カテゴリ:本の感想(さ行の作家)
島田荘司『Classical Fantasy Within 第四話 アル・ヴァジャイヴ戦記 決死の千騎行』 島田荘司『Classical Fantasy Within 第五話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ヒュッレム姫の救出』 島田荘司『Classical Fantasy Within 第六話 アル・ヴァジャイヴ戦記 ポルタトーリの壺』 島田荘司『Classical Fantasy Within 第七話 アル・ヴァジャイヴ戦記 再生の女神、アイラ』 ~講談社BOX、2008-2009年~ 2008年10月に再開した、島田荘司さんによる大河ノベル『『Classical Fantasy Within』、その第二部が2009年1月に完結しました。これを機に、二部の全4巻(第四話~第七話)を一気に読んだので、まとめて一つの記事とします。 ちなみに、第三部の再開は2009年9月になるそうです。 さて、4巻まとめての感想ということで、全体を通して読んでいない方には興ざめになる部分もあろうかと思います。数行空けてから記事を書きますので、興ざめがいやな方はお気を付けください。 ーーー 千の塔の街と呼ばれた美しい都、サラディーン。しかし、大地震、隕石、ペストの流行により、街はもはや荒廃していた。雹の降る冷たい朝、ショーン・マスードは、王室守備隊の全体集会に召集された。そこでは、司祭から、サラディーンを救う唯一の方法が伝えられる。神託により知ったというその方法は、五日間で、地上で最悪の土地といわれるアル・ヴァジャイヴを横断し、さらには紅海も越えて、イスラエルの地へ行き、降り立った月の中にいる女神と出会うこと―。明らかに無謀なその方法だが、神託によれば、完全に不可能ということでもない、という。きわめて過酷ながら、国を救う可能性のために、千人の騎士たちが、アル・ヴァジャイヴへと向かった―。 酸を吐く竜たちに、一隊の大部分はやられてしまった。残った十数名は、ショーンを中心に進んでいく。 サラディーンは、アル・ヴァジャイヴの地に三つの要塞を築いていた。砦からサラディーンに戻ってくる者はもはやいなかったが、砦では彼らを助けてくれるであろうはずだった。 第一の砦では、彼らはあつくもてなされた。ショーンたちを引き留める者は多かったが、ショーンたちは先を急ぐ。しかし、ここで新たな仲間が加わることになる。第一の砦、ブーシェフル一の踊り子、サミラだった。 さらに、恐ろしい翼手竜や蛮族たちの襲撃を乗り越えながら、一行は第二、第三の砦をなんとか経由しながら、イスラエルに向かっていく。そしてそのためには、ポルタトーリの壺にまつわる謎の暗号も解かなければならなかった。 ーーー かなり唐突な始まり方、唐突な終わり方、という印象です。第二部自体は完結のようですが、CFW自体は未完結なので、今後、このもどかしさが解かれるのを楽しみにしたいと思います。島田さんによれば、第一部、第二部など、一見なんのつながりもなさそうで、最後には大きなミステリだったことが分かる、とのことですが、どうなるのでしょう??上にも書きましたが、第三部からの再開はしばらく先になるようですが、楽しみですね。 第二部は、ある意味では吉敷竹史シリーズや御手洗潔シリーズにも共通しますが、女性が特別な意味を持っているように思います。サミラにヒュッレム姫、そしてショーンたちの目的は月の女神と結ばれることです。 かっこよかったショーンにも、終盤では「ん?」となってしまいましたが、そこはそれ。上にも書きましたように、唐突な始まりではありますが、物語にどんどん引き込まれる感じでした。この手の、いかにもファンタジーといった物語はほとんど読んだことがありませんが、どこかRPG風ですね。 楽しかった、というよりも、先への楽しみがますますふくらんだ感じです。 (2009/01/25読了)
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Last updated
2009.02.01 09:59:07
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