443606 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

職の精神史

職の精神史

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Category

Archives

2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02

Freepage List

Profile

nao12317556

nao12317556

Calendar

Comments

isaka@ Re:竹山道雄「白磁の杯」(05/28) 突然で失礼いたします。「白磁の杯」は、…
背番号のないエース0829@ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
takokuro@ Re:ヒトラー「わが闘争」(06/08) 「内心に罪の意識があり、自信がない人間…
しみず ぎすけ@ Re:278.笑顔に勝る化粧なし・・・(04/25) 小さな店舗で、運営を任されている清水と…
Abc@ Re:私の外国語学習(05/21) 頭悪すぎm9wwwwwwwwwwwwwwwwww
2008.06.22
XML

◆第2話「就活の現実って?」


麻衣 先輩、久しぶりですね。


亘 ああ、いたのか。こんな所で会うなんて、奇遇だな。


麻衣 先輩、スーツ似合ってますよ。あと半年もすれば社会人なんですよね。


亘 …。


美里 今日は会社のイベントでもあったんですか?


亘 オレ…実はまだ、内定もらってないんだ。


麻衣 えっ?


亘 ここなら誰もいないと思って来たのに。まぁ、おまえたちで助かったよ。最近、同級生の顔を見るとイライラするからな。


美里 すみません、私、とっくに就活は終わったとばかり…。


亘 いいんだ、気にするな。ふぅ…。


亘 それより、おまえたち、どうしてここにいるんだ?


麻衣 今日は、就職課の説明会に行ってきたんです。


美里 あんまり面白くなかったんですけどね。


亘 あぁ、駒田のオッサンの話か。あのオッサンの話に賛成するわけじゃないけど、確かに就活は厳しいよな。オレだってサボったつもりはないのに、もう…三十社落ちたよ。


美里 三十…。


亘 間違いなく多い方だろうな。というより、ここまで落ち続ける奴もいないよな。


麻衣 先輩、確か商社に入りたいって言ってましたよね。


亘 …おまえ、よく覚えてるな。そう言えば、去年の今頃は、そんなこと言ってたっけ。


美里 何言ってるんですか。あたしたちをあんなに励ましてくれたのに。


亘 あの頃は何も知らなかったんだよ、何もな。ま、忘れてくれ。


麻衣 そんな…。



(喫茶店のマスター、デザートを運んでくる)



マスター はい、サービス。


美里 あ、ありがとうございます!


マスター 何だい、君たち、就職の話かい?


麻衣 ええ。まだ何もやってないんですけど。


マスター 僕らの頃は高度成長期で自由気ままにやってたけど、君たちが生きる時代は国内、海外に競争相手が増えて、大変だね。


美里 マスターも就職では悩んだんですか?


マスター そうだね…。三十年近く前だからよく覚えてないけど、僕は自分の店を持つことに憧れてたから、あんまり会社のことは真剣に考えてなかったよ。


美里 最初は何の仕事をしたんですか?


マスター えっと…食品の商社だよ。


商社なんて聞くと、今じゃカッコ良さそうに聞こえるが、僕らの頃は「横流し屋」みたいなもので、飲食店にビールや食材を卸したね。それで喫茶店に興味が出て、四十五歳で脱サラしたんだ。


美里 先輩、商社志望なんです。何かいい情報はありませんか?


亘 おい、美里、もういいんだ。


マスター 君、就職がうまくいってないのかい?


亘 …。


麻衣 先輩、ごめんなさい。詳しい事情も知らないで。


亘 オレだって、本当はオレだって、四年生の夏でこうなってるはずじゃなかったのに…。


マスター 君、将来やりたいことはないのかい?


亘 ないことはないんですが、というか、なかったんですが、今はもう、人に夢を語る自信がありません。


マスター 面接でたくさん失敗したの?


亘 面接だけじゃなく、僕の就活そのものが、いや、大学生活そのものが失敗だったんです。


マスター 僕には詳しいことは分からんが、君たちの大学には就職課があるだろう。そこに行ってみたらどうだい?


美里 就職課って、あそこの人たちが学生の気持ちなんて分かるのかしら?


麻衣 別に駒田課長のような人ばかりじゃないだろうし、私たちが就職の話を聞くってことにして、行ってみない?


亘 おい、おまえたち…。


麻衣 先輩、行ってみましょうよ。


マスター こういう時こそ行動だよ。一人じゃ悩みが深まるばかりだし、何かのきっかけにもなるだろうから、行ってみたらどうだい?


亘 はい…じゃあ、行ってみます。どうもありがとうございます。



(三人、喫茶店を出る)


(三人、就職課へ)



美里 こんにちは!


職員1 君たちは三年生か?就職課はあと十分くらいで閉まるよ。


美里 ちょっと、相談したいことがあるんですけど。


麻衣 十分でも構いません。


職員1 そうは言われても、担当の者が…。あっ、そうだ、今日は課長が残っているから、課長に聞いてみるかい?


美里 課長っていうと…(二人、目を合わせる)


職員1 課長ぉ~!学生が就職相談に来てますよ。


駒田 (奥から)了解!じゃあ、相談室に通しててくれ。


職員1 じゃ、あっちで待ってて。お茶出せなくてごめんね。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.06.23 04:13:50
コメント(0) | コメントを書く
[短歌/俳句/小説/戯曲] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.