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連載小説 ラッブ・フォー・ラブ その8 廣龍
「その話さぁー、嫌って訳じゃないけど、今すぐ返事しろと言われるとちょっと決心がつかないのよね……」 「そうだよね。達也さんがこの状態じゃね。意識不明になって一年近くなるし、眼は開くようにはなったけど話が出きる訳じゃなし、物が食べられる訳じゃなし。おまけに馬鹿淑恵がふらふらしてるからね」 華菜は考え込むように下を向いて、 「ママのことはそんなふうに言わないで。ママだって、パパが家の事に構わないときでもちゃんと家の事はしてくれたんだから。今は子供二人の心配をする必要がないから、ちょっとばかり家から心が離れているだけでしょ。そのうち、戻ってくるわよ、家に」 「華菜、この頃、あんた、変わったわよ」 「……どんな風に?」 「脱皮したみたい」 「はん、私は蝉か蝶ですか……」 「それは良いんだけど……。それじゃ、あんたは何時決心してくれるのよ、うちに来るって。急がすようで悪いんだけどさ……。私達だってまだ若いし、健康だから今すぐ死ぬってわけじゃあないし、それは良いんだけど、あんたが歳取っちゃうでしょう……」 「あら、私の婚期を心配してくれてるの?」 「そうよ、西川を嗣いでくれるんだったら、西川の名前で婿を取って欲しいでしょう」 「あら、あら。そこまで計画が進んでいるの」 「私の心づもりよ」 華菜が破顔した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年01月19日 20時38分25秒
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