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◇愉快な人柄で笑顔に--かがくいひろしさん=膵臓(すいぞう)がんのため9月28日死去・54歳
だるま、やかん、野菜、おもち……。描いてきた絵本の主人公は身近にあるものばかり。そのユーモラスな仕草や表情を見て、どれだけたくさんの赤ちゃんが笑顔になったことだろう。 50歳と遅いデビューだった。今年3月に千葉県の特別支援学校を退職し、絵本作りに専念し始めた。その半年後、猛烈な吐き気と痛みに襲われ、救急車で運ばれた。末期がんと告げられてからわずか2日後の死。仕事場にしていたリビングのカレンダーには、来年春までのスケジュールが書き込まれている。 東京学芸大を卒業後、養護学校教諭の道に進んだ。障害の重い生徒にも授業を楽しんでもらえるよう、100円ショップの雑貨や段ボールを自宅に持ち込み、毎晩のように教材を作った。「思ったほど受けなかったよ」と落ち込んで帰っても、また新しい教材を考えている。「どうすれば喜んでもらえるか。生徒たちに教えられたことが絵本作りに生きたようです」と妻久美子さん(53)は振り返る。 葬儀には元教え子たちの姿があった。車椅子で来た吉野純子さん(22)は「『よくやっているね』って、励ましてくれたのがうれしかった」。寝たきりの息子を連れて駆けつけた渡辺千代子さん(53)は「楽しい先生で、親の気持ちまで明るくしてもらいました」とこぼれる涙をふきながら、思い出を語った。 「愉快な人柄を覚えていてほしい」という家族の願いで、祭壇は愛用したパステルのような明るい色の花々でいっぱいになった。ひつぎには、寝る間も惜しんで描き上げた絵本とともに、生徒たちの作った追悼文集が納められた。【木村葉子】=写真は遺族提供 毎日新聞 2009年10月28日 東京朝刊 だるまさんシリーズ「が・の・と」(3冊化粧ケース入り) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 30, 2009 11:28:32 PM
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