2022/5/18 ザスズナリにて　人気脚本家わかぎゑふが演出も担当、戦国時代のとある峠での連続する異変は世代を超えた因縁話に由来していた：能から翻案した流山児事務所とわかぎゑふ満を持した「黒塚」、しかしニャンスケは足下の定まらぬ浮遊感に苛まれて。。

2022.05.30

2022/5/18　黒塚～一ッ家の闇、ザスズナリ、作・演出：わかぎゑふ、
新庄の里の領主　堀家　堀兵右衛門：上田和弘、堀月之介：里見和彦、堀家の家来：木村藤次郎：甲津拓平、女房お仲：平野直美、兵頭史郎：木暮拓矢、遊妓十六夜：伊藤弘子、尼僧妙心：塩野谷正幸、峠の兄妹：左近/侍1：うえだひろし、右近/侍2：山下直哉、ヨシ：山丸莉菜、陰陽師：キリタ：小林七緖、延元：流山児祥

図1　黒塚　場内配布資料と半券より

図2　黒塚　場内配布資料から　作者/演出家と総監督の言葉など

　
　テレビドラマの導入や場面展開の手法を思わせる、途中の和風の楽曲は、昔、宿主が林光の基で一寸触れた、和風の楽曲を思い出させる、典型的なメロディーラインが繰り返されて、盗作とは言わないけれど、あまりに定番的。　伊藤弘子が最後に一曲主題的な楽曲を歌い上げた。いろんな要素ごた混ぜにして、客の興味を引っ張り続けることに注力した台本と演出。その情熱は場内配布資料の作り方と脚本・演出のわかぎゑふや芸術監督流山児祥の言葉の隅々に溢れている。それが結果としては何とも浅薄で空疎な舞台雰囲気を醸し出してしまって。。。

　演者は皆熱演、しかし、本は伝奇物を軽妙に扱う風のつくり。そして本を上げて1ッヶ月後にロシアのウクライナ侵攻が始まり、呆然としたという作者兼演出担当わかぎゑふの言葉が裏書きするように、演出が空回り。シナリオは、鬼あるいは仇と怨の物語。

　最後に、流山児祥自らが挨拶して、大家やお侍が自らの恨みだとか仇だとかで戦いを起こせば、その被害は名も無き庶民が被るのだ、という挨拶が、何とも現在進行中のロシアの引たき起こしている大量虐殺侵攻事象との折り合いを付けたいという言い訳こじつけに聞こえてしまったのはニャンスケ輩だけであったのだろうか。　印象に残ったのは、山丸莉菜の、配役にピッタリとハマって役を最高に演じた体当たり的好演。伊藤弘子の演技歌唱にも凄いものがある。

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