まだ津田沼に未練あり
先日,久しぶりの津田沼に出向いた際に,「ギュートン軒」というお気に入りに出逢えましたが,実はひとつ心残りがあったのでした。「酒処 神月」という太田和彦氏の著作や「吉田類の酒場放浪記」などで定評のある居酒屋さんに入りそびれたことです。居酒屋好きであればまず知っているであろう酒場を巡ることにはさほどの熱意はないのですが,恥ずかしながら俗なものに惹かれる消極的ながらも冷めた好奇心はあるのでした。嫌な言い方をするとそちら方面を巡ることにはどこかしらノルマを果たしているかのような義務的な側面がありますが,それでも行かずにはおられないのはやはり貧乏性のなさせるもののようです。 というわけで,津田沼駅に到着すると足早に線路沿いを進み,目的のお店に到着したのですが,この夜もやはりすでに出遅れてしまったようです。しばらく時間を潰してから出直すことにしました。高架橋を越えて呑み屋街を歩きますがこれといった酒場もなく,すごすごと駅に引き返すと改札に続く階段のすぐそばに立食いそば屋のような狭小の店舗がありました。どうやらもつ焼のお店のようです。「もつ焼 坊っちゃん 津田沼店」です。ちょっとした小料理屋さんのような格子の引き戸越しに店内の様子が窺えて,10席ほどあるカウンター席は満席のようです。幸いにも端っこの席の客が席を立つようです。タイミングよく席を確保することができました。この好機を逃すわけにはいきません。きっと運が向いてきたのだろうと勇んで席に着きました。若い2名が狭いスペースを休む間もなく動き回りてきぱきと客の注文をさばいていくのが見ていて気持ち良いのでした。串焼は130円とけして安くはありませんが,染み出す肉汁はちょっとびっくりするほどで,その新鮮さを考えると高くはありません。店内は男性のサラリーマン客ばかりでしたが,近いうちに女性客もどんどん増えることは間違いなさそうです。ところで,津田沼店とあるので,系列店がどこかにあるのでしょうが,品書:生中:500,チュウハイ:300串焼:130,もつ煮込:300,ガツ刺:400 さて,再び「酒処 神月」前にやって来ました。どうやら今夜はツキがあるようなので,今度こそ入れそうな予感がします。扉を開けるとやはりまた満席。これはダメかと思ったら,ちょうどテーブル席の客が勘定中らしく,カウンター席の客たちが移ることになっていたようです。空いたカウンター席でほっとひと息つけました。お通しはスモークタンに何やら魚の煮付けです。カウンターにラップもかけずに放置されていたのが気になるもののやはり気になるのは南蛮漬け。3種類ほどの魚をけちけちせずにたっぷりと盛り付けてくれて,独りだとこれを食べるだけでも精一杯。確かに評判に違わず良心的なお店のようです。お隣に新規で来た客たちは白子やアンキモなどを独りひとつづつ注文してバクバク食べています。その健啖振りに圧倒されつつも,ちょっと健康に留意した方がいいんじゃないのなんて皮肉を交えて眺めていたのですが,会話を聞くとどうやら医療従事者のようでした。このお店の使い方は数名のグループで,豊富な肴から独り2品ほどを見繕って分け合うのがよさそうです。他店に立ち寄らずしっかりお腹を空かせてくることもお忘れなく。品書:ビール中:500,酒:大:500,サワー/ハイボール:350,酢もつ:450,おまかせ刺盛:1,000,あんこう肝/あじ南蛮漬:450