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カテゴリ:書評
手にするだけで迫力十分である。 言わずと知れた我が国第45代総理大臣。 田中角栄とは同期。 (彼を『田中角栄君』と表現しているだけでも私はビビった) 冷戦末期の80年代で一際存在感のあった首相であった。 私は自民党支持者というわけではないが、 物心付いて以来の歴代首相の中では、 一番貫禄を感じた首相と思った。 その男が語る言葉とは一体何なのか。 既に、代議士を退いた今だからこそ読んでみたいと思った。 政治家の自叙伝である。 自分に都合の悪いことは書いていない。 『自慢話のオンパレード』と切って捨てるのは容易い。 だが、それを具体的に指摘できるほどの 見識を持ち合わせていない私にとっては、 なかなか興味深い本だった。 なんと言っても伊藤博文から 小泉純一郎まで数えても 56人しかいない我が国の首相である。 そんな日本のトップを経験した人間が 語る言葉は、多少自慢話が入っているとはいえ、 迫力十分である。 戦後すぐ国会議員になり、つい先日まで それを続けていたのだ。 その辺の人とはわけが違う。 感じたのは、賛否はともかく、 彼にとっては、この国を良くするためのことを ありとあらゆる方面から ずっと考えていたんだということ。 それは本当に多岐にわたっており、 日米関係を中心とした国際関係あり、 消費税のもととなった『売上税』あり、 教育問題の改革あり、 国鉄や電電公社の分割民営化あり、 その他普通の人が考えもしないことを 実に広く取り組んでいたようだ。 彼が日本の中心人物であった時代から 20年近くが過ぎて、率直に表現して 彼は既に『過去の人』と言わざるを得ないのだが、 この本から覗える彼自身はそんなつもりは 毛頭なく、老いてなお十分『今の日本』というものに対して、 何かをしたいと考えているようだった。 80過ぎというのは、 先日亡くなった私の祖父と大して変わらない。 そう考えると、そのバイタリティーの強さに、 恐れ入った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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