素材は、
てんぱる様からお借りしました。
「PEACEMAKER鐵」二次創作です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
沖田さんが両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
「姫様、そろそろ日が暮れます。後少しで宿に着きますから、辛抱なさってください。」
「ええ・・」
突然父から、“京を離れろ”と告げられ、総司は自分の女房・茜と共に、乳母が居る宇治へと向かった。
それまで屋敷の中で引き籠もっていた彼女にとって、宇治への旅はちょっとした冒険のようで、総司は少しはしゃいでいた。
しかし、はしゃいでいたのは屋敷を出てすぐの頃で、長旅の疲れが出て総司は次第に黙々と歩くようになった。
「姫様?」
「何でもないわ、宿まで急ぎましょう。」
総司は茜と共に宿へと入ろうとした時、背後から鋭い視線を感じて振り返ったが、そこには誰も居なかった。
(気の所為ですね・・)
宿に入った総司ば、そのまま茜と共に部屋で眠った。
「赤い月か・・不吉なものだな・・」
歳三がそう言いながら空を見上げていると、外からまたあの少年の声が聞こえて来た。
「土方さん、弟子にして下さ~い!」
「うるせぇ、俺は弟子はとらねぇって言ってるだろうが!」
歳三はそう叫びながら屋敷から外へと出ると、少年―鉄之助を睨んだ。
「大体、俺みたいな陰陽師の弟子になろうなんて、物好きにも程がある。何で俺の弟子になりてぇのか、その理由を聞こうか?」
「理由を話したら、弟子にしてくれるんですか?」
「それはお前ぇの話を聞いてからだ。入れ。」
「は、はい・・」
鉄之助は、歳三に彼の屋敷の中に通された後、自分と兄が抱えている事情を話した。
「俺が小さい頃、親が流行病で死んで、それからは辰兄が俺の事を育ててくれて・・だから、辰兄の為に早く一人前の陰陽師になりたいんです!」
そう自分に熱く語る鉄之助の姿が、歳三は幼い頃の自分の姿に重なって見えた。
「わかった、弟子にしてやる。」
「本当に、弟子にして下さるんですか!?」
「あぁ。だがお前が一人前の陰陽師になれるかどうかは、話は別だ。」
「はい、これからよろしくお願いします!」
こうして、鉄之助は歳三の弟子となった。
だが、彼が一人前の陰陽師となるのはまだまだ先の事だった。
「まずは、この薪を全部割って貰おうか。」
「え、これを全部、ですか!?」
鉄之助は、そう言って薪の山を指した。
「嫌なら帰れ。」
「いいえ、やります!やらせて下さい!」
「じゃぁ、頼んだぞ。」
歳三はそう言うと、屋敷の中へと入っていってしまった。
「殿、あれはあの子を試す為ですの?」
「なんの話だ。」
寝殿の中で式神の女達と戯れていると、歳三は女達の一人からそう尋ねられ、眉間に皺を寄せた。
「あいつには、色々と雑用をやって貰う。陰陽師の仕事には地味な事も含まれているから、それを身を以て知った方がいい。」
「意地悪な方ね。」
式神の女は、そう言ってクスクスと笑った。
「はぁ~、終わったぁ。」
額に浮かんだ汗を拭いながら、鉄之助は溜息を吐いた。
「お疲れ様、鉄之助ちゃん。手を洗ったらご飯食べなさいね。」
「はい・・」
鉄之助が井戸で手を洗っていると、外から何かの物音がした。
(何だろう?)
彼は大して気に留めずに手を洗って屋敷の中へと入っていった。
「薪は全部割ったのか?」
「はい。」
「飯を食ったら寝ろ。明日は色々とする事が多いからな。」
「わかりました・・お休みなさい。」
歳三の式神に案内された部屋で、鉄之助は朝まで眠った。
一方、宇治の近くにある宿で一泊していた総司は、夜中に外から“何者”かの気配を感じ、慌てて飛び起きた。
「姫様、どうかなさいましたか?」
「誰かが、わたし達を見ているわ・・」
「姫様・・」
「早く、ここから逃げないと!」
「姫様、落ち着いて下さい!」
茜が慌てて総司を落ち着かせようとしたが、半狂乱となった彼女は、そのまま部屋から外へと出て行ってしまった。
「姫様、姫様~!」
茜は総司を追いかけたが、深い闇の中へと消えてしまった主の姿を見失ってしまった。
「早く、早く逃げないと・・」
宿から飛び出して、どの位経っただろうか。
背後に迫る“何者”かの気配を感じながら、総司は只管闇の中を走っていた。
しかしその気配は薄まるどころか、ますます総司の方へと迫っていった。
慌てて走った所為か、総司は小石に躓いて転んでしまった。
鮮やかな衣は泥で汚れ、擦り剥いた膝からは血が出ていた。
それでも総司は立ち上がり、“何者”かの気配から逃れようとしていた。
だが―
(もう、走れない・・)
総司は疲れ果て、ある屋敷の壁にもたれかかり、そのまま眠ってしまった。
翌朝、鉄之助が屋敷の外へと出ると、壁にもたれかかるようにして倒れている少女を見つけ、悲鳴を上げた。
「土方さん、大変です!」
「どうした?」
「人が、倒れています!それに、全身泥だらけで・・」
「案内しろ。」
「はい!」
歳三が屋敷の外へと出てみると、壁にもたれかかった少女が眠っていた。
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