野口体操教室

１４日（土曜日）
【☆★大阪で野口体操を★☆】が行われました。

大阪は東京と違いました。
東京が変わったのでした。
「あの日３月１１日から、日本の、日本人の何かが変わってしまったのだという気がしてならない」
…そうであって欲しいというわたしの願望・思いだったのだと。
新大阪の駅に立って、からだに新しく大阪の風と匂入ってくるのを感じました。

先月、震災後初めての教室を開くに当って、

「体操とは祈りである」（野口三千三）

を主題にしました。
けれどもその主題では、八期から初参加の方たちには唐突で馴染めなかったのではないかという気がしていました。
その上今日、一回遅れて新しいお二人の体験参加がありました。

今月のテーマは自然に
「おもさ（重さ）」を選んでいました。
毎期、必ず選ばれている馴染みの主題です。

からだは繋がっているので、何もその都度“主題”なぞ決めなくともいいのです。
一つの動きだけをやっていても主題は一つに繋がります。
一つの主題だけでやっていてもからだの動きは数限りなく生まれます。
どんな主題も「おもさ」を抜きにしては語れないし、どの動きも「おもさ」抜きには生まれません。

「すべての存在は重さである」

「重さの神は、自然の神の具体的な姿の一つである」（野口三千三）

なのです。
それは、この自分を自然の神の具体的な姿として捉えられているのか、
という問いでもあります。
おこがましいと謙遜するよりも、むしろ自ら進んで、

「自分自身のまるごと全体のからだが“重さという生きもの”になり得る能力を力という」

「自分自身のまるごと全体のからだを“重さの神”に任せ切ることのできる能力を力という」（野口三千三）

「重さという生きもの」・「重さの神に任せきる」ことでしょう。

野口体操はここから出発してもらいたい。
からだの動きでとくと実感してもらいたい。
そのための材料（からだの動き）はいっぱいあります。
たった一つ、ある瞬間でいい、こんなに気持ちよく楽に動けたのは、
私のからだに重さがあったからだ、という実感は持てるはずです。
その実感こそが、自然の神を味方にすることです。

今期から入会された中にスポーツカウンセラーをされている方がいらっしゃいます。
Ｍさんです。
「立ったままの波の動き」をすると吐き気がして気持ちが悪い、と休憩を取られました。
先月もそうでした。

Ｍさんのからだに触れさせてもらいました。
触れた手が弾き返されました。
ことばで語りかければますます固まってしまいそうでした。

伝え手のからだに触れてもらいました。
「分かりました!　私、先生と真逆のことをしていました。
私、筋トレのために肩にバーベルを載せてスクワットをしてきました。
それが止められない、抜けません。」

なんと正直なからだだろう、
なんと正直なひとだろう、と思いました。
その正直さを失わないでいてもらえれば、実感は必ず変化します。
いみじくもＭさんの入会の動機は「身体を緩めることに興味があります。」なのだから。
意識と筋肉でコントロールされたからだに自然の原理を受け入れることは容易なことではありません。
からだを緩めることに興味をもったＭさんに寄り添ってゆきたいと切に思いました。

そんな八期の出発でした。