カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
浦賀和宏『彼女の血が溶けてゆく』 ~幻冬舎文庫、2013年~ 浦賀さん久々の新刊。本書は、ノンシリーズの長編です。 ごく簡単に、内容紹介と感想を。 ーーー 離婚した妻・聡美が、医療ミスで提起された…。 フリーライターの「俺」―桑原銀次郎は、多くのマスコミが医療ミスを糾弾する風潮のなか、被害者本人に過失はなかったのか、という観点から調査を進めた。 妻に会い、亡くなった綿貫愛の病状を訊く。彼女は、溶血という、自身の免疫システムが自身の赤血球を破壊する病にかかっていた。聡美の判断により脾臓の摘出手術を行ったものの、その後、血小板が増加し、肺血栓塞栓症により死亡した…。聡美が行った脾臓摘出の判断がミスだったのではないかと世間ではいわれるが、そもそも溶血の原因は、綿貫にあったのではないか。 調査を進めるうちに、愛が非常にしばしば家を空けていたこと、訴えを起こした夫とは不仲であったこと、なぜか小学校の頃の同級生と接触をとっていたことなどを突き止めていく。 彼女の溶血の原因は、なんだったのか―。 ーーー これは面白かったです。浦賀さんの作品を読んできて良かったとあらためて思いました。 ハードボイルド風というのでしょうか、桑原さんが調査を進める過程を、手に汗にぎりながら、どんどん読み進めました。 ミカさんと桑原さんのやりとり、愛さんの不利な状況を知って、それまで情報提供をしていた義父が怒り出すあたりなど、印象的なシーンも多々あります。 桑原さんが真相を語るシーン(場)も、ものすごい緊張感がありました。 あらためて、とにかく面白かったです。 浦賀さんの作品に出会えていて、本当に良かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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