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2009.02.01
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森博嗣『地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE』
~講談社ノベルス、1999年~

 森博嗣さんの第二短編集です。
 それでは、それぞれについて簡単にコメントを。

ーーー
「小鳥の恩返し The Girl Who was Little Bird」
 [主要人物]島岡清文、島岡綾子、白坂美帆
 [内容紹介]清文が34歳のとき、父親が殺された。事件の日、現場には一羽の小鳥がいて、第一発見者の妻は、小鳥を飼い始めていた。その後は、清文も小鳥の世話をしていたが、ある日、小鳥は逃げていった。
 時が経ち、病院に看護師として美帆がやってきた。美帆は、清文に、自分は逃げていった小鳥である、と言う。美帆は有能であったし、清文はそのウィットに感心する程度であった。しかし、次第に美帆に心が傾いていき…。
 [コメント]好きなお話です。

「片方のピアス A Pair of Hearts」
 [主要人物]カオル、トオル、サトル
 [内容紹介]カオルは、恋人のトオルの双子の弟、サトルと出会い、トオルよりもサトルに惹かれていく。トオルとの結婚も近い時期だった。そして、トオルが海外に行っている間に、事件が起こる。サトルが殺害されたのだった。
 [コメント]こちらは、どこか不思議なお話です。

「素敵な日記 Our Lovely Diary」
 [コメント]こちらも不思議なお話です。日記に記録をつけていく人々が、次々に不可解な状況で死んでいく、というお話。

「僕に似た人 Someone Like Me」
 [主要人物]俊一、まあ君、まあ君のお母さん
 [コメント]?、でした。

「石塔の屋根飾り Roof-top Ornament of Stone Ratha」
 [主要人物]犀川創平、西之園萌絵、諏訪野
 [内容紹介]西之園萌絵に招かれて、犀川、喜多、国枝が彼女のマンションを訪れた。西之園の側からは、叔母の佐々木夫人と、愛知県警本部長も出席。その席で、犀川は師、西之園博士が分析した奇妙な事実について問題を出す。石塔と不可分のはずの屋根飾りについての問題。狭い幅の中に、地面で全部つながった5つの石塔があった。それらに屋根飾りはなく、少し離れた地面に、それらの屋根飾りだけが作られていたという。なぜ、五つの石塔と屋根飾りは、そのように作られていたのか。
 [コメント]西之園さんが大学四年生の頃の話です。雪の日、ということなので、あるいは『有限と微小のパン』事件の後、年が明けてから(つまり1998年)の話かもしれません。
 主要人物の欄にあえて諏訪野さんの名前を挙げたほど、諏訪野さん大活躍です。
 謎も魅力的で、S&Mシリーズは短編も面白いですね。

「マン島の蒸気鉄道 Isle of Man Classic Steam」
 [主要人物]犀川創平、西之園萌絵、諏訪野
 [内容紹介]犀川、喜多、大御坊の三人が同じ時期に英国付近にいたこともあり、西之園萌絵の招待で、彼らはマン島を訪れる。ここには、佐々木夫人と諏訪野もやって来ていた。今回の謎は、マン島のシンボルの三本脚についての話になったとき、脚が逆向きになっている写真があると、諏訪野が紹介してくれる写真。
 [コメント]再読ということもあってか、写真の方の謎は答えが分かったのですが、それとは別のターンテーブルの問題の答えが分からないままです…。それはともれ、今回は西之園さんが大学院生になってからの話。何年のことかは書かれていませんが、なんとなく、先と同じく1998年のことかな、と想像します。

「有限要素魔法 Finite Element Magic」
 [コメント]こちらも「僕に似た人」同じく、?でした。

「河童 Kappa」
 [主要人物]日下部淳哉、其志郎、亜依子
 [内容紹介]大学を中退した日下部淳哉が寂れた農村に住んでいた頃の話。友人の其志郎が訪れるとき、下宿先の娘、亜依子がお茶を持ってきてくれた。彼女は其志郎に思いを寄せているようであったが、其志郎は冷たい。ある日、其志郎がいないときに、亜依子が淳哉のもとを訪れてきて…。
 [コメント]ホラーテイストの作品です。こういうのも好きです。

「気さくなお人形、19歳 Friendly Doll, 19」
 [主要人物]小鳥遊練無、纐纈[こうけつ]、香具山紫子
 [内容紹介]バイトに出かけていた練無に、大柄の男が声をかけてきた。そして、男の主人、纐纈老人が練無にバイトを依頼する。内容は、週に数時間、一緒に遊ぶこと。かなり高額の時給に怪しむ練無だが、結局バイトを引き受ける。続けている内に、練無は、自分が纐纈老人の既に亡くなったという孫娘に似ていることを知る。
 [コメント]Vシリーズの主要人物たち初登場の作品です。おぼろげに覚えていましたが、良いですね。根来機千瑛さんの名前もあり、懐かしくなりました。2月からはいよいよVシリーズ再読となると思います。

「僕は秋子に借りがある I'm in Debt to Akiko」
 [主要人物]木元、秋子
 [内容紹介]木元が食堂で食事をしていたら、「壊れている」感じの女子学生に声をかけられた。それが、秋子との出会いだった。近づきたくない、と思いながら、どこか彼女にひきつけられ、一緒に過ごした。後日、朝早くに秋子から連絡が入り、ともに出かけることがあった。他愛のない話ばかりだった。木元が、姉が死んだ話をすると、秋子は自分にも兄がいたが死んでしまったという。秋子の母が何度も聞いているという、形見のテープ。秋子が重そうに抱えている雑誌。秋子の話は全て嘘かも知れない、と考えながら、木元は彼女に、自分でも思いがけない一言を発していた。
 [コメント]なんというか、森さんの短編集は、まるで音楽のアルバムのように、いろんな味わいの短編を収めていると思います。本書でいえば、不思議な話、ホラータッチの話、ミステリ色の強いS&Mシリーズ短編、そして、音楽でたとえればバラードのような本編…。
 味わい深い物語です。
ーーー

 何度目かの再読ですが、楽しく読めました。
 コメントで?をつけた2編は、書き下ろしだそうです。なんとなく、なるほど、と思いました。
 上にも書きましたが、2月からはVシリーズ再読に挑戦となると思います。S&Mシリーズの再読を始める前までは、既刊作品の多さに、再読をためらっていたのですが、早く読まなきゃと慌てることもなく、楽しく読み進められていて良かったです。

 それでは、一つだけ、印象に残っている一節を引用しておきます(文字色反転)。

「許して下さい」と言い続ける人間が、世の中に存在することを、僕は初めて信じた。
 ―「僕は秋子に借りがある」より

(2009/01/27読了)





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Last updated  2009.02.01 10:03:23
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