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カテゴリ:短歌/俳句/小説/戯曲
君たちは雑誌、テレビ、ラジオ、ビル、マンション、商業施設などと「モノ」で見るから、全部が別の業界、別の仕事に見えるだろうけど、全ての商品は基本的に、様々な形態を採る以前に、まず「棚卸資産」と考えていい。 そして、棚卸資産が入居時より成長して還元されるためには、「お客様の問題を解決して喜びに変える」ことが必要なんだ。 世の中で存続、発展している会社は全て、お客様がその会社の棚卸資産の価格を認め、存続を承認した会社だと考えればよい。 お客様が求める在庫を実現できれば、現金を頂いて存続することができる。だから、全ての仕事は「問題解決」なんだ。 (麻衣 問題解決?) 学生2 社長さんって、そう考えているんですね。 純一 そうだ。君たちは「ほっともっと」と聞くと、「なんだ、弁当屋か」と思うだろう。確かに、「モノ」で見れば弁当屋さんだ。だけど、ほっともっとのお客さんはどういう人が多い? ある学生 えっと…自炊が面倒な人。 別の学生 あと、時間がない人とか、外食は高いと思う人です。 純一 そうだね。だから、自炊する余裕がないほど疲れたサラリーマンや、時間がないOLや、お金を節約したい学生は、もしそんな問題を解決して、手軽に、速く、安く、そしておいしく弁当を提供してくれるお店があれば、買いに行くだろう? 学生1 行きます。 純一 ほっともっとは、外見は弁当屋さんだけど、創業者は誰にも負けないくらい弁当が好きで好きでたまらなかったのか?だったら自分で食べればいいよね。 でも、創業者はきっと、若い人たちの食習慣が乱れ、栄養が偏り、添加物が入った食品ばかり食べていたら、この国の将来はどうなるのか、と考えたとは思わないか? 世の中の全てのお金は、問題が解決される場所に流れ込んでいるんだ。 (麻衣 創業者の思い…) 純一 だから、創業者はこの国の未来を支えるであろう、若くて忙しく、そして経済的余裕がない人たちのために、「速くて安くて便利でおいしい」という食事を提供すれば社会貢献ができるという「コト」に気付いたんだ。 純一 そして、この「コト」こそ、君たちが共有すべき志望動機だ。 モノはコトを表現する手段に過ぎない。モノはコトに従属する。君たちは弁当に興味がなくても、若い人たちの時間とお金を節約し、健康増進に役立ちたいという思いには、十分共感できるだろ? 学生1 できます。てか、ほっともっとってすごい…。いつも食べることしか考えてなかった。 純一 君たちは「洗濯機」に興味がなくても、戦後、働き手を失った子沢山の母親が、洗濯という重労働で苦しんでいたのを見て、なんとか家事労働を減らして、空いた時間を子育てや休息に充ててほしいと願ったメーカーの思いには、感動できるだろ? 学生2 洗濯機って、すごいんですね! 純一 そうだ。モノに囚われる視点を忘れ、コトに着眼すると、全ての仕事の魅力が見えてくる。この思い、つまり「わが社は社会にこういうコトを提供したい」という気持ちが、その会社独自の分野で商品やサービスに変身して提供されているんだ。 そこにこそ、「社長の創業動機」、すなわち「全社員が従い、守り、受け継いでいく最強不変の志望動機」があるということになる。 だから、弁当を売るんじゃない。弁当で売るんだ。 広告を売るんじゃない。広告で売るんだ。 じゃあ、何を売るのか?「相手の可能性」だ。これが本当の商品だ。 そして、君たち学生がこの就職活動において掴み、内定後も保ち続けるものこそ、この本質的な志望動機なんだ。モノを志望動機にした時から、迷いと失敗が始まる。 (学生たち、真剣に見入る) 純一 どうだ。社長の視点に立つと、ワクワクしてこないか?そんな志望動機をもって働けたら、どれだけ仕事が楽しいと思う?それ以前に、就活も楽しくなるね。 (麻衣 なんて分かりやすいのかしら…。こんな話、就職課じゃ絶対に聞けない) 純一 『孫子』第四章には、「勝兵は先づ勝ちて而る後に戦い、敗兵は先づ戦いて而る後に勝ちを求む」とある。 「勝者はまず勝って、それから戦うが、敗者はまず戦って、それから勝ちを求める」ということだ。この名言を会計的に翻訳してみよう。 (麻衣、美里、見入る) 「できる学生はまず内定して而る後に就活し、できない学生はまず就活して而る後に内定を求む」だな。 「できる学生はまず卒業して而る後に入学し、できない学生は先づ入学して而る後に卒業を求む」だな。 「できる社長はまず売れて而る後に仕入れ、できない社長はまず仕入れて而る後に売上を求む」だな。 つまり、勝つ人は最初から既に勝っている、ということだ。先に勝って、後から戦うんだ。 ならば…君たちもまず、今、心の中で最高の未来に内定すべきだとは思わないか? インプットがアウトプットを作るんじゃない。どんなアウトプットを想定しているかで、今のインプットが決まるんだ。就活は会計と同じだ。 情報収集をすれば有利になるんじゃない。自己分析を頑張れば有利になるんじゃない。 生き生きと未来を描き、心の底から「仕事って楽しい!」と思えてこそ、最高の情報に出会え、最高の自分が見えてくるようになるんだ。それが、相手が高く買う商品を仕入れるということだ。 学生1、2 …僕たち、間違ってました。まったく逆のことをやってました。今言われた「できない学生」は、全部当てはまって耳が痛かったです。 純一 それを認めたところからチャンスが生まれる。一緒に頑張ろうじゃないか。これから毎週来るといいよ。今日のような話は、基礎の基礎に過ぎないからね。 (麻衣 これで基礎の基礎だなんて!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.06.23 04:01:01
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