その後分かったこと~ななこ編・その14(了)
猫が苦手でした。興味もなく、どちらかといえば猫嫌いでした。ある一匹の猫をきっかけに、猫のよさを知りました。この猫との出会いがなかったら、わたしは今でも猫嫌いでいたかもしれないし、今飼っている猫とも出会わなかっただろうと思います。わたしを猫好きにさせてくれた猫の話を書いていきます。★「猫物語」をクリックするとはじめから読めます。------------------------------------ お隣さんは、家の中で元々飼っている猫が8匹くらいいる。時々、窓辺から猫が顔を出していて、その中に白黒猫がいる。「ななこ?」と思うのだが、この白黒はこっちを見ても無反応だ。柄は似ている。しかし、ななことは違うようにも思える。足の白黒模様も違うように見える。ななこと会えない日々は5ヶ月も経っていた。寂しかったが、心配はしていなかった。なんといって、猫飼いのベテランさんの家で飼われているのだ。それでも、ななこのことは毎日思い出す。そして今飼っている猫(茶白猫・愛称:つんちゃん)と暮し始めて、動物病院へワクチンを打ちに行った帰り、家に入ろうとした時、お隣さんが玄関から出てきた。「今、猫の鳴き声しなかった?」うちの猫だというと、「そう」といって、中に入ろうとするので、ななこのことを聞いてみた。ななこは、11月中頃(2001年)から、いなくなったというのだ。私が会えなくなった日と一致している・・・。茶トラ共々見かけなくなったので、てっきり完全室内飼いになったと思っていたのに。(茶トラ達は、ちょうどその頃里子に出したそうなのだ)散々、探したけど見つからなかった、と涙目になっていた。誰かが黙って飼っているのではないか?と尋ねたが、それはない、といっていた。恐らく、この近所で飼っている人はいないのだろう。長年、この土地で暮しているお隣さんだから、情報もあるのだろう。今まで、お隣にいるとばかり思っていた、ななこが行方不明と聞いて、ショックでたまらない。それを聞いてから、何をしててもななこのことが頭から離れなくなった。5ヶ月も経って、探しても見つからないだろうとは思った。しかし、いてもたってもいられず、その晩から、まるで昨日いなくなったかのように、探しに行った。ネットで行方不明の猫の探し方を調べた。気休めだとは思っても、おまじないもやった。家の近辺、200メートルは徹底的に探した。考えられるのは、大きな通りを渡って帰れないこと。近所には大きな通りが2本あって、そのうち1本は、切れ間なく車が走っているので、間違っても自力では渡れない。もう1本も渡ることは難しいが、渡れる可能性が多少でもあるとしたらこっちだ。通りを渡って、深夜、ななこ探しを続けた。絶対見つかると思っていた。あきらめた時点で見つかるものも見つからなくなる・・・。絶対見つけるという気持ちがないと見つからないような気がするのだ。しかし、見つからなかった。半年近くの月日は大きかった。近所の人が、ななこを捨てに行ったりすることは、考えられない。猫獲りもこの辺りでは聞いたことがないし、ななこより随分古株のノラちゃんは、今でもこの辺を闊歩している。ななこだけに何かあったとは考えにくい。あとは、誰かが、ななこを捨て猫と勘違いして飼ってくれていると願いたい。私は考えただけだったが、実際にななこを強奪した人がいないとも限らない。本当にかしこく、人馴れしている、かわいい猫だもん。今でも、家に帰る時、ななこがどこからか、ピューっと走ってきてこっちにやってくのではないかと思う。鍵をガチャリと開けたあとはすぐには入らず、あたりを見回してしまう。ななこはきっと何処かで生きている。誰かやさしい人に飼われて、元気に暮していると信じている。そして私はななこの無事を毎日祈っている。------------------------------------ ななこの話を読んでくださってどうもありがとうございました。