カテゴリ:家電
→関連記事:洗濯機の買い替え(11) 配水管の追加工事 HITACHI : News Release : 6/30 壊れた洗濯機、日立のNW-7PAM2について、簡単に触れておきたい。 この洗濯機が発売された当時、今とは違い、洗濯機といえば「日立」が圧倒的なトップブランドだった。 次々と他社に先がけて新しい機能を実現しては、他社は、半年遅れて似た機能で追従するという、日立がまさに全盛の時代だった。 この前にも、「からまん棒」や、初めて風呂水ポンプを内蔵した「お湯取り物語」、初めて静音ニーズに着目した「静御前」、ステンレスドラムとPAM制御モーターによる「高速脱水」などの輝かしい歴史があり、その後出てきたのが、私が購入した「白い約束」だった。 ここで新しく2つの技術が追加された。 一つは、白物家電では日立が最初に採用したPAM制御のモーターで、これによりモーターの回転数を、負荷に応じてきめ細かく制御できるようになり、消費電力が大幅に減った。 もう一つ衝撃的だったのが、「イオン交換樹脂」による洗浄力の大幅アップだった。 イオン交換樹脂というのは、金属イオンを吸着する物質からできており、水道水をこの樹脂に通すと、水中の金属イオンが吸着され、軟水化することができる。 それ以前から、水中の金属イオンが衣類の汚れに付着して、洗剤の効果を阻害することは知られていたのだが、金属イオンを予め取り除くことで、大幅に洗浄力を向上させたのだ。 実際、汚れ落ちについては、当時の「暮らしの手帳」などのレビュー誌でも、圧倒的に評価が高かったことを覚えている。 なお、このイオン交換樹脂は使い続けると、吸着力が弱るのだが、それを復活させるのに使用するのが僅かな量の「塩」で、普通の食塩をトレイに入れておくと、随時少しずつ取り出してイオン交換樹脂の性能をメンテナンスする仕組みが備わっていた。 ただ、後で知ったところによると、このことが「塩で洗う」ものだというような誤解も生み、塩で洗濯機がさびるというデマが流れたりもしたらしい。(実際には、塩水を流すのはイオン交換樹脂の部分だけだったので、そのようなことは起きず、我が家でも、使っていてどこも錆びたりはしなかったのだが。) 当時、何に驚いたかって、洗濯機の開発というのは、既成概念として、機械工学や電気工学の技術者がやるものだと思っていたところに、イオン交換樹脂という完全に化学的な、しかも、当時水処理プラントなどで使われ始めた最先端の技術を採用し、安価な白物家電製品に取り込んでしまったことだった。 どうやったら、こうした自由な発想が生まれるのだろう?と、一エンジニアとして、感動した覚えがある。 ただ、「イオン交換樹脂」の採用は、数世代続いたのだが、ある時点で搭載されなくなった。理由は、私自身も使っていたから分かる。 塩の補充が面倒になり、使わなくなるのだ。 そして、塩を補充しなくても、洗濯機の基本性能はよく、実際、それなりに汚れが落ちるのを知ると、あえて塩を補充する気がしなくなってしまうのだ。 技術的に素晴らしくても、製品として大成功するとは限らないこともある。 そのことも、知った製品でもある。 その後、他の家電メーカーも、他社の追従ではダメと気付き、独自の技術による差別化を重視するようになり、日立の優位性はしだいに失われていった。 しかし、あの時代、洗濯機の分野において、豊かな発想で、刺激的で面白い商品を出し続けた日立の功績は、この後、各社からもユニークな発想の洗濯機が続出した結果を見ると、ものすごく大きかったと思う。 (当時、掃除機も大変面白かったのだが、それはまた別途機会があれば書きたい。) にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年12月09日 07時49分43秒
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