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January 4, 2006
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カテゴリ:映画
さてさて。正月も明け、東証も景気のよい大発会を終え、
娑婆の人間はそろそろ本格的に新年の始動を開始した。

『凶事』以来、一時的身体障害者及び無業者となっていた
私も、いよいよ明日、職場復帰の手続きを行うことになった。

それと関係してかしなくてか、今夜観たのは、『電車男』。

電車男 スタンダード・エディション

主題歌を歌ったオレンジレンジのみならず、
『邦画ブーム』を本格化させ、『アキバ』『萌え』など、
社会的話題をさらい、昨年一大旋風を巻き起こした話題作である。
単なるインターネットの掲示板のやりとりが本になっただけでも
どうかしているのに、それが大ヒットし、映画化・ドラマ化など、
プロの作家でさえ困難なことを一気にやり遂げた昨年最大の『奇跡』
と言っても過言でない本作。観ない訳にはいかないだろう。

それはさておき、『ウォーターボーイズ』、『世界の中心で愛を叫ぶ』
『海猿』、『いま、会いに行きます』『1リットルの涙』等など、
近年の《ヒット作》といわれる作品は、原作があって、映画があって、
ドラマもあって、下手すれば漫画やラジオドラマ、舞台にもなってと、
『作品内競合』が行われている。
シェークスピアの戯曲や、ブロードウェイのミュージカル、忠臣蔵や
太閤記、新選組モノを考えれば、
この現象は今始まったことでもないのかもしれないが、
再三指摘しているように、最近は限られた『売れるネタ』を
とことん使い倒す手法が見苦しいくらい顕著である。
無意識であるにせよ、多くの方々は、『作品内競合』状態がすなわち
『観て損のない有力コンテンツ』の試金石であるかのような
錯覚を覚えているのではなかろうか。

というわけで、『電車男』。映画とドラマ(そして原作)、
良かったのは、ドラマだったと思う。
『世界の中心で…』でも感じたが、ドラマと比較すると、
映画がとても淡白に見えてしまう。
エピソードを色々挿入できて、作品世界を膨らますことの出来る
ドラマの方が、こうした状況では、基本的有利に思える。

更に『電車男』に関して言えば、音楽の面白さが全然比べ物にならない。
『オタクの魅力』というものに対して、
スタッフが相当気合を入れて選曲したのだろうなと思われる。
一つ一つの音楽が実に効果的で、テンションを盛り上げてくれる。

それからすると、映画版は、実に淡白で、殆ど印象に残らない。
また、オレンジレンジのテーマ曲も、エンディングに出てくるだけで、
別になくてもいいくらいの使われ方しかされていない。

山田君は演技自体は良く出来ているけれど、
カッコ良くなるのが早すぎた感がするし、
それに比べると、伊藤君のほうが、『オタクの切なさ』というのは
ストレートに伝わってくる。

それにしても、『オタク』とか、『2チャンネル』とか、
『引きこもり』というのは、本来、マイナーな世界にあるはずの
モノなのに、このヒットをきっかけに、確実に『メジャーな世界』の
仲間入りを果たしたのがとても奇妙に思える。

しかし、時代の流れは、いつの間にか、多くのものが
そうなりつつある。今、メジャーの視点は、
マイナーなものにかなり向けられる方向にある。
お笑いにせよ、昔は芸を重ねた『師匠』といわれる人が
その名の通り偉かったのに、
今は『若手芸人』の方が(少なくとも興行的には)台頭している。
このブログにしたって、
元々は素人でも作れるH.P.の代用品にすぎなかったのに、
いつの間にか随分とメジャーになり、ちゃんとしたH.P.を
作っている人までが、ブログに移行させたりしている。
もはや、『マイナーとメジャーの逆転現象』としか言いようがない。
(そういえば、昨年末に、かつて小売のメジャーであった百貨店が
マイナーであったはずのコンビに・スーパーに買収されたりもした)

それはともかく、私がなんだかんだ言って『電車男』を好きになったのは、
オタク云々の話はともかく、私がかつて青い時代を送っていた頃、
初めて好きな人に電話する時のドキドキ感を、久し振りに
思い出させてくれるからだ。

いくら普段饒舌でも、気になる人に初めて電話する時は、
勇気がいるし、心が震える。
勿論、『電車男』のように、うまくいかないときもあるけれど、
全てはそこから始まる。
大昔、『涙の数だけ強くなれる』と歌った歌が流行ったが、
私を強くしてくれたのは、あの時のドキドキ感のような気がする。

妻子持ちとなった今はそんな経験はする必要はないのだけど、
あの時のテンションを、持ち続けていきたいと、思うのだ。

さあ。明日から、気合を入れて、外に飛び出すぞ。





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Last updated  January 5, 2006 01:50:10 AM
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