安兵衛初代女将 永眠
暗い話ですいません。今年で開店から50年を迎える安兵衛ですが、その安兵衛とともに50年を歩んできた初代女将(私の祖母)が30日(水)午前3時4分永眠いたしました。享年90歳。戦争の時代を生きた、強く、厳しい人でした。強く、厳しすぎるゆえに家族との諍いもありましたが、常に高いプライドを持ち自分を貫く見事な人生であったと思います。戦後、満州から乳飲み子の父を抱えての帰国の苦労は並大抵ではなかったことでしょう。今の私がここにあるのは、間違いなく祖母のがんばりがあってこそと思っています。今の店舗が完成した12年前に、涙を流してそれを喜んだ祖母の姿が忘れられません。30年前に亡くなった祖父とともに始めた「料理 安兵衛」が素晴らしいお客様に育てていただき、約40年のうちに2度の移転を経て「割烹 安兵衛」となり、ここまで来た実感があったのでしょう。おじいちゃんとおばあちゃんが形にしてくれた夢は、息子である父が大きくしてくれました。初代の祖父、祖母、2代目の父、母が一貫して守ってきた方針。私も、店の形が変わってもその規模の拡大をすることなく、料理の品質のみを上げるように勤めてきた店のあり方を受け継ぎ、安兵衛の料理や空間の品質を発展させていきたいと思います。最後になりますが、祖母が今週月曜日から危篤状態になっため、既に頂いていた今週の予約をキャンセルさせていただいたことを心からお詫び申し上げます。また、今週中の新規のご予約も同様の理由でお断りさせていただきました。大変ご迷惑をおかけいたしました。そのお詫びとともに、御礼を申し上げたいと思います。おかげさまで祖母の最期を看取ることが出来ました。ありがとうございました。