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りらっくママの日々

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2010年02月15日
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今日の日記1(期待を裏切る映画「ターミネーター4」「MW-ムウ-」感想☆)

今日の日記2(親として「特上カバチ!!」「龍馬伝」の感想☆)


「ある女の話:カリナ105(私の運命3)」


私は目を疑った。
コレは夢?

「赤木くん…?」

いや、そんなはずは無い。
似てるけど、違う。
それに、若い。

そして、隣にいるマッシーは、
確かにマッシーだけど、歳を取っていた。

みんな、やっぱり驚いた!って言って笑った。

「お母さん、
え~っと、この人はキジマさん。
何て言ったらいいんだろ…。」

ユウトにキジマって言われた若者は、
真っ直ぐに私を見てお辞儀をした。
その姿が、誰かを思い出させた。

「キジマさんは、俺のバンドと対バンして知り合ったんだよ。
でもって、初めて見た時にすぐ赤木さんソックリだと思って。
ほら、赤木さんのライブ録画してたやつ、
子供の頃見せてもらってたでしょ?
俺、アレで赤木さんに憧れて、ギターやってみたいってきっかけになったから。
それで、ねーちゃんがライブ見に来てさ、
そしたら、気付いたら二人が付き合っててさ。」

そこで、マナはユウトに余計なこと言わないでよ!って、
ユウトの肩を恥ずかしそうにペシっと叩いた。
痛っ!ってユウトが笑いながら言った。

マナが照れくさそうにキジマくんの隣に並んでいる。
私はノボルの顔を見た。

信じられる?
赤木くんが言ったことの未来が、
まるで実現したかのように、二人が並んでいるなんて。

ノボルが何を言いたいのか、
その表情を見てわかる。

キジマくんは、親の前でバツが悪いのか、話を元に戻すように言った。

「写真を見せてくれたんです。
結婚式の時の。
そしたら、それがホントに俺にそっくりだったから驚いちゃって…。」

その声が、
しゃべり方が、
赤木くんソックリだったので、
私の方が驚いている。
ノボルも多分、かなり驚いていると思う。
目がうるんでいるのがわかった。

「でも、それより驚いたのは、何て言うか…
スギモトさんの若い頃が写ってたから。
どうみてもスギモトのオバちゃんだよな~って。」

オバちゃんって言ったことに、あ、すいません!って一応キジマくんは謝って続けた。

「それをマナ…マナさんに話したら、
スギモトさんに会いたいって言うから。
俺、事情聞いて、バイトしてたところまで二人を連れて行って…。
話したら、来てもらえて…」

そこまでキジマくんが説明している間、
マッシーはずっと私を見ていた。
そして、泣いていた。

「マッシー、来てよ…」

マッシーは頷いて、私の方へ来た。

私は手を差し出して、
おずおずと出されたマッシーの手を握った。

「今、スギモトさんなの…?」

泣きながら、マッシーは頷いた。

「イケダ先生に会ったよ…。」

その言葉に、マッシーの顔色が少し変わったような気がした。

私は大丈夫という意味も籠めて、手を握りしめた。

「偶然デパートでね。
この子が小さい頃に。3歳くらいだったかな…
先生ね、もう許すって言ってたよ。
幸せになっていいって…、言ってたよ…。」

マッシーは、更に涙を流して、ハンカチで抑えながら頷いた。
私も泣いていた。

「私に会えたら…
イケダ先生が幸せだってこと、伝えて欲しいって…
だからもう…いいって…
だから、ずっと、私、マッシーに…会い…たくて、伝えたくて…」

私とマッシーはお互い抱き合っていた。
落ち着いたら、少し恥ずかしかったけど、
みんなもちょっと、もらい泣きしてるのが見えた。

たまたま同室の人たちが、
退院や一時外泊で、誰もいなくて良かったと思った。
それでも私は恥ずかしくなってきてしまった。

「何だか感動の御対面みたいになっちゃったね~」

私が言うと、
もらい泣きしていたみんなが、笑い出した。

「マッシー、話したいことが沢山あるの。
私、ここを出たら温泉に行きたいな。
マッシー、いっしょに行こうよ?」

行って、いい?って、ノボルの顔を見たら、
ノボルがうなずいていた。

「うん。カリナ。
行こう!絶対に!
約束だからね。
話したいことが沢山あるの。
キジマくん…赤木くんにソックリでしょ?
彼を見た時、すぐにカリナに話したいって思った…
思ってたよ…
でも、もう会っちゃいけないって、
許されちゃいけないって…思ってたんだけどね…」

マッシーはまた泣き出してしまっていた。

私はマナとユウトを見た。

いつの間に、
こんなに二人は大きくなったんだろう。
私の代わりに、
私がしたかったことをする…。

保育園に預けてしまったせいで、
私はオムツはずしの大変さを知らない。

保育園の先生やユウがとても感動していたけど、
その感動を私は知らない。

きっと初めて言葉を話してくれた時のように、
感動するんだろう…と、
推測するしかなかった。

小学校に入った時には、
専業主婦のお母さんたちのように、
学校へお手伝いに行けることが無く、
そのせいで情報にも疎かった。

何度、マナやユウトのことを、
自分の子供なのに他の人から報告されただろう。

それらのことがどんなに悔しかったか。

それでも、私は育児で、いろんな人に助けられてるって、
ありがたく思いながら働いてきた。

会社で嫌なことが起こる度に、
マナとユウトの笑顔に疲れを癒されて、
この子たちを犠牲にしてまで働く意味って何だろう?って、
思うことも度々あった。

仕事にやりがいや楽しさを感じつつも、
いつも、頭の片隅にはマナとユウトへの心配があった。

子供を育てるにも生活のためにも、
働かなければならないって自分に言い聞かせても、
本当にこれで良かったのかな?って、
マナとユウトの気持ちがわからないと思った時には、
後悔してしまうことが何度もあった。

もっと他の道も選べたんじゃないか?って。

けど、
こんなにも、ちゃんと彼らは育っていて、
成長してくれていた。

少なくとも、
私が喜ぶようなことを、推し量って行動してくれる子供になっていてくれた。

こんなふうにしてもらえるようなことを、
私はしてこなかったかもしれないのに…。

「ありがとう…」

私はマナとユウト、
そしてキジマくんに、お礼をした。
恥ずかしいけど、泣きながら。

ノボルが、ティッシュを渡してくれた。
自分も泣きそうになっているくせに。

本当は、もっともっと、いろんな言葉を伝えたいけど、
これだけ言うのがやっとだった。

これから先にだって、
いろんなことを伝えたいのよ…。

こんな幸せな出来事が起こるなんて、
やっぱり人生何が起こるかわからない。

良かったと思った。

私は生きてきて本当に…良かったと思った。




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明日は最終回です

目次





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最終更新日  2010年02月15日 22時37分40秒
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