「FLESH&BLOOD」の二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
歴史上の人物をモデルにした二次小説ですが、若干脚色された設定があります
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
遭難し、ならず者達に襲われそうになっていた海斗は、ジェフリー達に助けられ、無事アメイス帝国入りした。
「お湯加減はいかがですか、カイト様?」
汗と泥で汚れた身体を温かい湯とラベンダーの石鹸で洗い流した海斗は、鼻歌を歌いながら浴室から出て来た。
「あ~、生き返った。」
「そうですか、それにしても、ジェフリー様はお優しそうで良かったです。」
「俺達を助けてくれたけれど、その事イコールあの人が優しいと決めつけるのは早いと思うよ。」
「まぁ・・」
海斗に仕えてまだ日が浅い侍女の一人は、彼女の言葉を聞いて驚きの余り絶句した。
「気にしないで、カイト様はああいう性格なのよ。」
「そうなのですか?」
「ええ。」
海斗の乳母・アリシアは、そう言うと侍女を見た。
「カイト様、皇太子様がお呼びです。」
「わかりました、すぐ行くと伝えて下さい。」
風呂に入った後、美しいドレスに着替えた海斗は、侍女達に髪を結って貰った後、お気に入りの真珠のチョーカーをつけた。
「お待たせしてしまってすいません。」
「まぁ、素敵なチョーカーねぇ。」
「母方の祖母から譲り受けました。」
「そうなの。」
エセルと海斗は、共通の趣味を持っている事ですぐに打ち解けた。
「おやおや、賑やかな笑い声が聞こえると思って来てみれば、新しい家族が来ておったか。」
宝石を鏤めた美しい杖を鳴らしながらダイニングに入って来たのは、ジェフリーの祖母であるエリザベス王太后だった。
「まぁ王太后様がこちらにいらっしゃるなんて珍しい事。」
「妾が居ては不満かえ?」
「いいえ・・」
(何だろう?)
エセルとエリザベス王太后との間に微かな溝のようなものを、海斗は感じていた。
「どうした、カイト?何か気になる事でもあるのか?」
「あの・・陛下と王太后様の仲は余り良くないのですか?」
「まぁ、王太后様・・お祖母様は母上にとって姑にあたるからな。」
「そうですか・・」
夕食後、海斗はジェフリーと王宮庭園内を歩きながら互いの家族の事を話した。
「わたしのお母様とお祖母様は、実の親子のように仲が良かったので、少し驚きました。」
「カイト、敬語を話すのを止めてくれないか?俺は堅苦しいのは好きじゃないんだ。」
「わかった。じゃぁ、あなたの事は何と呼べばいい?」
「普通にジェフリーと呼んでくれ。」
海斗はジェフリーとすぐに打ち解けていった。
『ルイ―セへ、ジェフリー様とは上手くやっていけそうです。』
(お姉様、お幸せそうで良かった。)
ルイ―セは姉からの手紙を読んだ後、すぐさまその手紙の返事を書いた。
『親愛なるお姉様へ、わたくしも結婚が決まりました。結婚式でお姉様に会えるのが楽しみです。お互いに体調を崩さないようにしましょうね。愛をこめて、ルイ―セ。』
海斗がアメイス帝国入りしてから一月が経ち、彼女は結婚式の準備に日に日に追われていた。
「あぁ、疲れた・・」
「カイト様、お疲れ様でした。」
侍女のイザベルが海斗にレモン水を手渡すと、彼女はそれを一気に飲み干した。」
「別にドレスなんて、何度も選ばなくてもいいじゃん。」
「結婚式は一生に一度だけのものですから・・」
「まぁ、そうだけどさ。それよりも、ジェフリーは俺の首の傷を見ても、愛してくれるかな?」
「皇太子様ならば、カイト様の事を愛して下さいますわ。」
「そうかなぁ・・」
今まで、海斗は首の傷の所為で、縁談を断られた。
「花嫁が溜息ばかり吐いてしまっては、幸せが逃げますわよ。」
「そうだね・・」
そして海斗は、ジェフリーと結婚式の日を迎えた。
「お姉様!」
「ルイ―セ!」
約半年振りに妹と再会した海斗は、喜びの余り人目も憚らずに彼女と抱き合った。
「カイト、はしたない真似はおよしなさい!」
「ごめんなさい、お母様。」
「まぁ、いいじゃないか。半年ぶりに会えたのだから、好きにさせてやりなさい。」
「あなたは、いつもカイトに甘いんですから・・」
ヘレナは夫の言葉を聞いて深い溜息を吐いた。
「失礼、家族の団欒を邪魔してしまいましたか?」
そう言って海斗達の前に現れたのは、軍服姿のジェフリーだった。
「ジェフリー様、どうか娘の事をよろしくお願い致しますね。」
「任せて下さい、ヘレナ様。」
「お二人共、そろそろお時間です。」
「では、行こうか?」
「はい・・」
王宮から白亜の馬車へと乗り込んだ海斗とジェフリーは、沿道で国民達が自分達の結婚を祝福している姿を見て、嬉しくなった。
結婚式を終えた二人が大聖堂から王宮へと戻ると、ビセンテがエリザベス王太后と何やら込み入った話をしているのを聞いてしまった。
―あの者が、どうして・・
―全ては、わたしの・・
「カイト、どうした?」
「いいえ、何でもありません。」
盛大な祝賀パーティーを終えた海斗は、ジェフリーと初めて過ごす夜に緊張していた。
「カイト様・・」
「暫く、一人にして。」
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