAVEで全国に流すから、CM料金を上げたい」と言っても、具体的な効果が明確になるまでは、なかなかできないだろう。
それに、元々地元に流れればいいと思って買ったCM枠が、全国に流れるからCM料金を上げますといわれても、全くメリットのない地方企業も多いはずだ。
さらに、たとえ料金が上がらないにしても、地域限定前提のCMを、わざわざ全国には流して欲しくない場合もあるだろう。
LISMO WAVEが、その点をどう解決したのかは分からないが、おそらくCM料金は当面据え置きで、全国にCMを流して欲しくない企業は、個別にLISMO WAVEから外す措置を取ることで、何とか折り合いを付けたのだと思われる。

すなわち、「LISMO WAVE」を始めても、CM収入は増えず、逆に配信費用の分担金や送り出し側の設備構築もあるから、そのままでは、参加する放送局の利益にはならなず、むしろ収益悪化を招きかねない。

そのため、参加するメリットが出るように、サーバーで監視できる各局の視聴者数×視聴時間に比例して、リスナーから徴収したお金を配分したり、プレーヤーアプリで実施される放送連動のコンテンツ販売に対する利益も、契約に基づき、放送局にも相応の配分をするのだと思われる。

LISMO WAVEのようなサービスを実現するため、auは、こうした権利処理や利益配分の契約を、長年の歴史でスキームが固まっている放送とは別に、新たに一から作り上げたことになる。
統一的な契約書を一から作り上げ、関係諸団体、各企業との合意を、個別に取ってゆく(当然その過程で契約書の見直しも随時必要になっただろう)という、極めて地味で、大変な仕事を積み重ねないと、実現できない筈で、これは大変だったろうな。

しかも、その契約は、結果として、関係者の間で、それぞれビジネスとして成り立つものでなければ、サービスとして長続きしない。
誰でも自分が一番儲けたいのは間違いないが、配信に掛かる費用を引いた、関係者の利益配分の落としどころを、どう調整して決めるかが、一番大変だったのではないだろうか。

「地域限定なんて、とっとと、なくしゃいいのに」なんて、いい格好する評論家やブロガーもいるが、言うだけなら簡単。
放送法の枠を外したとたん、全ては一から汗を流さないと立ち上げられない、個別交渉の世界なのだ。

それを、いち早くauができたのは、携帯電話にFMラジオとその連携アプリを長らく搭載し、連携アプリからのアフェリエイト収入を各局に分配してきた実績と、携帯での著作権保護された音楽配信ビジネスの実績で、それぞれの業界との信頼関係が作れていたからだろう。

「県域免許制度という既得権にしがみついていて、Radikoがエリア外配信ができない」と、悪意を持って信じ込んでいる人も多いが、現実には、放送に代わる、新たなビジネススキームを作ること自体が、一朝一夕ではできない、恐ろしく大変なことだろう。

現実に流れているLISMO WAVEの様子を調べると、ジャニーズタレントが出る番組が全面カットになっているのを筆頭に、交通情報やCMも流れないことが多いなど、Radikoに比べ、カットされている番組や場面は多いらしい。
また、LISMO WAVEが、Radikoと違って、現時点で録音が許されていないのも、Radikoのように再送信の契約条件をベースにした権利交渉ができず、一から個別交渉せざるを得なかった苦しさだろう。
LISMO WAVEの場合、権利にうるさいジャニーズに、ネット配信を許してもらうのは、今後も至難の業だろうな。

ラジオ業界って業績も悪いから、テレビ業界に比べれば、給与も低いし、浮ついてもいない。電波としてのラジオの将来性には、(特にAMは)危機感をひしひしと抱いている人は多いだろう。

彼らも、電波にしがみついていては、生き残る道はないとは分かってるはずだ。
ただ、マスメディアって、放送免許で守られる一方で、コンプライアンスを守らないと叩かれる公共性の強い会社だから、裁判沙汰になるようないい加減なことはできない。
結果として、正攻法でサービスを実現するには時間と手間がかかり、それを一歩一歩進めているのだと思う。

なので、その最初の一歩が不十分だからと言って、歩み出した方向自体を全否定するのは、いかがなものか、と思うのだ。

もちろん、こんなこと、一般のリスナーが、意識する必要なんてないと思う。
応援したければ、面白いと思う番組を、電波でも、Radikoでも、LISMO WAVEでもいいから、聴けばいい。
聴く人が増えることが、こうしたサービスが、今後広がる唯一の支えになるのだ。

ただ、誰とは言わないが、IT関係で飯を食っている評論家が、あやふやな知識で、一般人と同レベルの意見しか言えないのでは、存在価値はないと思うけどな。


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最終更新日  2011年04月09日 20時06分23秒


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